内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
ブログ
  • HOME »
  • ブログ »
  • 資料 »
  • 内部被ばくと健康被害

内部被ばくと健康被害

チェルノブイリ原発事故後の日本の牛乳のストロンチウム90、セシウム137による汚染 1988年

 厚生労働省が、全国47都道府県や各市町村の調べた、食品中の放射性物質の検査結果を集約して「月別検査結果」として、公表しています。 厚生労働省 食品中の放射性物質の検査 月別検査結果  この東京第一原発事故前にも、科学技術庁や文科省は、大気圏内核実験やチェルノブイリ原発事故の影響によって、どれくらい食品が放射性物質に汚染されているか、調査してきました。  しかし、その単位は現在、各自治体が調べているベクレル(Bq)の単位ではなく、ミリベクレル(mBq)の単位でです。これは0.001ベクレル/kgの単位まで測定していた、ということです。  現在のように、検出限界が<20ベクレル/kg、<50ベクレル/kgのようなでたらめの検査では、人間に対する健康影響を評価することは不可能です。  食品中の放射性物質の検査を文科省は、以前と同様なレベルでまともに検査すべきです。  1988年、チェルノブイリ原発事故2年後の牛乳がどれくらいストロンチウム90、およびセシウム137で汚染されていたかを示すデータを紹介します。  第31回環境放射能調査研究 成果論文抄録集 昭和63年度(1988年度)科学技術庁    

さつまいもの放射性物質の検査結果 厚生労働省 月別検査結果 2013年9月~2014年8月より

 ※ 文末に、資料pdfをダウンロードできるようにしました。ご自由にお使い下さい。  食品の放射能汚染の実態はどのようでしょうか?厚生労働省には、全国47都道府県各市町村自治体の行った、食品中の放射性物質の検査結果が集中して「月別検査結果」となって公表されています。以下の青が月別の検査件数で、赤がそのうち、放射性物質が検出された件数です。2013年9月は2万8553件の食品が検査され、そのうち1224件の食品から放射性物質が検出されました。ところが、2014年8月になると、2万3676件とさほど件数は変わらないのに、放射性物質が検出された食品の件数はたった622件です。  これは一体どういう訳でしょうか?食品中の放射性物質がなくなったからでしょうか?   厚生労働省 食品中の放射性物質の検査 月別検査結果  事実は、食品中の放射性物質の濃度は原発事故直後から数値は大幅に下がってはいますが、いぜんとして東北・関東の食材からは検出されます。ところが、検出限界を<50とか<25などとして、50ベクレル/kgや25ベクレル/kgを超えないと数値がでない、不検出(ND)とする自治体の検査が横行しているのです。  その中でも検出限界をセシウム134やセシウム137について0.8ベクレル/kg程度まで測定している札幌市の食品中の放射性物質の検査は特筆すべき取り組みです。福島県産のモモはもう安全と、全国各地のスーパーで売られていますが、実態はこのように2~8ベクレル/kgの放射性セシウムを含んでいるのです。                                                        厚生労働省の「食品中の放射性物質の検査について 月別検査結果」の2013年9月分~2014年8月分検査結果から、さつまいもだけを抜き出したものが以下です。依然として、東北・関東の食材が放射能汚染されている実態がわかります。ただし、ここには埼玉県やさいたま市のさつまいもがありません。埼玉県やさいたま市のさつまいもは安全なのでしょうか?    以下が、さいたま市が行っている、市内流通している農作物の放射性物質の検査結果です。2013年9月以降、さつまいもの検出限界がほとんどが<3.5~<11と高くなっていることがわかります。これでは、2.1ベクレル/kg(さいたま市産さつまいも 2012年5月17日採取)や2.4ベクレル/kg(さいたま市産さつまいも 2014年4月25日採取)は検出されないことになります。  埼玉県やさいたま市のさつまいもも、先の関東地方のさつまいもと同じ程度に放射性物質を含んでいると考えるべきです。 まさに、以下の「汚染牧草、早期に刈り取り保管 農水省が指導方針」で赤いぽちぽちに塗られた地域の農地は放射能汚染されている、と考えるべきです。 資料pdf「汚染牧草、早期に刈り取り保管 農水省が指導方針」  食品と暮らしの安全基金の小若順一氏が、ウクライナの調査で、「セシウム137 1.1ベクレル/kgで健康被害」の調査報告を行いました。 子どもの健康被害 放射性セシウム1.1ベクレル/kgから    食品の放射性物質の検査は最低でもセシウム134、137それぞれ1ベクレル/kgまで測定しないと意味はありません。  各自治体の検査、学校給食の食材の検査体制を早急に見直すべきです。 <資料編>ご自由にダウンロードしてお使い下さい。 厚生労働省 食品中の放射性物質 月別検査結果 検出数 2013年9月から2014年8月 さつまいも 厚生労働省 食品中の放射性物質 月間検査結果 2013年9月~2014年8月まとめ 札幌市 食品中における放射性物質の検査結果 20120327~20140925 さいたま市(埼玉県) 食品中の放射性物質の検査 2011年3月24日~2014年9月10日                                      

阿蘇のコシヒカリの農家さんのご紹介 2014

 阿蘇のコシヒカリ農家さんの農地土壌を採取し、阿蘇のコシヒカリの水田土壌を測定させていただきました。  ちくりん舎のゲルマニウム半導体検出器で4時間測定、セシウム134 不検出 検出限界0.91ベクレル/kg、セシウム137のみ検出 2.2±0.57ベクレル/kg検出されました。  阿蘇 水田土壌 997.2g ゲルマニウム半導体検出器 4時間測定 セシウム134 ND(<0.91) セシウム137 2.2±0.57Bq/kg 測定日 2014年6月13日  これはほぼ大気圏内核実験によって降下したセシウム137のみと考えられるほど低い汚染度であると思います。2009年平均の日本全国の土壌0~5cmのセシウム137の汚染度は下記をご覧下さい。熊本県阿蘇市西原村の土壌はセシウム137が38ベクレル/kgでした。 『かつて日本の土壌はどのくらい放射能汚染されていたか?』 http://www.radiationexposuresociety.com/archives/1520   2009年度白米および水田作土のストロンチウム90、セシウム137濃度です。文科省 第52回環境放射能調査研究 成果論文抄録集(平成21年度) p.15~16より。  かつての水田作土セシウム137は3.8ベクレル/kg(石川県金沢)~14.9(新潟県上越)ストロンチウム90は0.2(福岡県筑紫野)~1.6(新潟県上越)。  この資料から、この阿蘇の米農家さんの土壌 セシウム137 2.2ベクレル/kgの水田土壌で作られたお米からは セシウム137が0.001ベクレル/kgも含まれることはない、と考えることができます。 阿蘇のコシヒカリ栽培農家 熊本県阿蘇市農業者 田中幸博さん経営規模 水田   264アール     水稲   165アール     飼料稲    70アール飼料用とうもろこし 14アール   ねぎ     15アール(35アールは条件の良いところを借りて栽培)         合計50アール栽培繁殖牛  赤毛和種 2頭 黒毛和種 1頭を飼育   たわわに実る阿蘇のコシヒカリ 2014年9月撮影  コシヒカリの刈り取りのようす 2014年9月   このお米は、除草剤を1回だけ使用し、有機肥料で育てた、有機肥料・減農薬の特栽米です。  この阿蘇のコシヒカリを1俵(30kg入りを2つ、玄米です)、郵送料込みで24,500円で販売します。このうち、500円分は、ゲルマニウム半導体検出器で4時間測定した際の検査費用です。クール宅急便の冷蔵配達偽装問題から、宅急便代金の高騰にしているため昨年よりも高くなりました。  数量は残り6俵です。10月26日までに下記のアドレスまでお申し込み下さい。かならず、下記の内容をお書き下さい。また、同様に10月26日までに1俵あたり24,500円をお振り込み下さい。10月末日前後には発送させていただきます。振り込み先は申し込みを確認した際に改めてご案内します。 申し込みアドレス entry.naibu@gmail.com 内部被ばくを考える市民研究会事務局 申し込み内容 1.氏名2.メールアドレス3.申し込み俵数   俵(1俵あたり24,500円)4.送付先住所5.電話番号6.振り込み金額      円(1俵あたり24,500円)7.振込者名※ 申し込み者と振込者名が違う場合は必ず7番をお書き下さい。同じ場合は「1に同じ」で結構です。        

ストップ川内原発再稼働!9.28全国集会 13:00 鹿児島市天文館公園

ストップ川内原発再稼働!9.28全国集会 13:00 鹿児島市天文館公園 フクシマ、火山、地震、避難計画、核のゴミ 何も解決できてないのに原発再稼働? いざ鹿児島へ 核なき未来のために ストップ川内原発再稼働!9.28全国集会 日時 2014年9月28日(日) 集会 13:00~14:30 デモ 14:30~16:30 場所 天文館公園(鹿児島県鹿児島市千日町9-30 鹿児島市電・天文館電停近く) 主催 ストップ再稼働!3.11鹿児島集会実行委員会 協力 原発いらない!九州実行委員会 連絡先 〒892-0873 鹿児島市下田町292-1 Tel 099-248-5455/Fax 099-248-5457/Mail info@nanpou.com Schedule  9月鹿児島県議会に向けた行動 9/9 鹿児島県議会 本会議・開会 9:30より県庁前集会+傍聴 9/12,16 代表質問        9:30より県庁前集会+傍聴 9/18,19,22,24 一般質問    10:00より傍聴 9/30 原発特別委員会       9:30より県庁前集会+傍聴 10/3 本会議・閉会        9:30より県庁前集会+傍聴 <賛同金のお願い>  みなさんの賛同金で9.28集会は開催されます。 ▼郵便振替 口座記号番号 01780-7-13859 加入者名   反原発・かごしまネット ※ 通信欄に「9.28全国集会」と明記お願いします。

どんな放射性核種が危険とされているか?ICRP publication96

 福島の野良牛の体内から銀110m(Ag-110m)が検出されています。この放射性核種の危険性を指摘する声がほとんどありません。しかし、核攻撃を想定した時の公衆の放射線防護の考え方について述べた、国際放射線防護委員会(ICRP)の文書Publication 96には、銀110mは100ベクレル/kg以上出てはならない、とされています。  以下、『放射線攻撃時の被ばくに対する公衆の防護』ICRP Publication 96から、核攻撃が行われた場合に、日用品として飲食または使用する物品の放射性核種の規制濃度を紹介します。銀110mはセシウム134、セシウム137と同様に100ベクレル/kgが規制レベルです。 『放射線攻撃時の被ばくに対する公衆の防護』ICRP Publication 96  ちなみに、福島県の野良牛47頭の肝臓には、177±176ベクレル/kgの銀110mがあったことを、東北大学加齢医学研究所の福本学教授らが研究発表しています。 Distribution of Artificial Radionuclides in Abandoned Cattle in the Evacuation Zone of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant;Tomokazu Fukuda et al.2013 大量物資中の放射性核種の放射線規制(5.6.3)(160)日用品中の放射性核種に対する放射線規準の最近の国際的合意では、大量物資中の人口及び自然起源の放射性核種の放射能濃度の値を、除外、免除、及びクリアランスに係るBSSの要件を満たすガイダンスとして使用できるように定めている。表5.4にその値を示す。          表5.4 大量物資中の放射性核種の放射線規制放射性核種                                レベル(Bq/kg)――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――I-129                                            10―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― Na-22,Sc-46,Mn-54,Co-56,Co-60,Zn-65,Nb-94,Ru-106,            100Ag-110m,Sb-125,Cs-134,Cs-137,Eu-152,Eu-154,Ta-182,Bi-207,Th-229,U-232,Pu-238,Pu-239,Pu-240,Pu-242,Pu-244,Am-241,Am-243,Cm-245,Cm-246,Cm-247,Cm-248,Cf-249,Cf-251,Es-254 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― C-24,Na-24,Cl-36,Sc-48,V-48,mn-52,Fe-59,Co-57,Co-58,            1000Se-75,Br-82,Sr-85,Sr-90,Zr-95,Nb-95,Tc-96,Tc-99,Ru-103,Ag-105,Cd-109,Sn-113,Sb-124,Te-123m,Te-132,Cs-136,Ba-140,La-140,Ce-139,Eu-155,Tb-160,Hf-181,Os-185,Ir-190,Tl-204,Bi-206,Th-232,U-233,U-235,U-238,Np-237,Pu-236,Cm-243,Cm-244,Cf-248,Cf-250,Cf-252,Cf-254 以下、規制レベル 10,000Bq/kg 100,000Bq/kg 10,000,000Bq/kg と続くが省略した。(注)原典では、規制レベルの単位がBq/gとなっていたが、編集者がBq/kgに直した。【出典】放射線攻撃時の被ばくに対する公衆の防護 ICRP Publication 96 訳 社団法人 日本アイソトープ協会https://ghca.jp/files/fm/512d98161p3hihjxevwg_0_20.pdf【編集】川根 眞也

井戸川克隆氏 体内にヨウ素131 31万ベクレル。内部被ばくは1シーベルトか?

日本放射線安全管理学会『放射性ヨウ素・セシウム安全対策に関する研究成果報告3 被災地域住民及び隣接地域住民の甲状腺モニタリングのあり方について』2011年7月20日付 より (1) 上記報告書 pp.28には、「一般公衆の成人の甲状腺部位にヨウ素131が10万ベクレルあったときは、甲状腺等価線量は337ミリシーベルトになる(ヨウ素131の粒子口径を1.0マイクロメートルとしたとき)」とあります。(最後に全文を掲載してあります。)  しかし、真実に近いのは、実測値です。推定では、さまざまな条件が原発村の都合のいいように加算(減算?)されていきます。2011年3月12日~15日や2011年3月21日~23日に甲状腺にシンチレーション・スペクトロメータを当てて、検査したデータが存在するのではないでしょうか? (2)井戸川克隆 前双葉町町長は、2011年3月12日夜。福島県立医大でホールボディーカウンターの検査を行い、体内にヨウ素131が31万ベクレル存在することを知らされました。これは、(1)のヨウ素131の粒子口径が1.0マイクロメートルであり、井戸川氏の甲状腺にすべてのヨウ素131が蓄積していたとすれば、337ミリシーベルトの約3倍、つまり、1000ミリシーベルト、すなわち1シーベルトの被ばくをしたことになります。  福島県立医大は、真実を隠蔽せず、福島県民の本当の内部被ばくの実態を明らかにするべきではないでしょうか? (3) 福島県では原発事故直後に甲状腺被ばくを測定するために、床次眞司教授(弘前大被ばく医療総合研究所)が2011年4月11~16日、同県浜通り地区から福島市に避難した48人と、原発から30キロ圏周辺の浪江町津島地区にとどまっていた17人を対象に、 シンチレーションスペクトロメータを使い、 甲状腺のヨウ素131被ばく検査を実施しています。(合計65名)  この床次眞司氏の浪江町津島地区17名および福島市に避難した浜通りから福島市に避難した合計65名の甲状腺被ばく等価線量は、最高87ミリシーベルトと当初、報道されました。(2012年3月11日 日本経済新聞)  ところが、同年7月12日にScientific Reportsに掲載された、“Thyroid doses for evacuees from the Fukushima nuclear accident“では、対象者は3名減って62名になり、甲状腺被ばく等価線量は、最高33ミリシーベルトとされました。(2012年7月12日 共同通信)  さらに、2013年1月11日になると、やはり3名少ない62名の甲状腺被ばく等価線量を元に、浪江町民2393名の甲状腺被ばく等価線量を推定したところ、最大で4.6ミリシーベルトだったと発表しています。(2013年3月22日 日本原子力文化財団 専門家インタビュー 福島県浪江町民の甲状腺被ばくを追って 床次眞司氏)これはホールボディーカウンターで測定した体内のセシウム134から当時のヨウ素131の内部被ばくを推定し、そこから甲状腺被ばく等価線量を求めたものです。  (4)専門家の言う事を信じるのは、大変危険であることが上記、床次眞司氏の研究からも言えます。当初の87ミリシーベルトの再検証も一切なく、次々と甲状腺被ばく等価線量の数値を87→33→4.6ミリシーベルトと低くしてしまい、他の放射線の専門家がこの床次氏の研究に基づき、「これくらいの放射線被ばくならば、健康影響は考えられない」と言っています。  東大医学部附属病院 放射線准教授 中川恵一氏は2014年8月17日の政府広報で「福島県の調査によると、原発事故から4か月間の外部被ばくは99.97%の方が10ミリシーベルト以下でした」「福島では被ばくによるがんは増えないと考えらます。」と述べています。中川恵一氏はさらに、新著『放射線医が語る福島で起こっている本当のこと』ベスト新書で、「手術を受けた高校生は過剰診断の被害者」 「甲状腺がんの検査は即刻やめるべき」と述べています。  日本政府は、この「福島ではがんが増えない」「福島の甲状腺検査は過剰診療」という中川恵一氏を使ったキャンペーンに1億円も使っています。(2014年9月22日東京新聞) 政府広報 放射線についての正しい知識を 20140817  内部被ばくを無視し、外部被ばくだけで福島県民の被ばく線量を推定し、発がんリスクを否定する、日本政府、福島県、福島県立医大のやり方を認めるわけにはいきません。  原発事故直後の、スクリーニング検査やホールボディーカウンターの数値など、実測値だけが真実を明らかにすると考えます。良心的な医師、研究者の告発、研究を期待します。  チェルノブイリ原発事故直後、ソ連政府も内部被ばくの実態を隠しました。しかし、ルパンディン報告という秘密報告が明らかになっています。今中哲二さん他の日本語訳を川根が現在のシーベルト、ベクレル、グレイの単位に翻訳したのが以下の資料です。  福島は小さなチェルノブイリではないのか、と思います。 『チェルノブイリ原発周辺住民の急性放射線障害に関する記録 ウラジーミル・ルパンディン』 <資料>日本放射線安全管理学会『放射性ヨウ素・セシウム安全対策に関する研究成果報告3 被災地域住民及び隣接地域住民の甲状腺モニタリングのあり方について』2011年7月20日付 pp.28 5.4 甲状腺被曝線量計算  今回の事故のように原子炉施設から、放射性ヨウ素が異常に放出されたとき、事故1日後に周辺住民の甲状腺サーベイを実施したところ、一般公衆の成人の甲状腺部位に131Iが1.0×105 Bq(編集者注:すなわち、10万ベクレル)検出されたとする。放射性ヨウ素の摂取経路は、吸入摂取である可能性が高いと考えられる。粒子径は不明であるが、一般公衆のデフォルト値である1.0 μm を選択すれば、表1 の実効線量係数および甲状腺残留率を用いることができる。したがって、このときの甲状腺等価線量Hは、 H=M/R× e(50)=1.0×105/0.086×2.9×10-4=337 (mSv) と計算される。  甲状腺の放射能が2 日後に2,000 Bq 検出された場合の被ばく線量は、6.7 mSvとなる。  これらの甲状腺の線量は摂取率が正常範囲であると仮定し、その値を20%として計算されている。しかしながら、多くの日本人においては、日常の食生活でヨウ素を摂取している状態ならば、摂取率が20% 以下になる可能性が高く、被ばく線量も計算値よりも低くなる可能性が高い。したがって、甲状腺モニタリングによって被曝線量が算定されたとしても、あくまで推定値である。  通常、100~200 mSv より高い線量では内部被ばくでも外部被ばくでも被ばくの線量にしたがって甲状腺がんになるリスクは増加する。しかし、そのような放射線誘発甲状腺がんリスクの増加は主に小児に限られ、成人での被ばくによるリスク増加を示す明確な証拠はない(国連科学委員会2006 年報告書)。 <資料> 『チェルノブイリ原発周辺住民の急性放射線障害に関する記録 ウラジーミル・ルパンディン』  チェルノブイリ原発事故直後に、旧ソ連は、急性放射線障害を疑われる、避難住民の甲状腺の空間線量率を測定しています。日本はこれすらもしなかったのでしょうか。放射性医学総合研究所の職員は何をやっていたのでしょうか。  急性放射線症、白血球減少症、自立神経失調症になったチェルノブイリ住民の甲状腺からは以下のガンマ線が検出されています。 〔急性放射線症〕 1.クリチェンコ,ニコライ・アレクセイビッチ(仮名)20歳男性,ボルシチェフカ村     甲状腺からの放射線 13.5マイクロシーベルト/時 測定日:1986年5月1日 4.カルテ№2520/476.(氏名略)女性48歳.5月3日,モロチキ村から入院    甲状腺からの放射線 26.1マイクロシーベルト/時 測定日:1986年5月7日 〔白血球減少症〕 9.カルテ7784.(氏名略)女性65歳,アメリコフシチナ村住民     甲状腺10.4マイクロシーベルト/時 測定日:1986年5月15日 10.カルテ8011/554.(氏名略)男性21歳,ホイニキ市住民     甲状腺の放射線量1.131マイクロシーベルト/時 測定日:1986年5月23日 11.カルテ№ 8318/604.(氏名略)男性41歳,運転手,ホイニキ市住民     甲状腺0.30マイクロシーベルト/時 測定日:1986年5月13日 12.カルテ №7641/318.(氏名略)女性33歳,ポゴンノエ村住民     甲状腺12.2マイクロシーベルト/時 測定日:1986年5月7日 〔自律神経失調症〕 13.カルテ№7868/533.(氏名略)男性64歳,ウラーシ村住民.コルホーズ「新生活」労働者    甲状腺放射線量は26.1マイクロシーベルト/時以上 測定日:1986年5月20日 14.カルテ№7805/496/539.(氏名略)女性63歳,ノボセルキ村     甲状腺26.1マイクロシーベルト/時 測定日:1986年5月13日 15.カルテ№7795/491.(氏名略)女性59歳,ノボセルキ村住民     甲状腺17.4マイクロシーベルト/時 測定日:1986年5月13日 16.カルテ№7818/495.(氏名略)女性49歳,ノボセルキ村     甲状腺26.1マイクロシーベルト/時 測定日:1986年5月13日 17.カルテ№7818/502.(氏名略)女性57歳,ノボセルキ村     甲状腺22.6マイクロシーベルト/時 測定日:1986年5月13日        

平成26年長崎平和宣言 「戦争をしない」という誓いは、被爆国日本の原点であるとともに、被爆地長崎の原点でもあります。 2014年8月9日 長崎市

平成26年長崎平和宣言  69年前のこの時刻、この丘から見上げる空は真っ黒な原子雲で覆われていました。米軍機から投下された一発の原子爆弾により、家々は吹き飛び、炎に包まれ、黒焦げの死体が散乱する中を多くの市民が逃げまどいました。凄まじい熱線と爆風と放射線は、7万4千人もの尊い命を奪い、7万5千人の負傷者を出し、かろうじて生き残った人々の心と体に、69年たった今も癒えることのない深い傷を刻みこみました。 今も世界には1万6千発以上の核弾頭が存在します。核兵器の恐ろしさを身をもって知る被爆者は、核兵器は二度と使われてはならない、と必死で警鐘を鳴らし続けてきました。広島、長崎の原爆以降、戦争で核兵器が使われなかったのは、被爆者の存在とその声があったからです。  もし今、核兵器が戦争で使われたら、世界はどうなるのでしょうか。 今年2月メキシコで開かれた「核兵器の非人道性に関する国際会議」では、146か国の代表が、人体や経済、環境、気候変動など、さまざまな視点から、核兵器がいかに非人道的な兵器であるかを明らかにしました。その中で、もし核戦争になれば、傷ついた人々を助けることもできず、「核の冬」の到来で食糧がなくなり、世界の20億人以上が飢餓状態に陥るという恐るべき予測が発表されました。 核兵器の恐怖は決して過去の広島、長崎だけのものではありません。まさに世界がかかえる“今と未来の問題”なのです。 こうした核兵器の非人道性に着目する国々の間で、核兵器禁止条約などの検討に向けた動きが始まっています。 しかし一方で、核兵器保有国とその傘の下にいる国々は、核兵器によって国の安全を守ろうとする考えを依然として手放そうとせず、核兵器の禁止を先送りしようとしています。 この対立を越えることができなければ、来年開かれる5年に一度の核不拡散条約(NPT)再検討会議は、なんの前進もないまま終わるかもしれません。 核兵器保有国とその傘の下にいる国々に呼びかけます。 「核兵器のない世界」の実現のために、いつまでに、何をするのかについて、核兵器の法的禁止を求めている国々と協議ができる場をまずつくり、対立を越える第一歩を踏み出してください。日本政府は、核兵器の非人道性を一番理解している国として、その先頭に立ってください。 核戦争から未来を守る地域的な方法として「非核兵器地帯」があります。現在、地球の陸地の半分以上が既に非核兵器地帯に属しています。日本政府には、韓国、北朝鮮、日本が属する北東アジア地域を核兵器から守る方法の一つとして、非核三原則の法制化とともに、「北東アジア非核兵器地帯構想」の検討を始めるよう提言します。この構想には、わが国の500人以上の自治体の首長が賛同しており、これからも賛同の輪を広げていきます。  いまわが国では、集団的自衛権の議論を機に、「平和国家」としての安全保障のあり方についてさまざまな意見が交わされています。 長崎は「ノーモア・ナガサキ」とともに、「ノーモア・ウォー」と叫び続けてきました。日本国憲法に込められた「戦争をしない」という誓いは、被爆国日本の原点であるとともに、被爆地長崎の原点でもあります。 被爆者たちが自らの体験を語ることで伝え続けてきた、その平和の原点がいま揺らいでいるのではないか、という不安と懸念が、急ぐ議論の中で生まれています。日本政府にはこの不安と懸念の声に、真摯に向き合い、耳を傾けることを強く求めます。  長崎では、若い世代が、核兵器について自分たちで考え、議論し、新しい活動を始めています。大学生たちは海外にネットワークを広げ始めました。高校生たちが国連に届けた核兵器廃絶を求める署名の数は、すでに100万人を超えました。 その高校生たちの合言葉「ビリョクだけどムリョクじゃない」は、一人ひとりの人々の集まりである市民社会こそがもっとも大きな力の源泉だ、ということを私たちに思い起こさせてくれます。長崎はこれからも市民社会の一員として、仲間を増やし、NGOと連携し、目標を同じくする国々や国連と力を合わせて、核兵器のない世界の実現に向けて行動し続けます。世界の皆さん、次の世代に「核兵器のない世界」を引き継ぎましょう。  東京電力福島第一原子力発電所の事故から、3年がたちました。今も多くの方々が不安な暮らしを強いられています。長崎は今後とも福島の一日も早い復興を願い、さまざまな支援を続けていきます。  来年は被爆からちょうど70年になります。 被爆者はますます高齢化しており、原爆症の認定制度の改善など実態に応じた援護の充実を望みます。 被爆70年までの一年が、平和への思いを共有する世界の人たちとともに目指してきた「核兵器のない世界」の実現に向けて大きく前進する一年になることを願い、原子爆弾により亡くなられた方々に心から哀悼の意を捧げ、広島市とともに核兵器廃絶と恒久平和の実現に努力することをここに宣言します。 2014年(平成26年)8月9日 長崎市長 田上 富久

川内原発は再稼働させてはいけない。川根の書いたパブリック・コメント 2014年8月11日記

 火の国、鹿児島で原発を再稼働させるという、原子力規制委員会。「科学的・技術的意見の募集について」などと言っていますが、彼らこそ、火山噴火が予知できるなどと、非科学的議論をしています。この理屈につきあう必要はありません。  あえて、「トイレなきマンション」を主題としてパブリック・コメントを書きました。この問題を先送りしたままの再稼働は論理的・倫理的にありえません。  川根が書いた、パブリック・コメント全文です。  また、2014年9月10日、原子力規制委員会は、川内原発1、2号機が新規制基準に適合していると、審査書を決定しました。しかし、2014年9月11日午前0時現在そのために市民から公募したパブリックコメントのまとめを公表していません。だいたい、パブコメのまとめも、その評価も抜きに、新規制基準適合ってありえるのでしょうか?彼ら自身が決めた手続きを、自ら破っています。そして、パブコメを締め切った後に、火山学者を集めた専門家会議を開き、そこでは、「火山噴火の予知など不可能だ」という結論が出ています。この専門家会議の結論を無視して、新規制基準適合などありえません。  川根が書いたパブコメの受付番号は以下の通り、201408110000278961 です。原子力規制委員会に電話して、「僕の書いたパブコメはどう処理されましたか?」と聞こうと思っています。 <2014年9月11日記> 「九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について」パブリック・コメント 内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也 2014年8月11日 2003年11月11日の経済産業省 資源エネルギー庁 電気事業分科会 第4回コスト等検討小委員会で、電気事業連合会は、青森県の六ヶ所村に建設している再処理工場(2015年10月に竣工予定)を40年間にわたって稼働させるための建設費と操業費、同工場の廃止に必要な費用が、合計11兆600億円と見積もっています。  そして、六ヶ所再処理工場に加えて、高レベル廃棄物処理、MOX燃料加工、ウラン濃縮工場の廃棄物処理を含めると18兆9100億円かかると試算しています。  核燃料の再処理のためには、死の灰を閉じ込めているジルコニウム被覆管を切断します。それと同時に、これまで宇宙線が作ったトリチウムの総量(自然放射線と言えます)をはるかに超える、トリチウムが大気中に放出されます。  東京第一原発事故処理は20兆円かかると言われます(アーニー・ガンダーセン、2011年)。それに加え、核燃料サイクル約19兆円を浪費しようとする、電気事業連合会。この国の富を原発とその処理に食いつぶされていくのを止めなくてはいけないと思います。  トイレなきマンションとも言われる原発。東京第一原発だけでなく、54基すべての原発には使用済み核燃料プールという、「おまる」があります。この「おまる」の中の使用済み核燃料をどう処理するのか、どこに最終処分するのか、そもそも最終処分できるかもわからないのに、原発再稼働はありえません。問題の先送りにすぎません。自民党、公明党、民主党は恥を知るべきです。この問題を私たちの子どもや子どもたちの子孫に、押しつけるのは誤った選択です。  この地球は私たちのものではありません。  私たちが一時的に借りているもの。将来の子孫が安全に生き、生活し、そして次の子どもたちが産み育てられるできる場所として、譲り渡すべきものです。その保障なき、原発の再稼働、そして六ヶ所稼働、そのどちらも許されません。      

六ヶ所再処理工場 総工事費11兆600億円。核燃料再サイクル18兆9000億円。

 2003年11月11日の経済産業省 資源エネルギー庁 電気事業分科会 第4回コスト等検討小委員会で、電気事業連合会は、青森県の六ヶ所村に建設している再処理工場(2015年10月に竣工予定)を40年間にわたって稼働させるための建設費と操業費、同工場の廃止に必要な費用が、合計11兆600億円と見積もっています。  そして、六ヶ所再処理工場に加えて、高レベル廃棄物処理、MOX燃料加工、ウラン濃縮工場の廃棄物処理を含めると18兆9100億円かかると試算しています。  核燃料の再処理のためには、死の灰を閉じ込めているジルコニウム被覆管を切断します。それと同時に、これまで宇宙線が作ったトリチウムの総量(自然放射線と言えます)をはるかに超える、トリチウムが大気中に放出されます。  東京第一原発事故処理は20兆円かかると言われます(アーニー・ガンダーセン、2011年)。それに加え、核燃料サイクル約19兆円を浪費しようとする、電気事業連合会。この国の富を原発とその処理に食いつぶされていくのを止めなくてはいけないと思います。  川内原発の再稼働についてのパブリック・コメントの締め切りは2014年8月15日。トイレなきマンションとも言われる原発。東京第一原発だけでなく、54基すべての原発には使用済み核燃料プールという、「おまる」があります。この「おまる」の中の使用済み核燃料をどう処理するのか、どこに最終処分するのか、そもそも最終処分できるかもわからないのに、原発再稼働はありえません。問題の先送りにすぎません。自民党、公明党、民主党は恥を知るべきです。この問題を私たちの子どもや子どもたちの子孫に、押しつけるのは誤った選択です。この地球は私たちのものではありません。  私たちが一時的に借りているもの。将来の子孫が安全に生き、生活し、そして次の子どもたちが産み育てられるできる場所として、譲り渡すべきものです。その保障なき、原発の再稼働、六ヶ所稼働は許されません。 原子燃料サイクルバックエンド事業費の見積もりについて 電気事業連合会 核燃サイクル19兆円 201031111  川内原発再稼働に関するパブリック・コメントのチラシ。こちらからダウンロードできます。インターネットの苦手な方に、このチラシを印刷して、手渡して下さい。FAXまたは郵送で送ることができます。2014年8月15日必着です。         

原発事故で日本の太平洋側のストロンチウム90の汚染は?

 東京第一原発事故で日本海の太平洋側のストロンチウム90の汚染は、どれくらいなのでしょうか?スペインのN.Casacuberta(バルセロナ自治大学環境科学技術および物理研究所)、P.Masque(同)、J.Garcia-Prellana(同)、R.Garcia-Tenorio(セビリア大学応用物理学科)、K.O.Buesseler(ウッズホール海洋研究所)らは、東京第一原発事故の3ヶ月後、宮城、福島、茨城、千葉県沖の海水を採取して、そのストロンチウム90、およびストロンチウム89の濃度を測定しました。  この研究論文は2013年2月5日、Biogiosciencesに掲載されました。 90Sr and 89Sr in seawater off Japan as a consequence of the Fukushima Dai ichi nuclear accident 20130205  海洋の採取地点は以下のところでした。2011年5月~6月  そして、それぞれの地点で採取された海水表層のストロンチウム90およびストロンチウム89の濃度は以下のとおりでした。地点29ではストロンチウム90の濃度の最高値 85±3 ベクレル/m3、ストロンチウム89の最高値 265±7 ベクレル/m3が計測されています。  これは、ベクレル/Lに直すと、それぞれストロンチウム90  0.085±0.003 ベクレル/L、ストロンチウム89 0.265±0.007 ベクレル/L にあたります。  東京第一原発事故前の太平洋海水のストロンチウム90の平均値は、約0.0015 ベクレル/Lですから、この地点29の数値は100倍の濃度にあたります。  上記のデータをマップ化したものが、以下です。  また、海水表層中のセシウム137、およびセシウム134の濃度をマップ化したものが以下です。  生物に吸収されたストロンチウム90は、セシウム137とは違った濃縮をするので、以下の濃縮係数は一つの参考値に過ぎません。しかし、海水に0.01ベクレル/kgのセシウム137がある海域で生活していたブリは、海水のセシウム濃度の122倍、つまり、セシウム137を1.22ベクレル/kg程度汚染される可能性があることを示しています。  水産総合研究センターが、魚介類のストロンチウム90の濃度を少ない検体数ですが、知らべて公表しています。最近では、2012年1月18日いわき市久ノ浜沖でで獲れたイシカワシラウオが、セシウム134が18ベクレル/kg、セシウム137が29ベクレル/kgなのに、ストロンチウム90が0.4ベクレル/kgも検出されたことが報告されています。 水産総合研究センター 水産物ストロンチウム等調査結果  20140528  垂れ流しのままの原発汚染水には、大量のストロンチウム90が含まれています。凍土遮蔽壁も、多核種除去装置ALPSも満足に動いていません。N.Casacubertaらが研究した2011年5月、6月の時点よりも、海洋のストロンチウム90汚染は深刻になっているのではないでしょうか。                                        

Copyright © 内部被ばくを考える市民研究会 All Rights Reserved.
Powerd by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.