内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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内部被ばくと健康被害

原爆症認定について 厚生労働省HPより転載

原爆症認定(1)認定制度について被爆者は、原子爆弾による放射線が原因となって起こった病気やけがについて、医療をうける必要があるときは、全額国の負担で医療の給付がうけられますが、そのためには、その病気やけがが、原子爆弾の傷害作用によるものであり、現に治療を要する状態にあるという厚生労働大臣の認定(病気やけがが放射線以外の傷害作用によるものである場合には、その人の治ゆ能力が放射線の影響をうけているということについての認定)をうけなければなりません。  ※原爆症認定は、「被爆者であることの認定」(被爆者健康手帳の交付)とは別のものです。 (2)認定を受けることによって何が変わるのか。[1]その病気の医療にかかる費用の全額を国が負担します。                     ※被爆者の方はすでに保険給付以外の自己負担分の医療費を現物給付されているため、認定の前後において自己負担がないことには変わりがありません。 [2]その病気について、「現に医療を要する状態」が続く期間に「医療特別手当」(136,480円)を受給することができます。その病気が治った後には「特別手当」(50,400円)を受給することができます。           (3)認定の対象について認定申請については、疾病・傷害ごとに申請することができ、疾病・傷害ごとに認定または却下されます。つまり「人」に対する認定ではなく、「病気」に対する認定であるため、Aという病気で却下されたとしても、その後Bという病気になって申請すれば認定される可能性もあります。また、同じAという病気であっても、治癒しているという理由で一度却下になったあと、再発などにより病状が悪化し、治療状況が変化した場合には、再度申請すると認定となる可能性もあります。 申請が却下になっても、「病気」についての却下であって、「被爆者であること」を否定するものではないため、引き続き健康診断及び医療にかかる費用は無料であり、医療特別手当以外の被爆者援護サービスの多くを受けることができます。 (4)認定審査について申請される疾病のほとんどは、がん、白内障など、被爆者以外の方も発症・罹患するような疾病であり、特に被爆者の平均年齢が75歳を超えた現在では、生活習慣や加齢による発症であるのか、60年以上前に浴びた放射線に起因する発症なのかの判断が難しく、審査にあたっては、高度の医学・放射線学上の知識が必要になります。 このため、医学・放射線学の第一線の学者から成る合議制の審査会(疾病・障害認定審査会原子爆弾被爆者医療分科会)の意見を聴いて、審査が行われています。 現在、実際に広島、長崎において被爆者医療に従事している医師、各疾病分野の専門家である医師、放射線医学の専門家及び法律家等33名で構成される審査会により「新しい審査の方針」に基づき審査が行われています。 新しい審査の方針平成20年3月17日平成21年6月22日改疾病・障害認定審査会原子爆弾被爆者医療分科会 疾病・障害認定審査会運営規程(平成13年2月2日疾病・障害認定審査会決定)第9条の規定に基づき、原爆症認定に関する審査の方針を次のように定める。 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号)第11条第1項の認定に係る審査に当たっては、被爆者援護法の精神に則り、より被爆者救済の立場に立ち、原因確率を改め、被爆の実態に一層即したものとするため、以下に定める方針を目安として、これを行うものとする。 第1 放射線起因性の判断1 積極的に認定する範囲(1) 被爆地点が爆心地より約3.5km以内である者 (2) 原爆投下より約100時間以内に爆心地から約2km以内に入市した者 (3) 原爆投下より約100時間経過後から、原爆投下より約2週間以内の期間に、爆心地から約2km以内の地点に1週間程度以上滞在した者 から、放射線起因性が推認される以下の疾病についての申請がある場合については、格段に反対すべき事由がない限り、当該申請疾病と被曝した放射線との関係を積極的に認定するものとする。 (1)悪性腫瘍(固形がんなど) (2)白血病 (3)副甲状腺機能亢進症 (4)放射線白内障(加齢性白内障を除く) (5)放射線起因性が認められる心筋梗塞 (6)放射線起因性が認められる甲状腺機能低下症 (7)放射線起因性が認められる慢性肝炎・肝硬変 この場合、認定の判断に当たっては、積極的に認定を行うため、申請者から可能な限り客観的な資料を求めることとするが、客観的な資料が無い場合にも、申請書の記載内容の整合性やこれまでの認定例を参考にしつつ判断する。 2 1に該当する場合以外の申請について1に該当する場合以外の申請についても、申請者に係る被曝線量、既往歴、環境因子、生活歴等を総合的に勘案して、個別にその起因性を総合的に判断するものとする。 第2 要医療性の判断要医療性については、当該疾病等の状況に基づき、個別に判断するものとする。 第3 方針の見直しこの方針は、新しい科学的知見の集積等の状況を踏まえて随時必要な見直しを行うものとする。  (5)認定審査の状況 申請件数の推移 [23KB] 分科会等において認定・却下が確定した件数の推移 [23KB] 審査待機件数の推移 [25KB] 処分状況について 待機状況について (参考:原子爆弾被爆者医療分科会へリンク)

ヨウ素131を呼吸器で吸うことによる、小児甲状腺がんのリスク

 2013年8月20日第12回福島県県民健康管理調査検討委員会は、福島県の小児甲状腺がんの患者が6人増え、18名になり、25人が疑いがある、と発表しました。   県民健康管理調査検討委員会は「いずれも生存率の高い甲状腺乳頭がんである」と発表、と報道しています。しかし、ベラルーシの例では子どもの甲状腺がんは非常に転移が早い場合があり、1991年頃に15名の子どもが命を失っています。  川根が書いた『ベラルーシ・プロジェクト報告』でも紹介したように、ベラルーシでチェルノブイリ事故以前に見られた小児甲状腺がんはすべて髄様がん(ずいよう)であり、チェルノブイリ事故以降、ベラルーシで爆発的に増えたのが甲状腺乳頭がんです。ベラルーシの医師は甲状腺乳頭がんは「放射性物質誘導がん」である、と説明してくれました。 •ベラルーシで多発しているのは「乳頭がん」です。 •乳頭がんが820件、92% •髄様がんが17件、1.9% •濾胞がんが17件、1.9% •未分化がんなどその他36件、4%で ー2008年の統計より    福島の子どもたちの小児甲状腺がんがすべて甲状腺乳頭がんであるならば、原発事故による放射性物質を体内に摂取したことによって引き起こされたと考えなくてはいけません。  そして、甲状腺エコー検査で結節やのう胞が見つかった場合、悪性かどうかの判断は穿刺細胞診(せんしさいぼうしん)という、甲状腺にできた結節やのう胞に直接、注射針を差し込み、患部の細胞を採って顕微鏡で見て診断を確定します。  ある意味、穿刺細胞診(せんしさいぼうしん)をするということは甲状腺がんである可能性がかなり高いということです。  福島県はB判定やC判定の市町村別の人数を発表しています。これを見ると、リスクの高いB判定やC判定の子どもたちや、甲状腺がんおよび疑いと診断された子どもたちは原発に近い20km圏内および計画的避難準備区域だけではなく、原発から60kmも離れた福島市や郡山市の子どもたちも多いのです。原発からの距離ではなく、2011年3月、4月、5月などにヨウ素131などの放射能プルームを呼吸で吸ったことによる初期被ばくが決定的であったと思います。  7月31日段階でのB判定、C判定の人数はすでに1280名にも上り、二次検査後、穿刺細胞診(せんしさいぼうしん)を受けたのは203名にものぼりました。年内に50名を超える小児甲状腺がんの子どもたちが出る危険性も否定できません。 2013年6月5日に発表された第11回福島県県民健康管理調査検討委員会の発表も掲載します。  2013年11月8日、福島県および福島県立医科大学は、小児甲状腺超音波検査の二次結果集計に誤りがあったことを認め、訂正を出しました。第12回の県民健康管理調査検討委員会(2013年8月20日公表)に至っては、なんと71ヶ所に及ぶ訂正があります。  福島県および福島県立医科大学は、これは資料作成時の「数値の誤集計(計上漏れや誤計上)」、「データを分類する際の担当者の誤解等による誤り」が原因であるといいます。  特に大きな訂正は福島市の穿刺細胞診をした子どもの人数が2013年8月20日発表では67人だったのが、2013年11月8日では77人と10人も増えています。同様に西郷村の穿刺細胞診を受けた人数が1人から0人になっています。2013年8月20日発表の段階で、西郷村ではこの小児甲状腺がんおよび疑いが1人発見されています。この子どもの穿刺細胞診を行なわずに小児甲状腺がん疑いの判断をするいうことはありうるのでしょうか?  県民健康管理調査検討委員会の統計自身の信頼性に疑問が残ります。  そして、福島県原子力災害現地対策本部が発表した、2011年4月5日および6日時点での福島県小学校等の校庭に沈着したヨウ素131(ベクレル/m2)と空気1m3中のヨウ素131の量(ベクレル/m3)です。このような場所に、福島県の子どもたちや住民を住まわせていた、日本政府と福島県の責任は重大だと考えます。  福島県、宮城県、茨城県を始め、高い放射能プルームが襲った地域で、子どもも大人も甲状腺がんを発症する危険性があります。そのリスクを少しでも避けるために、子ども、妊婦、乳幼児を持つ親を始め、高放射能汚染地帯から、一刻も早く住民を避難させることを訴えます。   この赤や黄色で色塗られた、大地がヨウ素131で37万ベクレル/m2以上汚染された地域は、以下のベラルーシの黄色の地域に相当します。そこでの1990-2000年までベラルーシ全土で956名の小児甲状腺がんの患者が発症していますが、その行政区ごとの発症人数がその下の図です。明らかにヨウ素131の土壌沈着量が多かったところでの発症数が多いです。ゴメリの1つの地区では実に152名の小児甲状腺がんの子どもが出ています。                          そして、全国で子どもを始め、大人も甲状腺エコー検査、心電図検査、血液検査を無償で実施すべきです。甲状腺エコー検査についてはベラルーシの例に学び、移動式超音波検診車を早急に準備し、稼働させるべきです。  以下は原発事故当時2011年4月5日や4月6日に福島県の小学校の校庭にどれくらいのヨウ素131があり、また、校庭の空気の中のちりにどれくらいのヨウ素131があったかを示す資料です。このような場所はただちに学校閉鎖し、子どもたちを安全な場所に避難させるべきでした。それを文科省は科学的な根拠もなく、国際放射線防護委員会(ICRP)が言っているからと20ミリシーベルトまでは安全と、空間線量だけで判断し、3.8マイクロシーベルト/時でも8時間を超えなければ安全と屋外活動をさせたのでした。  政府も福島県も各自治体も子どもたちの今後一生に渡る健康被害の責任を負う必要があります。 <福島県の小学校校庭のヨウ素131 土壌ベクレル/kgと土地ベクレル/m2> 川俣町立山木屋小学校 校庭 ヨウ素131 299,444ベクレル/kg→195万ベクレル/m2南相馬市立原町第一小学校 校庭 ヨウ素131 20400ベクレル/kg※→133万ベクレル/m2福島市立第一小学校 校庭 ヨウ素131 8193ベクレル/kg→53.3万ベクレル/m2二本松市立岳下小学校 校庭 ヨウ素131 6126ベクレル/kg→40.4万ベクレル/m2伊達市立保原小学校 校庭 ヨウ素131 5653ベクレル/kg→36.7万ベクレル/m2 ここまでは先のベラルーシのヨウ素131の汚染マップで黄色のレベルに相当します。 郡山市立金透小学校 校庭 ヨウ素131 3096ベクレル/kg→20.1万ベクレル/m2 <空気1m3中のダスト(ちり)中のヨウ素131>  小数点と欧米の記数法の三桁ごとのカンマとを見間違えていました。お詫びして訂正します。ただし、2011年4月5日や4月6日の時点で、空気中にヨウ素131が4ベクレル/m3や8ベクレル/m3あったということは異常な数値であることにはかわりはありません。2011年3月12日~3月15日、16日、3月20日前後の時点で、数千ベクレル/m3のプルームに襲われた地点あるが予想されます。初期被ばくをした子どもたちを直ちに汚染地帯から避難させるべきであると考えます。                           2016年2月5日訂正 川根 眞也 川俣町立山木屋小学校 校庭    ヨウ素131 空気 ND ベクレル/m3 地表面湿潤南相馬市立原町第一小学校 校庭 ヨウ素131 空気 8.796ベクレル/m3福島市立第一小学校 校庭    ヨウ素131 空気 1.044ベクレル/m3二本松市立岳下小学校 校庭    ヨウ素131 空気 2.941ベクレル/m3伊達市立保原小学校 校庭    ヨウ素131 空気 ND ベクレル/m3  理由不明郡山市立金透小学校 校庭    ヨウ素131 空気 1.977ベクレル/m3田村市立船引小学校 校庭    ヨウ素131 空気 1.394ベクレル/m3南相馬市立原町第一小学校 校庭 ヨウ素131 空気 8.796ベクレル/m3浪江町立津島小学校 校庭    ヨウ素131 空気 2.610ベクレル/m3いわき市立平第一小学校 校庭  ヨウ素131 空気 4.041ベクレル/m3いわき市立勿来第一小学校 校庭 ヨウ素131 空気 4.713ベクレル/m3いわき市立四倉小学校 校庭   ヨウ素131 空気 4.664ベクレル/m3  <以下、赤字を削除します。2016年2月5日削除>  1m3中の空気に1000ベクレルを超えるヨウ素131がありました。これを吸って、甲状腺に放射性ヨウ素131がたまらないはずはないです。(削除)小児甲状腺がんのリスクが高まったのは2011年3月15日以降6月上旬まで原発からさかんにヨウ素131が出ていた時期に学校を行っていたことがもっとも問題です。  政府と文部科学省の責任は非常に重いです。  以下、「福島県内の学校等の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方 に対する技術的助言を検討する際の打ち合わせに用いた資料について」(原子力安全委員会事務局 2011年4月18日p.22 および p.23)より。 上:福島県小学校等環境放射線土壌・ダストモニタリング時実施結果(土壌)  下:福島県小学校等環境放射線土壌・ダストモニタリング時実施結果(大気浮遊塵) <追記 2016年2月5日 川根 眞也>  文部科学省は2011年9月12日公表した、「文部科学省によるダストサンプリングの測定結果[Readings of dust sampling by MEXT]」の中で、2011年3月18日~4月26日の福島県各地の空気中のヨウ素131、セシウム134、セシウム137の濃度(ベクレル/m3)を発表しています。問題なのは、原発が爆発した2011年3月12日、14日、15日のデータが公表されていないことです。また、爆発直前にベントを行っていたり、格納容器や圧力抑制室が破損して放射性物質が放出されたりした時期のデータが公表されていません。文科省は2011年3月11日から17日までのデータを公表すべきです。  2011年3月20日以降のデータです。東京電力の社内基準によれば、200ベクレル/m3の放射性物質がある場合、全面マスクを着用することになっています。赤字が200ベクレル/m3を超える放射性物質があった地区です。ここでは、事故当時、全面マスクを着用する必要がありました。国と東京電力の責任は重大です。 <参考>東電の全面マスク着用の社内基準 pp.3 全面マスク着用基準(粒子状) 2E-4Bq/cm3 …200Bq/m3ということ(編集者:注)法令に定める放射線業務従事者の呼吸するダスト濃度限度(Cs-134)の1/10で設定) 出典:全面マスク着用を不要とするエリアの拡大に関する検討状況について 東京電力 20150207 文部科学省によるダストサンプリングの測定結果 2012年9月12日公表 【出典】文部科学省によるダストサンプリングの測定結果 2011年3月20日~5月31日 20120912 2011年3月20日の大気 福島県葛尾村上野川 ヨウ素131 4800ベクレル/m3(14:13~14:33) 福島県浪江町津島    ヨウ素131 1000ベクレル/m3(14:15~14:35) 福島県福島市方木田   ヨウ素131  203ベクレル/m3(18:30~18:50) 福島県飯舘村伊伊丹沢  ヨウ素131  270ベクレル/m3(13:20~13:40) 福島県田村市常葉町山根 ヨウ素131 900ベクレル/m3(14:13~14:30) 福島県田村市船引町船引 ヨウ素131  33.7ベクレル/m3(12:40~13:00) 福島県田村市小野町小野新町 ヨウ素131  24.0ベクレル/m3(13:57~14:17)   2011年3月21日の大気 福島県広野町下北迫     ヨウ素131 5800ベクレル/m3(13:00~13:40)                 3700ベクレル/m3(13:50~14:32) 福島県いわき市平    ヨウ素131 28.9ベクレル/m3(15:00~15:20)   2011年3月22日 福島県広野町下北迫     ヨウ素131 1100ベクレル/m3(14:55~15:34)                   570ベクレル/m3(15:50~16:30) 福島県いわき市平    ヨウ素131 17.0ベクレル/m3(14:00~14:20)   2011年3月23日 福島県広野町下北迫     ヨウ素131  530ベクレル/m3(13:15~13:58)                      180ベクレル/m3(14:30~15:10)                      110ベクレル/m3(15:20~15:59)  2011年3月24日 福島県南相馬市原町区高見町 ヨウ素131  193ベクレル/m3(14:55~15:15)   2011年3月25日 福島県川俣町山木屋    ヨウ素131 555ベクレル/m3(15:02~15:22) 福島県飯舘村長泥     ヨウ素131 440ベクレル/m3(13:28~13:50)                     330ベクレル/m3(14:28~14:50) 福島県田村市船引町船引 ヨウ素131  37.0ベクレル/m3(13:33~13:53)                    290ベクレル/m3(15:28~15:49) 福島県いわき市平    ヨウ素131 40.6ベクレル/m3(14:00~14:20) 福島県伊達市月舘町   ヨウ素131  34.0ベクレル/m3(16:13~16:33) 福島県新地町      ヨウ素131  33.6ベクレル/m3(16:25~16:45) 2011年3月29日 福島県南相馬市原町区高見町 ヨウ素131  63.4ベクレル/m3(13:30~13:50)   2011年3月30日 福島県川俣町山木屋    ヨウ素131 180ベクレル/m3(15:11~15:32)   2011年4月2日 福島県いわき市平    ヨウ素131 47.3ベクレル/m3(12:02~12:22)   2011年4月7日 福島県南相馬市原町区高見町 ヨウ素131  35.9ベクレル/m3(12:46~13:06)                                              

FB震災のあとさん 2013.3.20 福島県飯舘村 「大変なことが起こっているよ」 

【細川さんから皆さんへのお願い】  細川さんは、これまで人に迷惑がかかるからと馬の異常をほとんど他言してきませんでした。ですが、異常がエスカレートしていくなか、お彼岸が過ぎたことを機会に公表することにしたそうです。  ご本人の希望により、細川さんの置かれている状況、名前、住所、電話番号を公表いたします。関心のある方は連絡下さい、とのことです。  特に獣医畜産の関係者や放射能関係の専門家はぜひ細川牧場を訪れて、本格的な調査を検討していただけませんか。細川さんからのお願いです。 細川牧場 細川徳栄さん 福島県相馬群飯舘村臼石字町123-1 090-9742-3141 FB「震災のあと」さん 2013.3.20 福島県飯舘村 「大変なことが起こっているよ」   更新情報はこちらから 震災のあとAFTER 3.11    山津見神社の鳥居から険しい参道を750mほど登ると本殿があり、豊かな自然に恵まれた美しい飯舘村が一望できました。とあるTV番組が発端で山津見神社が放射線を食い止めたという噂がたったのですが、神社の方にうかがうとまったくのガセネタ。「あー、それですか」と一笑に付されてしまいました。村を神社が守ってくれたなどという美談にでもしたかったのかもしれません。 あいにくの曇り空でしたが、映画にでも出てきそうな美しい村に震災以前は6000人の人が暮らしていたそうです。しかし、今は数えるほど。放射能の影響で全村避難を強いられていますが、この村にたった1人牧場に残り馬の世話を続けている人がいました。細川徳栄さん、飯舘村で3代続く家畜商の方です。  細川さんは会うなり「この国は狂ってる。大変なことが起こってるよ」と切り出すと、挨拶も早々に牧場へと案内してくれました。この数週間で馬がバタバタと倒れはじめたんだそうです。牧場には32頭の馬がいましたが、そのうちの4頭はヨロヨロと腰が立たない状態で、一番症状がヒドい白いミニチュアホースは毛並みもボロボロ。同行した獣医さんの診察では目に黄疸症状が出ていて、原因は不明ですが肝臓をやられているようでした。何より膝がガクガクと崩れることを不思議がっていました。細川さんは「こいつはもう今月もたないと思うんだ。かわいそうに」と言いながら横たわる馬を撫でていました。牧場の脇を野生の猪が突っ切っていきました。 今年に入って15頭の馬が生まれたものの、14頭は1週間から1ヶ月足らずで亡くなったそうです。「小さい頃から馬と暮らしてきたけれど、こんなことは初めてだ。異常だよ。それもこれも放射能だと思うんだ」と細川さんは放射能の影響を強調していました。もちろん科学的な根拠はありません。長年、馬と触れ合ってきた感覚なんだと思います。 これまで避難区域で亡くなっていった牛たちのことは報道でも伝えられていましたが、その多くは餌を与える人がいなくなったことでの栄養失調が原因でした。この牧場の馬たちは十分ではないでしょうが餌は与えられています。症状が出ていない馬たちは決してやせ細ってもなく、食欲もあるように見えました。後日、保健所にお願いし血液検査を行ったところ、結果は伝染病でも栄養失調でもないことは断定されました。ですが、放射能の影響が懸念される白血病という判断もでませんでした。もっと詳しい検査をしないと衰弱の原因はわからないそうです。 先日、飯舘村を含めた福島原発周辺で動植物の異常が相次いでいるという4人の研修者の調査結果が東京大学で報告されました。ですが、子どもが甲状腺癌になっても放射能の影響はないとする現在の基準では、馬の異変を放射能の影響と断定するのは難しいでしょう。仮にそうでも影響があるから避難地域なのだと言ってしまえばそれまでです。でも、生き物が異常な状態で亡くなれば話の次元は変わると思います。この馬たちにいったい何が起こっているのか。  細川さんは牧場を経営しながら、「花塚ボランテイア活動」の会長を務め、これまでさまざまな機会に馬を提供してきました。東京の神田明神、相馬野馬追など数多くの有名な神事イベントや、水戸黄門、暴れん坊将軍、大河ドラマなどにも主人公を乗せた細川さんの馬が登場しています。各地の小学校や盲人施設でのホースセラピーにも積極的に貢献してきました。 震災後、一度は避難したものの家族同然の馬や牛たちを見捨てられず、奥さんと娘さんを残してすぐに村に戻ったそうです。家畜商の仲間たちに頼まれて、自分の牧場以外の牛や馬までトラックで助けにいき、以来、まさにたった1人で戦い続けています。馬たちを他の地域に避難させたいと村や東電に訴えて来ましたが、受け入れ先がないと断られ仕方なく村に1人残り世話を続け、それどころかこれまで自ら全国の伝手をたどって、なんとか引き取ってもらった87頭の補償に対する賠償請求も「飼育していた証拠がない」と東電から突っぱねられている。 「本当はもう限界だよ。だけど、今まで先祖代々自分たちを助けてくれた馬たちを置いていけない。処分なんてできるわけもない。俺は馬と一緒にここで死んだっていいんだ」細川さんは、周りの説得も無視して健康診断もホールボディカウンターの検査も拒否しています。細川さんにとって、その結果がどうあれ、今やるべきことは馬への恩返ししかないのだと思います。  牧場には1ヶ月ほど前に亡くなった馬の亡骸が、鳥や狐などに食べられ骨と皮だけになったまま放置されていました。「違法なんだけど馬が死んでいった証拠を東電に見てもらうために残しているんだ。本当は埋葬したいんだけどね」 特に症状の重かった白いミニチュアホースは細川さんが言っていた通り、一週間後の3月末に亡くなりました。亡くなるとすぐにカラスが目玉をくり抜いていったそうです。僕らは鬼気迫る細川さんにただただ圧倒され、想像以上にシリアスな状況を前に呆然としてしまいました。けれど何かが押し迫っていることは確かだとは思いました。 「この国は狂ってる。この先も大変なことが起こるよ」細川さんは、誰に言うともなく、そう何度も何度もつぶやいていました。 4月1日。山津見神社が全焼しました。住宅部分から女性の遺体が見つかったそうです。 文:小林通孝/写真:中村治 【細川さんから皆さんへのお願い】細川さんは、これまで人に迷惑がかかるからと馬の異常をほとんど他言してきませんでした。ですが、異常がエスカレートしていくなか、お彼岸が過ぎたことを機会に公表することにしたそうです。ご本人の希望により、細川さんの置かれている状況、名前、住所、電話番号を公表いたします。関心のある方は連絡下さい、とのことです。特に獣医畜産の関係者や放射能関係の専門家はぜひ細川牧場を訪れて、本格的な調査を検討していただけませんか。細川さんからのお願いです。 細川牧場 細川徳栄さん福島県相馬群飯舘村臼石字町123-1090-9742-3141 英語版はこちらをご覧ください(World Newtwork For Saving Children From Radiation)http://www.save-children-from-radiation.org/2013/05/05/something-serious-is-going-on-horse-ranch-owner-worries-alarming-conditions-of-horses-in-iitate-fukushima/ 細川徳栄(家畜商・60歳) 1ヶ月ほど前に亡くなった馬の亡骸。鳥や狐、野犬に食べられ骨と皮だけになっていた。 ほとんど歩くこともできなくなっていた白いミニチュアホース。 横たわる馬に寄り添う細川さん。この馬は1週間後に亡くなった。 山津見神社本殿からは美しい飯舘村が一望できる。                

文科省 ストロンチウム90土壌汚染マップ ベクレル/m2 2012年9月20日

 文科省がストロンチウム89、90について、第1次土壌調査 100か所、第2次土壌調査 60か所を行った。  しかし、この第2次土壌調査 60か所は、セシウム137の蓄積量が多かった地域に限定されている。セシウム137とストロンチウム90とは環境中でまったく別の振る舞いをするのであり、日本全域についてストロンチウム90の土壌調査を行うべきである。ストロンチウム90はガンマ線を出さず、ベータ線しか出さない。文科省の航空機モニタリング(ガンマ線のみで地表のヨウ素131、セシウム134、137濃度を分析)ではまったくわからなかった、ストロンチウム90の汚染地帯があるかもしれない。 ○土壌採取日:第1 期 2011年6 月6 日~6 月14 日、第2 期2011年6 月27 日~7 月8 日  第2次土壌調査では、「広範な地域における福島第一原発の事故由来のストロンチウム89、90 の拡散範囲を確認するため、東日本の空間線量率が高い地域を中心に新たに土壌を採取し、ストロンチウム89、90 の沈着量を測定する」とともに「第1 次分布状況調査においてセシウム137 に比べてストロンチウム89、90 の沈着量が大きいことが確認された調査箇所の周辺の調査箇所で第1 次分布状況調査時に採取された土壌試料を用いて、ストロンチウム89、90 の沈着量を測定」 ※ 第2次調査(1)福島第一原発から80 ㎞圏外の地域の調査箇所(50 箇所:50 試料)  第1 次分布状況調査で調査対象とした福島第一原発から80 ㎞圏内を除き、東日本全域における航空機モニタリングの測定結果(空間線量率)において、空間線量率が高い地域(0.2μSv/h 相当以上)で新たに土壌試料を採取※6 し、ストロンチウム89、90 の沈着量を測定した。なお、調査箇所の選定にあたっては、空間線量率が0.2μSv/h 以上の地域について5km メッシュに分割し、このメッシュの中から、地域に偏り無く、調査箇所(50 箇所:50 試料)を選定した。1 都9 県(福島県、茨城県、岩手県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、栃木県、宮城県、山梨県)の一部の地域で実施。天然核種の影響により空間線量率が高くなっている地域を除く。  (2)相馬市及びその周辺の調査箇所(10 箇所:13 試料)  第1 次分布状況調査では、相馬市で採取された土壌試料のうち1 箇所の試料において、セシウム137 に対するストロンチウム89、90 の沈着量の比率(以下、「Sr-89、Sr90/Cs-137」と言う。)が、他の箇所に比べて非常に大きいことが確認された。  そこで、今回の調査では、この箇所(以下「相馬市第1地点」という。)において第1次分布状況調査の際に採取した試料の残り4 試料を全て分析するとともに、この箇所の周辺9 箇所のそれぞれにおいて、第1 次分布状況調査の際に採取した土壌試料のうち、セシウム137 の沈着量が最も高い1 試料を選定し、ストロンチウム89 及び90 の分析を行った。 ○土壌採取日:2011 年12 月17 日~2012年2 月29 日 ○各調査箇所のストロンチウム89、90 の沈着量を調査における土壌採取期間(平成23 年12 月17 日~平成24 年2 [...]

子どもの健康被害 放射性セシウム1.1ベクレル/kgから 2013年5月26日お父さん授業

 2013年5月26日開催された、『お父さんのための真面目な放射能の授業 in  横浜鶴見』の講演スライドです。 子どもの健康被害は1.1ベクレル/kgから 20130526

東京第一原発からもう放射能は出ていないの? 2013年5月26日お父さん授業

 2013年5月26日開催された、『お父さんのための真面目な放射能の授業 in  横浜鶴見』の講演スライドです。  もう原発から放射能は出ていないの? 20130526

大滝げんきプラザ 放射能汚染調査 2013年4月22日、5月7日

大滝げんきプラザ放射能汚染調査 2013 栃本広場 ふるさと館   地上1m                         地上1cm           0.106マイクロシーベルト/時              0.122マイクロシーベルト/時   栃本広場 トイレ前芝生       地上1m                        地上1cm              0.129マイクロシーベルト/時              0.169マイクロシーベルト/時     ハイキングコース 歩道①   地上1m                       地上1cm   0.069マイクロシーベルト/時               0.131マイクロシーベルト/時     ハイキングコース 歩道②  地上1m                        地上1cm     0.113マイクロシーベルト/時               0.117マイクロシーベルト/時     ハイキングコース 歩道③     地上1m                        地上1cm      0.108マイクロシーベルト/時             0.149マイクロシーベルト/時     ハイキングコース 山の神    地上1m                        地上1cm        0.111マイクロシーベルト/時              0.154マイクロシーベルト/時     林道脇   地上1m                       地上1cm       0.112マイクロシーベルト/時               0.277マイクロシーベルト/時     げんきプラザ 屋外調理場      地上1m                       地上1cm      0.089マイクロシーベルト/時              0.104マイクロシーベルト/時            空間線量で0.13マイクロシーベルト/時あるということは、土壌に3.7万ベクレル/m2のセシウム137があるということ。3.7万ベクレル/m2は原子炉建屋内の放射線管理区域に相当する汚染度。18歳未満立ち入り禁止区域です。         これはハイキングコース 歩道①の土壌です。セシウム134、セシウム137合計で668ベクレル/kgあります。 土壌汚染(ベクレル/kg)から土地汚染(ベクレル/m2)への変換は65倍します。(原子力安全委員会 2011年5月7日 記者会見での回答)ここは43,420ベクレル/m2の土地汚染があることになります。放射線管理区域です。   この林道脇にいたっては、セシウム134、セシウム137合計で、317キロベクレル/kg、つまり3170ベクレル/kgあります。65倍すると20万6050ベクレル/m2です。チェルノブイリ事故の被害にあった、ロシア、ベラルーシ、ウクライナでは18.5万ベクレル/m2以上からは移住する権利が保障されています。住民が移住しなくてはいけないレベルの汚染があるところに、子どもたちがハイキングに行っていいのでしょうか?呼吸により、内部被ばくする危険性が非常に高い場所であると考えられます。 吸い込んだ放射性セシウムは放射線を発射しながら血管の中を流れるとどうなるでしょうか。血管の内側の壁が次々破壊されます。すると、血管壁の中からアテロームという粥状の脂肪が浸出し、これが心筋梗塞や脳梗塞の原因となると言われています。 放射性物質の再浮遊は土壌汚染濃度に比例します。吸入量は、土壌沈着密度×再浮遊係数×呼吸量で計算します。降下放射性物質が舞っているような状態なら、再浮遊係数は10E-6〜-4とされます。例えば、東京の土壌約5万Bq/m2、呼気量17.3m3/日で計算すると、約9Bq/日(×1/10〜10)です。つまり、5万ベクレル/m2の場所で1日呼吸すると、それだけで約9ベクレルの放射性セシウムを体内に取り込むことになるのです。大滝げんきプラザのハイキングコースは4万ベクレル/m2前後、林道脇は20万ベクレル/m2です。平均5万ベクレル/m2だとした場合、大滝げんきプラザで仮に5時間活動した場合は、1.85ベクレルの放射性セシウムを呼吸により体内に取り込むことになります。 すぐには影響は出ないかもしれません。しかし、成長期にある子どもたちが活動する場として相応しくありません。 ちなみに、40万ベクレル/m2以上の場合は原子力発電所の作業では全面マスクが必要となります。    

チェルノブイリ原発事故被災児の検診成績 I および Ⅱ および Ⅲ “チェルノブイリ笹川医療協力プロジェクト1991-1996”より 山下俊一*/柴田義貞*/星正治*/藤村欣吾*/ほか**

チェルノブイリ原発事故被災児の検診成績 I および Ⅱ および Ⅲ “チェルノブイリ笹川医療協力プロジェクト1991-1996”より 山下俊一*/柴田義貞*/星正治*/藤村欣吾*/ほか** pdf ↓ チェルノブイリ原発事故被災児の検診成績IⅡⅢ 山下俊一他 出典↓ チェルノブイリ原発事故被災児の検診成績 チェルノブイリ笹川医療協力プロジェクト1991-1996より 「放射線科学 第42巻第10号-12号(1999年9月-11月)掲載」 *Yamashita Shunichi, Shibata Yoshisada, Hoshi Masaharu, Fujimura Kingo/チェルノブイリ笹川医療協力委員会 **その他の同委員会専門家(専門家名簿は本文表1(9月号303頁)に掲載) 1. まえがき   チェルノブイリ笹川医療協力プロジェクトは、1986年4月に発生したチェルノブイリ原子力発電所(原発)の事故より5年後の1991年5月にウクライナ、ベラルーシ、ロシア連邦の3共和国で、事故による放射能汚染を受けた計5地域(ウクライナ2地域、ベラルーシ2地域、ロシア連邦1地域)をセンターとして事故当時の児童を対象に検診活動を開始し、1996年4月に当初の5か年計画を終了した。主な検診内容は、被曝放射線量測定、甲状腺検診、血液検査の3項目で、検診児童数は5センター合計で延べ約16万人に達したが、このうち重複受診者や検診データの不完全な者を除いた約12万人を本報告における解析の対象とした。なお、本報告の詳細は既に英文報告書1)として発表されている。 チェルノブイリ原発事故に関しては、今日までに外部からも多くの援助が行われてきた。これらは国連、世界保健機関、国際原子力機関、ヨーロッパ連合などの国際機関をはじめ、各国政府や民間団体などによるものであるが、特に事故後の数年間は援助内容も事故の影響把握に関する調査的なものが主で、被災地住民への支援を直接の目的としたものは皆無に近い状態であった。 このような状況下で、1990年2月、当時のソ連政府は国際医療協力の面で多くの実績を持つ(財)笹川記念保健協力財団に被災地住民の支援を要請した。これを受けて、同財団は(財)日本船舶振興会(現・日本財団)の協力の下に、“チェルノブイリ笹川医療協力プロジェクト”を発足させることとし、同年8月にはプロジェクトの実施方法に関する調査団を現地に派遣した。 その報告2)によると、1]被災地の住民の不安が大きいこと、2]その原因の一つは正確な情報が伝わっていない点にあること、3]健康上の問題点を早急に把握する必要があること、4]それには直接の住民検診が適していること、5]被害を受けやすい児童を優先すべきであることなどの諸点が指摘された。これに基づいて、関係諸機関と協議を重ねながら5か年計画のプロジェクトが作成され、チェルノブイリ笹川医療協力委員会が3共和国の関係者と協力してその実施を担当することとなった(表1)。 表1 チェルノブイリ笹川協力委員会専門家名簿 (順不同。所属は各人の本プロジェクト参加時)   *Yamashita Shunichi, Shibata Yoshisada, Hoshi Masaharu, Fujimura Kingo/チェルノブイリ笹川医療協力委員会 **その他の同委員会専門家(専門家名簿は本文表1に掲載) 本プロジェクトで実施された事項を列挙すると次の通りで、その総経費は35億円に達する。 (1) 甲状腺超音波診断装置、血液分析装置、ホールボディーカウンター等を搭載した検診バス5台および受診児童の移動用バス10台の供与 (2) 検診バス搭載の機器と同様の診断装置各1式を5センターに供与 (3) 医療機器、医療用品、医薬品、試薬およびデータの保管・管理用パソコンの供与 (4) 技術指導と意見交換のために、広島大学、長崎大学、(財)放射線影響研究所等研究機関の専門家を派遣(約90回、延べ310人) (5) 検診担当者の日本および現地における技術研修(13回、延べ130人) (6) 被災地住民に対する啓蒙活動 (7) 検診結果の公表とワークショップ、シンポジウムの開催(住民対象講演会4回、ワークショップ6回、シンポジウム5回) 本プロジェクトは、旧ソ連時代に発足したこともあって、当然のことながら5センターは共通の機材、試薬を用い、統一のプロトコールによって検診を実施してきた。このことは、ウクライナ、ベラルーシ、ロシア連邦の旧共和国が独立して、独自の路線を強調するようになってからも継続されており、この点各センターで得られた検診データには相互比較性comparabilityが存在するということができよう。 ただし、本プロジェクトはもともと被災者に対する人道的支援を目的に開始されたものであり、検診対象児の選択は原則として現地の担当者に一任されていて、任意抽出的に選んだわけではないので、検診データについてはこの意味での偏りが存在しうることをつけ加えておきたい。 なお、5か年計画の本プロジェクトは1996年4月に終了したが、その後も5センターの自主的な検診続行を支援するために試薬等の供与が行われており、また3センター(ベラルーシの2センターとロシア連邦の1センター)においては国際がん研究機関などと協力して甲状腺がん罹患児の患者対照研究、甲状腺検診によるコホート調査、事故後の出生児の検診などを実施している。 2. 対象と方法  1) 対象  チェルノブイリ笹川医療協力プロジェクトの小児検診は、1976年4月26日から1986年4月26日までに生まれた子供を対象に、1991年5月から1996年4月まで、旧ソ連5地域の医療機関(センター)-ゴメリ州立専門診療所(ゴメリ市、ベラルーシ)、モギリョフ州立医療診断センター(モギリョフ市、ベラルーシ)、ブリヤンスク州立第2診断センター(クリンシィ市、ブリヤンスク州、ロシア連邦)、キエフ州立第2病院(キエフ市、ウクライナ)、コロステン広域医療診断センター(コロステン市、ジトミール州、ウクライナ)-で実施された(図1)。 検診は同一プロトコールの下で、同種の器材および試薬を用いて行われ、各センターを担当するスタッフの努力により、検診した子供の居住地は各センターが管轄する地域のほぼ全域に及び、検診延べ数は16万人に達した。 図1 チェルノブイリ原子力発電所と5センターの位置(2重丸で表示) しかし、かなりの子供が再検査を受けており、そのような子供については、最初の検査結果のみ用いることとした。加えて、検診データが不完全な子供を除いた結果、約12万人が分析の対象となった(表2)。   表2 地域・性・検診年別被検者数 2) セシウム137の体内放射線量測定3) セシウム137の体内放射線量測定には、コリメータ装着のガンマスペクトロメータ・モデル101(アロカ、東京)を使用した。測定結果は測定器のコンピュータに内臓したソフトウェアを用いて処理した。 最初に、セシウム137およびコバルト60の標準線源を用いて、ガンマスペクトロメータのエネルギー較正を行った。これによって、スペクトロメータ増幅器のパラメータ変動による測定誤差を除くことができ、安定した測定結果が得られるようになる。次に、ファントムがない場合およびルーサイトの厚さ5、10、15、20cmの板でできたファントムを置いた場合のバックグラウンドを測定した。体内ガンマ線測定結果の修正は、読み取った値から人体の体格に対応するファントムの厚さのバックグラウンド値を差し引くことによって得られる。 これらの準備を終えてから、セシウム137の体内ガンマ線を測定した。被検者をコリメータの正面に座らせ、被検者の体重、身長、胸囲等のデータを入力した後、測定を開始する(図2)。入力データおよび処理された結果等はコンピュータに保存され、印字される。 図2 セシウム137体内放射線量測定に用いたチェアタイプ線量計の側面図 NaI(TI)検出器の角度と高さは調節可能。椅子の背と座面は鉛板で遮蔽している (Health Physics Societyの許可を得て、Hoshi et al.3)から転載) 3) 甲状腺検診 [...]

大熊町の土壌汚染はチェルノブイリを超えている

 小野俊一氏に「フクシマはチェルノブイリを超えている」として、大熊町の土壌汚染調査結果を教えていただきました。 図:大熊町内の土壌汚染調査結果 表:大熊町内の土壌汚染調査結果のお知らせ ブログ大熊町 2011年6月30日 『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』ではアレクセイ・V・ヤブロコフとワシーリー・B・ネステレンコの書いた第1部 チェルノブイリの汚染ー概観ーでは以下のように書かれています。 「ベラルーシでのセシウム137の汚染の最高値は ゴメリ州ブラーギン地区ザレーシェ村の475Ci/km2(1757万5000ベクレル/m2)、 ゴメリ州ナロヴリャ地区ドヴリャドイ村における500Ci/km2(1850万ベクレル/m2)」                                                ―同書 p.11  ロシア、ウクライナについてのセシウム137汚染の最高値の記述はありませんでした。ポイントであっても、「ウクライナ キエフ州、ジミトール州、ロヴノ州北部、ヴォルニエ州北東部までが汚染された(いくつかのホット・スポットでは地表の汚染密度(濃度)が最大19万ベクレル/m2に達した)」です。これは柏市、我孫子市の高放射能汚染地帯の方が高いです。 常総生活協同組合 土壌沈着量測定結果について 柏市北部 柏市南部 同 測定データ 柏市北部 同 測定データ 柏市南部  セシウム137だけに注目すると、大熊町のホームページのデータでは 東平  3001.4万ベクレル/m2中央台  594.5万ベクレル/m2緑ヶ丘  574.2万ベクレル/m2北台   494 万ベクレル/m2大野   480.7万ベクレル/m2東台   326.8万ベクレル/m2清水   252.0万ベクレル/m2長者原  238.9万ベクレル/m2諏訪   180.3万ベクレル/m2高平   105.1万ベクレル/m2西平   71.1万ベクレル/m2  土壌採取地点は、以下の11か所です。(1) 大野幼稚園駐車場(野上字諏訪 地内)(2) 高田公園前畑(大川原字西平 地内)(3) 大野児童館園庭(下野上字清水 地内)(4) 役場前児童公園(下野上字大野 地内)(5) 総合スポーツセンターグランド(夫沢字中央台 地内)(6) 夫沢字長者原 地内(7) 夫沢字北台 地内(8) 夫沢字東台 地内(9) 小入野字東平 地内(10) 緑ヶ丘グランド(熊川字緑ヶ丘 地内)(11) 小良浜集会所前(小良浜字高平 地内)  東平のセシウム137汚染3001.4万ベクレル/m2は、ゴメリ州ナロヴリャ地区ドヴリャドイ村1850万ベクレル/m2)の1.6倍。ゴメリ州ブラーギン地区ザレーシェ村1757万5000ベクレル/m2の1.7倍です。 <追記>チェルノブイリ事故当時の単位はすべてキュリー/km2でした。上記データをすべてキュリー/km2に直してみました。大熊町 東平はセシウム137の汚染は 811キュリー/km2です。 「2011年5月25日に、東北大学大学院理学研究科 小池武志先生、東北大学サイクロトロン ラジオアイソトープセンター 島田健司先生のご協力をいただいて、大熊町町内11か所の土壌を採取し、サンプルを東北大学、並びに金沢大学に送り、分析をお願いしました。  土壌果分析結果について2011年6月24日、大熊町役場 会津若松出張所にて東北大学大学院理学研究科 小池武志先生、金沢大学 山本政儀先生より報告を受けましたので、皆さまにお知らせします。」 ブログ大熊町 2011年6月30日 土壌中の放射性核種 Bq…ベクレル kBq…キロベクレル(1kBq=1000Bq) 以上、ブログ大熊町から再掲しました。ヨウ素131とセシウム137だけkBq/m2 地点名 空間線量(μSv/h) 土壌中の放射性核種 ヨウ素131 セシウム134 セシウム137 セシウム136 プルトニウム                                                             239/240 地表面 地上1m (kBq/㎡) (kBq/㎡) (kBq/㎡) (kBq/㎡) (Bq/㎡) (1)諏訪 22.0 16.8 43 1600 1803 7 未検査 (2)西平 12.6 9.0 32 623 711 3 未検査 (3)清水 38.0 22.0 78 2185 2520 11 0.19 (4)大野 60.0 42.0 100 4463 4807 24 0.26 (5)中央台 90.0 70.0 139 5494 5945 29 1.24 (6)長者原 19.0 14.0 100 2092 2389 9 5.91 (7)北台 140.0 100.0 197 4590 4940 22 11.1 (8)東台 130.0 100.0 124 2906 3268 13 2.77 (9)東平 180.0 140.0 653 27772 30014 151 5.02 (10)緑ヶ丘 100.0 80.0 171 5101 5742 24 11 (11)高平 40.0 30.0 31 915 1051 4 7.98 に直すと以下のようになります。1kBq(キロベクレル)=1000Bq(ベクレル)37000Bq/m2=1Ci/km2ですから 上記の数字に0を3つつけてから37000で割るとキュリー/km2になります。    ヨウ素131  セシウム137   (Ci/km2)  (Ci/km2)(1)諏訪 1.16 48.72(2)西平 0.86    19.21(3)清水 2.11    68.10(4)大野 2.70    129.92 (5)中央台3.76    160.68(6)長者原2.70    64.56(7)北台 5.32    133.51(8)東台 3.35    88.32(9)東平 17.65   811.19 (10)緑ヶ丘4.62   155.19(11)高平 0.84    28.41  ちなみに、この東平811.19Ci/km2はチェルノブイリのゴメリのセシウム137汚染の最高値 ゴメリ州ブラーギン地区ザレーシェ村の475Ci/km2(1757万5000ベクレル/m2)、ゴメリ州ナロヴリャ地区ドヴリャドイ村における500Ci/km2(1850万ベクレル/m2)     を超えます。……2014年1月1日 追記 川根 眞也

ベラルーシプロジェクト募金にご協力頂き、報告書がお手元に届かない皆様へ

今回、皆様にご協力頂き、無事代表川根はベラルーシ訪問が実現致しました。感謝申し上げます。先日報告書も出来上がり、募金くださった皆様へ、4/26に報告書を発送させて頂きましたが、募金くださった方の中に、報告書申し込みをされていない方、WEB申し込みの中に文字化けした方がいらっしゃいます。5/3を過ぎても、報告書が届かない場合、該当する可能性がございますので、事務局まで、お名前、ご住所をお知らせ頂けると幸いです。どうぞよろしくお願い致します。

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