内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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内部被ばくと健康被害

原発事故前の福島県の空間線量率は0.035~0.046マイクロシーベルト/時

 原発事故前の福島県の空間線量率は0.035~0.046マイクロシーベルト/時でした。これは2013年3月31日、福島県が公表した平成22年度(2010年度)『原子力発電所周辺環境放射能測定結果報告書』p.67~68に、記載されていた 第5 原子力発電所周辺環境放射能測定値一覧表5-1 福島県測定分 5-1-1 空間放射線 を転載したものです。単位のnGy/h(ナノグレイ/時)は、1nGy/h=0.001μSv/h(マイクロシーベルト/時)ですから、例えば43nGy/h=0.043μSv/hとなります。nGy/h(ナノグレイ/時)からμSv/h(マイクロシーベルト/時)へは「0を3つ消す」と覚えて下さい。  つまり、現在の空間線量が0.35や0.46μSv/h(マイクロシーベルト/時)である地域は、原発事故前の自然放射線の10倍もの外部被ばくをしている、と考えなくてはいけない、ということです。あきらかな健康影響が心配される地域であると思います。        また、外部被ばくだけではなく、空間線量が0.35や0.45μSv/h(マイクロシーベルト/時)の地域で作られた農作物はセシウム137だけでも100ベクレル/㎏を超える可能性があり、測定されたものだけを食べるべきです。自家菜園の農作物を測定もしないまま食べるべきではありません。  森林総合研究所 清野嘉之氏、赤間亮夫氏が書いた論文「2012年春の山菜の放射性セシウム汚染」には、「空間線量率は同じでも,放射能濃度には最大100 倍近い開きがあり,特に濃度が高いのは付着根植物のイワガラミや集水地形に生育する山菜であった。」「比較的高濃度汚染した山菜を排除しても,空間線量率が同じときの放射性セシウム濃度に,なお10 倍ほどのバラツキが残る。」「バラツキの上限値を結んだ線は空間線量率と一定の関係があるようで,それを内挿すると空間線量率が0.1 μSv hr-1 の辺りで,放射性セシウム濃度が100Bq ほどになる。」と書かれています。つまり、山菜などは空間線量が0.10マイクロシーベルト/時あたりで、放射性セシウム100ベクレル/kgほどになる可能性がある、と指摘しているのです。 2012 年春の山菜の放射性セシウム汚染 森林総合研究所 清野嘉之 赤間亮夫 2012  空間線量が0.10マイクロシーベルト/時でも、かつての福島県の空間放射線量の2~3倍です。内部被ばくも含め、健康被害の危険性を考えなくてはいけない地域であると思います。        

オーストラリアのウラン開発と原子力利用 日本商工会議所 海外情報レポートより 20130719

オーストラリアのウラン開発と原子力利用(シドニー)2013年7月19日 19:48日本商工会議所 海外情報レポートよりhttp://www.jcci.or.jp/  オーストラリアのウラン埋蔵量は、1,661,000トン、世界シェア31%で世界1位である(2011年時点、OECD/NEA & IAEA)。生産量については、5,983トン、世界シェア11%でカザフスタン(19,451トン)、カナダ(9,145トン)に次ぎ、世界3位である(2011年時点、World Nuclear Association)。  オーストラリア国内には原子力発電施設が一切ないため、国内で採掘されたウランは、ごく少量の研究開発用以外の全量が国外へ輸出されている。主な輸出先は、多い順にアメリカ、EU、日本で、この3か国で約90%を占めている。核不拡散防止条約(NPT)非加盟国のインドに対しても、2011年12月の与党労働党の党大会でウラン禁輸措置解除が決定され、2012年10月には、豪印原子力協力協定締結交渉開始が両国首脳により発表された。  オーストラリア国内には、北部準州に1つ(Ranger)、南オーストラリア州に3つ(Olympic Dam、Beverley、Honeymoon)の合計4つのウラン鉱山があり、大部分がRangerとOlympic Damの2カ所で生産されている(下図参照)。従来、新規のウラン鉱山の開発を禁止する「ウラン3鉱山政策」により、ウラン開発は、上述のRanger、Olympic Dam、Beverleyの3鉱山に限定されてきたが、2007年に与党労働党は同政策を廃止し、2011年にHoneymoon鉱山が操業を開始した。2013年中には、新たにFour Mile鉱山が生産開始予定であるほか、西オーストラリア州やニュー・サウス・ウェールズ州、クイーンズランド州でもウラン開発解禁が発表されるなど、今後、ウラン開発は拡大していくものと見られている。                           当所の資源・エネルギー部会では、さる6月5日、原子炉の技術に関する視察会を実施した。同視察会では、オーストラリア政府の管理のもと、調査研究用としては世界屈指とされる同国で唯一の原子炉を運営し、原子力を利用した医薬品開発、水源管理、材料工学や原子分子科学研究など、様々な研究を行っているオーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO=Australian Nuclear Science and Technology Organization)を訪問し、同機構のスタッフ・各分野の専門家からヒアリングを行った。同施設内には、原子炉や加速器、放射線医薬品生産施設、中性子照射装置などが設置されており、原子力の平和利用の研究が行われている。   同機構では商用実用化(物質の構造解析、質量・年代測定や医薬品の開発など)も行っており、構内のRADIO PHARMACEUTICAL FACILITYでは、がんの治療や診断用に使用される核医学検査薬テクネチウムの原料となるMolybdenum-99をはじめ、放射線物質を利用した医薬品を生産し、オーストラリア国内225以上の医薬センター(全豪の放射線医薬品の80%がANSTOから出荷)とニュージーランド、東南アジア等へ販売している。  なお、Molybdenum-99の日本での消費量はアメリカに次いで世界第2位であるが、アメリカと同様に、日本国内では生産できず、海外からの輸入に依存している。日本国内でのMolybdenum-99の生産は長年の悲願であり、日本原子力研究開発機構は、Molybdenum-99の国産化・実用化に向けて、2013年1月に予備試験に着手している。 (シドニー日本商工会議所 事務局長 八田 城之介)

小児甲状腺がんだけではない。これから起きること。

 東京第一原発事故が放出した放射性物質、特に放射性ヨウ素(ヨウ素132、ヨウ素135、ヨウ素133、ヨウ素131など)を呼吸で体内に取り入れたり、皮膚から吸収した場合に引き起こされるのは甲状腺がんだけではありません。  ヤブロコフ、他『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店 2013年4年26日刊 には以下の記述があります。  「今日までに得られた重要な知見の1つは、甲状腺がんの症例が1例あれば、他の種類の甲状腺疾患が1,000例存在することである。これにより、ベラルーシだけで150万人近い人びとが甲状腺疾患を発症する恐れがあると専門家は見積もっている(Gofman,1994;Lypyk,2004)」。  (引用)ヤブロコフ、他『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店 pp.81,82  広河隆一著『暴走する原発ーチェルノブイリから福島へ これから起きる本当のこと』(小学館 2011年)には以下のような記載があります。ちなみに、1993年とはチェルノブイリ原発事故から6年後にあたります。 ――――以下、転載 広河隆一著『暴走する原発』 p.154~162――――  甲状腺がんと被曝との関係については、阪南中央病院の村田三郎医師がレジュメを作っているので参考になる。 「甲状腺癌は被曝後3~5年後から増加し始め、15~25年後に最大出現率をとると言われている。広島、長崎の原爆被爆者では、非被爆者に比べ甲状腺癌の発生率が、被爆者で有意に高い。女性に有意に多い。被爆時の年齢が20歳未満の人に発生率が有意に多い。  マーシャル諸島での核実験(※注を参照)による放射性降下物による被害は、ロンゲラップ環礁の住民の33%に、結節性甲状腺腫が発生。被曝時に10歳以下の子どもの63%に、甲状腺結節が発生。マーシャル群島では1954年に被曝して後に243人の内で、22年後の時点で7名(2.9%)に甲状腺癌が発生」ー村田三郎『放射線による甲状腺障害』  被曝者の中でも小さな子どもは、大量の放射線を受けると、甲状腺の機能障害を起こして、記憶力の低下を招き、知的障害になることもある。そしてこれらの子どもは、自分で自分の命を支えることができなくなってしまう。分泌腺がホルモンを作らないため、死ぬまでホルモン剤の投与を続けなければならないのだ。  (ベラルーシのゴメリ州)ホイニキ、ナロブリャ、ブラーギン地区の子どもたちの20%が、10シーベルト以上被曝したと言う。  この地域の研究したベラルーシ放射線医学センターのワレンチーナ・ドロズド教授は、1992年の時点で、小児甲状腺がんは、ベラルーシせ世界平均の20倍、ゴメリ州だと118倍になると述べていたが、そのゴメリ州の中でもホイニキ地区が異常な発生を見せた。発症者の60%はゴメリ州に集中しており、されにそのほとんどが、ホイニキ、ブラーギンなど、ベラルーシ南部のヨウ素131の大量被曝地帯に集中している。ホイニキ地区とブラーギン地区には、ヨウ素131の汚染が1平方キロメートルあたり500キュリー(1850万ベクレル/m2)にもなるところがあったという。                                     (編者 補足)福島県大熊町 東平 はヨウ素131で65万3000ベクレル/m2汚染されています。ただし、これは2011年5月25日段階での測定です。ヨウ素131の半減期は8日間ですから、約2ヶ月前(64日前)は8半減期に相当。つまり、2×2×2×2×2×2×2×2=256倍あったはずです。2011年3月20日ごろには大熊町 東平は、ヨウ素131だけで16,716万ベクレル/m2あった可能性があります。これはホイニキ地区、ブラーギン地区を超えます。 『大熊町の土壌汚染はチェルノブイリを超えている』 (編者 補足)川俣町立山木屋小学校はヨウ素131で195万ベクレル/m2汚染されていました。2011年4月5日または6日測定。 『福島県内の学校の校庭はどのくらい放射能汚染されていたか?文科省2011年4月14日調査より』  ーーーー 以下、転載 広河隆一著『暴走する原発』 p.160~161----  ドロズド教授たちが1993年3月28日から4月8日まで、ホイニキ地区の3歳から15歳までの352人を調べた結果、次のような結果が出た。   結節性甲状腺腫         27人   自己免疫性甲状腺炎      7人   甲状腺発展異常          4人   甲状腺肥大           156人   甲状腺縮小                7人   他の内分泌病理変化    123人  約10%の子どもは、すぐに病院に収容すべきだと診断された。ホイニキ病院のコルツォフ副院長によると、放射線の直接的影響と考えられるのは、まず結節性甲状腺腫、甲状腺炎様の変化、甲状腺縮小だという。  1990年まで甲状腺肥大の子どもの数は増えた。1985年では検査した人数の2.8%だけだったのに、1991年には35%だ。  ところが、1991年から甲状腺縮小のケースが増加した。以前はそういうケースは全くなかった。1992年はホイニキ地区の子どもほぼ全員を調べた結果は、5056人中3人(0.06%)が見つかったが、1993年は今のところ、352人中7人(2%)でおよそ33倍になっている。  「放射性ヨウ素の被曝の結果です」とコルツォフ副院長は言う。甲状腺の細胞が、放射性ヨウ素の影響で壊れて再生できず、縮小するのだという。  また自己免疫性甲状腺炎と診断された子どもも7人いた。甲状腺の組織が放射能の影響で変化し、免疫システムが異常となり、自らの甲状腺を攻撃する恐ろしい病気だ。この病気は発見者の名前をとって橋本病と名付けられているが、甲状腺機能低下症である。  このような子は、1992年は5056人中9人(0.2%)、1993年は352人のうち7人(2%)と、10倍になっている。  ウクライナのキエフにある第3病院の甲状腺専門医のデュミデュク医師によると、この橋本病は、ウクライナでも1994年に12%弱まで上がった。彼は、第3病院で甲状腺を手術したうちの11.7%が橋本病だったという。これは今まではほとんど子どもには見られなかった病気である。  同病院のステパネンコ医師によると、「この橋本病は甲状腺の病気の中では、とても恐ろしい病気の1つです。この病気にかかっている子どもたちの中には重症な患者がいます」と言う。  しかし、橋本病の増加とともに恐ろしいのは、1993年の検査で352人中27人が結節性甲状腺腫と診断されたことである。  ドロズド教授によると、ベラルーシ、ホイニキ地区の1992年の発症率は10万人あたり59人だった。  その後、1993年いっぱいかかって、ホイニキ地区の5164人の子どもの調査が行われた。そして、甲状腺がんの子どもが8人見つかった。 「これは1993年に見つかった新しいがんの患者です。私たちはホイニキ地区の子どもたち5164人全員を一年間かけて調べて、298人に甲状腺の結節などの異常を見つけ、その子たちの腫瘍が悪性か良性かを調べるために病院に送って、検査したのです。そして検査の結果、悪性の腫瘍、つまりがんだと分かったのが8人だったのです。」と、コルツォフ副院長は言う。  1994年の調査では、子どもの13.44%に甲状腺肥大、5%に甲状腺縮小、39.7%にそのほかの甲状腺異常が認められた。そして33%が緊急入院を必要とされた。                     (※注)マーシャル諸島での核実験  アメリカが太平洋マーシャル諸島で行った一連の核実験。1946年から1958年にかけて、23回もの核実験を行った。   1954年3月1日、ビキニ環礁で行われた水爆実験(キャッスル作戦)では、広島型原子爆弾約1000個分の爆発力の水素爆弾(コード名ブラボー)が炸裂。海底に直径約2キロメートル、深さ73メートルのクレーターが形成された。このとき、日本のマグロ漁船・第五福竜丸をはじめ856隻以上の漁船が死の灰を浴びて被曝した。また、ビキニ環礁から約240km離れたロンゲラップ環礁にも死の灰が降り積もり、島民64人が被曝して避難することになった。 (編集) 広河隆一著『暴走する原発』 p.160~161の文章の一部を追加。ヤブロコフ、他『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店 pp.81,82を追加。2014年6月28日。        

福島県 県民健康案内『健康長寿県日本一をめざして』福島県立医大 パンフ

 福島県が『県民健康案内 健康長寿県日本一をめざして』と題したパンフレットを、福島県立医大によって作って、配布しています。福島県医師会、福島県病院協会も協力しています。 福島県 県民健康案内 健康長寿県日本一をめざして 福島県立医大 パンフ  この題名もそうですが、あたかもこれぐらいの放射能は安全です、としか書かれてないパンフレットを作り、福島の人びとに配布することに何の意味があるのか?疑問です。  このパンレットの根本的な欠陥は、チェルノブイリ原発事故で被害を受けた、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアで何が起こったかに一切触れていないところです。放射線医学総合研究のサイトや消費者庁が発行しているパンフ『食品と放射能Q&A』もそうです。同じ間違いをしています。 消費者庁 食品と放射能Q&A 20110607  チェルノブイリ事故後、ベラルーシでは、もっとも奇形児の出産が多かったのは、事故後4年や5年後ではなく、事故から15年後あたりであったと言われています。チェルノブイリ事故後、将来の深刻な被害が予想されなかったため、10代やそれ以下の子どもたちは放射能汚染された食品を知らずに食べ続けて成長しました。その子どもたちが15年後、結婚と出産の時期を迎え、まず、妊娠できない、流産してしまうことが多くなり、また、産まれた赤ちゃんの奇形率が急上昇しました。現在でもゴメリ州などの汚染地帯では女性はなかなか妊娠することができず、妊娠できるのは10人に2人と言われています。  福島県の福島第一原発事故警戒区域内で飼育されつづけている牛の胎児のセシウム137濃度は、母牛の体内のセシウム137の濃度と同じである(母牛の1.19倍)ことが報告されています。また、産まれた子牛のセシウム137濃度は母牛の母乳を飲むために、母牛のセシウム137の濃度よりも高くなり、1.36倍の濃度になることが報告されています。(牛の生体内放射能汚染分布 東北大学大学院 農学研究科 磯貝 恵美子教授の発表 公開シンポジウム『福島原発警戒区域内に残された牛と農家』 – 家畜と農地の管理研究会の活動を通して - 2013年9月14日)  人間にも同じことが言えるのではないでしょうか?母親が高濃度にセシウム137を体内に蓄積している場合、それは胎児、そして母乳を通じて乳児に移行する可能性があります。  福島県立医大、放射線医学総合研究所、消費者庁など、ベクレルからシーベルトへの換算とか、発ガンリスクの説明の前に、放射性物質を継続的に施主した住民とその子どもたちがどんな健康被害にあったのか?チェルノブイリの27年目の真実こそ、パンフレットに書くべきです。  確かに現在ではセシウム134、137合計100ベクレル/kgを超える食品は市場に流通していないかもしれません。しかし、福島県、宮城県、岩手県、山形県など山菜やきのこ、自家製野菜は何の制限もなく食べられています。2000、3000ベクレル/kg程度のきのこを食べている福島県などの住民がいるのではないでしょうか?  ベラルーシでは立ち入り禁止の森があり、チェルノブイリ原発事故から27年経った現在でもそこではベリー類、きのこは採取禁止です。(ベラルーシ・プロジェクト報告 p.13)日本ではそうした措置はまったく取られていません。本来は、そうした放射性物質の高濃度に汚染されたきのこや果実、山菜の摂取がどれだけ人体に破滅的な健康被害をもたらすのかを説明すべき機関は、本来、福島県立医大や放射線医学総合研究所、消費者庁のはずです。その福島県立医大や放射線医学総合研究所、消費者庁が自然放射能カリウム40をセシウム137と同列に扱うなど住民の放射線防護にまったく役に立っていません。ただただ税金の無駄遣いとしか言いようがありません。  福島県はまったく福島県民の放射線防護に役立たない、県民健康管理のためのパンフ『健康長寿県日本一をめざして』を回収、処分すべきです。    

原発事故前の水田土壌の放射能汚染はどれくらいだったのか?2009年度、1989年度

 旧科学技術庁、現文部科学省が毎年、環境放射能調査研究 成果論文抄録集を発表しています。そこにその年の全国の水田土壌の放射能汚染と玄米や白米の汚染状況が報告されています。2009年度および1989年度の環境放射能調査研究 成果論文抄録集に掲載されていたデータを川根が抜き出し、表にしたものが以下です。  2009年度では水田土壌はストロンチウム90に0.02ベクレル/kg(福岡県筑紫野)~1.6ベクレル/kg(新潟県上越)汚染されていました。セシウム137には1.9ベクレル/kg(山梨県甲斐)~14.9ベクレル/kg(新潟県上越)汚染されていました。  そのため、2009年の白米はストロンチウム90に0.004ベクレル/kg(岩手県盛岡のあきたこまち)~0.018ベクレル/kg(秋田県秋田市のあきたこまち)に汚染されていました。また、セシウム137にはND~0.063ベクレル/kg(福岡県筑紫野のコシヒカリ)汚染されていました。重要なのは、2009年の日本の白米ではセシウム137が0.1を超えるものはなかったということです。    1989年度では、その水田土壌の汚染度は高く(残念ながらこの上記成果論文にはストロンチウム90のデータは記載されていませんでした)、セシウム137で8.2ベクレル/kg(北海道札幌)~44.2ベクレル/kg(新潟県上越)汚染されていました。  そのため、1989年の玄米はセシウム137に0.006ベクレル/kg(岡山県山陽)~0.400(岩手県盛岡)汚染されていました。つまり、2009年の20年前には玄米でセシウム137が0.1ベクレル/kgを超えるものが流通していた、ということです。これは大気圏内核実験の影響がまだ残っていたことに加え、1986年のチェルノブイリ原発事故による放射性降下物の影響であると考えられます。  1989年のストロンチウム90の汚染データでは、同 成果論文抄録集の秋田県における放射能調査(p.144~148)ではストロンチウム 土壌53ベクレル/kg、精米0.08ベクレル/kg、埼玉県における放射能調査(p.165~167)土壌2.51ベクレル/kg、精米0.015ベクレル/kg、島根県における放射能調査(p.230~233)土壌1.4~13ベクレル/kg、精米0.0416ベクレル/kg、と書かれたデータもありました。 第51回環境放射能調査研究 成果論文抄録集 平成21年度 文科省 第31回環境放射能調査研究 成果論文抄録集 昭和63年度 科学技術庁        

原発震災 子ども・被災者支援法の基本方針パブコメへの意見 川根 眞也

 東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律(平成24 年法律第48 号。以下「法」という。)第5条第1項に規定する「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」(以下「基本方針」という。)について、別添のとおり案を作成したので公表するとともに、下記のとおり意見を募集する、偉そうに復興庁がパブコメを求めています。ろくに新聞、テレビでも広報活動もしないで、8月30日(金)に基本方針を発表して、締め切りが9月13日だそうです。  と復興庁のでたらめぶりを書いていたら、パブコメ締め切りが9月23日まで延期されたことを今知りました。  私たちは、本当の意味で東日本全体の被災地の復興と、私たちの子どもたち、私たち自身の被ばくによる健康問題、そして、今まだ産まれていない未来の世代の健康問題を考える、現実的な法案を作るべきです。  そもそも「原発災害 子ども被災者支援法」(東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律)の第2条 基本理念、第3条 国の責務 には以下のように書かれています。 (基本理念)第二条 被災者生活支援等施策は、東京電力原子力事故による災害の状況、当該災害からの復興等に関する正確な情報の提供が図られつつ、行われなければならない。2 被災者生活支援等施策は、被災者一人一人が第八条第一項の支援対象地域における居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない。3 被災者生活支援等施策は、東京電力原子力事故に係る放射線による外部被ばく及び内部被ばくに伴う被災者の健康上の不安が早期に解消されるよう、最大限の努力がなされるものでなければならない。4 被災者生活支援等施策を講ずるに当たっては、被災者に対するいわれなき差別が生ずることのないよう、適切な配慮がなされなければならない。5 被災者生活支援等施策を講ずるに当たっては、子ども(胎児を含む。)が放射線による健康への影響を受けやすいことを踏まえ、その健康被害を未然に防止する観点から放射線量の低減及び健康管理に万全を期することを含め、子ども及び妊婦に対して特別の配慮がなされなければならない。6 被災者生活支援等施策は、東京電力原子力事故に係る放射線による影響が長期間にわたるおそれがあることに鑑み、被災者の支援の必要性が継続する間確実に実施されなければならない。 (国の責務)第三条 国は、原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護すべき責任並びにこれまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、前条の基本理念にのっとり、被災者生活支援等施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。  つまり、被災地に留まるか、他地域に移住するかは被災者自らの意志によって選択できるようにすること。そのための支援を国の責任で行うことをうたった法律です。 「被災者生活支援等施策の推進に関する基本方針」へのパブコメへの意見                      2013年9月11日 川根眞也                      2013年9月15日改訂   (1)原発災害の一番の被害者は原発労働者です。ウクライナ法でも一番最初に取り扱われているのは、リクビダートル(除染作業員)です。原発労働者の健康被害に対する手当、対策なき、被災者生活支援施策はありえません。原発労働者の作業中の被ばく+生活圏での被ばくを含めた線量管理と健康被害への万全な補償が必要です。そして、原発労働者のみならず、原発震災地で活動した、消防士や警察官、自衛官、行政職員、ボランティアなどの方々に対する健康被害への万全な補償も必要です  ※ 現状では、原発労働者は5年間で積算線量100ミリシーベルトの被ばく管理下にあります。100ミリシーベルトを超えたら、職を失うということです。命を賭して、事故作業にあたっているのに、なんという仕打ちでしょうか?100ミリシーベルトも超えてしまった原発労働者の一生の健康管理にかかる費用を無償にすること。その後のあらゆる身体的、精神的障害について国家が責任を持って補償すること。その家族も含め、一生の生涯賃金を保障することは当たり前のことだと思います。 (2)線量規定なき、原発震災 子ども被災者支援法は意味がありません。どんなに立派な美辞麗句があろうとも、100年経っても、何も施行されないでしょう。「福島33市町村に限定」。放射能汚染地帯を福島中通り、浜通りに限定にする方針案はナンセンスの極みです。率直に言って、民主党だけでなく自民党にこの法律の基本方針を策定する能力も意思もない、と思います。現政権のままでは原発災害の被災地の復興は期待できないし、原発震災 子ども被災者支援法は何の効力も持ち得ないだろう、というのが正直な感想です。  線量基準さえ議論できない、20ミリシーベルトを子どもにさえ押しつける、政党に、人間の放射線防護の基準作りができないのではないか、と思います。 (3)自然放射能 カリウム40と人工放射能 セシウム134、137とを同列に扱う議論(内部被ばくの実効線量計算 ベクレルからミリシーベルトへの換算)、外部被ばく線量をセシウム134、137によるガンマ線を測ったのみ空間線量率だけで計算する誤り。他の核種(ストロンチウム90、プルトニウム、アメリシウム)が土壌や水に含まれているか、調べて公表することもできていない。 (4)今後起きる健康被害については、まず初期被ばくが決定的なのではないでしょうか。特に2号機が爆発したとされる、2011年3月15日の空気を屋外で吸ったのか、吸わなかったのかが重要な影響を与えるのではないか、と考えています。これが原発から80kmを離れた福島市や郡山市でも小児甲状腺がんおよび疑いの患者が多数出ている原因なのではないでしょうか。原発災害 子ども被災者支援法では、この初期被ばくという概念そのものがありません。 『内部被曝のメカニズム 放射性物質はどこから体内に入るのか?』  チェルノブイリの事故について、放出された放射性核種は以下の通りです。【単位】はPBq(ペタベクレル)です。注目すべきなのはヨウ素131だけでなく、半減期が最も短い6.6時間のヨウ素135、半減期が2番目に短い20.8時間のヨウ素133が放出されていることです。これらはヨウ素131と同様に瞬く間に甲状腺に蓄積していきます。まず、呼吸器による取り込み、そして、皮膚からの取り込みによってです。   そして、群馬県高崎市にある大気圏内核実験のモニタリング所、高崎CTBTが観測した粒子状放射性核種の放射能濃度データでは、やはり空気1m3から大量のヨウ素135、ヨウ素133、テルル129m、テルル132が大量に計測されています。特に2011年3月15日15:55から3月16日15:55をご覧下さい。また、3月20日15:55から3月22日15:55までも非常に多くのヨウ素135、ヨウ素133、テルル129m、テルル132が検出されています。      下記のグラフでも3月15日に1番多かったのはテルル132であり、2番目がテルル129m、3番目がヨウ素131、4番目に多いのはヨウ素132です。このグラフでは残念ながらヨウ素135が省略されています。  日本政府や東電は、ヨウ素131やセシウム134、137だけしか問題にしていません。しかし、原発事故当初はこうした短寿命核種が放出された放射性物質のほとんどをしめていたのであり、これを吸いこみまたは皮膚から摂取したことによる、内部被ばくの影響が無視されています。すべてが現在の空間線量(事故から2年半も経っている現時点での)とそこから計算されるミリシーベルトに換算されて、健康影響を考えるという空理空論が被ばくした住民に押し付けられています。  初期被ばくを評価した被ばくについての議論を組み立てるべきです。 (5)基本方針でうたわれている健康診断は甲状腺検査と個人線量計による外部被ばくの測定、ホールボディーカウンターによる内部被ばくの測定だけです。お話しになりません。チェルノブイリで被災したウクライナ、ベラルーシ、ロシアに何も学んでいないと言わざるを得ません。  ベラルーシでは、原発事故によるリスクが高いグループを6つに分けて調査・統計を取り続けています。 ① リクビダートル(除染作業員) ―1986年1987年に作業に従事した者 ―1988年1989年に作業に従事した者 ② 高放射能汚染地帯(セシウム137 40キュリー/km2以上=148万ベクレル/m2以上)から強制または自主的に移住したもの ③ 移住対象地域(セシウム137 15キュリー/km2以上=55.5万ベクレル/m2以上)に住んでいる住民※ ④ ①、②、③の子どもたち ⑤ 移住する権利のある地域(セシウム137 5キュリー/km2以上=18.5万ベクレル/m2以上)に住む住民 ⑥ 原発のみならず化学工場事故の被害を受けた住民  上記①~⑥以外に汚染リスクグループによる住民の健康管理を行っています。 A ①リクビダートル、②高放射能汚染地帯から避難した住民 B ③移住対象地域に住む住民、①、②、③の子どもたち、⑤移住権利地域に住む住民、⑥ 原発のみならず化学工場事故の被害を受けた住民 C 年間1ミリシーベルトを超える恐れのある住民 それぞれ6つのリスクグループごとに診断内容が決まっています。 ① リクビダートル…内分泌の専門家による診断(血液一般検査・心電図・甲状腺超音波) ② 高放射能汚染地帯から避難した住民…内分泌の専門家による診断(血液一般検査・甲状腺超音波) ③ 子ども…小児科および内分泌の専門家による診断(血液一般検査・甲状腺超音波・ホール・ボディー・カウンター検査)   大人…内分泌の専門家による診断(血液一般検査・甲状腺超音波・ホール・ボディー・カウンター検査) ④ 子ども…小児科および内分泌の専門家による診断(血液一般検査・甲状腺超音波・ホール・ボディー・カウンター検査) ⑤ 子ども…小児科および内分泌の専門家による診断(血液一般検査・甲状腺超音波・ホール・ボディー・カウンター検査)   大人…内分泌の専門家による診断(一般血液検査・甲状腺超音波・ホール・ボディー・カウンター検査) ⑥ この地域にはいない  放射線被ばくについては、正常値は0ミリシーベルト。ベラルーシでは許容値として1ミリシーベルトが定められています。これは内部被ばく換算で計算されています。年間等価線量(内部被ばく)。2004年測定結果ではセシウム137 1~5キュリー/km2(同3.7万~18.5万ベクレル/m2)の地域住民の外部被ばくと内部被ばくは以下のようになりました。   外部被ばく  0.62ミリシーベルト   内部被ばく  0.40ミリシーベルト                      合計     1.02ミリシーベルト   しかし、これはあくまでも平均化されたもので、人それぞれに被ばく線量は変わってきます。セシウム137 1~5キュリー/km2(同3.7万~18.5万ベクレル/m2)の地域と言っても、森や川にはたくさん放射性物質があります。日本でも山を歩いたり、森や川の物を取ったりして食べる人は高い外部被ばく、内部被ばくをすることになります。  この外部被ばく、内部被ばくについて、以下の3つを計算してこの地区の住民の被ばく線量を出しています。 ① 住民のホール・ボディー・カウンター(WBC)の測定値 ② 土壌の放射性物質濃度 ③ 国が決めた許容線量範囲内での食品の汚染度の値 『ベラルーシ・プロジェクト報告』p.5~6 より。  日本でも原発労働者や高放射能汚染地帯から強制または自主的に移住した人びとに対する血液一般検査、心電図、甲状腺超音波を行うべきです。同様に、緊急時避難準備区域等で業務にあたった消防士や警察官、自衛官、行政職員、ボランティアなどの方々に対しても行うべきです。   また、ベラルーシに習い、土壌がセシウム137で1キュリー/km2(3.7万ベクレル/m2)以上、汚染されている地域(※注)に居住している子どもや大人に対して、血液一般検査・甲状腺超音波・ホール・ボディー・カウンター検査を定期的に実施すべきです。これに加えて、心電図検査も実施すべきだと思います。 ※注 ベラルーシ、ウクライナ、ロシアではセシウム137による土地汚染だけで住民の放射線防護を行っているのではありません。①外部被ばく+内部被ばくで1~5ミリシーベルト以上 ②セシウム137による土地汚染 ③ストロンチウム90による土地汚染 ④プルトニウム238、239、240による土地汚染 の4つによって住民の放射線防護を考えています。 『チェルノブイリ原発事故に伴う放射性物質汚染区域の地域区分 ベラルーシおよびロシア』                  

阿蘇のコシヒカリの農家さんのご紹介

 阿蘇のコシヒカリ農家さんの農地土壌を採取し、阿蘇のコシヒカリの水田土壌を測定させていただきました。  ちくりん舎のゲルマニウム半導体検出器で17時間測定、検出限界ーセシウム134 0.45ベクレル/kg、 セシウム137 0.477ベクレル/kgーで、セシウム137のみ 2.02±0.37ベクレル/kg検出されました。   これはほぼ大気圏内核実験によって降下したセシウム137のみと考えられるほど低い汚染度であると思います。2009年平均の日本全国の土壌0~5cmのセシウム137の汚染度は下記をご覧下さい。熊本県阿蘇市西原村の土壌はセシウム137が38ベクレル/kgでした。 『かつて日本の土壌はどのくらい放射能汚染されていたか?』 http://www.radiationexposuresociety.com/archives/1520  2009年度白米および水田作土のストロンチウム90、セシウム137濃度です。文科省 第52回環境放射能調査研究 成果論文抄録集(平成21年度) p.15~16より。 かつての水田作土セシウム137は3.8ベクレル/kg(石川県金沢)~14.9(新潟県上越)ストロンチウム90は0.2(福岡県筑紫野)~1.6(新潟県上越)。  2009年度玄麦および畑作作土のストロンチウム90、セシウム137濃度です。文科省 第52回環境放射能調査研究 成果論文抄録集(平成21年度) p.15~16より。 かつての畑作作土のセシウム137は2.7ベクレル/kg(埼玉県熊谷)~9.8(岩手県盛岡)ストロンチウム90は0.1(岡山県赤磐)~1.9(岩手県盛岡)。 平成25年度産阿蘇のコシヒカリ栽培農家熊本県阿蘇市農業者 田中幸博さん経営規模 水田   264アール     水稲   165アール     飼料稲    70アール 飼料用とうもろこし 14アール   ねぎ     15アール(35アールは条件の良いところを借りて栽培)         合計50アール栽培繁殖牛  赤毛和種 2頭 黒毛和種 1頭を飼育 平成25年度産阿蘇のコシヒカリについて 種まき          平成25年4月13日田植え          平成25年5月11日~12日出穂(しゅっすい)      平成25年7月17日~  (稲の穂が出始めた時) 現在に至る 撮影日 2013年8月 田植えの前の準備について  昨年の稲刈りの跡に、堆肥を10アール当たり2トン~3トン投入 平成25年4月に元肥として特別栽培米専用有機肥料阿蘇コシヒカリ一発肥料を10アール当たり40kg、過燐酸石灰を10アール当たり80kg、を施し出穂前に再度過燐酸石灰を10アールあたり15kg施肥をする。  農薬については、稲の苗箱処理として、殺虫殺菌剤(ビルダースタークル)を散布し、除草剤(クサカリテイオウ1キロ粒剤51)を田植え2週間後に、散布しただけで、後は農薬は使用していません。 上記の農薬については、特栽米での基準使用範囲内ですべて抑えております。  本年の稲の生育については、梅雨も早くあがり、順調に生育してまいりましたが、お盆前より夕立があり、少し倒伏し始めておりますが、とても良い状態にて生育をしておりますので、台風の影響がこれから一番心配するところです。 栽培基準を遵守し安心安全は、当たり前の精神にて育ててきましたので、宜しくお願いいたします。 <追記>  平成25年9月14日晴れ 今日、コシヒカリの稲刈りが終了いたしました。現在乾燥機にて、最後の乾燥を終了いたしました。4〜5日後に米摺りを行います。昨年と比べると、収量もありいい感じで終わることが出来ました。嬉しいです。収穫終了のお知らせです。 田中幸博  

セシウム137とコバルト60による事故(ゴイアニア事故、タイ被ばく事故) 

緊急被ばく医療研修より http://www.remnet.jp/lecture/b05_01/3_3_1.html 癌治療線源盗難事例1:ゴイアニア事故 廃院に放置されていたセシウム(Cs137)線源の入った回転照射体が2人の若者により取り外されて持ちだされました。この段階から2人の放射線被ばくが始まり、2~3日後から2人は下痢、目まいなどに悩まされ始めました。1週間後には線源容器に穴を開けることに成功し、この時点から放射能汚染が始まりました。セシウム(Cs137)は極めて水に溶けやすく散らばりやすいため、汚染地域が拡大し、広範な環境放射能汚染と多数の人々の被ばくが生じました。事故当時前放射能は50.9TBqでした。検査の結果、14人がリオデジャネイロ、6人がゴイアニアの病院に入院しました。セシウムが体内に取り込まれ内部被ばくが生じていたため、体内に取り込まれたセシウムの排せつのためプルシアンブルーが投与されました。6歳の少女、38歳の女性、22歳、18歳の男性、計4人が4週間以内に出血や敗血病などの急性障害で死亡しましたが、その線量は4.5~6Gyと推定されました。同程度の被ばくで2人が生き残りました。また1名は腕を切断されました。周辺の放射能の測定も行われ、特に汚染が著しい7軒の家屋は解体し、撤去され、高汚染茎の表土が入れかえられました。 癌治療線源盗難事例2:タイ被ばく事故 2000年2月、タイで、コバルト(Co60)を装着した遠隔放射線治療装置が線源交換を行わずに使用不能になった後、線源を収納した治療器のヘッドが持ち出され、解体されました。解体に引き続いて金属片をスクラップは、別のスクラップ業者が所有するスクラップ処理場に持ち込ましたが、関係者が次々と指のはれや複数の症状(激しい頭痛、嘔気、嘔吐など)を訴え、病院に運ばれました。不快症状を訴えて来院した複数の患者の容態から、急性放射線症の疑いを抱いた医師により事態が発覚しました。10名の重度の被ばく者が発生し、4名は6Gy以上でした。その内の3名が被ばく後、2か月以内に死亡しました。

「放射線管理区域」にあたる土壌の上の空間線量は0.14マイクロシーベルト/時【改題】

[編集者:注] 2013年9月5日にこの原稿を書いた時の題名は、「『放射線管理区域』にあたる土壌の上の空間線量は0.13マイクロシーベルト/時」でした。これを「『放射線管理区域』にあたる土壌の上の空間線量は0.14マイクロシーベルト/時【改題】」に改題します。チェルノブイリ原発の最大の被災地のベラルーシ、ウクライナ、ロシアでの「放射線管理区域」は3.7万ベクレル/m2以上。日本での放射線管理区域の規定は4万ベクレル/m2です。2013年9月5日当初は、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの3.7万ベクレル/m2 セシウム137がある場合に、その地上1mでの空間線量率は0.13マイクロシーベルト/時、と書きました。  現在の日本では、放射線管理区域の規定があってもまるでないかのような、除染や放射能汚染された地域での教育活動や人々の生活が行われています。本来、放射線管理区域は必要があって入る人(X線の放射線技師や原発労働者)が働く場所であり、そこで人間が住むことは想定されていませんでした。当然、18歳未満は立ち入り禁止ですし、飲食禁止、その「管理区域」から出る場合はハンドモニタやホールボディーカウンターなど、体の表面が汚染されていないか、内部被ばくしていないか、スクリーニング検査を受けないと、作業現場を出ることができない場所です。この放射線管理区域の規定は4つありますが、その1つである「3ヶ月で1.3ミリシーベルト(年間5.2ミリシーベルト)」の規定から単純に、1.3ミリシーベルト(=1300マイクロシーベルト)を3ヶ月の時間(3月×30日×24時間=2160時間)で割り、0.60マイクロシーベルト/時が「管理区域」であるとする、議論が横行しています。残念ながら、東電 福島第一原発事故からの避難者を支援する立場や、原発の再稼動に反対する立場の人からも、この空間線量0.60マイクロシーベルト/時が、放射線管理区域相当だ、という議論があります。  3ヶ月で1.3ミリシーベルトの被ばく管理は、その場所にずっと居続けることを想定したものではなく、瞬間的な被ばくを前提とした被ばく管理です。場所の管理としての放射線管理区域は以下にも紹介しているように、ガンマ線核種、ベータ線核種では4万ベクレル/m2以上。アルファ線核種では4000ベクレル/m2以上です。このガンマ線核種、ベータ線核種としてセシウム137が4万ベクレル/m2以上ある場合の、地上1mでの空間線量率は下記の河田東海夫氏の資料の kBq/m2 = 282×μSv/h から計算し、0.141マイクロシーベルト/時です。  以上の理由から、この資料では「ベラルーシ、ウクライナ、ロシアでの3.7万ベクレル/m2は空間線量率は0.13マイクロシーベルト/時」ではなく、「日本での放射線管理区域 4万ベクレル/m2は空間線量率では0.14マイクロシーベルト/時になる」という資料に変更します。 [初稿] 2013年9月5日 川根 眞也 [第1次改訂] 2018年2月4日 川根 眞也 *** *** ***  放射性物質が3.7万ベクレル/m2あるときの高さ1mでの空間放射線量率(マイクロシーベルト/時)はどれくらいなのでしょうか?  この3.7万ベクレル/m2とは、かつて使用されていた単位1キュリー/km2に相当します。チェルノブイリの被害にあった、ベラルーシやウクライナ、ロシアでは土地がセシウム137によって3.7万ベクレル/m2(1キュリー/km2)以上、汚染されていると、「放射線定期管理居住区域」または「優先的な社会的・経済的地位を有する居住地域」として、放射性物質が蓄積しやすい農作物の生産制限や、新たな住民被ばくを避けるために工場の新設禁止などの措置が取られています。 チェルノブイリ原発事故に伴う放射性物質汚染区域の地域区分 ベラルーシおよびロシア    日本における「放射線管理区域」とは表面汚染が4万ベクレル/m2以上の区域を言います。ですから、この放射性物質が3.7万ベクレル/m2とほぼ同じです。ですから、以下の放射性物質が大地に3.7万ベクレル/m2(1キュリー/km2)あるために、空間線量が最後に表示した表の右欄のような数値ある場合、日本の「放射線管理区域」に相当する可能性があると考えなくてはなりません。  放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年六月十日法律第百六十七号)  放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成十二年科学技術庁告示第五号) 最終改正 平成二十四年三月二十八日 文部科学省告示第五十九号  上記の2番目に「放射線管理区域」の規定があります。「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律による管理区域」(平成十二年科学技術庁告示第五号、最終改正 平成二十一年十月九日 文部科学省告示第百六十九号 第四条)の定める「放射線管理区域」とは4つの規定があります。1.外部被ばく線量が3カ月で1.3ミリシーベルト2.空気中の放射性物質の濃度 セシウム137の場合 3000ベクレル/m33.その場所の表面汚染度 セシウム137の場合 40000ベクレル/m24.外部被ばくと空気中の放射性物質の吸入による内部被ばくがある場合 それぞれの基準値の和が1 <4の一例> 外部被ばく3カ月で0.65ミリシーベルト、空気中のセシウム137 1500ベクレル/m3  です。  つまり、日本ではセシウム137で4万ベクレル/m2汚染された地域は放射線管理区域なのです。これはウクライナ、ベラルーシ、ロシアの「放射線管理区域」の3.7万ベクレル/m2に相当します。  以下の高さ1mでの空間線量率(自然放射線が0.04マイクロシーベルト/時とすればこれを足した値)である場合、その地域は「放射線管理区域」に相当する可能性があると考えなくてなりません。正確には土壌中を汚染している放射性物質を特定し、汚染の表面密度(ベクレル/m2)を測定する必要があります。  自然放射線が0.04マイクロシーベルト/時である場所で、セシウム137で3.7万ベクレル/m2汚染された場所では、地上1mの空間線量は0.13マイクロシーベルト/時になる、ということです。3.7万ベクレル/m2は1キュリー/km2にあたり、これはウクライナ、ベラルーシ、ロシアでの「放射線管理区域」に相当します。農作物は放射線物質の検査なしに食べてはいけない、と定められています。 放射性物質による汚染の表面密度が3.7万ベクレル/m2の場合の1mの高さでの空間線量率    【単位】マイクロシーベルト/時 放射性核種 空間線量率(マイクロシーベルト/時) Mn54(マンガン54) 0.135 Co60(コバルト60) 0.379 Zr95(ジルコニウム95) 0.118 Zr95―Nb95(ジルコニウム95―ニオブ95) 0.385 Ru103(ルテニウム103) 0.081 Ru106―Rh106(ルテニウム106―ロジウム106) 0.032 Sb125(アンチモン125) 0.073 I131(ヨウ素131) 0.063 Cs137(セシウム137) 0.093 Ba140(バリウム140) 0.032 Ba140―La140(バリウム140―ランタン140) 0.431 Ce141(セリウム141) 0.011 Ce144(セリウム144) 0.003 Ce144―Pr144(セリウム144―プラセオジム144) 0.007 【編者 注】原典では単位は照射線量率 マイクロレントゲン/時(μR/h)でした。これを空間線量率 マイクロシーベルト/時(μSv/h)に変換しました。レントゲン(照射線量)からシーベルト(実効線量)への変換は、1μR/h =0.00877μSv/hとして計算しました。日本では4万ベクレル/m2(アルファ線を出さない核種による汚染)が「放射線管理区域」にあたります。この放射性物質による汚染の表面密度が3.7万ベクレル/m2はほぼ日本の「放射線管理区域」に相当します。 【出典】チェルノブイリ救援調査団編『汚染地帯からの報告』 リベルタ出版  1991年4月26日  p.12~13 【編集】川根 眞也  また、2011年5月24日行われた第16回原子力委員会で、日本原子力発電環境整備機構(NUMO)の河田東海夫氏が、セシウム137による土地汚染(ベクレル/m2)と空間線量率との関係をグラフ化しています。チェルノブイリでの放射線管理区域37kBq/m2(3.7万ベクレル/m2)での地上1mでの空間線量は0.13マイクロシーベルト/時である、とこの資料で述べています。  場所の管理としての放射線管理区域は、ガンマ線核種、ベータ線核種では4万ベクレル/m2以上。アルファ線核種では4000ベクレル/m2以上です。このガンマ線核種、ベータ線核種としてセシウム137が4万ベクレル/m2以上ある場合の、地上1mでの空間線量率は上記の河田東海夫氏の資料の kBq/m2 = 282×μSv/h から計算し、0.141マイクロシーベルト/時です。  少なくとも、空間線量率で0.14マイクロシーベルト/時ある場所に生活したり、学校などの教育活動をするべきではありません。学校ならば廃校にすべきです。      

山梨県の学校給食、きのこ、山菜、たけのこはどのくらい放射能汚染されているか?

 いのち・むすびば山梨土壌肥料測定プロジェクトさんが、山梨県の放射能汚染の実態について、調査活動を行い、貴重なデータを公表しています。 山梨県 土壌・肥料測定プロジェクト 放射能汚染マップ いのち・むすびば作成  また、学校給食やきのこなどの農作物の放射能汚染、山梨県内外の土壌汚染の状況についても詳しいデータをまとめています。 山梨県の放射能汚染について  この取り組みにヒントを得て、山梨県の学校給食の放射能汚染の状況ときのこ、山菜、たけのこの放射能汚染の状況をまとめてみました。山梨県は学校給食の食材の先行検査(2012/5/7~2012/7/10)では放射性セシウム合計の検出限界 1ベクレル/kg前後で行い8検体から放射性物質を検出しています。しかし、その後の学校給食食材の放射性物質検査では、放射性セシウム合計の検出限界 8.9~11ベクレル/kg前後、更には放射性セシウム合計の検出限界 20ベクレル/kgとなっており、まったく意味のない検査になっています。現状では学校給食の放射能汚染の実態はわからなくなっています。  先行検査のように、放射性セシウム合計の検出限界 1ベクレル/kg前後で学校給食の植栽の検査は行うべきです。  また、野生の山菜やきのこは、その地域での放射能汚染の実態を反映しています。そして、放射能汚染の高い山菜やきのこが取れる地域の山林には立ち入るべきではないと考えます。       山梨県 土壌・肥料測定プロジェクト 放射能汚染マップ いのち・むすびば作成 山梨県 給食食材の放射性物質検査結果一覧 2012年度 山梨県 県産きのこ、山菜(野生)、たけのこの放射性物質検査結果一覧 20130715      

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