内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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内部被ばくと健康被害

0-15歳以下の小児甲状腺がんは年間6000人のでたらめー清水一雄 日本甲状腺外科学会前理事長

 2014年2月7日、第14回福島県 県民健康管理調査検討委員会が開かれ、福島の子どもたち75人が小児甲状腺がんおよび疑いと発表されました。ちなみにこの「がん疑い(悪性疑い)」とは、疑いではなくて、本来、穿刺細胞診(せんしさいぼうしん)で小児甲状腺がんと診断すべき患者をまだ手術が終わっていないので100%の信頼度で小児甲状腺がんと確定できないから、「がん疑い(悪性疑い)」とするとされている患者です。つまり、手術待ちの子どもです。  ところが、多くの新聞がこの小児甲状腺がんおよびがん疑い75名と言う数字ではなく、小児甲状腺がん確定者数33名だけを報道するようになっています。事態を矮小化する、福島県立医大の術中にはまったとしか言いようがありません。  正しく報道しているのは朝日新聞のみです。しかし、朝日では37面、毎日24面、読売31面とほとんど目につかない記事に追いやられています。唯一、東京新聞だけが2面に掲載していますが、やはり、甲状腺がん確定の子どもたちが7名増えて33名になったという報道に力点を置いてしまっています。福島県で起きている事態をマスコミが意図的に無視し始めています。  2014年2月7日の第14回福島県 県民健康管理調査検討委員会では、同委員である、日本甲状腺外科学会前理事長の清水一雄氏が、「0~15歳の小児甲状腺がんは年間6000人」という、とんでもないでたらめ発言をしています。どこの新聞もこのでたらめ発言を撤回させていません。事実は0~24歳まで範囲を拡大しても1999年から2008年までの10年間で1883人。年間188人にすぎません。0.03%が小児甲状腺がんになることは決してありませんでした。これが、日本甲状腺外科学会の前理事長の発言だというのですから、日本甲状腺外科学会のそのものの存在意義が問われる発言です。 「清水一雄(日本甲状腺外科学会前理事長):今までがんセンターから、1900何年でしたっけ、2000何年かに、ちゃんとインターネットにも出ていますけれども発表がありますけども、15歳以下は非常に少ないですね。先程、2000万の中の0.03%、6000人。これは確かにそれと比べると多いです。その時の報告と比べるとですね。ただこれは癌センターから、癌研からのデータですね、それは全員比較して調べた結果ではなくて、発症して初めて病気だと分かって患者さんの手術をしたということですね。診断できたという事で。今回のは全員調べています。ふつう病気じゃない方ですね、全員の検査をした中の0.03%ですので、これはあの、ちょっとそのデータとも比較できないし、これから検証しなくてはならないと思います。」 ー<甲状腺がん悪性・悪性疑い74人>「想定される範囲だろう」と言えると思います。〜福島健康調査記者会見全て文字起こし2/7 ブログ みんな楽しくHappy♡がいい♪さんより  福島県立医大は正式に謝罪と訂正会見を行うべきです。また、福島県は責任をもって、子どもたちの健康を管理できるよう、根本的にこの甲状腺エコー検査、診断と治療体制の見直しを行うべきです。          

東京第一原発 核燃料デブリの放射性核種 スリーマイル島原発事故から

 東京第一原発から漏れ出る汚染水は、たんに原子炉建屋に溜っている放射性物質が地下水に混じり、流出しているだけのではなく、ぼろぼろになっている圧力容器、格納容器にじゃぶじゃぶ注いでいる冷却水が、圧力容器、格納容器からもどんどん漏れており、その量が1~3号機だけで1日424.8トンにもなっていたことを東京電力が認めました。(2014年1月30日 東京電力) 『海に流出するトリチウム、ストロンチウム90ー原子炉の冷却水がだだ漏れ 』  日本原子力学会の機関紙 ATOMOΣ 2012年11月号にアメリカ、スリーマイル島原発事故(1979年3月28日)に起きたメルトダウンの際の、核燃料デブリの分析の論文が掲載されています。  そこにはスリーマイル島原発2号機の核燃料が、いったんメルトダウンし、その下に自らが作った溶融プールや下部ヘッド上で固体となった核燃料デブリにはストロンチウム90が約90~100%残っていた、と書かれています。  現在、東京第一原発の1~3号機では、この核燃料デブリと冷却水とが直接触れ合い、汚染水となって大事に、海に流れているのだと思います。汚染水に高濃度のストロンチウム90が含まれているのは当然のことだと思います。  東京電力は、核燃料デブリの中に含まれる核種の推定と、その核種がどれくらいの濃度で汚染水に溶けだしているのかを明らかにすべきです。 日本原子力学会誌 ATOMOΣ 2012年11月号 pp.29~33 日本原子力学会誌 ATOMOΣ pp.29~33 2012年11月 『シビアアクシデント時に溶融した燃料の形態と特性 TMI-2炉心から採取したデブリに対する試験の結果から』日本原子力研究開発機構 永瀬文久  セシウム(Cs)は揮発性が高く、また半減期が比較的短く収率(核分裂1回あたりに生成する割合)が高く環境への影響が大きいため、そのシビアアクシデント時の挙動が注目される。上部炉心から採取されたTMI-2(スリーマイル島原発2号機)デブリ中のCs残留割合は、比較的大きく数%から50%、平均で17%であった。炉心上部では事故時の温度が比較的低く、溶融せずに破砕、落下した燃料ペレット破片が含まれていることを反映していると考えられる。これに対して、一旦溶融し溶融プールや下部ヘッド上で固化したデブリ中のCs残量割合は平均で5%程度であり、1%以下のデブリも少なくない。この測定結果は、燃料ペレットが溶融した場合にはほとんどのCsが放出されることを示しており、実験的に調べられた燃料からのCs放出挙動に関する知見(注1)と一致する。  日本原子力研究開発機構におけるガンマ線分析は事故から15年後に行われたために、Cs-134、Cs-137、Eu-154、Co-60以外の核種の放射能は低く検出限界以下であった。一方、アイダホ国立研究所(INEL)等で行われた測定では他の核種についてもデータが取得されている。それによれば、一旦溶融し下部ヘッド上で固化したデブリにおけるSr-90、Ru-106、Sb-125、I-129、Ce-144、Eu-154の残存率はそれぞれ、約90~100%、3~10%、3~10%、0~11%、90~100%、65~80%であった。  

日本政府に小児甲状腺がんの子どもたちを救うことを求める声明

 以下の声明を12月4日福島集団疎開裁判の席上で発表しました。野呂美加さんと川根がまとめました。2013年12月31日未明までで810名の方に賛同いただきました。  井戸川克隆元双葉町町長、ふくしま集団疎開裁判の会、津田敏秀さん、広瀬隆さん、藤波心ちゃん、小野俊一さん、森住卓さん、鎌仲ひとみさん、肥田舜太郎さん、湯川れい子さんにも賛同いただきました。以下、pdfをご活用下さい。各都道府県、各市町村自治体で意見書決議をあげていきましょう。 日本政府に小児甲状腺がんの子どもたちを救うことを求める声明 2014年1月1日 賛同人810名 日本政府に小児甲状腺がんの子どもたちを救うことを求める声明 ・日本政府は福島の小児甲状腺がんの子どもたちのスクリーニング検査を国の責任を持って行え。・福島県のみならず東日本の子どもたちの甲状腺超音波検査を行え。・手術を受けた子どもたちと保護者に将来のリスクを説明し、子どもたちの心理面でのサポート体制を構築し、生涯にわたる医療保障を行え。・医師だけでなく、疫学者、児童心理学者、公害問題を追求する環境学者も含めた専門家の調査・研究組織を設立し、現在起きている事態の分析と今後起きうる健康被害の予想を行わせ、提言を行わせよ。 1.福島で小児甲状腺がんおよびがん疑い58人……通常の145倍 2013年11月12日、福島県の第13回県民健康管理調査検討委員会は、福島県の子どもたち58名が小児甲状腺がんおよび疑いであると発表しました。原発から20km圏内および計画的避難準備区域の子どもたちのみならず、福島市で小児甲状腺がんおよびがん疑いが12人、郡山市で16人など、空間線量が1~2マイクロシーベルト/時と高かった地域での発症が明らかになっています。 もし、2次検査対象者の子どもたちが全員2次検査を受けたとして、小児甲状腺がんおよびがん疑いの発生がそれぞれの2次検査対象者に対する小児甲状腺がんおよびがん疑いの割合が同じだとすると、今回11月12日の発表での小児甲状腺がんおよびがん疑いの発症率は10万人あたり28.9人になります。<参考1 参照>福島県立医大の鈴木眞一教授はこれまで日本の小児甲状腺がんの発症率は10万人あたり0.1人か0.2人であると語ってきました。これから比べると、現時点での福島の子どもたちの小児甲状腺がんの発症率は145倍にもなります。 鈴木眞一氏や山下俊一氏はこれまで、福島の子どもたちの小児甲状腺がんは大規模なスクリーニング検査の結果、わかった潜在がんを先取りしたものであり、放射性物質の影響とは考えにくいと主張してきました。しかし、小児甲状腺がんの有病期間を考慮しても、今回の福島の子どもたちの小児甲状腺がんの発症率は全国発生率を100万人に5人とした場合の7.97倍~61.95倍です。(参考3 津田敏秀氏 2013年11月12日福島県県民健康管理調査検討委員会発表分データ-甲状腺検診分のまとめ-) ベラルーシと比べて福島県などの人口密度の高さを考えると、100人、200人の規模ではなく、1000人の規模で小児甲状腺がんの子どもたちが出る危険性もあります。現在の医療体制では手術すら受けられない子どもたちが出る可能性があります。 福島県の第13回 県民健康管理調査検討委員会の「『甲状腺検査』の実施状況について 2013年11月12日」を丁寧に分析すると、平成23年度の子どもたちからは10万人あたり38.6人の甲状腺がん、平成24年度の子どもたちからは10万あたり44.7人の甲状腺がんの子どもたちが出る可能性があります。(参考4 一次検査結果判定数および一次検査対象数、二次検査結果確定数および二次検査対象数から考えた推定発症数と10万人あたりの推定有病率 2013年11月12日段階)1999~2008年までの10年間の日本の0~24歳までの甲状腺がんの10万人あたりの発症率は0.58人です。平成23年度の子どもたちの推定有病率10万人あたり38.6人は、原発事故以前の10万人あたり0.58人の実に67倍、平成24年度の子どもたちの推定有病率10万人あたり44.7人は、原発事故以前の10万人あたり0.58人の実に77倍になります。(参考5 国立がん研究センターがん対策情報センター 甲状腺がん罹患率データより) 2.放射性ヨウ素を呼吸で摂取した可能性のある、東日本全域の子どもたちの甲状腺検査の実施を! ヨウ素131などの放射性ヨウ素が襲ったのは、何も福島県だけでありません。ヨウ素131の湿性および乾性沈着量が福島県に次いで多かったのは茨城県です。以下、栃木県、宮城県、埼玉県、東京都、群馬県、山形県、千葉県、神奈川県、静岡県、岩手県、山梨県、新潟県、長野県、秋田県です。(参考2 国立環境研究所 シュミレーションデータより 2011年8月11日)福島県だけでなく、広く東日本全域に甲状腺がんを発症する子どもたちがでる危険性があります。日本政府の責任で東日本の子どもたちの甲状腺スクリーニング検査を実施し、甲状腺がんと甲状腺機能異常の診断を行うべきです。 3.がんを切ったら「治った」のではない。将来にわたる健康リスクのていねいな説明と子どもの心理面でのサポートを! 第13回の県民健康管理調査検討委員会の記者会見の席上で、「甲状腺がんがリンパ節に転移をしていた子どもはいるのか」の記者からの質問に対して、福島県立医大の鈴木眞一氏は明確な説明を避けていました。しかし、福島の子どもたちには、甲状腺がんがリンパ節に転移し、半分または全部のリンパ節を摘出した子どもたちが複数います。ベラルーシの医師に「甲状腺がんが肺に転移をした場合はどうなるのか?」と質問したところ、ある医師の1人は「がんが肺に転移し、血を吐いた場合は助からない」と教えてくれました。 その一方で、福島県立医大の医師たちは、小児甲状腺がんの手術を受けた子どもたちに、どのくらいの大きさの結節がどこにあったのか、再発の危険性はあるのか、など患者として当然知らされるべきことを一切伝えていません。「がんを取ったら治った」などと医師が無責任な説明をするケースもあります。甲状腺の郭清を行った人は甲状腺の機能を薬物により一生おぎなわなければなりません。また、甲状腺がんが遠隔転移した場合、手術で取りきれない甲状腺の細胞を殺すための放射性ヨウ素治療も受けなくてはなりません。 また、甲状腺超音波検査でA2判定(5.0mm以下の結節または20.0mm以下ののう胞)などの子どもが他の病院にセカンドオピニオンを求めようにも、福島県立医大以外の病院での診断を認めない通達が出ており、福島県外に出ないと甲状腺検査を受けられない事態となっています。これらは医師の倫理規定違反ではないでしょうか。 4.国が責任をもって健康管理調査を行え!医師だけではなく、疫学者、児童心理学者、公害問題を追及してきた環境学者などの総力を集めた調査・研究組織を作り、スクリーニング検査や診断と治療体制について提言を! そもそも、この県民健康管理調査は福島県立医大の委託事業となっており、日本政府が責任を持っていません。一医大に責任をまかせるのではなく、日本政府が責任を持って、子どもたちの甲状腺のスクリーニングおよび甲状腺機能異常の検査を行うべきです。生涯にわたる定期的な健康診断を無償で行うべきです。 また、今回のような原発事故による大量の放射性物質を内部被ばくしたことによる、健康被害は、日本ではいまだかつて起きたことがない事例であり、これまでの日本の医学の常識では到底通用しない症例が次々と出てくることが考えられます。医師だけで検討委員会を作るのではなく、疫学者、児童心理学者、公害問題を追及してきた環境学者などの総力を集めた調査・研究組織を作り、甲状腺および諸器官の超音波検査、血液検査、心電図検査などによる各器官の機能異常の診断と治療体制について提言させるべきです。 ベラルーシでは、病状を示す子どもたちが多発した場合に、その地域の土壌や事故当時の環境がどうであったかを調べ、場合によってはその村を閉鎖する決定を行っています。 今回11月12日に発表された小児甲状腺がんおよびがん疑いの人数を市町村別に10万人あたりの罹患率を出した場合、人数が少ないため信頼性が低い数値とは言え、異常に多発している市町村があります。川内村10万人あたり370人、大玉村10万人あたり150人、川俣村10万人あたり90人、二本松市10万人あたり60人、本宮市10万人あたり60人、田村市10万人あたり50人、大熊町10万人あたり50人、富岡町10万人あたり50人です。こうした異常に多発している市町村や、小児甲状腺がんの患者が出た小中高等学校の周辺の土壌や事故当時の環境を早急に調べるべきです。 5.小児甲状腺がんを罹患した子どもたちの生涯にわたる医療保障と心理面でのサポートを! また、がんを切ってリンパ節を郭清してお終いではなく、子どもの心理面でのケアを十分する必要があります。小児甲状腺がんに罹った子どもたちは、将来にわたる不安を抱え、就職差別や結婚差別と闘っていかなくてはならないのです。周囲の理解とサポート体制を早急に構築することが必要です。子どもたちを孤立させ、自死に追いやるようなことがあってはなりません。また、福島県では18歳までは医療費が無料となりましたが、19歳になれば、自費で甲状腺ホルモン剤を買わなくてはなりません。毎年1回の健診も是非とも必要です。こうした将来にわたる医療費は全額、国が負担すべきです。 手術を受けた子どもたちと保護者に将来のリスクを説明し、子どもたちの心理面でのサポート体制を構築し、生涯にわたる医療保障を行うことを強く求めます。 <参考1> 甲状腺の結節が5.1mm以上またはのう胞が20.1mm以上のB判定、甲状腺が明らかに異常であるC判定の子どもたちが2次検査対象者となります。2013年9月30日現在、その2次検査対象者すべての検査が終わったわけではありません。① 大熊町、双葉町、飯舘村、南相馬市など原発から20km圏内および計画的避難準備区域の子どもたち41,493人中、2次検査対象者は216人、2次検査実施者は188人で、あと28人はまだ2次検査を受けていません。② 福島市や郡山市など先の区域以外の子どもたち138,865人中、2次検査対象者は971人、2次検査実施者は839人と、あと132人は2次検査を受けていません。③ 平成25年度からの検査を受けているいわき市、須賀川市、相馬市などの市町村の子どもたち58,427人中、2次検査対象者372人、2次検査実施者121人、あと251人は2次検査を受けていません。 それぞれ ① 原発から20km圏内および計画的避難準備区域の子どもたち からは小児甲状腺がんおよびがん疑いが13人、② 先の区域以外の子どもたち からは小児甲状腺がんおよびがん疑いが44人、③ 平成25年度からの検査を受けている子どもたち からは小児甲状腺がんおよびがん疑いが1人でています。 もし、2次検査対象者の子どもたちが全員2次検査を受けたとして、小児甲状腺がんおよびがん疑いの発生がそれぞれの2次検査対象者に対する小児甲状腺がんおよびがん疑いが割合と同じと仮定すると、それぞれの小児甲状腺がんおよびがん疑いの推定人数は、① 原発から20km圏内および計画的避難準備区域の子どもたち 14.9人 ② 先の区域以外の子どもたち 50.9人 ③ 平成25年度からの検査を受けている子どもたち 3.1人、合計68.9人です。①~③の1次検査を受けた子どもたちの人数が23万8785人ですから、今回11月12日の発表での小児甲状腺がんおよびがん疑いの発症率は10万人あたり28.9人になります。福島県立医大の鈴木眞一教授はこれまで日本の小児甲状腺がんの発症率は10万人あたり0.1人か0.2人であると語ってきました。これから比べると、福島の子どもたちの小児甲状腺がんの発症率は145倍にもなります。 <参考2> 独立行政法人国立環境研究所 地域環境研究センター大原利眞氏、森野悠氏『東京電力福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の大気中での挙動に関するシミュレーションの結果について』2011年8月25日   <参考3>津田敏秀氏 2013年11月12日福島県県民健康管理調査検討委員会発表分データ-甲状腺検診分のまとめ- ① 最も近い市町村(平成23年度分) 二次検診受診割合87.0%           全国発生率を100万人に5人とした場合  100万人に11人とした場合             発生率比(95%信頼区間)        発生率比(95%信頼区間)平均有病期間2年     31.33 (17.58-53.80)        14.24 (7.99-24.45)平均有病期間4年     15.67 (8.79-26.90)         7.12 (4.00-12.23)平均有病期間6年     10.44 (5.86-17.93)         4.75 (2.66-8.15) ② 中通り北地域(平成24年度分:福島市・桑折町・国見町) 二次検診受診割合91.4%           全国発生率を100万人に5人とした場合  100万人に11人とした場合              発生率比(95%信頼区間)       発生率比(95%信頼区間)平均有病期間2年      23.90 (13.32-41.52)        10.86 (6.05-18.87)平均有病期間4年      11.95 (6.66-20.76)         5.43 (3.03-9.44)平均有病期間6年       7.97 (4.44-13.84)        3.62 (2.02-6.29) ③ 中通り中地域(平成24年度分:二本松市・本宮市・大玉村・三春市)二次検診受診割合89.4%           全国発生率を100万人に5人とした場合  100万人に11人とした場合              発生率比(95%信頼区間)       発生率比(95%信頼区間)平均有病期間2年     61.95 (32.42-111.60)       28.16 (14.74-50.73)平均有病期間4年     30.98 (16.21-55.80)        14.08 (7.37-25.36)平均有病期間6年     20.65 (10.81-37.20)        9.39 (4.91-16.91) ④郡山市(平成24年度分) 二次検診受診割合82.3%           全国発生率を100万人に5人とした場合  100万人に11人とした場合              発生率比(95%信頼区間)       発生率比(95%信頼区間)平均有病期間2年     29.72 (17.83-48.02)        13.51 (8.10-21.83)平均有病期間4年     14.86 (8.91-24.01)         6.75 (4.05-10.91)平均有病期間6年      9.91 (5.94-16.01)         4.50 (2.70-7.28) ⑤ 中通り南地域(平成24年度分:白河市・天栄村・西郷村・泉崎村) 二次検診受診割合87.5%           全国発生率を100万人に5人とした場合 100万人に11人とした場合              発生率比(95%信頼区間)       発生率比(95%信頼区間)平均有病期間2年     29.90 (11.78-70.56)        13.59 (5.35-32.07)平均有病期間4年     14.95 (5.89-35.28)         6.80 (2.68-16.04)平均有病期間6年      9.97 (3.93-23.52)         4.53 (1.78-10.69)※ 検診により発見されたがん症例の割合は厳密に言うと有病割合なので、平均有病期間によって発生率は異なる。平均有病期間を2年、4年、および6年とし、2つの全国発生率と比較して発生率比を推定した。津田敏秀氏 <参考4>一次検査結果判定数および検査対象者総数、二次検査結果確定数および二次検査対象数から考えた推定発症数と10万人あたりの推定有病者 2013年11月12日段階 <参考5>国立がん研究センターがん対策情報センター 甲状腺がんの10万人あたりの罹患率 1999-2008年10年間の平均1999-2008年の日本における甲状腺がん罹患率 10万人あたり 【単位】人/10万人1999-2008 男  0-19歳     0.12 人/10万人( 10年間  甲状腺がん罹患者 [...]

原発事故前から降ってきていた放射性物質(天然核種)とは何か?

 原発事故前から降ってきていた放射性物質(天然核種)とは何か?  日本国際問題研究所 軍縮・不拡散促進センターが2012年5月21日に公表した「CTBT高崎放射性核種観測所の粒子状放射性核種の観測結果」によれば、群馬県高崎市にあるCTBT高崎放射性核種観測所で空気を分析すると、以下の放射性物質が、原発事故以前から観測されていました。  これらは、東京第一原発事故以前から降下していた放射性物質(天然核種)であると考えてよい、と思います。  それは、宇宙線起源核種の7Be(ベリリウム-7)、原始放射性核種の40K(カリウム-40)、ウラン系列核種の214Pb(鉛-214)、214Bi(ビスマス-214)、226Ra(ラジウム-226)、234mPa(プルトアクチニウム-234m、トリウム系列核種の208Tl(タリウム-208)、212Pb(鉛-212)、212Bi(ビスマス-212)、228Ac(アクチニウム-228、そしてアクチニウム系列核種の235U(ウラン-235)です。〔日本国際問題研究所 軍縮・不拡散促進センターの分析による〕 出典:CTBT高崎放射性核種観測所の粒子状放射性核種の観測結果 20120521  以下のその天然核種のスペクトル(上の黒)と東京第一原発事故によって放出された人工核種セシウム134、137のスペクトル(下の赤)を掲載します。  以上のように2013年12月27日に書きましたが、どうもウラン235が天然核種というのが納得がいきません。そんなにウラン235が日常普段に大気中に舞っていて、検出されるものなのでしょうか?Ra226とごっちゃにされていることが大きなる疑問。CTBT高崎ではU235とRa226とを判別できないのでしょうか?上の黒のスペクトルでは186 keV(キロ エレクトロン ボルト)のところにU235+Ra226と書いてあります。これら2つを判別しないで両方ともあるものとする、という意味です。 表1 Ra-226とU-235の核データ       エネルギー                エネルギー       (放出比%)               (放出比%) Ra-226  186keV(3.3%)     U-235    144 keV(11 %)                            163 keV(4.7%)                            186 keV(54 %)                            205 keV(4.7%)  『低バックグラウンド型Ge半導体検出器を用いた土壌中のU-238,Ra-226同時迅速分析法』(岡山県環境保健センター年報 30,67-71,2006 道広憲秀 宮闢 清 清水光郎 信森達也〔放射能科〕)の資料を読むと、「U-235には,144keVに単独ピークがあるのでこれを用いて,妨害補正を行なった」とあります。(上記の表1も同資料より)CTBT高崎のスペクトルデータの記載にある144keV付近の分析をすれば、簡単にわかることではないのでしょうか?……2013年12月30日 追記  また、高崎CTBTの下の赤のスペクトルは原発事故後1年2カ月も経った、2012年5月5日から5月6日に捕集された試料のものです。原発事故が起きた2011年3月のスペクトルはとんでもないものであったと想像されます。少なくとも、空気から高崎観測所で観測された放射性物質は、セシウム134、セシウム136、セシウム137、ヨウ素131、ヨウ素132、バリウム140、ランタン140、テクネチウム99m、テルル129、テルル129m、テルル132です。これらのスペクトルデータも公開するべきです。  以下は日本国際問題研究所 軍縮・不拡散促進センターが2011年4月23日直後に公表した「高崎に設置されたCTBT高崎放射核種観測所における放射性核種探知状況(2011年4月23日時点)」のデータです。これらのスペクトル・データを公表してほしいと思います。言葉にならないものだと思います。  また、アメリカ合衆国エネルギー省 国家核安全保障局(DOE/NNSA)の福島第一原子力発電所事故による土壌調査では、ガンマ線を出さないストロンチウム89、ストロンチウム90、ウラン232、ウラン233/234、ウラン235、ウラン238、プルトニウム236、プルトニウム239/240、プルトニウム241などが検出されています。 【出典】アメリカ合衆国エネルギー省 国家核安全保障局  US DOE/NNSA RESPONSE TO 2011 FUKUSHIMA INCIDENT- DATA AND DOCUMENTATION FieldSampleSoilResults.csv  日本政府は2011年3月、4月、5月の空気に、こうしたベータ線核種、アルファ線核種がどれくらい含まれていたかを公表すべきです。  <アメリカ合衆国エネルギー省 国家核安全保障局(DOE/NNSA)>2011年3月12日直後から、福島県のみならず、米軍の活動範囲で土壌採取、ガンマ線核種のみならず、ベータ線核種、アルファ線核種を測定して公表しています。以下のDOE/NNSAが測定した土壌中のウラン232のデータを掲載します。神奈川県横須賀市米軍海軍基地内、静岡県御殿場市米軍キャンプ富士、福島県いわき市小名浜港、福島県楢葉町Jビレッジ、宮城県仙台空港でウラン232が72.16ベクレル/kg~73.61ベクレル/kg。 <ウラン232とは>通常の軽水炉で使用されている濃縮ウランは、天然ウランを濃縮することにより得られるため、ウランの組成はウラン238、ウラン235と微量のウラン234で構成されています。このウラン燃料を原子炉内で燃焼させた場合、燃焼につれてウラン232、ウラン236などの核種が生成されます。また、ウラン234の含有量が増加します。これらの核種の生成は、炉内での燃料の出力および燃焼度の履歴によって影響を受けるため、再処理される使用済燃料の出力、燃焼度の履歴の違いにより、得られる回収ウランの組成にばらつきが生じます。  ウラン232は、天然ウランには含まれない核種で、半減期が短く(68.9年)、娘核種として高放射線核種(タリウム208、ビスマス232)を生成するため、回収ウランの線量率を上昇させます。 <米軍 宮城県仙台空港に拠点 2011年3月30日>大津波が直撃し土砂やがれき、車などが押し寄せて空港の機能が停止した仙台空港。地震­から20日近くがたち、がれきや車両の撤去も進み、空港の機能復旧は急ピッチで進んで­いる。これは数多くの重機を運び込んで作業にあたった在日米軍のおかげである。そのため滑走­路の供用も早まり、仙台空港を物資輸送の拠点にすることができた。3月29日に撮影した仙台空港。在日米軍の撤去作業により車や瓦礫は片付けられていた­。      

もう原発からは放射能はでていないの? 原子力規制委員会 定時降下物のデータから

 原子力規制委員会は毎月末、1ヶ月前の放射性セシウム134,137の定時降下物の月間降下物量を0.01ベクレル/m2の単位まで測定し、公表しています。ちなみに、原子力規制委員会の定時降下物の単位はMBq/km2(メガベクレル/km2)です。M(メガ)は10の6乗、1km2をm2になおすと、1km2=10の6乗 m2ですから、MBq/km2(メガベクレル/km2)は   1 MBq/km2= 1 Bq/m2  とベクレル/m2と同じ意味になります。 『原子力規制委員会 放射線モニタリング 都道府県別環境放射能水準調査結果 定時降下物のモニタリング』  この資料および東京電力の資料をもとに、もう原発から放射能はでていないのか、考えてみましょう。福島県ではもちろん、関東地方でもふとんや洗濯物を外に干すのはだめです。 もう原発から放射能はでていないの? 20131218

福島からのセシウム137の総放出量の推計値 大気圏内へ15-20PBq 海へ3.5PBq

 気象研究所 青山道夫氏、電力中央研究所環境科学研究所 津旨大輔氏らが“North Pacific distribution and budget of radiocesium released by the 2011 Fukushima nuclear accident”と題した報告の中で、東京第一原発から放出されたセシウム137の総放出量の推計値を発表しています。2012年。  その中で、これまでのアメリカ、ソ連、中国、フランス、イギリスなどが行った核実験による北太平洋へのセシウム137のフォールアウトを69PBq(ペタベクレル=1015ベクレル)としています。チェルノブイリ事故での地球規模でのセシウム137の放出量を60PBq(1回1基の原発事故で、1945年~現在まで行われている約2000回の核実験によるフォールアウトに匹敵!)。チェルノブイリ事故での海洋へのセシウム137の放出量を15-20PBqとしています。  そして、今回の東京第一原発事故により大気圏内に放出されたセシウム134およびセシウム137の推計値を15-20PBq、海洋に直接放出されたセシウム134およびセシウム137を3.5PBqとしています。これまでの核実験とチェルノブイリ事故によって北太平洋に蓄積されたセシウム137の量を22~27%引き上げることになった、と発表しています。  また、東京第一原発事故により放出されたセシウム134およびセシウム137の陸上への蓄積量の推定値は3.4~6.2PBq。東京第一原発事故により大気圏内に放出されたセシウム134およびセシウム137の推計値を15-20PBqとしています。これまでの核実験およびチェルノブイリ事故によって大気中に蓄積しているセシウム137を23~33%増加させることになった、と発表しています。 North Pacific distribution and budget of radiocesium released by the 2011 Fukushima nuclear accident 青山道夫 2012  

福島の子どもたちの甲状腺がんは放射性物質誘発がん

 ベラルーシ共和国ゴメリにおける小児甲状腺がん登録 年次別 事故当時年代別 山下俊一氏 2000年    第13回県民健康管理調査検討委員会(2013年11月12日)が福島の子どもたち58名が小児甲状腺がんおよびがん疑いと発表しました。その中で、福島県立医科大学 鈴木眞一教授はチェルノブイリでの小児甲状腺がんの発症年齢のピークは0から5歳(事故当時)、今回の福島の小児甲状腺がんの患者の事故当時の平均年齢は16.8歳。だから福島の子どもたちの小児甲状腺がんは放射線の影響ではない、と説明しています。  しかし、長崎県立医科大学で福島県放射線健康リスク管理アドバイザーであった、更に、今年2月までこの県民健康管理調査検討委員会の座長をつとめていた、山下俊一氏は2000年「被爆体験をふまえた我が国の役割-唯一の原子爆弾被災医科大学から国際被ばく者医療協力-」題した論文の中で、「ベラルーシ共和国ゴメリ州における年次別 事故当時年齢別 推移」の小児甲状腺がん登録数を発表しています。  これを見ると、チェルノブイリ原発事故が起きた1986年に小児甲状腺がんを発症し登録されたのは事故当時13歳の子ども。事故翌年に登録された子どもは事故当時11歳、12歳、14歳、16歳の子どもです。  事故から3年目に初めて事故当時0~5歳の子どもが小児甲状腺がんと登録されます。事故当時1歳、5歳の子ども。そして14歳、15歳、16歳の子どもです。  事故から5年目以降は小児甲状腺がんの子どもたちが爆発的に増加し、また、事故当時0~5歳の子どもたちの割合が増えてきます。  今回の福島での小児甲状腺がんの発症年齢は、チェルノブイリ事故とまったく同じ経過を辿っているのではないでしょうか。  福島でも0~5歳の子どもは穿刺細胞診をやろうにもじっとしていることができず、かといって全身麻酔をかけることもリスクとの関係でなかなかできない、という実態があるようです。  ですから、事故当時0~5歳の子どもが甲状腺がんにかかっているかどうかはもっと大きくなって穿刺細胞診が受けられるようになってからです。  しかし、2013年3月にベラルーシを医療現場で研修を受けた際、ベラルーシの医師は、小さな結節3~4mmでも結節の形状から悪性である疑いがある場合は穿刺を行う。小さな子どもでも3~4人大人が押さえつけてでも穿刺を行う。全身麻酔を使うこともある、とベラルーシの医師は語りました。それは子どもの小児甲状腺がんは放射性物質誘発がんであり、転移が早いからである、と。  チェルノブイリでは初期に甲状腺がんがリンパ節や肺に転移し、子どもが15人亡くなっています。自死した子どももいます。初期にはこんなに早く転移するとは思わなかったので、甲状腺を全摘出することもしなかった。しかし、この小児甲状腺がんは放射性物質誘発がんであるから転移しやすいのでベラルーシでは法律で甲状腺の全摘出、および、放射性ヨウ素治療で残った甲状腺細胞を殺すことが定められています、とベラルーシの医師は語っています。(ベラルーシ訪問 2013年3月)  また、山下俊一氏がチェルノブイリに入ったのが、1990年8月。そして「チェルノブイリ笹川医療協力プロジェクトは、1986年4月に発生したチェルノブイリ原子力発電所(原発)の事故より5年後の1991年5月にウクライナ、ベラルーシ、ロシア連邦の3共和国で、事故による放射能汚染を受けた計5地域(ウクライナ2地域、ベラルーシ2地域、ロシア連邦1地域)をセンターとして事故当時の児童を対象に検診活動を開始し、1996年4月に当初の5か年計画を終了した。」と、“チェルノブイリ笹川医療協力プロジェクト1991-1996”(山下俊一/柴田義貞/星正治/藤村欣吾/ほか)にあります。 チェルノブイリ原発事故被災児の検診成績 I および Ⅱ および Ⅲ “チェルノブイリ笹川医療協力プロジェクト1991-1996”より 山下俊一*/柴田義貞*/星正治*/藤村欣吾*/ほか**  つまり、チェルノブイリ原発事故から5年後に小児甲状腺がんが爆発的に増加したのではなく、超音波検査の機械と穿刺細胞診の技術を山下俊一氏らがウクライナ、ベラルーシ、ロシアに持ち込んだから、爆発的に“見つかった”だけではないでしょうか?すなわち、原発事故から1年~3年の間に1990年に発見された15人の10人の子ども(4歳~13歳)も小児甲状腺がんにかかっていたのではないでしょうか。  ベラルーシのゴメリ州と日本の福島との人口密度を考えると、年間1000人の小児甲状腺がんの子どもたちが出ておかしくありません。年間1000人を超える小児甲状腺がんの子どもたちがでたら、受け入れる病院もなく、子どもたちが手術とその後の放射線治療を受けることができません。 いつまでも「この小児甲状腺がんは放射線の影響ではない」などと言ってごまかしているのではなく、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアの先例に学び、早急に診断と治療のための体制を整えるべきです。 <記>2013年11月21日 川根 眞也 <追記>2014年9月5日 川根 眞也  川根は2013年3月、ベラルーシに甲状腺がんの診断および治療の実際の日本人医師向け研修を見学してきました。野呂美加さんの企画です。福島県、神奈川県、千葉県の医師も参加しました。ベラルーシの多くの医師による講義も受けてきました。その研修の内容をまとめたものがベラルーシ・プロジェクト報告(1部700円、送料込み)です。穿刺細胞診のようすや手術のようす、甲状腺がん発症の原因について、チェルノブイリと福島との比較についても書いています。注文は下記まで行うことができます。 ベラルーシプロジェクト報告書ご購入について 7月13日改訂版発行  

声明 原子力規制委員会は20ミリシーベルト/年まで住民帰還をさせる方針を撤回せよ!

<声明>原子力規制委員会は20ミリシーベルト/年まで住民帰還をさせる方針を撤回せよ!          内部被ばくを考える市民研究会第3回総会          2013年11月16日 原子力規制委員会は20ミリシーベルト/年まで住民帰還をさせる方針を撤回せよ!個人線量計で安全を守ることはできない。土地の放射能汚染濃度で居住禁止区域、農作物生産・野生食品採取禁止区域、新たな企業生産拡大禁止区域を決めよ!初期被ばくした住民を放射能汚染のない土地へ移住させよ! 1.原子力規制委員会は20ミリシーベルト/年まで住民帰還をさせる方針 原子力規制委員会は2013年11月11日『帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方―線量水準に応じた防護措置の具体化のためにー』(案)を公表しました。その中で、依然として「100ミリシーベルトまで安全論」を振りかざしています。 国際放射線防護委員会(ICRP)は1985年のパリ宣言以来、一般公衆の年間被ばく許容値を5ミリシーベルト/年から1ミリシーベルト/年と引き下げています。ところが、原子力規制委員会は同提言(案)の中で、ICRPも1ミリシーベルト/年は「放射線による被ばくにおける安全と危険の境界を表したものではない」、事故時は「公衆の被ばく線量の低減活動の目安とする線量域(1~20 ミリシーベルト/年)」の中で「社会的・経済的リスク等を考慮した上で、適切と判断される値を目標として選択し、生活を継続しつつ、長期的にこの線量域の下方を目指すことが適当である」としている、と主張しています。つまり、「社会的・経済的リスク」が優先され、その下で住民の健康被害のリスクを考えるALARA(アララ)の原則(as low as reasonably achievable “”実現可能な限り低く” という意味)を採用すべきだとしています。 提言は結論として「避難指示区域への住民の帰還にあたっては、当該地域の空間線量率から推定される年間積算線量が20 ミリシーベルト/年を下回ることは、必須の条件である」とし、20ミリシーベルト/年までは住民帰還させるべき、と主張しています。これはチェルノブイリ事故の際に旧ソ連ですら取らなかった、市民の健康被害、経済的被害を無視する、とんでもない基準です。 現行の日本の電離放射線防護規則では、原発労働者やX線技師などの放射線業務従事者の年間外部被ばくについて、5年間で100ミリシーベルト、かつ1年間で50ミリシーベルトを超えてはならない、としています。女性(妊娠の可能性がない場合)については3カ月につき5ミリシーベルトを超えてはならない。妊娠中の女性については腹部表面における等価線量が2ミリシーベルトを超えてはならない(妊娠がわかってから出産まで)、としています。つまり、妊娠している期間を考慮すると約半年で2ミリシーベルト、1年間で4ミリシーベルト/年を超えてはならない、ということです。当然のことながら、18歳未満の未成年はこのすべての規制値未満となります。 政府が住民帰還させようとする20ミリシーベルト/年とは、この放射線業務従事者の5年間で100ミリシーベルトの上限一杯に相当します。妊娠している女性の年間4ミリシーベルトの実に5倍になります。 2.個人線量計で安全を守ることはできない。 原子力規制委員会は同提言の中で、個人線量計(ガラスバッジなど)の測定結果をうけて、「空間線量率から推定される被ばく線量に比べて低い傾向ではある」として、「住民の帰還にあたって、被ばく線量については、『空間線量率から推定される被ばく線量』ではなく、個人線量計等を用いて直接実測された個々人の被ばく線量により評価することを基本とすべき」と提言しています。矢ヶ崎克馬氏が指摘しているように「空間線量のモニターはあらゆる方向からの放射線を拾うが、個人線量計は首からかけるのと背後からの放射線は減衰する。結果として線量は低くでる。実態が改善されていないのに帰還させようとしている、避難民の健康を考えているとはとても思えない」としています。(東京新聞 2013年11月13日) チェルノブイリ事故の際、旧ソ連の放射線防護委員会は放射線許容暫定基準を1986年以降制定しています。その基準は、①事故当初の空中放射線による外部被ばく ②土壌に沈着した放射性降下物による長期の外部被ばく ③放射性元素の呼吸と消化吸収による内部被ばくを考慮して、定められています。(ベラ・ベルベオーク/ロジェ・ベルベオーク『チェルノブイリの惨事』緑風出版)個人線量計で被ばく量を測り、住民帰還するかしないかを決めるなどというでたらめを旧ソ連はしていません。原子力規制委員会は放射線防護の基本方針を根本から考え直すべきです。 3.初期被ばくした住民を放射能汚染のない土地へ移住させよ! チェルノブイリ事故から5年目の1991年2月に可決されたウクライナの法律では、Ⅰ.無条件住民避難が必要な区域、Ⅱ.暫時住民避難の必要な区域、Ⅲ.放射線監視区域、Ⅳ.汚染区域 の定義を土地の汚染度で決めています。Ⅰ.無条件住民避難が必要な区域は、セシウム137の汚染が55.5万ベクレル/m2以上、ストロンチウム90が3.7万ベクレル/m2以上、プルトニウムによる汚染が3700ベクレル/m2以上です。この地域の個人被ばく量が5ミリシーベルト/年を超えるため、危険区域であり、住民の居住は不可能とされています。ここでは農作物は生産できません。農業禁止区域とされて、土地や耕作地は没収されます。旧ソ連や被災地ウクライナ、ベラルーシ、ロシアでは、こうした土地の放射能汚染濃度と住民の個人被ばく量との関係を求め、土地の汚染区分によって、無条件住民避難や暫時住民避難を決めています。(『チェルノブイリの惨事』) 旧ソ連では無条件住民避難の基準は5ミリシーベルト/年でした。日本では20ミリシーベルト/年が採用されようとしています。自民党や公明党は帰還困難区域、つまり50ミリシーベルト/年超えでも住民が帰還する意思があれば尊重するという基本方針です。(自由民主党、公明党『原子力事故災害からの復興加速化に向けて~全ては被災者と被災地の再生のために~』2013年11月8日)  セシウム137が55.5万ベクレル/m2を超える地域は日本では千葉県の我孫子市や流山市でも存在します。(常総生活協同組合 土壌沈着量測定結果)福島県内だけで、それも「帰還困難区域」の一部で住民のガラスバッジでの被ばく線量が20ミリシーベルト/年を超えた地域の住民だけに、他地域への移住を認め、国が補償するなどというでたらめを許してはなりません。個人線量計で安全を守ることはできません。空間線量から推定される数値よりも個人線量計の数値が低くでるのは、背中側からの放射線量が人体に吸収されているからです。そして、個人線量計でわかるのは被ばくした結果であり、放射線被ばくを予防することはできません。土地の放射能汚染濃度で居住禁止区域、農作物生産・野生食品採取禁止区域、新たな企業生産拡大禁止区域を決めるべきです。 チェルノブイリ事故の際、ベラルーシの科学者は国際放射線防護委員会(ICRP)の国際勧告基準年間1ミリシーベルトとは70年間での生涯被ばく量が70ミリシーベルトとなったのだと指摘しました。旧ソビエト放射線防護委員会が5ミリシーベルト/年、70年間での生涯被ばく量が350ミリシーベルトで避難か、その場で居住するかを決めるべきとしたのに対し、断固として反対しました。(『チェルノブイリの惨事』) そもそも東京第一原発から20km圏内の住民および計画的避難準備区域の住民は高濃度の放射性物質を吸入し、また、汚染された食べ物を一時的にせよ摂取しています。内部被ばくによる初期被ばくをしています。将来の健康リスクがあることは、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアの国家報告からも明らかです。初期に高い被ばくをした住民を1ミリシーベルト/年を超える地域に戻すことは健康リスクをさらに高めることになります。少なくとも、年間1ミリシーベルト(70年間での生涯被ばく量が70ミリシーベルト)を超える地域の住民を避難させるべきです。現在のベラルーシの法律では1ミリシーベルト/年を超える地域は移住権利がある地域とされています。それはセシウム137で18.5万ベクレル/m2を超える地域に相当します。 「放射能の恐ろしさや放射線被ばくの危険性に関する公的なあるいは国際的な評価は、核兵器を開発し、それを使用し、その技術を原発に拡張した人々とそれに協力した人々によって築き上げられてきた。それらの『定説』とされている考えを批判的に受け止めることができなければ、被爆国のわれわれが世界の他の国の人々よりも放射能の恐ろしさについてよく知っているなどとはとても言えない。被害をどう見るかが問題とされる事柄を、加害した側が一方的に評価するようなことが、しかもそれが科学的とされるようなことが、まかり通ってもよいのだろうか。そのような問題のある評価を基にして、現在の放射線被ばく防護の基準と法令が定められている。一般には通用しないやり方で、放射線被ばくの危険性とそれによる被害を隠し、あるいはそれらをきわめて過小に評価することによって、原子力開発は押し進められてきたのである。」(中川保雄『放射線被曝の歴史』明石書店 2011年増補版) 原子力規制委員会の住民帰還20ミリシーベルト/年の方針の撤回を強く求めます。                                                          

福島の子どもの甲状腺がんおよびがん疑い58人に

 2013年11月12日、福島県第13回県民健康調査検討委員会が開催され、福島の子どもの甲状腺がんおよびがん疑いが58名となったことが発表されました。以下のこの文章、統計では、手術の結果、良性腫瘍であった1名は含めていません。  東京新聞、朝日新聞は甲状腺がん確定が26名およびがん疑いが32名であることを詳しく報じていますが、毎日新聞、読売新聞はよく読まないとがん疑いが32名(朝日は良性腫瘍の1人も含め33名と報道)であるかはわかりません。  そもそも、がん疑いは非常にがんである可能性が高く、山下俊一元県民健康調査検討委員会座長は2013年3月11日のアメリカ講演で、小児甲状腺がん3名だけでなく、がん疑い7名も含めて10名が「小児甲状腺がん」であるとして、統計をアメリカ放射線防護委員会(NRCP)で発表しています。 『山下俊一氏アメリカNCRP講演「福島では10人が小児甲状腺がん」 2013年3月11日』 http://www.radiationexposuresociety.com/archives/2649  新聞各紙は小児甲状腺がん、および、がん疑いの合計の人数で記事を書くべきです。実態が矮小化されて読者に刷り込まれる危険があるからです。                                      今回11月12日の発表では、20km圏内および計画的避難準備区域の子どもたちの甲状腺がんおよびがん疑いの合計の人数は13名と変わらなかったのですが、小児甲状腺がんと確定した人数は8月20日発表9人が今回11月12日発表では10人に増えています。  急激に小児甲状腺がんおよびがん疑いが増えているのは「20km圏内および計画的避難準備区域 以外の市町村」です。以下、増加している市町村のみその人数を掲載します。すべての市町村については下記の統計をご覧下さい。          2013年8月20日発表    2013年11月12日発表   福島市          11人      12人         1人増  二本松市          4人        5人         1人増  大玉村           1人        2人         1人増  郡山市           8人      16人         8人増  白河市           2人        4人         2人増  三春町           0人        1人         1人増  いわき市           ー         1人         1人増  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  すべての市町村合計 30人      45人                         15人増       (小児甲状腺がん確定9名)(小児甲状腺がん確定16名)(同7名増)      

福島県南相馬市旧太田村2013度産米 180ベクレル/kg 2013年12月20日 と 3号機屋上がれき撤去作業

今年度産米で初の基準超え  (南相馬市旧太田村産120ベクレル/kg)   県産のコメの放射性物質の検査を行う「全袋検査」で、南相馬市の一部の農家が収穫したコメから、国の基準を超える放射性物質が検出されました。  ことし収穫したコメで基準超えが出るのは初めてで、市は、これらのコメを市場に出回らないようにし、処分するとしています。 福島県の発表によりますと、国の基準を超える放射性物質が検出されたのは、南相馬市旧太田村の農家で収獲されたコメの袋です。 「全袋検査」で今月3日、基準を超えるコメ袋が44袋みつかったため、県が精密検査をしたところ、このうちの2袋から、国の基準を20ベクレル上回る、1キログラムあたり120ベクレルの放射性セシウムが検出されたということです。 ことし収穫されたコメで国の基準を超えたのは初めてで、市は、これらのコメ袋を市場に流通しないよう隔離し、処分するとしています。 南相馬市ではことし、3年ぶりに試験的な作付けが再開され、県によりますと、この農家は、水田に放射性物質の吸収を抑える肥料をまく対策を行っていましたが、市が行う除染は終わっていなかったということです。 一方、このほかの農家については、生産計画を調査し、出荷するすべてのコメの全袋検査を行っているとして、福島県は、全袋検査を通れば出荷を認めるとしています。県水田稲作課の井上久雄課長は、「1袋も基準超えを出さないよう、対策を進めてきたが残念だ。出荷されるコメはすべて検査を通っているので、消費者には理解してもらいたい」と話しています。     2013年10月08日 19時53分NHKニュース 福島県のニュース ※ 編集者注(南相馬市旧太田村産産120ベクレル/kg)の見出しは川根が付け加えました。これ以外はNHKニュースの原文のままです。 25年産米初の基準超  県は8日、平成25年産米の全袋検査で、南相馬市旧太田村の農家が生産したひとめぼれの玄米2袋から、食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える120ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。県産米の基準値超えは今年初めて。旧太田村で生産されたコメは管理計画に基づき作付けされ、全袋検査を受けており、流通することはない。   栽培していた水田は、東京電力福島第一原発から20~30キロ圏。3日に収穫した52袋(1袋30キロ)のうち、2袋が120ベクレルだった。基準値を超えたコメは南相馬市が処分する。   昨年は県全体で約1200万袋を検査し、71袋が基準値を超えた。   2013/10/09 08:57 福島民報 福島県南相馬市旧太田村産玄米の放射性セシウム濃度(2013年10月3日採取)  厚生労働省が2013年10月8日公表した、食品中の放射性物質の検査結果について(第742報)緊急時モニタリング又は福島県の検査結果にこの福島県南相馬市旧太田村産玄米の放射性セシウム濃度のデータが掲載されていました。 http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11135000-Shokuhinanzenbu-Kanshianzenka/0000025707.pdf  このNO57からNO101までが福島県南相馬市旧太田村産玄米のデータです。ところが、先の福島民報の記事では52袋あるはずのデータが45しか掲載されていません。  52-45=7袋分のデータは闇に葬りさられたのでしょうか?NHKのニュースでも、44袋とこれまた、おかしな数字になっています。  以下は厚生労働省が公表した45袋の玄米セシウム合計のグラフです。ほぼ60~80ベクレル/kgの範囲です。   2013年10月30日公表の厚生労働省『食品中の放射性物質の検査結果について(第757報)(東京電力福島原子力発電所事故関連)』2 緊急時モニタリング又は福島県の検査結果によれば、福島県南相馬市旧太田村産の玄米259検体のうち、8検体が100ベクレル/kgを超過。最高は150ベクレル/kgが2体。そして120ベクレル/kgが1体。110ベクレル/kgが5体。100ベクレル/kgが11体ありました。政府の基準値は100ベクレル/kg超えないということですから、100ベクレル/kgの玄米11体は流通可能となります。南相馬市旧太田村は昨年度は事前出荷制限区域でした。今年度からは100ベクレル/kg超えない玄米は出荷できることになります。  福島産米ひとめぼれからまた基準超過セシウム検出出荷停止 福島県の詳細検査で判明 準汚染米は市場に流通FGW  福島県は2013月12月20日、「米の全量全袋検査における詳細検査」の結果を公表した。それによると、作付再開準備区域である南相馬市旧太田村で生産された25年産米198検体のうち、15検体(5農家分)から、食品基準値を超える110~180ベクレルの放射性セシウムを検出した。これらの汚染米は出荷停止されるが、50ベクレル~100ベクレルの”準汚染”米は、全量、市場に出荷される。    福島県はコメの全量全袋検査を実施している。ベルトコンベア式検査機器等によるスクリーニング検査でスクリーニングレベルを超過した場合、ゲルマニウム半導体検出器による詳細検査を実施する。今回の詳細検査は作付再開準備区域のコメを対象として実施した。同区域では、予め「平成25年産米に関する管理計画」を作成し、全ての稲の作付面積や米の生産量を確認したうえで、全量全袋検査を実施し、基準以下のものは出荷できることなっている。   今回、基準超過のコメが見つかったのは、南相馬市旧太田村の18戸の農家が生産したコメ計198検体を対象とした詳細検査のうち、15検体(8戸の農家)分。品種はいずれも「ひとめぼれ」。8農家のうち、2件は、これまでも基準超の汚染米を出している。  食品基準の100ベクレル以下の米は全量、出荷が認められることになっているが、今回の検査でも、じつは198検体のうち、基準以下と認定された米も大半が50~100 ベクレルで、110ベクレルで出荷停止になったコメと、10ベクレルしか違わないで出荷が認められたコメもある。コメの使用量、摂取量によっては、基準超過米と同程度の放射能を吸収することになる可能性も高いことから、”準汚染”米の安全対策を慎重にする必要がある。 (日本で唯一の「環境金融」の内外情報サイト Finance Green Watch 2013年12月21日より転載) <編集者注>南相馬市旧太田村の玄米は、120ベクレル/kg(2013年10月3日段階) →150ベクレル/kg(2013年10月22日段階) →180ベクレル/kg(2013年12月3日段階) と検出された数値が増加していきました。最初の120ベクレル/kgは全国紙各紙が報道しましたが、150ベクレル/kgは読売新聞と地元、福島民報、福島民友だけが報道。さらに、2013年12月20日の福島県の記者会見を知りながら、全国紙は各紙報道しませんでした。そして、地元、福島民報、福島民友もこの南相馬市旧太田村180ベクレル/kgの玄米について、一切報道しませんでした。  唯一、報道したのが、インターネットのサイト Finance Green Watchだけでした。実はこの日、2013年12月21日は福島県知事佐藤雄平氏も参加して、あんぽ柿の売り出しキャンペーンの初日だったのです。「もう100ベクレル/kgを超えない、あんぽ柿ができました」と。  安全なあんぽ柿というイメージを売り込むときに、南相馬市旧太田村の玄米180ベクレル/kgというニュースは邪魔だったのでしょう。こうして、福島県産野菜、果物、魚介類はもう大丈夫という「安全神話」が作られていくのです。  さらに、この南相馬市旧太田村の玄米が100ベクレル/kg超えになったのは、2013年8月の3号機建屋屋上のがれきを片付けた際に、塵が南相馬市まで飛んでいったためである、となんと1年たった2014年7月23日に公表しました。 がれき撤去作業 推計1兆ベクレル飛散 2014年7月24日東京新聞  福島第一原発のがれき撤去で飛散した放射性セシウムが2013年8月、数10キロ離れた水田のコメなどを汚染した可能性が出ている問題で、東京電力は2014年7月23日、この撤去作業で飛散した放射性物質1兆1200億ベクレルに上ったとの推計結果を明らかにした。原子力規制委員会の廃炉に関する会合で説明した。  第一原発では2013年8月中旬、作業員計12人の頭部などから相次ぎ放射性物質が検出され、敷地内で放射性物質の濃度上昇を示す警報が鳴った。  東電は3号機原子炉建屋のがれき撤去が原因とみており、免震重要棟前で観測された放射性物質濃度を基に毎時2800億ベクレルの放出が四時間続いたとして試算。平常時の放出量は毎時1000万ベクレルのため、一時間当たり2万8000倍に相当する。東電は「敷地外の汚染との関連は分からないが、がれき撤去での飛散防止対策は強化する」としている。 東京電力 福島第一原発3号機原子炉建屋上部における空気中放射性物質の核種分析結果 2013年8月23日公表。 2013年8月22日 11:35~12:05 3号機原子炉建屋上部⑤ 原子炉上西南西側(下方向)放射性セシウム 3800ベクレル/m3を検出。 東京電力 1号機建屋カバー解体・ガレキ撤去時のダスト飛散抑制対策と放射性物質濃度の監視について(平成25年8月に発生した免震重要棟前のダスト濃度上昇を踏まえた対応)2014年7月23日公表。 (1)H25年8月12日に発生した身体汚染の発生状況 13時08分頃 「当社社員10名の身体汚染を確認。Max 約19Bq/cm2(編集者注:すなわち19万ベクレル/m2,放射線管理区域4万の約5倍に相当)」 (2)H25年8月19日に発生した身体汚染の発生状況 10時20分頃 「協力社員2名の身体汚染を確認。約13Bq/cm2,約7Bq/cm2(編集者注:すなわち13万ベクレル/m2,放射線管理区域4万の約3倍超えに相当)」  本当に南相馬市は居住しても大丈夫な場所なのでしょうか?放射性セシウムだけが飛んでいったのでしょうか?プルトニウムやストロンチウム90は飛んでいかなかったのでしょうか?南相馬市の住民の健康被害が心配です。  そして、東電が3号機がれき撤去によって、放射性物質が飛散、そのために約20km離れた南相馬市のお米が100ベクレル/kg超えになったことを認めた、2014年7月23日の5ヶ月前に、農林水産省はすでに、これがすでに飛散している放射性物質が山から流れてきた落ち葉を含む水溶性の有機物のせいではなく、空から飛んできて付着した放射性物質であることを発見していました。 2014年2月14日 農林水産省 福島県 南相馬市における玄米の全袋検査結果と基準値超過の発生要因調査        この3枚のイメージングプレート(放射線があたった場所だけを黒くするために長時間感光させた画像)を見ると、2012年度産の中通りの150ベクレル/kgの玄米は根から吸い上げた放射性セシウムのせいであり、2013年度産の小高区旧太田村の玄米や稲穂が120ベクレル/kg、150ベクレル/kg、180ベクレル/kgになったのは、根から吸い上げた放射性物質のせいではなく、空から降ってきた放射性物質のせいであることがわかります。  福島県のお米 全袋検査は本当か?  福島県は福島県産のお米はすべて放射能検査を行い、検査済みのものだけを出荷しているから安全としています。内閣府も省庁の食堂での福島県産など被災地米を積極的に使うよう指示しています。 農林水産省『各府省庁の食堂・売店における「食べて応援しよう!」の取組について』  福島県産米はすべで検査済み、安全、は本当でしょうか?  まず、全袋検査を行っている機械とは以下のようなベルトコンベアー式のものです。写真は島津製作所「食品放射能検査装置 FOODSEYE」です。  この 食品放射能検査装置 FOODSEYE のプレスリリースの説明には、 「本装置はガンの検診などに用いられる医用画像診断用PET装置の技術を応用したものです。BGOシンチレータ(ゲルマニウム酸ビスマス)と光電子増倍管を組み合わせた高感度の検出器を用いると同時に、検出器の周りを鉛で遮蔽することによって、自然環境からの放射線の影響を最小限に抑えました。大量の米袋をそのままベルトコンベアーに載せて流れ作業で検査し、設定した基準値以下であるかどうかを○×表示で簡単に確認することができます。」 (2012年3月5日 島津製作所プレスリリース) 「ゲルマニウム半導体検出器で1500秒測定した値とのばらつきを計測した結果、1)平均値はゲルマニウム半導体検出器の測定値とほぼ一致 2)100回測定でも測定値の差は、最大で21Bq/kg という結果が得られました。」(2012年5月22日 島津製作所プレスリリース) 「基準値100 Bq/kgの場合は5秒測定で70 Bq/kg 、基準値50 Bq/kgの場合は15秒測定で30 Bq/kg のスクリーニングレベルを達成しています。」(2012年5月22日 島津製作所プレスリリース) と書かれています。つまり、このベルトコンベアー式の放射能測定器とゲルマニウム半導体検出器を使って1500秒(つまり25分)使った検査との誤差は±21ベクレル/kgであること、そして、5秒間測定のスクリーニングでは70ベクレル/kgを超えないことが確かに調べられる、ということです。設定された数値を超えれば×、超えなければ○という表示がでます。  2012年8月25日NHKふくしまのニュース画面です。これを見ると、設定された数値は81ベクレル/kgです。つまり、80ベクレル/kgの数値までは○という表示が出て、100ベクレル/kg以下なので「検査済み証明書」が貼られて、市場に出ている、ということです。  警戒区域、計画的避難区域のお米は2011年、2012年までは市場に出回りませんでした。しかし、2013年度米からは「100ベクレル/kgを超えないお米」は安全として市場に出されています。福島県産米の全袋検査とは70ベクレル/㎏を超えないお米をすべて○、「検査済み」とするものです。冒頭のニュースのようにスクリーニングで×となり、70ベクレル/kgを超えたことがわかったお米でもゲルマニウム半導体検出器で検査して、100ベクレル/kg以下であることがわかった場合、「出荷OK」となるのです。  先の南相馬市 旧太田村の2013年度米のデータがすべて60ベクレル/kg以上だったのは、旧太田村のお米がすべて60ベクレル/kgだったのではなく、スクリーニングでひっかかるレベルが60だったということ。つまり、1~59まではもともと、すべて○になっていた、ということです。福島県産米の全袋検査は逆に言うと、1~59ベクレル/kgまでは検査しない「全袋検査」です。  2012年度よりも、2013年度の現在の方が、深刻に汚染されているお米がコンビニ、ファミリーレストラン、外食産業で流通している可能性が高いです。  0ベクレル/kgを目指す外食産業やレストランの取り組みも始まっています。みなさんの町でも、こんなレストラン、お店があったらいいと思いませんか? 『飲食セイフティー・ネットワーク』  政府は飯舘村でも作付再開準備を始めました。100ベクレル/kg以下は安全神話のもとに市民の内部被ばくが進みます。 <追記>2014年1月11日 川根 眞也              <追記>2014年9月28日 川根 眞也 <追記>2018年6月4日  3号機屋上のがれき撤去作業で、放射能が飛び散ったのは、東電はお金をケチって飛散防止剤を100倍まで薄めたからです。業者によれば、飛散防止剤を100倍に薄めると、それは水と同じ、まったく効果がない、とのこと。2014年7月23日に発表した東電資料より。赤字はすべて編集者が付け加えたコメントです。一部、不適切な表現がありますが、ご了承願います。  東京電力にこのまま廃炉作業をまかせていいのでしょうか?まったく、非科学的で場当たり的な作業をしているように思えます。2018年4月16日から、2号機建屋の西側の壁を壊す作業が始まりました。また、4月16日には高警報レベルのダストが確認されています。しかし、東京電力は高警報すら出していません。全国紙はこの2号機の壁開け作業も、作業当日、高警報レベルのダストが観測されたことも、報道していません。5月29日の朝日新聞は壁の穴あけ作業を報じていますが、福島中央、福島会津版だけです。  廃炉作業自体も報道されず、事実として放射能が撒き散らされ、市民は知らずに被ばくする。この構造を変えなくてはなりません (飛散防止剤を100倍に薄めたら、放射能飛んじゃった 1 東京電力 2014年7月23日)  3号機屋上のがれき撤去のとき、飛散防止剤を100倍に薄めていました。1号機屋上のがれき撤去の作業ではちゃんと10倍希釈でやります。「対策を強化したら、ダストモニタ警報も出なくなりました」ー東京電力。2014年7月23日。 (飛散防止剤を100倍に薄めたら、放射能飛んじゃった 2 東京電力 2014年7月23日)  3号機屋上のがれき撤去のとき、飛散防止剤を100倍に薄めていました。1号機屋上のがれき撤去の作業ではちゃんと10倍希釈でやります。3号機屋上がれき撤去と1号機屋上がれき撤去の作業時の対策を比較 その1 ー東京電力。2014年7月23日。 (飛散防止剤を100倍に薄めたら、放射能飛んじゃった 3 東京電力 2014年7月23日)  3号機屋上のがれき撤去のとき、作業直前は何もしてませんでした。がれき撤去作業中も局所排風機も使わなかったし、散水もしてませんでした。3号機屋上がれき撤去と1号機屋上がれき撤去の作業時の対策を比較 その2 ー東京電力。2014年7月23日。 (飛散防止剤を100倍に薄めたら、放射能飛んじゃった 4 東京電力 2014年7月23日)  3号機屋上のがれき撤去のとき、オペレーションフロア(がれき撤去作業している現場)周辺には何の対策もしてませんでした。飛散防止剤も、防風シートも、バルーンも、散水設備も。3号機屋上がれき撤去と1号機屋上がれき撤去の作業時の対策を比較 その3 ー東京電力。2014年7月23日。                              

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