内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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内部被ばくと健康被害

ベラルーシにおけるヨウ素131の沈着量の再現図(1986年5月10日段階)

 ベラルーシにおけるヨウ素131の沈着量の再現図(1986年5月10日段階)です。アレクセイ・V・ヤブロコフ、ヴァシーリー・B・ネステレンコ、アレクセイ・V・ネステレンコがニューヨーク科学アカデミーから2009年に出版した、 Chernobyl Consequences of the Catastrophe for the People and the Environment Alexey Y.YABLOKOV,Vassily B.NESTRENKO,Alexey V.NESTRENKO 2009 のp.34で紹介されているものです。この英語版は下記から全文ダウンロードできます。 http://www.strahlentelex.de/Yablokov%20Chernobyl%20book.pdf  このアレクセイ・V・ヤブロコフ、ヴァシーリー・B・ネステレンコ、アレクセイ・V・ネステレンコに、ナタリヤ・E・プレオブラジェンスカヤを加えたChernobyl Consequences of the Catastrophe for the People and the Environment が、2013年4月26日岩波書店から「調査報告 チェルノブイリ被害の全貌」として出版されました。非常に重要な本です。ぜひ、お読み下さい。  先に紹介した、ヨウ素131沈着量マップと比べてみると、ベラルーシ北部にもヨウ素131のプルームが襲ったことがわかります。1990年から2000年にかけてベラルーシで発症した小児甲状腺がんの行政区域ごとの発症数と合わせてみると、ヨウ素131の沈着量が18.5万ベクレル/m2以上の地域では数人の小児甲状腺がんの患者が出ていることがわかります。

国連人権理事会アナンド・グローバー氏のプレス発表 2012年11月26日

 国連人権理事会 特別報告者アナンド・グローバー氏 「チェルノブイリ事故から限られた教訓しか活用しておらず、また、低線量放射線地域、例えば、100mSvを下回る地域でさえも、ガンその他の疾患の可能性があることを指摘する疫学研究を無視している」 国連人権理事会 特別報告者アナンド・グローバーのプレス・ステートメント 達成可能な最高水準の心身の健康を享受する権利に関する国連人権理事会特別報告者アナンド・グローバー訪日期間:2012 年11 月15 日~26 日 プレス・ステートメント2012 年11 月26 日東京 記者の皆様、ご臨席の皆様 最初に、日本にお招きいただき、興味深く充実した会合や各地の訪問調査プログラムを円滑に進められるよう手配いただきました日本政府の皆様に、心より感謝申し上げます。今回の訪問中、政府関係者の方々、東京電力株式会社の役員の方々、医療・法律専門家の方々、そして地域や市民社会の代表者の方々にお会いしました。福島県および宮城県で地震、津波および原発事故の被害に見舞われた地域も訪問しましたが、訪問する先々で常に温かく丁重に迎えていただきました。また、政府高官の方々とも率直な意見を交換いたしました。特別報告者としてのミッションが円滑に進むよう、手配いただいた政府・関係省庁の方々のご尽力に感謝しております。この場をお借りいたしまして、貴重なお時間をいただき経験を伝えて下さった皆様全員に感謝申し上げます。 達成可能な最高水準の心身の健康を享受する権利(「健康を享受する権利」)に関する国連人権理事会特別報告者としてのミッションを説明した簡単な資料を、この会場に用意しております。端的に申しますと、私は健康を享受する権利の実現に関して国連人権理事会および国連総会に報告・勧告する独立専門家です。国連人権理事会から任命を受けましたが、国連に雇われているわけではなく、名誉職という立場で今回の任務を遂行しています。独立専門家として、私なりの結論と提言をまとめるべく、専門的判断を下します。 本日の発表は、予備的考察の一部に限らせていただきます。詳細につきましては、2013 年6 月に国連人権理事会に提示する最終報告で発表いたします。 ご臨席の皆様 今回の私のミッションは、対話と協力の精神を胸に、日本がいかに健康を享受する権利を実行しようと努めているか把握し、それを首尾よく実現させるための方策並びに立ちはだかる障害について理解することです。より具体的には、地震、津波、原発事故という三重の災害への対応に伴う課題と方策、そこから得た教訓やグットプラクティスに焦点を当てることなどを通じて、東日本大震災を経た現在の状況における、健康を享受する権利の実現に取り組んできました。 ここで本題に入る前に、まず大切なご家族を亡くされた方々に対して、心からお悔やみ申し上げます、そして地震、津波、原発事故の被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。 2011 年3 月11 日、東北地方を地震、津波、そして人災による原発事故が次々と襲い、日本は未曾有の原発事故に見舞われました。死者約1 万8000 人、負傷者は数千人に達した この非常事態に対して、積極的にリーダーシップを発揮した日本政府に敬意を表したいと思います。 また、政府による東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会および国会による東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(NAIIC)がまとめた報告書などの様々な報告書にも留意しています。この件について活発な議論を歓迎します。 原子力発電所で事故が発生した場合の災害管理計画について近隣住民が把握していなかったのは残念なことです。実際、福島県双葉町の住民の方々は、1991 年に締結された安全協定により、東京電力の原子力発電所は安全であり、原発事故が発生するはずなどないと信じてきたのです。 独立した立場からの原子力発電所の調査、モニタリングの実施を目指し、原子力規制委員会を設立した日本政府は賞賛に値します。これにより、従来の規制枠組みに見られた「断層」、すなわち、原子力発電所の独立性と効果的なモニタリング体制の欠如ならびに、規制当局の透明性と説明責任の欠如への対応を図ることが可能になります。こうしたプロセスは強く望まれるものであり、国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の報告でも提言されています。従って、原子力規制委員会の委員長や委員は、独立性を保つだけでなく、独立性を保っていると見られることも重要です。この点については、現委員の利害の対立を開示するという方策が定着しています。日本政府に対して、こうした手順を出来るだけ早急に導入することを要請いたします。それにより、精査プロセスの独立性に関する信頼性を構築しやすくなるでしょう。 皆様、 原発事故の直後には、放射性ヨウ素の取り込みを防止して甲状腺ガンのリスクを低減するために、被ばくした近隣住民の方々に安定ヨウ素剤を配布するというのが常套手段です。私は、日本政府が被害にあわれた住民の方々に安定ヨウ素剤に関する指示を出さず、配布もしなかったことを残念に思います。にもかかわらず、一部の市町村は独自にケースバイケースで安定ヨウ素剤を配布しました。 災害、なかでも原発事故のような人災が発生した場合、政府の信頼性が問われます。従って、政府が正確な情報を提供して、住民を汚染地域から避難させることが極めて重要です。しかし、残念ながらSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)による放射線量の情報および放射性プルームの動きが直ちに公表されることはありませんでした。さらに避難対象区域は、実際の放射線量ではなく、災害現場からの距離および放射性プルームの到達範囲に基づいて設定されました。従って、当初の避難区域はホットスポットを無視したものでした。これに加えて、日本政府は、避難区域の指定に年間20 mSv という基準値を使用しました。これは、年間20 mSv までの実効線量は安全であるという形で伝えられました。また、学校で配布された副読本などの様々な政府刊行物において、年間100 mSv 以下の放射線被ばくが、がんに直接的につながるリスクであることを示す明確な証拠はない、と発表することで状況はさらに悪化したのです。 年間20 mSv という基準値は、1972 年に定められた原子力業界安全規制の数字と大きな差があります。原子力発電所の作業従事者の被ばく限度(管理区域内)は年間20 mSv(年間50 mSv/年を超えてはならない)、5 年間で累計100mSv、と法律に定められています。3 ヶ月間で放射線量が1.3 mSv に達する管理区域への一般市民の立ち入りは禁じられており、作業員は当該地域での飲食、睡眠も禁止されています。また、被ばく線量が年間2mSv を超える管理区域への妊婦の立ち入りも禁じられています。 ここで思い出していただきたいのは、チェルノブイリ事故の際、強制移住の基準値は、土壌汚染レベルとは別に、年間5 mSv 以上であったという点です。また、多くの疫学研究において、年間100 mSv を下回る低線量放射線でもガンその他の疾患が発生する可能性がある、という指摘がなされています。研究によれば、疾患の発症に下限となる放射線基準値はないのです。 残念ながら、政府が定めた現行の限界値と、国内の業界安全規制で定められた限界値、チェルノブイリ事故時に用いられた放射線量の限界値、そして、疫学研究の知見との間には一貫性がありません。これが多くの地元住民の間に混乱を招き、政府発表のデータや方針に対する疑念が高まることにつながっているのです。これに輪をかけて、放射線モニタリングステーションが、監視区域に近接する区域の様々な放射線量レベルを反映していないという事実が挙げられます。その結果、地元住民の方々は、近隣地域の放射線量のモニタリングを自ら行なっているのです。訪問中、私はそうした差異を示す多くのデータを見せてもらいました。こうした状況において、私は日本政府に対して、住民が測定したものも含め、全ての有効な独立データを取り入れ、公にすることを要請いたします。 健康を享受する権利に照らして、日本政府は、全体的かつ包括的なスクリーニングを通じて、放射線汚染区域における、放射線による健康への影響をモニタリングし、適切な処置をとるべきです。この点に関しては、日本政府はすでに健康管理調査を実施しています。これはよいのですが、同調査の対象は、福島県民および災害発生時に福島県を訪れていた人々に限られています。そこで私は、日本政府に対して、健康調査を放射線汚染区域全体において実施することを要請いたします。これに関連して、福島県の健康管理調査の質問回答率は、わずか23%あまりと、大変低い数値でした。また、健康管理調査は、子どもを対象とした甲状腺検査、全体的な健康診査、メンタル面や生活習慣に関する調査、妊産婦に関する調査に限られています。残念ながら、調査範囲が狭いのです。これは、チェルノブイリ事故から限られた教訓しか活用しておらず、また、低線量放射線地域、例えば、年間100 mSv を下回る地域でさえも、ガンその他の疾患の可能性があることを指摘する疫学研究を無視しているためです。健康を享受する権利の枠組みに従い、日本政府に対して、慎重に慎重を重ねた対応をとること、また、包括的な調査を実施し、長時間かけて内部被ばくの調査とモニタリングを行うよう推奨いたします。 自分の子どもが甲状腺検査を受け、基準値を下回る程度の大きさの嚢胞(のうほう)や結節の疑いがある、という診断を受けた住民からの報告に、私は懸念を抱いています。検査後、ご両親は二次検査を受けることもできず、要求しても診断書も受け取れませんでした。事実上、自分たちの医療記録にアクセスする権利を否定されたのです。残念なことに、これらの文書を入手するために煩雑な情報開示請求の手続きが必要なのです。 政府は、原子力発電所作業員の放射線による影響のモニタリングについても、特に注意を払う必要があります。一部の作業員は、極めて高濃度の放射線に被ばくしました。何重もの下請け会社を介在して、大量の派遣作業員を雇用しているということを知り、心が痛みました。その多くが短期雇用で、雇用契約終了後に長期的な健康モニタリングが行われることはありません。日本政府に対して、この点に目を背けることなく、放射線に被ばくした作業員全員に対してモニタリングや治療を施すよう要請いたします。 報道関係者の皆様、 日本政府は、避難者の方々に対して、一時避難施設あるいは補助金支給住宅施設を用意しています。これはよいのですが、 住民の方々によれば、緊急避難センターは、障がい者向けにバリアフリー環境が整っておらず、また、女性や小さな子どもが利用することに配慮したものでもありませんでした。悲しいことに、原発事故発生後に住民の方々が避難した際、家族が別々にならなければならず、夫と母子、およびお年寄りが離れ離れになってしまう事態につながりました。これが、互いの不調和、不和を招き、離婚に至るケースすらありました。苦しみや、精神面での不安につながったのです。日本政府は、これらの重要な課題を早急に解決しなければなりません。 食品の放射線汚染は、長期的な問題です。日本政府が食品安全基準値を1kgあたり500 Bq から100 Bq に引き下げたことは称賛に値します。しかし、各5県ではこれよりも低い水準値を設定しています。さらに、住民はこの基準の導入について不安を募らせています。日本政府は、早急に食品安全の施行を強化すべきです。 また、日本政府は、土壌汚染への対応を進めています。長期的目標として汚染レベルが年間20 mSv 未満の地域の放射線レベルは1mSv まで引き下げる、また、年間20~50 mSv の地域については、2013 年末までに年間20 mSv 未満に引き下げる、という具体的政策目標を掲げています。ただ、ここでも残念なのは、現在の放射線レベルが年間20 mSv [...]

福島県 子どもたちの甲状腺異常 市町村別結果一覧 2011年度

 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」が、県民健康管理調査の委託契約にかかる文書の公開を福島県に行わせた。県民健康管理調査は福島県から福島県立医大に委託する形で実施されている。委託契約にかかる文書を包括的に請求した中で、2011年度分の委託事業完了報告書類の中に紛れていたのが、市町村別の甲状腺検査の結果である。情報公開文書のうち、9枚目からが甲状腺検査等の実施状況を福島県立医大が取りまとめたもので、16枚目が市町村別の甲状腺検査結果である。2011年度に実施された、警戒区域等避難区域の市町村の住民分のみ検査結果のみなので、田村市、南相馬市、伊達市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯館村、その他の対象者47,766名中、検査を受けた38,114名分の結果である。 【情報公開文書】福島県 平成23年度「福島県民健康管理調査事業」委託完了届等について 20120331 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」 ホームページ        福島県の小学校校庭のヨウ素131およびセシウム134、セシウム137の土壌汚染濃度 色つき  20110405および0406 福島県内の学校の校庭はどのくらい汚染されていたか ヨウ素131 20120512  

山下俊一氏アメリカNCRP講演「福島では10人が小児甲状腺がん」 2013年3月11日

 福島県立医科大学 山下俊一氏がアメリカの米国放射線防護・測定審議会(NCRP)の第49回年次総会で『福島原子力発電所事故と包括的健康リスク管理』と題する記念講演を行っていました。東日本大震災から2年目を迎えた、2013年3月11日の朝8時30分にです。  先に行われた、第10回福島県県民健康管理調査検討委員会の報告の中で、事故当時18歳以下だった福島県の子どもたち3万8000人の中で3人の小児甲状腺がんの患者が見つかり、あと7人に細胞診の結果「小児甲状腺がん」の疑いが強いとされました。(2013年2月13日)  この第10回県民健康管理調査検討委員会の後の記者会見(2013年2月13日)で山下俊一氏はチェルノブイリ事故後の小児甲状腺がんの超音波検査と穿刺(せんし)細胞診による診断率について語っています。チェルノブイリ事故後の超音波検診と今回の福島での超音波検診とは機器や精度の差、技術者の技量のため比較できない、とも語っています。  しかし、山下氏はこのアメリカのNCRPで行った講演で、記者会見(2013年2月23日)で語ったことと全く違ったことを報告しています。 Fukushima Nuclear Power Plant Accident and Comprehensive Health Risk Management Shunichi Yamashita Fukushima Medical University ① この講演のスライド61ページでは 「Of the 76 cases in which FNAC was performed in 1st Preliminary Survey, 10 cases were diagnosed as malignant or suspected for malignancy, and thyroid cancer was already confirmed in 3 of the 10 cases after thyroid surgery.」 「甲状腺検査の1次検査(平成23年度)の中で76名の穿刺(せんし)吸入細胞診(FNAC)※がすでに行われ、10件が悪性または悪性の疑いと診断され、甲状腺手術の結果、10人中3人が小児甲状腺がんと診断された」 と書かれていますが、次の62ページでは10名全員が小児甲状腺がんとしてカウントされています。 ② 2013年2月13日の記者会見では「(チェルノブイリ事故後の超音波検査は今から20年も15年も前のことだから)これは使った機器、精度、そして技術者の度量いろんなものを含めますから、今の状況(福島県の18歳以下の甲状腺検査)と当時の状況を照らし合わせるはできないというのは常識であります。」 youtube動画 第10回福島県健康管理調査 記者会見(37分) 31’20頃から  と言った、その舌の根も乾かないはずの、3月11日の講演で、彼が調査に入ったゴメリでの超音波検査の結果見つかった小児甲状腺がんの患者数と福島とを比べています。講演のスライドの11ページと上記62ページ。 ③ 2013年2月13日の記者会見では山下俊一氏は「基本的にはチェルノブイリでも甲状腺の超音波検査を行いました。20年から15年前ですから感度、精度管理においてははるかに劣る。だいたい1万人に1人、多い所で5000人に1人の小児甲状腺がんが見つかりました。」と語っています。 youtube動画 第10回福島県健康管理調査 記者会見(37分) 29’41頃から  しかし、上記スライド11ページでは、ベラルーシ共和国ゴメリ州で1998年から2000年に超音波検査や穿刺(せんし)吸引細胞診のスクリーニングを行った結果、事故当時0歳~3歳4ヶ月までの子ども(誕生年月日が1983年1月1日から1986年4月26日…チェルノブイリ原発事故当日)9720人中31人の甲状腺がんを発見しています。これは山下俊一氏自身が関わったスクリーニングの検査であり、彼の書いた論文を彼自身が引用し、2013年3月11日にアメリカで講演しているのです。これのどこが1万に1人や5000人に1人なのでしょうか?  アメリカの放射線防護学の専門家には真実を語り、日本のマスコミにはうそを語っているのではないでしょうか?  そして、福島でも原発事故当時0~4歳であった子どもたちが10年後、20年後甲状腺がんを発症する割合が1万人に数10人である可能性を山下俊一氏自身が示しているのではないでしょうか。  マスコミ関係者のみなさん。山下俊一氏への取材を強くお願いします。 ※ 穿刺(せんし)吸入細胞診 FNAC  

1987年のベラルーシにおけるセシウム137の汚染状況  ユーリ・バンダジェフスキー ECRR2009

 1987年のベラルーシにおけるセシウム137の汚染状況を、ユーリ・I・バンダジェフスキー博士が欧州放射線リスク委員会(ECRR)のレスボス会議2009で報告しています。  

東京新聞掲載 原発事故1年と1年半後の放射線量の増減 2013年3月10日朝刊

 東京新聞が東日本大震災から2年と題した特集で「原発事故1年と1年半後の放射線量の増減」という記事を掲載しました。2013年3月10日朝刊32面。これは日本原子力研究開発機構福島技術本部が2013年3月1日に公表した『東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に伴い放出された放射性物質の分布状況等に関する調査研究結果について』に基づくものです。 『東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に伴い放出された放射性物質の分布状況等に関する調査研究結果について』  この記事を見るだけでは、緑色の部分の放射線量はもう低くなってしまっているので安全だという誤解を与えかねません。これは「放射能はもうない。安全だ。」キャンペーンの一環なのでしょうか?原発と原発事故報道について、貴重な報道をしてきた、東京新聞に対して、大きな疑念を抱かざるを得ません。  だいたい、日本原子力研究開発機構 福島技術本部の調査報告書を読むと、以下のように書いてあります。 「KURAMA-Ⅱシステムを用いた走行サーベイ(第3 次走行サーベイ)については、KURAMA-Ⅱシステムが体積の小さなCsI 検出器を用いてガンマ線を検出しているため、検出効率が小さく、空間線量率の低い地域での測定においては、測定値が統計的に大きなばらつきを示す。今回、0.2 μSv/h 以下の空間線量率の地域で行なった走行サーベイにおいては、統計的なばらつきが顕著に現れる現象が時折観察された。そこで、測定結果における統計的なばらつきを抑えるために、走行地域をメッシュに分割しそのメッシュ内に含まれる測定点での空間線量率値を平均してメッシュの代表値として表した。放射性セシウムが地表面へ沈着して線源となっている場合、半径60 m の範囲からやってくるガンマ線の寄与が地上1m 高さの空間線量率の約90%を占めることを考慮し、100m メッシュで測定対象地域を区切りその中の平均値を測定結果とすることとした。」  つまり、0.2マイクロシーベルト/時以下はすべて、100mメッシュ内の平均値を表示しているに過ぎないのです。  ですから、0.4とか0.5マイクロシーベルト/時などを越える、本当に線量の高いところだけが青い線で表示されるだけとなっています。  国でも0.23マイクロシーベルト/時を越える場所は年間被ばく1ミリシーベルトを越えるとして、「汚染状況重点調査地域」として除染の対象としてきました。この0.23マイクロシーベルト/時を越える場所が緑色の線で表現されてしまう、今回の東京新聞のこの記事は読者に誤解を与えるものだと思います。  撤回と加筆修正記事の掲載を求めたいと思います。  そして、この2013年3月1日に日本原子力研究開発機構 福島技術本部が発表した調査報告書にはもっと大事な報告が載っていました。福島県内の河川のセシウム137の濃度の変化です。これまで福島県内の自治体はせいぜい10ベクレル/kgまでしか、セシウム137の濃度を測らず、すべて不検出(ND)として公表してきました。これはでたらめです。この調査報告書には2011年6月、8月、12月だけですが、河川水中のセシウム137濃度の推移が出ています。    福島県福島市渡利河岸町 1.5ベクレル/kg→0.94ベクレル/kg→0.33ベクレル/kg  川俣 0.41ベクレル/kg→0.26ベクレル/kg→0.29ベクレル/kg  南相馬原町 1.1ベクレル/kg→0.6ベクレル/kg→0.18ベクレル/kg  など。少なくとも2011年3月12日以降の河川水を飲んではいけなかったのではないですか。そして、ストロンチウム90は入っていなかったのですか。そして、現在のデータをなぜ、今、公表しないのですか。  日本原子力研究開発機構 福島技術本部は住民の命のためにも上記内容を公表すべきです。  そして、東京新聞はこの隠された河川水のデータこそ記事にするべきだと思います。

埼玉県春日部市の放射能汚染マップ 土壌・路傍の土・障子紙  

 放射能から子どもを守る会・春日部が調査した土壌・路傍の土、家庭の障子紙の放射性物質濃度検査結果をマップにしました。  小学校や中学校、公園の土壌がどれくらい放射能汚染されているか。その誇りや土がどれくらい家庭に持ち込まれているかを判断することができます。  アーニー・ガンダーセン氏が2012年9月、東京で講演した際、屋内の放射能汚染が危険と話していました。家の中の放射能汚染を止めるために → 放射性物質は一番靴底についてくる。→ 玄関先で濡れた布でふき取るのが効果的。乾いた布だと放射性物質が舞い散るのでだめ。靴ひももこまめに洗う。掃除機のちりから高濃度の放射性物質が検出。→ HEPAフィルター付きの掃除機を使うべきと提言していました。  みなさんの町でも、どのような放射能汚染の実態になっているかマップにしてみませんか?放射能汚染マップができましたら、事務局までご連絡下さい。 土壌の放射性物質濃度検査、障子紙などの検査はさいたまラボへ。食品の検査もやっています。 さいたまラボ http://saitamalabo.web.fc2.com        

毎日新聞 福島原発の汚染水 東電、海へ放出検討 新浄化装置 導入機に トリチウム除去できず 2013年3月6日朝刊

 毎日新聞が非常に素晴らしい報道をしました。2013年3月6日朝刊 『福島原発の汚染水 東電、海へ放出検討 新浄化装置 導入機に トリチウム除去できず』  東京第一原発の敷地内にある汚染水2013年3月1日時点で36万m3。内訳は1~4号機の原子炉建屋内に8万m3、他の建屋内に4万m3、貯蔵タンクに24万m3。貯蔵タンクの24万m3は、ドラム缶118万本分に相当。   建屋地下には2013年3月1日現在もなお、1日400m3の地下水が流れ込んでいるという。東電は2015年9月までに、貯蔵タンクを増設。合計70万m3にする予定だが、このまま汚染水が増え続ければ2年で貯蔵タンクが満杯になるという。  東電は、この汚染水が62種類の放射性核種を取り除くことができる新浄化装置(多核種除去設備ALPS、アルプス)を導入し、汚染水から放射性物質を取り除き、その後、海へ放出することを検討しているという。しかし、唯一、トリチウムだけはこのアルプスでも除去できないと東電も認めている。トリチウムは水となって存在するため取り除くことが不可能。  汚染水中のトリチウムの濃度は1cm3あたり約1300ベクレル。通常の単位では1Lあたりですから、この汚染水のトリチウム濃度は130万ベクレル/Lです。  東電は2013年2月中にアルプスの稼働を開始すれば、2019年中にすべての汚染水を処理できると明言。(共同通信 2013年2月12日)政府にアルプスの試運転とトリチウム汚染水の海洋放出の許可を求めています。

読売新聞 帰還阻む「1ミリ・シーベルト」 2013年3月3日

 読売新聞が、福島県の除染は1ミリ・シーベルトを目標にするのを止めるべきだ、という主張を2013年3月3日の1面の記事、社説で展開しています。1ミリ・シーベルトを実現するのが無理だから住民を避難させよ、ではなく、除染基準を引き上げて安全、安全を信じ込ませて、福島県民を帰還させるキャンペーンを始めています。 以下、1面記事から ☆☆ 帰還阻む「1ミリ・シーベルト」 要約 ☆☆  福島県知事「1ミリ・シーベルトを目指しているが、達成に苦慮している。達成できる数値を示してほしい」。2月17日の国との意見交換会で、除染で目指す放射線量の安全基準について国にこう求めた。 国はそもそも、国際放射線防護委員会(ICRP)の基準に照らし、年間積算線量20ミリ・シーベルト未満なら帰還できるとしている。当時の民主党政権の細野環境相が繰り替し強調したことで、除染の事実上の目標値になった。←これは細野元環境相がツィッター上で否定。福島県側からの要望に応えただけ。読売新聞の取材も受けていない、と抗議。  中川恵一 東大医学部付属病院放射線科 准教授「1ミリ・シーベルトは混乱期に打ち出された実現困難な数値目標で、努力目標ではあっても、健康被害の有無を示す基準ではない」。「放射線でがんになって死亡する確率は100ミリ・シーベルトに達すると、わずかに上昇するとされる。科学的な知見を踏まえれば、まずは大人で10ミリ・シーベルト、子どもは5ミリ・シーベルトを目指すべきだ」。 住民帰還に向け目標数値を見直す時に来ている。 ☆☆ 読売新聞 社説『被曝健康評価 不安を和らげる対策が重要だ』 ☆☆  東京電力福島第一原子力発電所事故による被曝ばくで健康影響が出る恐れは極めて小さいだろう。 この事故の健康リスクは低い、と評価した報告書を世界保健機関(WHO)が公表した。「一般住民のがん発生数が平時より増えることはないだろう」とも述べている。 これまでの国内外の調査とも合致する評価結果と言えよう。被災者の不安軽減につなげたい。 WHOは、福島県などの放射線測定データなどから住民の被曝線量を推計し、これに基づいて、健康リスクを算出した。 留意すべきは、WHOが「過小評価にならないようにした」という点だ。例えば避難区域の住民が事故後4か月間、避難せずに汚染された物を食べ続けた、と実際はあり得ない条件を想定した。事実上、過大な評価となっている。 政府などの調査では、ほとんどの住民の被曝線量は10ミリ・シーベルト以下と推計している。胸の精密放射線診断1回で浴びる程度の量だ。WHOの値はその約5倍になる。 このため、健康リスクは一部地域で平時より高く表れている。 避難区域に含まれる福島県浪江町では、1歳女児が16歳までに甲状腺がんを発症する確率が、平時の0・0040%から、約9倍の0・0365%になった。 それでも、対象年齢の女児が100人とすると、事故後の患者数は1人に満たない計算である。 一般に日本人の2人に1人はがんになる。最大の原因は喫煙や食生活だ。被曝の影響はデータとしては検出できないほど小さい。 政府は「リスクが高くなる」という評価が独り歩きせぬよう情報提供に努めるべきだ。加えてWHOが、住民の不安を重視して「精神的、社会的な配慮が必要」と強調したことにも対応すべきだ。 特に、被曝した可能性がある人たちの健康調査は重要だろう。 福島県などが取り組んでいる住民の健康調査は、思うように進んでいない。前提となる個人の被曝線量は、対象となる住民の約2割しか把握できていない。 原子力規制委員会は近く、政府の支援を強化して、健康調査を加速するよう求める方針だ。支援の体制作りを急がねばならない。 不安軽減には、除染目標値の年間「1ミリ・シーベルト以下」の見直しも必要だ。危険と安全の境界が「1ミリ・シーベルト」と受け止められている。 福島県も避難住民の帰還の障害になっているとして、政府に新たな目標設定を求めている。政府は早急に検討を始めるべきだ。

どれくらいのトリチウムが水道水に含まれているか?2009年度

 岐阜県土岐市にある、核融合科学研究所が2015年にも核融合発電(トリチウム核融合発電)実験開始するという。2013年3月までに、岐阜県、土岐市、多治見市、瑞浪市の1県、3市と同時協定を結ぶ予定。すでに、2012年度予算 440億円(1989年以降 施設の建設費、運営費 計1521億円が支出された)、2013年度予算274億円が執行されている。 多治見市長に核融合科学研究所「重水素実験」を認めないよう求める署名  年間1000回核融合実験を行う回数は年間1000回。1回 3秒間。1回の実験で作られるトリチウムは1億ベクレル。生成されたトリチウムは、90%くらいは捕集できる。残りは環境中に出てしまう。放出されてしまうトリチウムは年間最大5500億ベクレル、と岐阜県は回答。  東京第一原発事故後の、福島県の水道水中のトリチウム濃度を、政府の原子力災害現地対策本部と福島県が2012年5月21日に発表しています。 河川水等の放射線モニタリング(トリチウム)調査結果について  川根が0.80ベクレル/Lを超える地点の地名を赤字で地図上に記載しました。  大気圏内核実験のトリチウム濃度のデータとしては、阪大の菊地正士教授が1953年に測定した、神戸市の雨水 0.777ベクレル/L(6.5±0.4TU=約21pCi/l)があります。0.8前後は大気圏内核実験以前から雨として降ってきていると判断すべきです。  政府、福島県は、先の報告で「平成14年度に実施したトリチウム調査結果と比較し、測定値が変動した地点が認められたものの、平常時の全国データの範囲内であった」、だから大丈夫と説明しています。  果たして、平常時のデータとはいかなるものか?2009年度の水道水中のトリチウム(H-3)濃度のデータを「環境放射線データベース」から取り、整理しました。原子力施設周辺の水道水中のトリチウムの濃度です。明らかに原発周辺では普段からトリチウムが漏れており、それが水道水中にも入ってきていることがうかがわれます。  福井県の水道水の多くから0.9~1.3ベクレル/Lもトリチウムが検出されており、大飯、高浜、美浜の原発からは大量に出ていたのではないでしょうか。京都府の舞鶴市朝来川(あせくがわ)の水道水が1.7ベクレル/Lもトリチウムが出ているのに驚かされます。美浜、大飯、高浜から西へ雨雲が流れた先に舞鶴市があります。一方、青森県六ケ所周辺からほとんど出ていないのは相次ぐ事故続きで核燃料の再処理が行われていないためであると考えられます。再処理が開始されれば、青森県六ケ所周辺の水道水からは1.0ベクレル/Lを越えるトリチウムが検出されるようになるのではないでしょうか? 参考:トリチウムの環境動態 坂上正信    

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