内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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内部被ばくと健康被害

沖縄の高校生の詩(島言葉) 2015年6月23日 糸満市

みるく世ゆがやゆら 与勝高校三年(よかつこうこうさんねん)  知念 捷(ちねん まさる) 2015年6月23日 那覇市 沖縄慰霊の日 式典にて   みるく世がやゆら 平和を願った古の琉球人が詠んだ琉歌が私へ訴える 「戦(いくさ) 世(ゆ)済(し)まち みるく世(ゆ)ややがて 嘆なじくなよ 臣下(しんか)命(ぬちど)宝(たから)」 七〇年前のあの日と同じように 今年もまたせみの鳴き声が梅雨の終りを告げる 七〇年目の慰霊の日 大地の恵みを受け大きく育ったクワディーサーの木々の間を 夏至(かーちー)南風(べー)の湿った潮風が吹き抜ける せみの声は微かに風の中へと消えてゆく クワディーサーの木々に触れせみの声に耳を澄ます みるく世がやゆら 「今は平和でしょうか」と私は風に問う 花を愛し踊りを愛し私を孫のように愛してくれた祖父の姉 戦後七〇年再婚をせず戦争未亡人として生き抜いた祖父の姉 九十才を超え彼女の体は折れ曲がりベッドへと横臥する 一九四五年沖縄戦彼女は愛する夫を失った 一人妻と乳飲み子を残し二十二才の若い死 南部の戦跡へと礎へと 夫の足跡を夫のぬくもりを求め探しまわった 彼女のもとには戦死を報せる紙一枚 亀甲墓に納められた骨壺には彼女が拾った小さな石 戦後七〇年を前にして彼女は認知症を患った 愛する夫のことを若い夫婦の幸せを奪ったあの戦争を すべての記憶が漆黒の闇へと消えゆくのを前にして彼女は歌う愛する夫と戦争の記憶を呼び止めるかのように あなたが笑ってお戻りになられることをお待ちしていますと 軍人節の歌に込め何十回何百回と 次第に途切れ途切れになる彼女の歌声 無慈悲にも自然の摂理は彼女の記憶を風の中へと消してゆく 七〇年の時を経て彼女の哀しみが刻まれた頬を涙がつたう 蒼天に飛び立つ鳩を平和の象徴というのなら 彼女が戦争の惨めさと戦争の風化の現状を私へ物語る みるく世がやゆら 彼女の夫の名が二十四万もの犠牲者の名が 刻まれた礎に私は問う みるく世がやゆら 頭上を飛び交う戦闘機クワディーサーの葉のたゆたい 六月二十三日の世界に私は問う みるく世がやゆら 戦争の恐ろしさを知らぬ私に私は問う 気が重い一層戦争のことは風に流してしまいたい しかし忘れてはならぬ彼女の記憶を戦争の惨めさを 伝えねばならぬ彼女の哀しさを平和の尊さを みるく世がやゆら せみよ大きく鳴け思うがままに クワディーサーよ大きく育て燦燦と注ぐ光を浴びて 古のあの琉歌(うた)よ時を超え今世界中を駆け巡れ 今が平和でこれからも平和であり続けるために みるく世がやゆら 潮風に吹かれ私は彼女の記憶を心に留める みるく世の素晴らしさを未来へと繋ぐ

放射線管理区域4万ベクレル/m2以上に汚染された市町村マップ

 沢野伸浩氏(金沢星稜大学女子短期大学部教授)が、放射線管理区域4万ベクレル/m2以上に汚染された市町村マップを作られています。これは、以下のサイトに紹介されています。 Glocal Collegeへようこそ!NPO法人基盤地図活用研究会と協働のページ  日本における「放射線管理区域」とは以下を超える区域を言います。 ①外部放射線については3ヵ月で実効線量が1.3ミリシーベルト ②空気中の放射性物質濃度については3ヵ月で限度の10分の1 <例>ヨウ素131ならば100ベクレル/m3 ③放射性物質によって物の表面が汚染されている場合はアルファ線を出す場合は4000ベクレル/m2、アルファ線を出さない場合は4万ベクレル/m2 <例>セシウム134、セシウム137だけならばアルファ線を出さず、ベータ線とガンマ線を出します。ですから表面汚染は4万ベクレル/m2となります。 ④外部被ばく(①の場合)と内部被ばく(②の場合)とが複合する場合は線量と放射能濃度のそれぞれの基準値に対する比の和が1 <例>3ヵ月で0.625ミリシーベルト(1.3ミリシーベルトの半分)とヨウ素131が50ベクレル/m3(100ベクレル/m3の半分) ー放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成十二年科学技術庁告示第五号)最終改正 平成二十一年十月九日 文部科学省告示第百六十九号 第四条  つまり、セシウム134、セシウム137だけを考えると、合計4万ベクレル/m2以上汚染された地域が「放射線管理区域」になります。ここは、人工放射線を取り扱う作業所などにおいて、特に放射線レベルの高い場所なので、一般公衆の立ち入りを禁止しています。また、「放射線管理区域」内では18歳未満の就労が禁止されています。したがって、18歳未満の就学も禁止されると考えるべきでしょう。  以下は、沢野伸浩氏が文部科学省の「航空機測定データ」から単純に40,000ベクレル以上の値を抽出し、その値を赤い点として地図上に重ねてみたものです。また、現在公開されているIDW内挿値のメッシュ間隔は、220m~270m程度ですので、平均的には1点が6.3ha程度の範囲の代表値とみなすことができます。汚染地図の下の一覧表は該当する点にこの面積をかけることで、その面積の概算を行ったものです。                                                                                                            ただし、文部科学省の「航空機測定データ」は航空機を使って地表から出てくるガンマ線をキャッチして推測したものに過ぎません。実際に土壌中の放射性物質を測定した「生データ」ではありません。コンクリート・ジャングルである東京都では、まったくセシウム137で4万ベクレル/m2汚染された場所がまったくないかのようになってしまっています。これは東京都の学校や公園の土壌が4万ベクレル/m2以上汚染されていても、周囲のビルやアスファルトの道路がそれよりずっと低い汚染になっているため、上空を飛ぶ航空機がキャッチするガンマ線は、それらの汚染度が平均化され、低い数値となって現れるためです。ホット・スポットを隠す測定方法です。  上記の赤く塗られた「放射線管理区域」はほんの一部でしかないことに注意する必要があります。「放射線管理区域」は18歳未満就学禁止。つまり、この赤い地域のすべての小中高校は閉校し、安全な場所で子どもたちが学べるようにするべきです。

セシウム137が母親ー胎児系に与える影響 ユーリ・I・バンダジェフスキー

[初稿]2015年6月19日 [追記]2019年8月29日 放射性セシウムが母体に蓄積すると引き起こされるホルモンバランスの異常とその結果 川根眞也 2019年3月21日 https://drive.google.com/file/d/1x1V4U-WZfV7ndPPs86DfGa4nEKbh5kse/view?usp=sharing [解説]  政府は2015年6月12日、福島県の居住制限区域(年間50ミリシーベルト以下)および避難指示準備区域(年間20ミリシーベルト以下)を2017年3月までにすべて解除し、住民を強制的に帰還させる方針を決定しました。  さらにこれを補完すべく、福島県は2015年6月15日、2017年3月で、自主避難者への住宅支援事業の打ち切る方針を決定しました。  また、政府は2015年6月17日、全町避難が続いている楢葉町をお盆前の2015年8月に避難指示解除する方針を明らかにしました。  これは、住民の緩慢な殺人を意味する決定だと思います。  チェルノブイリ原発事故後、放射性セシウムが母親と胎児にどのような影響を与えたのか?そして、現在もどのような影響を与え続けているのか?ベラルーシ共和国ゴメリ医科大学学長(1990年~1999年)であった、ユーリ・I・バンダジェフスキー教授の『放射性セシウムが生殖系に与える医学的社会学的影響 チェルノブイリ原発事故 その人口「損失」の現実』(久保田護 訳 合同出版 2013年4月1日)から、その主要な部分を抜粋し、紹介します。  同時にヤブロコフ、V・B・ネステレンコ、A・V・ネステレンコ、プレオブラジェンスカヤ著『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店 2013年4月26日)からも、妊娠異常と子どもたちの性的発達不全の部分を抜粋し、紹介します。  空間線量で何ミリシーベルト以下では安全などという、砂上の楼閣の議論はやめにしましょう。ウクライナ、ロシア、ベラルーシの人びとの苦難に学び、より良い選択をすべきだと考えます。                          2015年6月19日記 川根 眞也 放射性セシウムが生殖系に与える医学的社会学的影響 チェルノブイリ原発事故 その人口「損失」の現実 ユーリ・I・バンダジェフスキー 著 久保田護訳 2013年4月1日    以下は、ユーリ・I・バンダジェフスキー著 久保田護訳『放射性セシウムが生殖系に与える医学的社会学的影響 チェルノブイリ原発事故 その人口「損失」の現実』合同出版の抜粋である。一部、わかりやすくなるように文章を簡略化したところがある。〔編集者〕  1.1 チェルノブイリ原発事故以前のベラルーシ共和国の放射能汚染と人口統計の状況  ベラルーシ共和国では最近、死亡率が出生率の1.6倍になっているが、戦争や疫病といった人類がもっとも困窮したときでも、このようなことはなかった。       pp.7  1994年から2008年にかけて、ベラルーシの人口は60万7400人も減少した。これは総人口の5.6%も減少したことを意味する。15歳以下の子どもは2000年から2009年のあいだに29万も減った。 pp.9  2000年から2008年にかけて、ベラルーシ共和国では先天性奇形や発育異常のある新生児の数が10万出生につき、359.5から558.7に増加した。 pp.9  ベラルーシ共和国の人びとの生殖に重大な問題が生じていることを、先天性奇形の増加と出生率の低下が示している。このことと、死亡率の加速的な増加によって、人口が破局的に減少していることが説明できる。 pp.9  ベラルーシでは疫学的にみて非常に多くの先天的障害児が生まれている。先天的奇形の新生児が、ベラルーシ共和国のとくにチェルノブイリ原発事故の汚染地域で増えていることについては、明確だ。しかし、このことは原子力ロビーと旧ソ連の代議士、ベラルーシ共和国の議員たちにとって、都合の悪いものだった。そこで、遺伝学者であり、奇形学のG・I・ラジューク教授の先天性・遺伝性研究所を閉鎖してしまった。ベラルーシには現在、先天性疾患の発生原因に関する問題に十分な対応ができる学術組織が存在しない。原子力ロビーにとっては、政府に医学的知識がない方が好都合なのだ。 pp.10  国際原子力機関(IAEA)は、世界保健機関(WHO)を長年にわたって牛耳ってきた。そして、1959年、放射線被曝が人びとの健康に与える影響に関するデータは存在しないという協定を、WHOに押し付けた。世界中のすべての人びとの健康と生命よりもこの協定の方が大事なのだろうか。 pp.10 1.2 放射性セシウムが体内に取り込まれる条件での女性生殖器官の病態  女性の体内でセシウム137濃度が40Bq/kgを超えると、月経周期のさまざまな時期で性ホルモン産生の逆転が起きることが明らかとなった。これらの女性ホルモンの産生異常は、女性生殖器の病気の原因となるだけでなく、不妊症の原因にもなる。女性ホルモンが正常に分泌されていれば、妊娠中のプロセスや母体と胎児とのあいだに起きる相互作用に対応するため、子宮粘膜と女性生殖器の準備態勢を整えることができる。しかし、女性ホルモン産生異常があれば、子宮粘膜と女性生殖器の準備態勢を整えることができず、不妊症になってしまう。 pp.12  体内のセシウム137濃度が50Bq/kg以上になると、若い女性に起きる性ホルモンの産生異常は顕著になる。体内のセシウム137濃度が50Bq/kg以上の場合、検査した女性6人に1人に排卵が見られなかった。このように、放射性セシウムが体内に取り込まれると、その影響で月経周期の黄体期不全と無排卵症が起きる。これらはホルモン産生の制御プロセスにおける異常を反映している。結論として、無排卵症と黄体期不全により、不妊症となる。放射性物質の汚染地域で出生率が低下している主な原因のひとつは不妊症であると私たちは考えている。 pp.15  セシウム137による土壌汚染が55万5000~148万ベクレル/m2と、常に放射性物質にさらされている環境で生活している少女たちがいる。この少女たちの体内の女性生殖器官は発達が遅れていた。調査を受けた少女たちの37%で二次性徴の発現が遅れ、81%の少女たちで月経周期の異常が見られた。脳下垂体性腺刺激ホルモンの分泌機能異常が39%の少女たちに指摘された。31.5%の症例ではステロイドホルモンの産生障害(糖質コルチコイドホルモンの生合成の障害)も指摘された。調査の結果、放射能汚染地域に住む少女たちに内分泌機能の低下があることが明らかになった。されに生殖機能の調節障害も示された。 pp.15  性成熟の障害の程度と放射線の被曝量とのあいだには相関関係があることが明らかにされている。この知見は動物実験でも確認された。餌を通じて妊娠中の母親の体内にセシウム137が取りこまれると、仔の生殖器官の発育が障害される。具体的には、セシウム137で体内汚染された母親から生まれた仔の卵巣では、思春期に成熟卵胞が有意に少なくなっており、閉鎖卵胞は対照よりも増えていることが明らかになった。その実験動物の仔の卵巣では、成熟卵胞と機能中の黄体が併存していた。さらに、卵管と子宮の粘膜の形成にも遅れが生じていた。 pp.15 1.4 放射性セシウムがもたらす突然変異誘発作用  体重1gあたり27000Bqのセシウム137を雄ラットに経口的に一度に投与した。すると、投与210日から230日後に、雄ラットの生殖細胞内で一価染色体と染色体断片が統計的に有意に増加した。このセシウム137を投与した雄ラットを正常な雌ラットと交配させた。すると、子宮着床前と着床後の両方で子宮内の胎児の死亡が増加した。この研究者たちはセシウム137を投与した雄ラットの体内で、ゲノムに病的な変化が起きたことが影響して胎児の死亡が増加したと考えている。 pp.18  R・I・ゴンチャロワとN・I・リャボコニの研究では、放射性物質の汚染地域で育てた食物を実験用の雄マウスに与えて飼育した。すると、雄マウスの体内では放射性セシウムの濃度が853Bq/kgと1103Bq/kgに達した。その結果、雄マウスの生殖細胞と骨髄細胞では染色体とゲノムの突然変異が増加した。 pp.18  セシウム137で汚染されたゴメリ州の郡部に7~8年のあいだ居住した後、ミンスク市に移住してきた子どもたちの末梢血のリンパ球では、ニ動原体染色体と環状染色体の頻度が高かったことが確認されている。これらの染色体異常は、放射線被曝によって起きる不安定型染色体異常の指標として知られている。 pp.19  チェルノブイリ原発事故の非常事態が収束した後、発育奇形の数がベラルーシ全土で急激に増えてきた。それには多発性発育奇形、手足の縮小奇形、多指症の頻度が大きく寄与している。これらの発育奇形には優性突然変異が大きく寄与している。  単発性や多発性の先天性奇形の発生率の分析結果から、土壌汚染が55万5000ベクレル/m2の郡では、1997~1998年のあいだに生まれた子どもたちの奇形発生率が対照群よりも高いことが示された。 pp.19 1.5 妊娠中および授乳期間中の放射性核種の体内取り込みの特徴  放射性セシウムの体内への蓄積過程は複雑で、今日でもいまだに十分な研究がなされていない。筆者らは、体内の放射性セシウムの濃度が、性別や年齢、からだの生理的状態、臓器や組織の構造、またはそれらの代謝の性質、さらにRh式赤血球表面抗原によっても影響を与えることを明らかにした。同一の餌を与えても、雌の方が雄よりも放射性セシウム濃度が低くなる。 pp.20  しかし、妊娠は特殊な生理現象であり、母親の消化管で放射性セシウムが多量に吸収される。哺乳類では、動物でもヒトでも、放射性セシウムの大部分は、胎盤で吸収されてしまい、胎児の体内にはほとんど取り込まれない。しかし、妊娠中の病気や胎児の発育によっては、発育中の胎児の臓器で放射性セシウムの濃度が高くなることもありうる。 pp.20  子宮内で発育期にセシウム137の影響を受けた仔ラットは、自分で餌を摂るようになると、餌の中の放射性セシウムをより多く体内に取り込むようになる。 pp.22  血液型がRh+の人びとはRh-の人びとよりも放射性セシウムを多く体内に取り込むことが、筆者らの研究で明らかになった。胎盤の放射性セシウム濃度も、Rh-の女性の方がRh+の女性よりも統計的に有意に低かった。放射性セシウムの膜構造への結合に関する研究を考察すると、赤血球表面にRh因子を提示する抗原決定基が、体内への放射性セシウムの取り込み過程に関与している可能性が考えられる。 pp.22 1.7 胎盤の放射性セシウムの取り込み  胎盤は妊娠時に出現するもっとも重要な一時的器官であり、胎児の発育を支えている。ヒトと多くの哺乳動物、とくにげっ歯類の胎盤は、血絨毛型の構造を持つ。血絨毛型胎盤を持つ動物では、母親のからだと発育中の胎児組織のあいだに血管系を介して緊密な関係が築かれる。母親と胎児の両方の内分泌系、神経系、免疫系、造血系などの重要な器官系によって母親と胎児のあいだの関係が調節されている。 pp.36  母親の血液の細胞は、栄養膜構造を通って胎児の体内に入り、また胎児の血液の細胞も母親の体内に入る。胎児の赤血球の30%は、常に母親の血液中を循環していることが証明されている。胎児のリンパ球もまた母親の血液中で記録される。胎児は胎盤を介して母親から免疫担当細胞と免疫グロブリンを受け取る。筆者らは1994年に仮説を提出した。母親の免疫担当幹細胞が胎盤障壁を通過して胎児に入り、母親と胎児の液性免疫の連関が形成されるという仮説である。 pp.36  ヒトでも、放射性セシウムは胎盤障壁を通過してしまう。ヒトでは、胎児の放射性セシウムの濃度よりも胎盤の放射性セシウムの濃度の方が高いことに注目する必要がある。先天性奇形の胎児の場合では、放射性セシウム濃度が著しく高い。これは、胎盤の障壁機能が低下していることを意味しているかもしれない。ヒトでは、胎盤にセシウム137が蓄積すると、胎盤の機能が著しく変化する。胎盤のセシウム137濃度が100Bq/kgを超えると、妊娠の終わりが近づくにしたがい、中間絨毛が増加し、終末絨毛が減少した。絨毛は細胞栄養芽層で覆われ、間質は粗雑で結合織の細胞が増加していた。これはホルモン産生のプロセスを意味している。先天性奇形の胎児の胎盤では、絨毛間質と絨毛間腔への出血の形態をとる血液循環障害が顕著にみられ、限局性の小梗塞巣も認められた。 pp.37 1.8 放射性セシウムを取り込んだ母―胎児系の内分泌の相互関係  妊娠した女性の体内にセシウム137が取り込まれると、発育中の胎児で大きなホルモン分泌の変化が起きる。胎盤の放射性セシウム濃度が高くなると、胎児の臍帯血エストラジオール濃度が著しく低下することが示された。また、同時に胎児の臍帯血テストステロン濃度は顕著に高くなった。胎盤の放射性セシウム濃度が高くなると、母親の血中甲状腺ホルモン濃度(サイロキシンとトリヨードサイロニン濃度)が明らかに高くなった。同時に、母親の血中コルチゾール濃度ははっきりと増加した。反対に、胎児の臍帯血中コルチゾール濃度は低下した。 pp.38  このように、母親―胎児系にセシウム137が入り込むと、何よりもまず、発育中の胎児に顕著なホルモン濃度の変化が起きる。副腎皮質にセシウム137が強く取り込まれることが注目される。セシウム137が取り込まれると、ミトコンドリアの酵素系に機能障害が起きる。セシウム137が副腎皮質のホルモン産生細胞に悪影響を与えるため、男性ホルモンのテストステロンの産生が増加し、女性ホルモンのエストラジオールが減少するとも考えられる。この仮説ではまず、副腎皮質の主要なホルモンであるコルチゾールの正合成が障害される。この状況が、下垂体副腎皮質刺激ホルモンの産生増加に拍車をかけ、副腎皮質の細胞を刺激してテストステロンの過剰産生を招く。副腎皮質の先天性機能不全の状態が起きる。これは以後の子どもの発育に間違いなく悪影響を与えるだろう。放射性セシウムの影響で起きる子どもたちの内分泌状態の逆転は、子どもたちの性的な発達の異常と外部環境に対する生後の適応障害を引き起こす主な原因のひとつであると筆者らは考えている。そして、子どもたちが成長してから内分泌系、神経系、免疫系や、ほかの多くの器官系の病気になるのは、セシウム137の影響で胎児期からホルモン産生が異常になっていることが基礎にあると考えられる。 pp.40 ヤブロコフ、V・B・ネステレンコ、A・V・ネステレンコ、プレオブラジェンスカヤ『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店 2013年4月26日より 5.6 泌尿生殖器系の疾患ベラルーシ 被ばくした親のもとに生まれた10歳から14歳の女児に、1993年から2003年にかけて性成熟の有意な遅れが見られた(National Belarussian Report,2006)pp.92 大惨事後、2000年までに重度汚染地域(セシウム137で55万5000ベクレル/m2以上)で生まれた子どもは、相対的に汚染度が低い地域で生まれた子どもより生殖器の障害が多かった。その差は女子で5倍、男子は3倍である(Nesterennko et al.,1993) pp.93  チェルノブイリ事故によって、セシウム137で55万5000ベクレル/m2以上重度に汚染された地域では、コルチゾール、サイロキシン、プロゲステロンといったホルモンの機能不全に関連した性的および身体的な発達異常のある子どもが増加した(Sharapov,2001;Reuters,2000b) pp.93  ゴメリ州チェチェルスク地区における生殖器の発達異常および性的発達異常と、地域の放射能汚染値(18万5000~295万ベクレル/m2)とには相関が見られた(Kulakov et al.,1997)  pp.93 若い男性のインポテンツと地域の放射能汚染値には相関が認められた(Shilko et al.,1993) ウクライナ 汚染地域の子どもに泌尿生殖器系の疾患が増加し、1987年に1000人あたり0.8例だった発生率が2004年には22.8例になった(Horishna,2005)  pp.93  放射能汚染地域(セシウム137で3万7000ベクレル/m2以上)の少女たちは思春期の発来が遅く(Vovk and Mysugyna,1994)、汚染地域(セシウム137で18万5000ベクレル/m2以上)に住む1017人の女児および十代の少女のうち、11%に性成熟の遅れが見られた(Luk’yanova,2003) pp.94  ストロンチウム90とプルトニウムに汚染された地域では、思春期の発来が男子で2年、女子で1年遅れた。セシウム137で汚染された地域では性的発達の早発が見られた(Paramonova and Nedvetskaya,1993) pp.94  ジトーミル州の汚染度の高い地域では第二次性徴の開始が遅れ、女子における第二次性徴の期間が標準より長くなっている(Sorokman,1999) pp.94  1986年に未成年で被ばくした女性は、被ばくしなかった女性に比べて出産時の問題が著しく多い(Nyagy,2006) pp.94  1986年に未成年で被ばくした女性が産んだ新生児は、被ばくしなかった女性が産んだ新生児に比べて身体障害の発生率が2倍に達する(Nyagy,2006) pp.94  大惨事後8年間にわたり、汚染地域(セシウム137で18万5000ベクレル/m2以上)で1万6000人の妊婦を対象に行われた調査の結果、次のことが明らかになった。すなわち、腎疾患の罹患率が12%から51%に上昇、羊水過少症が48%、新生児の呼吸器疾患が2.8倍、早産がほぼ2倍に増加。また、妊娠30週から32週という通常より早い時期に胎盤の劣化(胎盤の老化現象)が見られた(Dashkevich et al.,1995) pp.94  十代の少年少女における慢性腎盂腎炎、腎臓結石、尿路疾患の発生率と、居住する地域の汚染度に相関が見られた(Karpenko et al.,2003) pp.94  汚染地域(セシウム137で18万5000ベクレル/m2以上)では月経周期障害と診断される患者が多く(Babich and Lypchanskaya,1994)、月経障害の症例数は大惨事の3倍になった。大惨事に続く数年間は月経過多が多く、5,6年後には月経の回数減少や月経停止が多かった(Gorptchenko et al.,1995)被ばくし、検診を受けた1017人の少女の14%に月経障害が見られた(Luk’yanova,2003;Dashkevich and Janyuta,1997) pp.94  女性リクビダートルと汚染地域(セシウム137で18万5000ベクレル/m2以上)に住む女性における胎盤の発育異常や変性は、胎盤に取り込まれたセシウム137の量と相関があった。観察された変化には、胎盤の厚さの不均等や線維瘢痕形成、のう胞、石灰沈着、未梢絨毛間質の未分化、未熟な線維芽細胞などがあり、結果として新生児の低体重につながった(Luk’yanova,2003; Luk’yanova et al.,2005;Ivanyuta and Dubchak,2000;Zqdorozhnaya,1993) pp.94  大惨事後8年から10年で、避難者と汚染地域(セシウム137で18万5000ベクレル/m2以上)の住民に、自然流産や妊娠後期における妊娠中毒症、早産その他、妊娠にまつわる異常の発生頻度が有意に増加した(Grodzinsky,1998;Golbchykov et al.,2002;Kyra et al.,2003) pp.95 汚染地域(セシウム137で18万5000ベクレル/m2以上)に住む妊婦のうち54.1%に子癇前症、貧血、胎盤の損傷が見られた(対照群は10.3%)。78.2%は出産時に合併症と過多出血を経験したが、これは対照群の2.2倍だった(Luk’yanova,2003;Sergienko,1997,1998) pp.95  キエフ州の重度汚染地域(セシウム137で55万5000ベクレル/m2以上)では流産が特に頻発した(Gerasymova and Romanenko,2002)。汚染地域(セシウム137で18万5000ベクレル/m2以上)では自然流産のリスクが他の地域より高い(Lipchak et al.,2003) pp.95  重度汚染地域(セシウム137で55万5000ベクレル/m2以上)に住む少女は、流産や妊娠合併症、再生不良貧血、早産の可能性が他の地域より高い(Horishna,2005) pp.95  大惨事に続く7,8年間、リクビダートルの約30%に性機能障害と精子の異常があった(Romanenko et al.,1995b) pp.95  検査を受けたリクビダートルの42%で精子数が最大53%減少し、可動精子の割合が低下しただけでなく(対照群70~75%に対して35~40%)、死滅精子の数も増加した(対照群25%に対して最大70%)(Gorptchenko et al.,1995)。 pp.95 <編集者注>   かのチェルノブイリの国では、放射性物質の種類によって人体への危険度を考え、セシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム238,239,240の土壌汚染それぞれ汚染度合によって、強制避難、移住、移住権利、放射線管理区域が設定されています。  日本のようにガラスバッヂのような、不確かで定量化できないものを使った、放射線管理はしていません。  政府が言う、年間20シーベルトの区域は空間線量3.8マイクロシーベルト/時の地域です。以下のNUMO(核のゴミの最終処分場を探していた機関) フェロー河田東海夫氏の2011年5月24日の資料では、セシウム137で重度汚染地域(セシウム137で55万5000ベクレル/m2)の空間線量率は2マイクロシーベルト/時である、と示されています。汚染地域(セシウム137で18万5000ベクレル/m2以上)の空間線量率は0.66マイクロシーベルト/時です。いずれも地上1mでの値です。年間20ミリシーベルトに福島県住民を帰還されるとはどういうことか?上記の文章をすべて、 55万5000ベクレル/m2→空間線量2マイクロシーベルト/時 18万5000ベクレル/m2→空間線量0.66マイクロシーベルト/時 放射線管理区域3万7000ベクレル/m2→空間線量0.13マイクロシーベルト/時 として、読み直してみて下さい。いかにこの原発20km圏内+高放射能汚染地帯に住民を帰還させることが「緩慢な殺人」を意味するものであるか、明らかになると思います。                             土壌汚染問題とその対応 河田東海夫(NUMOフェロー) 2011年5月24日    

東京第一原発敷地内地下から吹き出る水蒸気 大気のトリチウム汚染か? 2015年5月15日~5月16日

 東京第一原発敷地内地下から吹き出る水蒸気 大気のトリチウム汚染か? 2015年5月15日~5月16日  Fukushima DaiichiさんがyoutubeにUPされている、東京第一原発のライブカメラの動画があります。これはもう、地下から噴き出す水蒸気。果たして、これに放射能が入っていないなんて、さすがの原子力規制委員会も言えないでしょう。  大手マスコミが1つもこの大量に地下から噴出する水蒸気について報道しないのがおかしい。全部、大本営発表ということ?せめて東京新聞くらい取り上げるべき。 2015.05.15_13.00-16.01.Unit4side2015年5月15日 15時12分15秒 4号機あたりから真っ白い煙で覆われる。16時までずっと全画面が真っ白に覆われる。https://www.youtube.com/watch?v=zlQxD3oTbVU 2015.05.15_21.00-00.01.Unit1side2015年5月15日 21時09分44秒 4号機あたりから真っ白い煙で覆われる。23時56分51秒あたりで消える。https://www.youtube.com/watch?v=Tf4PiaLkhw4 2015.05.16_01.00-04.00.Unit4side2015年5月16日 01時29分20秒 4号機あたりから真っ白い煙で覆われる。04時までずっと全画面が真っ白に覆われる。https://www.youtube.com/watch?v=G1J4m-m7pVo  奈良の薬師寺で観測した、0.30マイクロシーベルト/時の空間放射線量率、そしてベ―タ線9cpm。これは自然放射能ではなく、5月15日~5月16日の福島から出てきた放射能プルームの可能性大です。 『奈良 薬師寺 玄奘三蔵院前にて 2015年5月16日 14:58pm 東京第一原発のプルームか?』  <おまけ>どこが最大線量9.7Sv/時なの?普通に24.9Sv/時出てます。(2015年4月10日14:16:58pm)自分の目で見て、考えない報道が多すぎる。東京新聞を信じすぎるのもだめでしょう。 2015/04/13 1号機格納容器内ロボット調査 https://www.youtube.com/watch?v=rlhbRwnDnTA    

栃木県はどこが放射能汚染されているか?

 栃木県が現時点(2014年7月18日現在)で、日本政府の要請を受け、出荷制限している野生きのこ、山菜の地域のマップを作りました。基本的にこの地域の農作物も多かれ少なかれ、放射能汚染されていると考えるべきです。 【出典】栃木県 野生きのこ等の出荷自粛要請について 2014年7月18日  その放射能汚染のようすは、2011年11月25日に、文部科学省が公表した、『航空機モニタリングで測定された放射性セシウムの沈着量と地形の関係』に表されている放射能汚染の実態とよく似ています。   厚生労働省が全国47都道府県、市町村の自治体が行っている、食品の放射性物質の検査結果をまとめています。その2013年9月から2014年8月までの1年間の月別検査結果から、栃木県産の食品で放射性物質が検出されたもののデータを整理しました。参考にして下さい。 厚生労働省 食品 放射能汚染データ 栃木県 2013年9月から2014年8月 検出食品 ジャンルごと        

福島の子どもの甲状腺がんは126人

 2015年5月18日、福島県の第19回県民健康調査検討委員会が開かれ、福島の子どもの甲状腺がんが1巡目の検査で111人(良性腫瘍であった1人を除く)、2巡目の検査で15人と診断されたことが報告されました。合計126人の福島の子どもたちが甲状腺がんと診断されました。  福島県小児甲状腺がんおよび疑い合計126人(2015年3月31日現在) 「福島原発事故後の日本を生きる」さん作成。更に川根が地名を書きくわえました。【原典作成】福島原発事故後の日本を生きるhttp://www.sting-wl.com/fukushima-children5.html【編集】川根 眞也  新聞各紙は126人の子どもが甲状腺がんに罹っていることをまったく報道していません。これまで、福島県立医大は、甲状腺がんの手術を終えた子どもだけを「甲状腺がん確定」とし、穿刺細胞診で甲状腺がんであると診断された子どもを「甲状腺がん疑い」としてきました。甲状腺の細胞を注射器で直接吸い取り、悪性か良性かを判断する穿刺細胞診は甲状腺がんか否かを確定する国際的に確立した診断方法であるにもかかわらず。 ベラルーシ ブレスト州内分泌学診療所にて 穿刺細胞診 1 超音波検査で結節の場所を確認 ベラルーシ ブレスト州内分泌学診療所にて 穿刺細胞診 2 結節の場所を確認しているエコー画像 ベラルーシ ブレスト州内分泌学診療所にて 穿刺細胞診 3 甲状腺の結節の細胞を注射器で吸い取る ベラルーシ ブレスト州内分泌学診療所にて 穿刺細胞診 4 吸い取った細胞を顕微鏡で観察して、甲状腺がんかどうか診断 ベラルーシ ブレスト州内分泌学診療所にて 穿刺細胞診 5 甲状腺がんの1つ 乳頭がんの細胞(顕微鏡写真)  甲状腺がんの手術を終えた子どもだけを「甲状腺がん確定」としたのは「甲状腺がん」が確定した人数を、手術後の時点に遅らせることで、数のあまりの多さに気付かれないようにするための姑息な手段だったのではないでしょうか?  しかし、今回の第19回県民健康調査検討委員会からは、小児甲状腺がんの人数をはっきりと穿刺細胞診の人数として公表し、資料の一番最後に手術を終えて「確定」した子どもの人数を書く形に変えています。もう、甲状腺がんにかかった子どものあまりの多さを隠し切れなくなったからではないでしょうか?  資料3-1 県民健康調査「甲状腺検査(先行検査)」結果概要【暫定版】 [PDFファイル/2.9MB]         ↓ pp.5に「穿刺吸引細胞診」の結果が、pp.27に「悪性ないし悪性疑い者の手術症例」が掲載されています。  資料3-2 県民健康調査「甲状腺検査(本格検査)」実施状況 [PDFファイル/2.12MB]     ↓ pp.5に「穿刺吸引細胞診」の結果が、pp.17に「悪性ないし悪性疑い者の手術症例」が掲載されています。  内部被ばくを考える市民研究会では、今後、福島県立医大の言う「甲状腺がん疑い」、「甲状腺がん確定」を区別せず、「甲状腺がん」とした診断された子どもたちとして表現していきたいと思います。  第18回県民健康調査検討委員会(2015年2月12日開催)と、第19回県民健康調査検討委員会(2015年5月18日開催)の、先行検査(2011年度、2012年度、2013年度)と、本格検査(2014年度以降、2014年度~2015年3月31日現在)での福島の子どもたちの甲状腺がんの患者の人数は以下の通りです。 福島の子どもたちの小児甲状腺がん 第18回(2014年12月31日現在)      第19回(2015年3月31日現在)  先行検査(2011、2012、2013年度)    先行検査(2011、2012、2013年度)   109人(良性結節であった1名を除く)→  111名 本格検査(2014年4月1日~12月31日現在) 本格検査(2014年4月1日~2015年3月31日現在)     8人               →   15名  合計 117名              →  126名  先行検査ではいわき市が23名が24名に1名患者が増えました。会津若松市が6名が7名に1名患者が増えました。  本格検査では7名患者が増えています。福島市が2名から6名に4名患者が増えました。伊達市が2名から3名に1名患者が増えました。南相馬市が0名であったものが1名に、二本松市が0名であったものが1名に、患者が増えています。  2015年3月31日現在15名の子どもたちが本格検査(2014年4月1日~2015年3月31日)で小児甲状腺がんと診断されています。この子どもたちは先行検査(2011~2013年度)では、8名がA1判定でした。つまり、先行検査では結節ものう胞も認められなかったのです。8名は原発事故4年間の発症した、ということになります。また6名がA2判定でした。先行検査で結節が5.0mm以下またはのう胞が20.0mm以下だったのです。1回目の検査から2回目の約2年間の検査で結節またはのう胞が大きくなり、穿刺細胞診で悪性であることがわかった、ということです。  イタリアのアンドレア・コリマ医師は、論文「Thyroid Nodules in Pediatrics: Which Ones Can Be Left Alone, Which Ones Must be Investigated, When and How」の中で、「小児の甲状腺結節の頻度は成人より少ないが、悪性の割合は成人より高い。最近の統計では小児の甲状腺結節の25%が悪性であるとされている」と書いています。 資料『小児の甲状腺結節:経過観察でよいものと精査すべきものの判別、および、いつ、どのようにして実施すべきか Andrea Corrias, Alessandro Mussa』  先行検査では、2015年3月31日現在、実に2,278人の子どもたちが5.0mm以上の結節または20.0mm以上ののう胞があります。 本格検査では、2015年3月31日現在、実に1,043人の子どもたちが5.0mm以上の結節または20.0mm以上ののう胞があります。(先行検査の対象者と本格検査の対象者は重複します。)  もし、アンドレア・コレア氏の論文が正しければ、500人を超える子どもたちが小児甲状腺がんに罹る危険性があります。福島県、日本政府は事実を低くみせる努力などするのではなく、本格的に内分泌専門の病院を福島県のみならず、全国各地に建設し、専門的な医師の育成を始めるべきです。  また、高放射能汚染地帯である、福島市や郡山市、二本松市、伊達市などから住民を避難させるべきです。敷地が放射線管理区域にあたる、セシウム134、137など4万ベクレル/m2以上の学校はただちに閉鎖させるべきです。  高放射能汚染地帯に住んだ期間が長いほど、小児甲状腺がんのリスクは高くなります。一刻の猶予のなりません。  新聞各紙の報道です。ちなみに読売新聞がこの126人の福島の子どもたちの小児甲状腺がんの報道を一切しませんでした。事実を隠ぺいする犯罪的な新聞です。    ベラルーシ・プロジェクト報告はこちらで。ベラルーシの甲状腺がんの診断と治療を調査のレポートです。廃村になった村の空間線量の写真も掲載されています。      

前双葉町町長 井戸川克隆氏が書いた第一原発事故の真実『なぜわたしは町民を埼玉に避難させたのか』(3)

前双葉町町長 井戸川克隆氏が書いた第一原発事故の真実『なぜわたしは町民を埼玉に避難させたのか』(3)  川根は、これまで双葉町で小児甲状腺がんの子どもがでていないことから、「福島市、郡山市、二本松市、など高放射能汚染地帯に子どもたちを住まわせ続けたらからではないのか?全村避難をした双葉町の子どもたちから小児甲状腺がんの患者が出ないことがその証左になるかもしれない。もし、そうならば高放射能汚染地帯(ヨウ素131による土地汚染が10万ベクレル/m2以上の小学校が多くあった)に住まわせ続けた、日本政府、福島県の責任は重い。」と語ってきました。  この井戸川克隆氏の本著『なぜわたしは町民を埼玉に避難させたのか』(駒草出版)の中で、井戸川氏は「私は12日の爆発時に、直接、空から降ってくる高レベルの放射性物質に晒されました。そのときに持っていた線量計は振り切れて測れませんでした。だからその日の夜に、私たちは職員と3人で福島県立医大に行って、計測してもらったんです。きっといい加減にされると思ったから。  夜、門を叩いて測ってもらった。その数字は正確には測れない。セシウム137が万単位のベクレル。ヨウ素が10万単位のベクレルとだけ言っておきます。本当かどうかわからないくらい大きい。初期のヨウ素をものすごい量、被っているんです。これ以外の多方面の検証もしないといけないと思います。」pp.226 「私は、事故後、鼻血が出て、喉は悪い状態となりました。  3年経った今でも同じです。鼻血は出ますし、喉も調子悪いまま。3,4日前(2014年2月当時)は、喉が塞がってすぐに電話に出ることもできませんでした。疲れやすいし、目は白内障にかかっている、筋肉の痛みもあったんですが、最近はとれました。毛も抜けました。頭髪ではないんです、体毛がぬけるんです。心臓がどきどきすることがあったんですが、最近はなくなりました。当然甲状腺の異常はあります。のう胞は2年前に確認されています。小さいものはたくさんあるんですね。」pp.226~227 「福島県内の多くは、放射線管理区域でいうこのC領域(4万~40万ベクレル/m2。ここでは全身を覆って皮膚の露出がないという状態で、決められた手袋や帽子、靴下、ゴム手袋のほかに、半面マスクという内部被ばくを避けるための特別なマスクを装備しなければ、そこにいてはいけない領域)に相当するんです。  こんなところに子どもを住まわせることができますか。24時間そんな装備をしていられるわけがない。本来18歳未満の子どもがいてはいけない場所なんです。」pp.210 「県外に避難されている双葉町住民の方で甲状腺がんで手術された方がいますが、この方はこの県民健康管理調査の数には含まれまていません。それに健康被害は甲状腺がんだけではないのです。」pp.136~137  井戸川克隆氏はここで、甲状腺がんの手術をされた方が、原発事故当時0~18歳だったのか、18歳以上であったのかは触れていません。非常に意味深な表現を使っています。もし、この方が原発事故当時18歳未満であったとしたら、これまでの福島県の県民健康調査検討委員会の数字そのものが実態を反映しないでたらめなものであること。実際はもっと多くの小児甲状腺がんに苦しんでいる、子どもたち、青年がいることになります。  真実はどこにあるのでしょうか?  政府事故調の中間報告をたんねんに読むと、福島県民で原発事故数日で100ミリシーベルト以上被ばくした可能性がある住民、少なくとも1003人であることが示唆されます。 『福島の原発事故で100ミリシーベルト以上の被ばくをした住民は1003人』          

前双葉町町長 井戸川克隆氏が書いた第一原発事故の真実『なぜわたしは町民を埼玉に避難させたのか』(2)

前双葉町町長 井戸川克隆氏が書いた第一原発事故の真実『なぜわたしは町民を埼玉に避難させたのか』(2)  前双葉町町長の井戸川克隆氏は、原発再稼働を迎える自治体に、こう語っています。 「私は国民のみなさんに言いたい。特に今、再稼働の問題をつきつけられている町の地元の人たちに。なんであなた方は、最初から負けているんだと。負けている話をするなと。  再稼働の前に福島の様にしないと約束させた方がいい。再稼働に同意した首長に全ての責任を求めると住民のみなさんは契約した方がいい。言葉だけだと私のようにされますよ。勝ちなさい、原発立地の皆さん。」pp.370

2015年4月27日の楢葉町上繁岡地区集会所のモニタリングポストの上昇グラフ

2015年4月27日の楢葉町 上繁岡地区集会所のモニタリングポストの上昇グラフです。 私は、東京第一原発で作業のため、建屋外に放射性物質をどんどん出していると考えています。上繁岡地区集会所のモニタリングポストでは、かつて、平日は8時ごろから空間線量が上がり、ぴったり17時に下がる。そして、土日は1日空間線量が上昇しないことがありました。まさに、原発作業中に放射性物質を出していて、作業が休みのときは建屋から放出していないことの証左です。 最近は土日もないのか、曜日にかかわらず一貫して、朝8時くらいから空間線量が上がり、17時には下がります。それが、ここ1週間はどんどん線量が上がっていく印象を受けます。 いったい、原発ではどんな作業をしているのでしょうか?  

2015年4月27日12:00pm 異常なベータ線をJR西川口駅で観測

 2015年4月27日12:00pm、異常なベータ線をJR西川口駅構内(改札出て右手2階)で観測しました。JR西川口駅ホーム降りたときは、Radex1503で0.08マイクロシーベルト/時、ECO TEST社 MKS-05でベータ線 4cpmでした。11:55am。ところが、JR西川口駅構内、改札出て右手に行ったあたり(2階)で、MKS-05の警報音が鳴り125cpmになりました。見ると、川口駅→大宮駅方面の風が京浜東北線沿いに吹いていました。Radex1503でも0.47マイクロシーベルト/時になりました。12:00pm。  その後、自宅への道でも8cpm→6cpm。現在、アパート3階室内でもたびたび5cpm検出されています。室内でベータ線5cpmを観測することは、あまりありません。  福島県 楢葉町 上繁岡地区集会所での空間線量率のグラフ(時系列データから川根が作成)でも、本日4月27日午前8時から10時にかけて、空間線量が急上昇しています。 楢葉町上繁岡地区集会所は東京第一原発の南南西約13kmにあります。東京第一原発から、なんらかの放射性物質が一気に放出された可能性があります。  外出中のかたはしばらく屋内に退避することをお勧めします。

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