内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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内部被ばくと健康被害

川内原発が事故を起こせばどうなるのか?瀬戸内海まで広がる放射能汚染、東京、福島まで襲う火山灰。

 川内原発1号機の最終的な、「保安規定検査」と「起動後検査」が行われています。  しかし、2015年8月15日気象庁は、桜島の噴火警戒レベルを3(入山規制)から4(避難準備)に引き上げました。鹿児島地方気象台は、桜島を震源とする火山性地震は2015年8月15日午前7時ごろから多発し始め、「数えられないほど多い」と言っています。一帯、地下で何が起きているのでしょうか?  2014年1月12日、桜島の「大正噴火」からちょうど100年経ちました。NHKの報道では、京都大学防災研究所 井口正人教授「桜島の大正大噴火級の噴火はだいたい100年から200年の間隔で起きている」「少なくとも今後は警戒を要する時期に入ってきている」と話しています。また、気象研究所 新堀敏基主任研究官は、桜島の大正噴火、今から100年前の降灰では東北地方まで観測されている、と言います。(NHK 桜島大噴火から100年 次の大噴火はいつ?2014年1月12日放映) 『NHK 桜島大噴火から100年 次の大噴火はいつ?』   100年前の1914年中央気象台が作成した「大正噴火」(1914年1月12日、13日)での降灰圏です。降灰地域と降灰時刻を示しています。「大正噴火」の際の桜島の火山灰は、噴火から2日で東京、2日半発つと福島にまで達していました。これは各地気象台が観測した実測データです。一部、時刻が逆であると思われたところは川根が修正しました。  また、以下は気象研究所が、桜島の「大正噴火」と同規模の噴火が起こった場合で、2013年10月の南西の風が吹いた場合の気象条件をあてはまめた場合のシュミレーションです。火山灰は近畿から関西、関東地方まで及び、一部は北海道にまで達します。大阪でも1.3mm、名古屋0.5mm、東京都心0.3mmの降灰が予想されています。  鹿児島県桜島にはいつも北西の風が吹いているわけではありません。南東の風が吹く場合もあります。そうすると、川内原発を火山灰が直撃することになります。火山灰対策は取られているのでしょうか。自動車は火山灰が1cm降り積もっただけで動かなくなります。 記事:首都圏に灰が積もったら 富士山の噴火想定 対策検討 2015年2月9日読売新聞 夕刊  桜島と川内原発とはたった52kmしか離れていません。これで原子力規制委員会が「新規制基準適合」とするならば、またもや「安全神話」に逆戻りしたと言わざるを得ません。原子力事故と火山の大噴火が同時に起きた場合のシュミレーションを示し、国民に説明すべきです。もし、複合原発災害を想定していないのなら、それは科学でも政治でもありません。無責任です。     また、九州大学が川内原発で福島第一原発と同じような原発事故が起き、同程度放射性物質が海に放出した場合のシュミレーションを発表しています。(2011年7月7日 九州大学応用力研究所 広瀬直毅准教授ら)2011 年 3月 11 日からの1ヶ月間に 日からの1ヶ月間に 日からの1ヶ月間に 10PBq (ペタベクレル、×1015)の放射性同位体(RI)が海水中に流出したと仮定、が海水中に流出したと仮定、その濃度 が海水中に流出したと仮定、その濃度が海水中に流出したと仮定、その濃度 が海水中に流出したと仮定、その濃度分布 を移流拡散方程式によってシミュレーョンしています。  原発事故16日後の放射能汚染のシュミレーションです。   原発事故37日後の放射能汚染のシュミレーションです。  原発事故93日後の放射能汚染のシュミレーションです。  川内原発1号機、2号機が再稼働し、東電 福島第一原発事故と同様なレベル7の過酷事故が起きた場合、この半分の放射性物質が流出することになります。原発事故が起きたら、瀬戸内海や島根のあたりまで日本海が汚染されることになります。  また、川内原発1号機、2号機の事故と、桜島の大噴火が行った場合、2日半後には東京、福島まで火山灰とともに放射性物質が降り注ぐことになります。以下のシュミレーションで放射能が降ってくる場合を想像して下さい。川内原発の再稼働をあなたは支持しますか?                    

川内原発1号機の再稼働には少なくとも30km圏内の自治体の同意が必要

 川内原発1号機は2015年8月11日10時30分に原子炉から制御棒を引き抜き、「起動」を開始しました。同日23時には「臨界」に達し、8月14日には発電を開始しました。これをもって、8月11日にはNHK、朝日新聞を始めマスコミは「川内原発1号機が再稼働」と報じ、8月14日には「川内原発1号機が送電を開始」と報道しています。  これは事実とまったく異なります。まだ、川内原発1号機の、「新規制基準適合審査」はまだ完了していません。2014年9月10日に「合格」とされたのは「原子炉設置変更許可申請書」だけです。これだけで、NHKや新聞各紙は「川内原発合格」と報じたのでした。「新規制基準適合審査」には、3つの審査があります。①原子炉設置変更許可(基本設計・方針)②工事計画変更許可③保安規定認可です。それ以外に、起動前検査(現場検査を含む)と起動後検査(現場検査を含む)を行う必要があります。2015年8月3日に③の保安規定検査が始まっていますが、まだ終わっていません。また、原子炉から制御棒を抜き核分裂をさせて(起動させて)検査する、という「起動後検査」が8月11日が始まった、ということで、まだ、発電機出力は75%にしかなっていません。さらに、この発電した電気は各家庭や事業所にはまだ送られていません。  今日(2015年8月18日)も、12:00pmの段階で、「川内原発1号機が発電している」電気を一切使わずに、使用率は88%です。原発はそもそも必要ないのです。    NHKや大新聞は、「再稼働」が行われたかのような報道を垂れ流しています。これは「あぁ、もう川内原発は再稼働されてしまったんだ」と反原発の運動の側をがっかりさせるための悪宣伝です。   しかし、合格していないものを商業運転させることは当然できません。現在、行われているのは、③の保安規定認可の審査と、「起動後検査」であり、この両方が終わって初めて、原子力規制委員会が新規制基準の適合、つまり「合格」というはずです。今日8月18日13:00から第261回原子力規制委員会が開催されますが、その議題も(議題1) 東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所6・7号機の重大事故等対策について(議題2)その他となっており、川内原発1号機の適合を審査する予定はないようです。  昨年2014年11月6日、衆議院原子力調査特別委員会で、菅直人議員が「① 30km 圏住⺠避難計画が、現⾏規制基準に基づく再稼働に必要であること」さらに電気事業者は、「② 30km 圏の⾃治体に苛酷事故時の避難計画がない場合、30km 圏住⺠の同意が得られていないものとして、原発再稼働できないこと」を確認しています。以下、広島2人デモ、哲野イサク氏のまぼろしの第155回広島2人デモから、菅直人氏の質疑を転載します。 衆議院 原⼦⼒問題調査特別委員会 2014 年 11 ⽉ 6 ⽇ 菅直⼈議員 質疑抜粋 「30km 圏地元同意がなければ、原発は稼働できない」を衆議院原⼦⼒問題調査特別委員会で確認 菅直⼈:現在、川内原発に関しては(原⼦炉)設置変更許可がなされたのが、この2014年9 ⽉10 ⽇であって、それに引き続いて⼯事計画認可、さらには保安規定認可、さらには起動前検査、さらには起動後検査、これらが全部、合格というか、承認された後に最終的に決定になると。  ですからまだこの中でいえば⼀番最初の設置変更許可が出された段階で、その後のことはまだこれからだと。審査を進められていると、こういう理解を私はしているんですが。委員⻑、そういう理解で間違いないでしょうか? 原⼦⼒規制委員会委員⻑ ⽥中俊⼀:ご指摘の通り、間違いありません。 菅直⼈:報道の責任を委員⻑に申し上げるのは筋違いかとは思いますが、少なくとも私が⽬にする⾊んな報道ではですね、あたかも、もう審査は終わりましたと。規制委員会の⽅でですよ。もう認可したんですという報道がなされていますので。少なくとも規制委員会として、そういう報道を⽬にされた時には、それが正確でないとすれば、規制委員会からもそれは正確ではありませんという、きちんとそのことを⾔って頂きたいということをお願いを申し上げておきます。 菅直⼈:今⽇は実は九州電⼒の社⻑に参考⼈としておいでいただきたいと⾔う⾵にお願いしていたんですが、それがかなわなかった中で、だからというわけではありませんが、東京電⼒はもちろん事故を起こしただけではなくて、原⼦⼒事業者としての⽴場があります。そこでこの原⼦⼒事業者たる電⼒会社というものが、どういう責任と権限を法律上課せられているのかということについて、少しお聞きをしたいと思います。(当⽇出席したのは東京電⼒常務執⾏役の姉川尚史⽒であるが、姉川⽒の資格は東電代表者ではなく、⼀般電気事業者=電⼒会社代表であることを菅⽒は確認している)  現在、炉規制法等(原⼦炉等規制法:正式には『核原料物質、核燃料物質及び原⼦炉の規制に関する法律』)、原⼦⼒災害対策特別措置法(『原⼦⼒災害対策特別措置法』が正式名称)に原発再稼働に関する規定がいくつかあります。  まず炉規制法では、原⼦⼒規制委員会の審査に合格した後でなくては原発を使⽤してはならない、つまりは原⼦⼒規制委員会に合格をすることが⼀つの条件になっております。他⽅、原⼦⼒災害特別措置法では原⼦⼒規制委員会が原⼦⼒災害対策指針を定めるとして、その指針に従って地元⾃治体が地元住⺠の安全な避難とか、帰還ができる地域防災計画を作ることになっております。  そこでまずあえて原⼦⼒事業者である東電、今⽇は常務においでいただいておりますが、電⼒会社はですね、この原⼦⼒災害対策指針に基づく防災計画、避難とかそういうものが含んだ防災計画についてですね、どのような責任を負っているのか、法律的にどのような責任を負っていると理解されていますか? 東電 姉川尚史:避難については我々の認識、法律の理解は地⽅⾃治体の⽅が責務を負っていると思っております。先ほどから申し上げたのはそれに対して、我々が最⼤限の貢献をする、協⼒をするという観点でお答えをしてしまいました。 菅直⼈:もう⼀度確認します。今⾃治体がと⾔われましたが少なくとも原⼦⼒事業者である電⼒会社が最終的な責任を負っているわけではないと。負っていない。そういう意味ですね。今、⾃治体が、と⾔われたのは。はっきり答えてください。 姉川尚史:ご回答いたします。ご質問の範囲が住⺠の⽅の避難、そしてその後の帰還を的確に⾏う責任、任務ということでしたので、それについては⾃治体さんが法律上も責務を負うという⾵になっているというのが私の理解でございます。 菅直⼈:事業者としては“(責任は)ない” ということですね。 姉川尚史:事業者の⼀義的な責任ではない、と思っております。 菅直⼈:まさにそうなんですよ。事業者の⼀義的な責任ではないんです。そこでお聞きします。炉規制法でですね、規制委員会の⾊んな⼿続きの審査に合格した後でなくては原発を使⽤してはならないという規定は…これは委員⻑にお聞きしたほうがいいんでしょうかね。合格すれば電⼒会社は独⾃の判断で再稼働できるという意味なのか、それとも今の話のようにいくつかの条件、ま、少なくとも2つですね。いわゆる新規制基準に基づく判断は、よく委員⻑が⾔われるように規制委員会がやるけれども、もう⼀つ、避難の問題とかについてはもう⼀つの条件。  ここの炉規制法でいうのはあくまでいくつかの条件の中の必要条件として合格した後でなければ原発を使⽤してはならないと書かれてあるのか、いや、合格したら事業者の判断でやってもいいという理解なのか。委員⻑の⾒解をうかがいます。 (すなわち、菅⽒は、住⺠避難計画の存在は、再稼働を定めた法体系の中で必要条件なのかどうかを問うている) ⽥中俊⼀:まずあの、我々が俗にいう審査、適合性審査っていうのは、よく深層防護が5段階あると。で、いわゆる5 つ⽬が住⺠の防災避難計画でございます。(原⼦⼒規制委員会の『深層防護(5 層)』については、7⾴表4参照のこと。⽥中⽒は4層までは規制委の規制範囲だが、5層は範囲外である、と述べている)その4 段階までは私共がやります。それで5段階の、いわゆる住⺠の防災避難計画については、これは国の定めでは県、あるいは当該地⽅⾃治体が⾏うことになっております。そういったものがキチッとできた上でないと現実的には稼働という段階には⼊らないという⾵に認識しております。  これは私も再三申し上げておりますけれども、私どもは、再稼働については申し上げる⽴場にはないということで、結局事業者だけではなくて、そこの地域の住⺠の⽅々を中⼼としたそういった関係者の理解、ご同意が得られなければ、稼働は出来ないだろうと。出来ないはずであると。思っているところで、そういう⾵にお答えしているところでございます。 菅直⼈:もう⼀度重ねてお聞きします。(避難計画など防災対策を)⾃主的にとかいう表現はですね、やはり曖昧です。法律に基づいてどう判断するかです。今の委員⻑の発⾔4 層まで、4 段階⽬までは規制委員会がみると。避難とか何とかについては⾃分達は判断しないと。しかしその部分についてもキチンと何らかの、これで⼤丈夫だという決定がなければ再稼働は出来ないという全体の(法律上の)体系だと。5層⽬についても何らかの、これで⼤丈夫だとか、OK だとか、適合しているとか、それがなければ稼働できない、これが全体の法体系だと。そういう理解ですか? ⽥中俊⼀:住⺠の防災避難計画についての法の定めっていうんですか、それは地⽅⾃治体が責任を持って策定をするってことになってますので、そのことが法の定めであろうかと思います。 菅直⼈:ですから聞いているんです。その部分が法の定めということは、そこがキチンとなっているという何らかの決定とか⼿続きがなされない限りは、この炉規制法のほうはあくまで必要条件の⼀つであって、⼗分条件ではないと。そういう理解で、全体の理解はそれでいいのですね? ⽥中俊⼀:その通りだと思います。 菅直⼈:ということはですね、その部分は⼀体誰が決めるんでしょうか?先ほど東電の常務は⾃治体といわれましたけれども、⾃治体が決めるということは、⾃治体がある意味では承認もできるけれども拒否権も持っているということになります。そういう拒否権を⾃治体が持っている、あるいは決めることができるという法律をわたくしは知りませんが、どなたか知っている⼈いますか?経産省でもどこでもいいですよ。 経済産業副⼤⾂ ⼭際⼤志郎:あの、避難地域防災計画については、これは地⽅⾃治体が定めなけばならないというふうに義務付けられておりますので、定めなくてもいいんだということはないと思います。ですから、地⽅⾃治体が作るということでございます。 菅直⼈:全く答えになっていません。私は地⽅⾃治体が作ることを否定しているわけではありません。地⽅⾃治体がつくることになっているんです。そのなっている⾃治体が、最終的にこれで⼤丈夫と判断するのか、これでダメと判断するのか、そこに判断の権限を与えているんですか、と聞いているんです。答えられますか? 経済産業副⼤⾂ ⼭際⼤志郎:法令上の、という話でございますので、その地⽅⾃治体のつくった地域防災計画それがどのようなものであるかということを、法令上審査をするということにはなっておりません。 菅直⼈:まさにその通りで、審査をすることになっていないということは、それを最終的に決める⼿続きがないということではないですか。(菅⽒は、深層防護5層のうち、4層までは審査が必要と明確に規定しているが、肝⼼の5層については、審査の規定がない、この法体系上の不備を突いている)  現実に川内原発の周辺では30km 圏の⾃治体の中でも、確かに議会で薩摩川内市のように再稼働に賛成する決議も出されています。しかし他のいちき串⽊野市とか、姶良市のように、場合によったら廃炉まで求めている決議も出ているんです。これ、同じ30km 圏の⾃治体です。そうすると、今のお話ですと、⾃治体が駄⽬だと⾔った時に、いや⾃治体が例え駄⽬だと⾔おうとも、それでやれるんだと⾔う法律はないということですよね。そうすると、ちょうど、東電の常務には気の毒ですが、もう⼀つだけお聞きします。最後に事実、⾏動として、再稼働するかどうか、簡単に⾔うと制御棒を抜いて反応をはじめるという、それがスイッチなのかレバーなのか知りませんが、それは事業者がやることになります。  そのときに今のような、問題が曖昧のままでやることができるんですか?それとも何か、政府からの明確な⼿続きに基づく命令とか指⽰とかがなければやれないということなんですか、どうですか? 姉川尚史:ご回答いたします。法律についての理解は先ほどお答えしましたけれども、我々事業者が制御棒を抜いて稼働するという準備のためにはですね、地域防災計画が定まっていることが必要ですし、我々の事業者防災業務計画がそれに整合するものでなければなりませんし、これを定めるにあたってはガイドラインが規制委員会からも定めておりますので、それに従っているものになっている必要があります。従ってそれに則した防災計画が、地域と我々で出来ていれば、出来れていればという条件ですが、防災についての⼀定の対応ができているんではないかと私は理解しております。 菅直⼈:そうすると例えば30km 圏のある⾃治体がですね、それは困ると。安全に逃げられる条件にないと。だからそれは困るといえば、稼働は出来ないという理解ですね?今の話は。 姉川尚史:現在法律で定めている地域防災業務計画の義務があるのは⽴地している県、⽴地している地⽅⾃治体と理解しておりまして、その3者の地域防災計画が定まっていることが条件だと私は理解しております。 菅直⼈:その理解はちょっとおかしいんじゃないですか?つまり原⼦⼒災害対策指針を出されているのは原⼦⼒規制委員会ですよ。そこで概ね30km というUPZ を指⽰して、そういう⾃治体にも地域防災計画を作るようにという指⽰が出ているんですよ。指⽰が出ているのは、⽴地県と⽴地⾃治体(直接⽴地⾃治体と⾔う意味)だけではありませんよ。今のは元々の根っこが間違っているんではないですか? 姉川尚史:失礼いたしました。私の回答を訂正いたします。地域防災業務計画は30km 圏のものでございます。 菅直⼈:ということは先ほどのと重ねて⾔うと、30km 圏⾃体がこれでいいと⾔わないと、スイッチは押せない。そういう理解でいいんですね? 姉川尚史:はい、えー。・・・地域防災計画が定まっていない、すなわちご理解を頂いていないということであれば、我々事業者として条件が⼗分ではないと。再稼働の条件が十分ではないというふうに認識しております。(姉川⽒はここでも重要なことを述べている。すなわち少なくとも電気事業者は、地域防災計画が定まっていない=30km 圏の⾃治体が原発再稼働に理解を⽰していない、と解釈する、と述べている点だ) 菅直⼈:⼤変重要な回答を事業者からいただきました。何故こういう事を⾔うかというと、⼀部にですね、規制委員⻑もよくおわかりでしょうけども、規制委員会が合格を出したら、あとは電気事業者なり原⼦⼒事業者が、⾃由に、あとは任せられたんだというような⾔い⽅を時々する役所の説明が時々あるんですね。それホントにいえるの?というと、いやそれはちょっと、国会では⾔えませんと⾔って撤回しますが。ですから私は逆に、そういう⾵に最後の最後ですね、電気事業者が、原⼦⼒事業者が判断したんだという⾵になるのではないかと⼼配したわけです。  以上、『まぼろしの第115回広島2人デモチラシ』 ブログ 反被曝・反原発 広島2人デモ 「衆議院 原子力問題調査特別委員会2014年11月6日 菅直人議員質疑抜粋」 pp.5~6 より   鹿児島県知事 伊藤祐一郎氏は「同意が必要な自治体を県と立地自治体の薩摩川内市のみ」と説明しています。2014年10月28日、川内原発がある薩摩川内市の市議会は「川内原発再稼働求める市民の陳情」を採択、岩切秀雄市長が再稼働に同意すると表明、鹿児島県議会も同年11月7日に、鹿児島県臨時県議会の原子力安全対策等特別委員会(15人)は、31本の川内原発再稼働に反対する陳情(3号機増設反対やすべての原発の廃炉をもとめる陳情も含む)を否決し、たった1本の薩摩川内市の商工団体などが提出した「川内原子力発電所1・2号機の一日も早い再稼働を求める陳情」を採択しました。伊藤祐一郎県知事も同日、「国民の生活レベルを守り、わが国の産業活動を維持する上で再稼働はやむを得ない。政府の再稼働方針を理解する」と表明しました。  薩摩川内市に隣接するのは2市、いちき串木野市と阿久根市。いちき串木野市は2014年9月30日に川内原発の再稼働を求める陳情を否決、阿久根市も2014年11月6日川内原発の再稼働を求める陳情を否決しています。日置市、姶良市(あいらし)、いちき串木野市は、原発立地自治体として「地元」に3市を加えるよう県に求める意見書を可決。姶良市議会は再稼働反対と廃炉を求める意見書を可決しています。  川内原発30km圏外でも、10市町が「再稼働にあたって九電に公開の住民説明会を求める」決議や陳情を採択しています。宮崎県では高原(たかはる)町、鹿児島県では、日置市、出水(いずみ)市、伊佐市、日置(ひおき)市、肝付(きもつき)町、南種子(みなみたね)町、屋久島町の3市3町。熊本県では、荒尾市、水俣市、大津(おおづ)町の2市1町。ちなみに、鹿児島県議会は再稼働に賛成の陳情を採択、宮崎県議会と熊本県議会は川内原発再稼働に関して、川内原発再稼働反対の決議や住民説明会の開催を求める決議は上げていません。宮崎県議会では2014年9月議会で、請願第50号『川内原発再稼働に反対表明を求める請願』が出されていますが、否決されています。  原発30km圏内でも同意は得られていません。そして、2014年5月21日、福井地裁は「関⻄電⼒⼤飯原発3号機、4号機の運転差⽌」を求める判決を出しました。この判決の中で、樋⼝英明裁判⻑は「原発250km内の人格権」を指摘しています。この根拠となったのは、当時 原子力委員会委員長だった、近藤俊介氏の「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描 2011年3月25日」です。  近藤氏は、4号機使用済み核燃料プールの冷却ができなくなり、燃料破損、続いてコアコンクリート反応により大量の放射性物質の放出が始まる可能性を指摘、他の1~3号機でも次々と使用済み核燃料プールのコントロールができなくなり、同様に大量の放射性物質が放出された場合を想定しました。この場合「強制移転をもとめるべき地域が170km以遠にも生じる可能性や、年間線量が自然放射線レベルを大幅に超えることをもって移転を希望する場合認めるべき地域が250km以遠にも発生することになる可能性がある」と述べています。 『大飯原発3、4号機運転差し止め判決「原発250km圏内の人格権」ー根拠となった原子力委員会 近藤俊介氏の内部資料2011年3月25日』  川内原発が事故を起こせば、その被害は30km圏内に留まるものではありません。250km圏内の自治体の同意も求めるべきだ、と考えます。          

九州電力株式会社による水俣市での住民説明会開催に関する決議書 2015年7月2日 水俣市議会

九州電力株式会社による水俣市での住民説明会開催に関する決議書  九州電力株式会社は2013年7月8日、川内原子力発電所1・2号機の再稼働へ向けた適正審査を原子力規制委員会に申請し、2014年9月10日、原子力規制委員会は審査書を取りまとめました。これを受けて、同年11月7日、鹿児島県議会は再稼働推進陳情を採択し、同日、伊藤祐一郎鹿児島県知事は再稼働受け入れを表明しました。 しかし、福島ではいまだに12万人の人々が故郷を奪われたままであり、放射能は放出され続けています。これだけの被害を出しながら、原因の究明も中途半端なままで原子力発電再稼働を進める電力業界に対して、国民の同意が得られているとは到底言えません。 川内原子力発電所については、地震問題、火山問題、過酷事故対策、使用済み核燃料、避難計画など、安全上の問題が数多く指摘されています。川内原子力発電所から40kmの距離にある水俣市民は、再稼働されることに不安を持っています。 再稼働を前提とした核燃料の装荷は7月初旬に行われ、8月中旬に再稼働と言われています。住民の十分な説明がないままに、再稼働に踏み切ることは、公的責任を負う事業者として、責任のある態度とは思えません。 よって、九州電力株式会社においては、川内原子力発電再稼働に関して、下記の措置を講じるように強く要望することを決議する。                   記 1.九州電力株式会社は、水俣市において住民説明会を開催すること。 平成27年7月2日                                水俣市議会

川内原発1号機はまだ再稼働していない。起動後検査中。再稼働阻止は原発立地自治体の反対が鍵。

まだ川内原発1号機は再稼働していない。NHK、朝日新聞はうそ  哲野イサク氏は、川内原発1号機は現在「起動後検査中」であり、この起動後検査を含む「保安検査・使用前検査適合」によって「規制基準適合審査」が終わり、最終的に合格したことになる。つまり、原子力規制委員会が、川内原発1号機が新規制基準に適合していると認めたことになると解説しています。  2015年8月11日NHKの報道では、「起動から12時間半後の8月11日午後11時ごろに核分裂反応が連続する『臨界』と呼ばれる状態になり、3日後の8月14日に発電を始めたあと、徐々に原子炉の出力を高め、9月上旬に営業運転に入る計画です」とありますが、原子力規制委員会は、2015年8月14日以降に「起動後検査の適合」を判断するはずです。これと同時に、川内原発1号機が新規制基準適合とさせるはずであり、万が一、この「起動後検査中」に異常が発見された場合は、「起動後検査」不適合、つまり、新規制基準の不適合(=不合格)が原子力規制委員会によって判断されることもあるのです。 <追記> 2015年8月14日 7:20am  2015年8月12日大分県で、そして今朝8月14日は熊本県で異常な空間放射線量の上昇が見られた、という情報が入りました。原子力規制委員会のモニタリング情報では、時系列データを見ることができます。しかし、データをcvsデータとしてダウンロードできなくなっています。  これはちょうど2015年4月8日、福島県で、福島県が3月末に設置したモニタリングポストが通常の1000倍も超える異常値を記録したときと同じです。そのときも、時系列データが見ることができるが、ダウンロードできなくなりました。  川根が手作業でデータを書きうつし、EXCELでグラフ化した、大分県 県衛生環境研究センターのここ1週間分の空間放射線量率の推移です。川内原発1号機が臨界に達する前に、放射性物質が漏れたのではないでしょうか? 測定日時    放射線量(μSv/h)1m高さの推計値(μSv/h)    8月12日 10:00   0.065       0.0678月12日 11:00   0.067       0.0698月12日 12:00   0.066       0.0688月12日 13:00   0.064       0.0658月12日 14:00   0.062       0.064 ※ 通常の空間放射線量率は 0.050と0.051(1mの高さ)。これより0.015μSv/hも高くなっている。 【追記終了】  【追追記】2015年8月14日 9:50am 熊本県の空間放射線量率も8月12日異常値に。通常値の2倍以上。  NHKの報道では、「川内原子力発電所1号機は、8月11日午前10時半に原子炉の起動が行われ再稼働しました。国内の原発が稼働するのは東京電力福島第一原発の事故のあと作られた新しい規制基準のもとでは初めてで、おととし9月に福井県にある大飯原発が停止して以来1年11か月ぶりです。」と、原子炉の「起動」=「再稼働」としていますが、これは意図的な誤解です。川内原発1号機が新規制基準に合格するのは早くても8月14日以降。そして、原発再稼働のためには地元30km圏内の自治体の同意が必要。その上で、安倍政権が再稼働の政治的判断をすることになっていることを解説しています。以下が哲野イサク氏がこれまでの原子力規制委員会の「実⽤発電原⼦炉に係わる新規制基準について」(2013 年7 ⽉原⼦⼒規制委員会など)を整理してまとめた、原発再稼働許可までの法的⼿続きフローチャートです。(クリックすると大きくなります。)  ところが、NHKも大手新聞も、2015年8月11日の原子炉の起動が、あたかも再稼働のように報道しています。これは意図的な誤報であり、原発再稼働に反対する市民に「あぁもう、川内原発は再稼働してしまったのか」と思わせ、運動を鎮静化させるための世論操作です。極めて悪質です。  哲野氏が解説しているように、「起動」は原子炉から制御棒を抜き、核燃料が正常に核分裂が行われることで発⽣した蒸気でタービンを回して電⼒を生産することを指します。これに対して、「再稼働」とは⽂字通り原発が電⼒⽣産の体制に⼊り実際に電⼒網(グリッド)に電気を供給する状態を指します。     8月14日以降に「新規制基準適合」=合格か?再稼働のためには地元の同意と政府の政治的判断が必要  この「再稼働」には、新規制基準適合の上に、①原発立地自治体の同意(原発⽴地⾃治体の範囲は現在不明確だが、最低でも30km 圏の⾃治体)②政府の政治的判断が、必要であるとされています。  九州電力は、本来であれば新規制基準適合の後に、①パブリック・コメントの実施、②住民説明会の実施、③原発立地自治体の同意を得るべきところでした。何と新規制基準適合(2015年8月14日以降になるはず)の前、去年の2014年8月15日にパブリック・コメントを締め切り、そのパブリック・コメントのまとめも発表しないまま2014年9月10日、原子力規制委員会は、川内原発1、2号機が新規制基準の3つの重要な認可のうちの根幹である、「原⼦炉設置変更許可」に適合していると審査書を決定したのです。これを持って、大新聞はみな「新規制基準の合格した」とまず宣伝したのでした。 ※3つの重要な認可とは「原⼦炉設置変更許可」、「⼯事計画変更認可」、「保安規定変更認可」 原発30km圏内の住民の圧倒的多数は再稼働反対   また、本来であれば、新規制基準適合の後に開催すべきである住民説会を、2014年10月20日までに、薩摩川内市、日置市、阿久根市、さつま町、いちき串木野市の5市町で開催(2589人が参加)しています。そこでは県が実施したアンケートには、原発再稼働に賛成か、反対かの項目すらありませんでした。アリバイ作りのための住民説明会であり、再稼働に向けた合意形成などできていません。事実、毎日新聞が、この5つの市町の説明会に参加した50名に聞いたアンケートでは、 (1)川内原発は「安全」だと思いましたか? 思わない 34人 思う 16人 (2)再稼働に賛成ですか? 反対 33人 賛成 16人 (3)住民に再稼働の賛否を聞くべきだと思いますか? 聞くべきだ 38人 聞く必要ない 12人 ー毎日新聞 朝刊 2014年10月22日   これが住民説明会を終えた後のアンケートです。地元の住民合意が得られているとは言えません。   そして、一番最後は10月20日いちき串木野市の住民説明会が開催されましたが、本来はその一週間前10月13日に開催される予定でした。それが台風のために延期され、2014年10月20日に開催されることになったのです。しかし、この10月20日に、川内原発がある薩摩川内市の市議会特別委員会は「川内原発再稼働求める市民の陳情」を採択しています。まずもってスケジュールありきの強行採決でした。  同年10月28日、川内原発がある薩摩川内市の市議会は「川内原発再稼働求める市民の陳情」を採択、岩切秀雄市長が再稼働に同意すると表明、鹿児島県議会も同年11月7日に、鹿児島県臨時県議会の原子力安全対策等特別委員会(15人)は、31本の川内原発再稼働に反対する陳情(3号機増設反対やすべての原発の廃炉をもとめる陳情も含む)を否決し、たった1本の薩摩川内市の商工団体などが提出した「川内原子力発電所1・2号機の一日も早い再稼働を求める陳情」を採択しました。伊藤祐一郎県知事も同日、「国民の生活レベルを守り、わが国の産業活動を維持する上で再稼働はやむを得ない。政府の再稼働方針を理解する」と表明しました。  【出典】『第68回伊方原発再稼働を止めよう!2015年8月8日』 ブログ 反被曝・反原発 広島2人デモ  一方、日置市、姶良市(あいらし)、いちき串木野市は、原発立地自治体として「地元」に3市を加えるよう県に求める意見書を可決。姶良市議会は再稼働反対と廃炉を求める意見書を可決しています。鹿児島県知事 伊藤祐一郎氏は「同意が必要な自治体を県と立地自治体の薩摩川内市のみ」と説明しています。(東京新聞朝刊 2014年11月7日) 原発30kmk圏内の同意は必要ないのか?  原発30圏内の住民の同意は必要ないのでしょうか?   薩摩川内市に隣接するのは2市、いちき串木野市と阿久根市です。いちき串木野市は2014年9月30日に川内原発の再稼働を求める陳情を否決、阿久根市も2014年11月6日川内原発の再稼働を求める陳情を否決しています。  果たして、③原発立地自治体の同意を得ることができている、と言えるのでしょうか。  川内原発から30km圏外でも、次々と声が上がっています。熊本県水俣市議会は7月2日、「水俣市での住民説明会開催に関する決議書」を全会一致であげました。「国民の同意が得られているとは到底いえません」と強調。川内原発について「地震問題、火山問題、過酷事故対策、使用済み燃料、避難計画など、安全上の問題が数多く指摘されています」としたうえで、「40キロの距離にある水俣市民は、再稼働されることに不安を持っています」「住民への十分な説明がないままに、再稼働に踏み切ることは、公的責任を負う電力事業者として、責任のある態度とは思えません」と厳しく批判しています。  川内原発30km圏外でも、10市町が「再稼働にあたって九電に公開の住民説明会を求める」決議や陳情を採択しています。宮崎県では高原(たかはる)町、鹿児島県では、日置市、出水(いずみ)市、伊佐市、日置(ひおき)市、肝付(きもつき)町、南種子(みなみたね)町、屋久島町の3市3町。熊本県では、荒尾市、水俣市、大津(おおづ)町の2市1町。ちなみに、鹿児島県議会は再稼働に賛成の陳情を採択、宮崎県議会と熊本県議会は川内原発再稼働に関して、川内原発再稼働反対の決議や住民説明会の開催を求める決議は上げていません。宮崎県議会では2014年9月議会で、請願第50号『川内原発再稼働に反対表明を求める請願』が出されていますが、否決されています。 安倍政権の「再稼働」の政治的判断を止めよう!いちき串木野市、阿久根市と鹿児島県、宮崎県、熊本県の10市と連帯して、声を上げよう!  2015年8月14日以降、原子力規制委員会は今回の起動後検査の結果の評価と、最終的な新規制基準適合か否かの判断を文書で示すはずです。それを受けて、原発立地地元自治体が同意したのかを安倍政権が判断し、その上で、「原発再稼働」の判断をします。川内原発1号機の再稼働の判断をするのは、原子力規制委員会ではなく、日本政府です。  再稼働に同意していない、30km圏内6市町と、30km圏内に一部入るのに地元自治体の扱いを受けてない鹿児島市、出水市。30km県外で「再稼働にあたって九電に公開の住民説明会を求める」決議や陳情を採択した、宮崎県高原町、鹿児島県ー日置市、出水市、伊佐市、日置市、肝付町、南種子町、屋久島町、熊本県ー荒尾市、水俣市、大津町の住民と連帯しながら、川内原発の再稼働を阻止しましょう。    

声明 問題山積のまま見切り発車の川内原発1号機再稼働を憂慮する 原子力市民委員会 2015年8月11日

声明:問題山積のまま見切り発車の川内原発1号機再稼働を憂慮する 2015年8月11日 原子力市民委員会             座  長  吉岡 斉          座長代理  大島堅一 島薗 進 満田夏花委  員  荒木田岳 井野博満 大沼淳一      海渡雄一 後藤政志 筒井哲郎      伴 英幸 武藤類子      1.原発再稼働の強行に至る経緯  九州電力川内原発1号機が、とうとう起動し発電再開へ向けて秒読み段階に入った。これは原子力規制委員会が設置されてから最初の原発再稼働となる。九州電力関係者にとっては夢にまで見た瞬間であろう。またこれを機に、日本全国で原発再稼働の流れが定着してほしいと、原子力関係者は強く期待しているに違いない。 川内原発1号機の再稼働への道のりは険しかった。福島原発事故後も設置許可は取り消されず、日本の原発の多くは運転を続けた。しかし定期検査などでいったん停止した原発の再稼働は立地・周辺地域の同意を得ることが難しくなった。国民世論を刺激することも関係者は恐れた。このままでは全ての原発が再稼働できなくなると原子力安全・保安院、経済産業省、関係閣僚らは懸念を抱き、定期検査後の再稼働を承認する正規のルールを確立しようとした。 原子力安全・保安院は当初、この問題を軽く考えていた。津波を原因とする全電源喪失および冷却機能喪失という緊急事態を想定した小手先の安全対策の追加を電力会社に指示し、それに対する電力会社の報告を受けて再稼働にゴーサインを出そうとした。なお原子力安全・保安院は直ちに対策が整わなくても中長期的な整備計画が策定されていれば、運転再開について安全上支障がないとした。経済産業省がこの新ルールを適用しようとした最初の原発が、九州電力玄海2・3号機だった。だが九州電力やらせメール事件が発覚して眞部利應社長が辞任を発表し、この件は白紙となった。 2011年 7月11日、菅直人首相の意向にもとづき関係閣僚は再稼働の条件としてストレステスト実施を指示した。原子力安全・保安院は作ったばかりの新ルールを白紙に戻し、それに従った。ストレステスト(1次評価)に最初に合格したのは関西電力大飯3・4号機(2012年 2月13日)だった。だがその頃から、原子力規制体制を一新しようとする政治的動きが活発化し、原子力安全・保安院はまもなく廃止されることとなり、ストレステスト方式による再稼働という新ルールはまたも白紙となりかけた。そして2012年 5月 5日、それまで運転していた全ての原発が定期検査に入り、日本の稼働中の原発はゼロとなった。しかし野田佳彦首相は2012年夏、ストレステスト方式による再稼働の唯一の適用例として関西電力大飯3・4号機の再稼働を後押しし、2012年 7月 5日から2013年 9月15日にかけて2基が稼働した。 2012年 9月19日、原子力規制委員会が環境省の外局として設置され、その事務局として原子力規制庁が設置された。その際に原子炉等規制法が改正され、バックフィット適合が義務づけられたため、全ての原発は再稼働に当たって新規制基準適合を義務づけられた。この新体制のもとで2013年 7月 8日、商業発電用原子炉に関する新規制基準が施行された。その日の内に九州電力川内1・2号機を含む合計10基の適合性審査の申請が行われ、4日後には九州電力玄海3・4号機も加わった。3度目の仕切り直しである。こうして適合性審査が始まったが、審査は長期化した。ようやく川内1・2号機が2014年 9月10日に合格とされた。(その後、2015年 2月12日に関西電力高浜3・4号機、7月15日に四国電力伊方3号機が合格とされている)。 だが再稼働までには工事計画認可、保安規定認可、起動前検査をクリアする必要があり、その審査にも時間を要した。ようやく本年 8月、川内1号機が再稼働する運びとなった。適合性審査の申請から実に 2年あまりを要したこととなる。川内1号機は 4年 3カ月ぶりの再稼動となる。同2号機も10月再稼働が見込まれている。九州電力全体でみれば、同社で最後まで運転していた玄海4号機は2011年12月25日に停止したので、3年 8カ月ぶりに原発ゼロ経営を脱することとなる。長い道のりだったと九州電力関係者は一息つくだろう。 ただ2015年内の再稼働は全国で2基止まりとなろう。原子力規制委員会の設置変更許可が2番目におりた関西電力高浜3・4号機は、福井地裁による運転差止仮処分決定(2015年 4月14日)により、2015年内の再稼働は絶望的だ。また3番手の四国電力伊方3号機(7月15日設置変更許可)も、工事計画認可等の手続きを半年でクリアし今年中に再稼働するのはきわめて困難だろう。来年以降も再稼働促進への視界は晴れない。おまけに福島事故により日本国民の原発に対するリスク認識は変化した。事故・事件等により安全上の問題が露呈すればその都度、多数の原子炉が長期停止や、場合によっては廃止に追い込まれる可能性が高い。 2.原子力規制委員会の審査は安全を保証しない  原子力市民委員会が今まで再三にわたり指摘してきたように、原子力規制委員会の審査に合格した原発といえどもその安全性は保証されていない。そのことは『原発ゼロ社会への道――市民がつくる脱原子力政策大綱』(2014年 4月12日発行)、「見解:川内原発再稼働を無期凍結すべきである」(7月 9日)、「川内原発審査書案に対する総合的意見」(8月 4日)、「声明:原子力規制委員会の存在意義が問われている」(9月30日)、「声明:原子力規制委員会が審査書を決定しても原発の安全性は保証されない」(9月30日)、「見解:高浜原発3・4号機の再稼働は容認できない」(2015年 2月 1日)、「年次報告2015 原子力発電復活政策の原状と今後の展望」(6月 8日)などで述べてきたとおりである。 安全が保証されていない主な理由は2つある。第1は、審査の大黒柱をなす新規制基準が本質的に甘い規制基準であることである。それは大筋において国際水準に追いついたといえるが、国際水準そのものが、旧式炉を含め既設炉でも合格できる水準に設定されているので、それと比べ大きな遜色のない程度では、災害大国に住み、福島第一原発事故により大量の放射能を浴びせられた私たちとしては、甘すぎる基準と言わざるを得ない。特に立地審査指針を強化すべきところ、反対に無効化してしまったことは、従来の安全基準と比べても重大な後退である。新規制基準は事故対策組織を形式的に整備してハードウェアの追加工事といった部分的改善を、支払可能なコストの範囲で行えば、全ての既設原発が合格できるよう注意深くデザインされたものであり、実態としては原発設備の本体部分は既設の設備のままで、重大事故対応の可搬式設備を付け加えて、安全性を強化したと称しているに過ぎない。地震や津波の想定も若干大きめにした程度であり、簡単な補強工事で対応できる範囲に留めている。おまけに審査に際して新規制基準の弾力的運用がなされている。たとえば火山影響評価ガイド(火山審査ガイド)について、姶良(あいら)カルデラからの巨大噴火による火砕流の原発敷地内への到達可能性を原子力規制委員会は認めているが、モニタリングにより予兆を把握できるという九州電力の主張を鵜呑みにし、合格としている。だが火山学界では巨大噴火についてモニタリングで有効な危険予知ができないというのが定説である。 第2は、新規制基準の中に、地域防災に関する基準が含まれていないことである。新規制基準がカバーしているのは国際原子力機関IAEAが定める多重防護(深層防護)の第4層までであり、第5層の原子力施設外での放射線被ばく防護が規制基準に含まれていない。原子力災害対策特別措置法および原子力規制委員会の原子力災害対策指針の定めでは、敷地外の防災・避難計画は立地自治体(道県、市町村)および周辺自治体(原発から30km圏内にある府県、市町村)に丸投げされており、原子力規制委員会は地域防災計画作成のための簡単な指針を公表するのみで、防災・避難計画を審査対象としていない。今まで提出された地域防災計画はほとんどが「絵に描いた餅」であり、とりわけ災害弱者に対する配慮を著しく欠いている。しかも全国および地方(たとえば九州地方全体)における広域的な防災・避難計画は策定されていない。原発過酷事故による放射能が都道府県境を軽々と超え、避難民や防災要員・物資も都道府県境を大規模に横切ることは、福島原発事故で私たちは経験済みである。 さらに、ここにきて、運転開始から31年以上経過している川内原発1号炉について、運転開始から30年までに必要とされている高経年化(老朽化)審査が行われていなかったことが明らかになった。九州電力は、2015年 7月 3日に補正申請を提出したが、この補正申請は、設備の変更に加え、耐震安全性評価の追加を含む大幅な変更・追加となっている。主給水配管の腐食減肉評価において0.991と許容値1に対してぎりぎりの危険部位もある。それにもかかわらず、原子力規制庁は九電の評価をほぼ丸呑みにした審査を行い、8月 5日、原子力規制委員会もこれを了承。保安規定の変更申請を認可した。補正申請からわずか 1ヶ月のスピード審査であり、委員会における審議はわずか数分であった。あきらかに再稼働直前の駆け込み認可であり、旧原子力安全・保安院時代にさえ厳格に守られてきたルールから逸脱するものである。 このように原子力規制委員会による審査は、立地・周辺住民はもとより国民の安全を保証していない。今の規制基準がきわめて不十分なものであり、住民・国民の安全が十分に保証されるものとなっていないことから、新規制基準による原発再稼働は認められないというのが、原子力市民委員会の見解である。 原子力発電は、他の技術とは異次元の、時間的にも空間的にも並外れて巨大な災害をもたらすリスクを抱えている。しかもその災害の原因究明は放射線・放射能に阻まれて困難をきわめている。福島事故から 4年 5カ月を経過した現在でも、原子炉システムにおける事故進行の詳細なシナリオは解明されておらず、核燃料デブリの所在場所すら分かっていない。さらに事故の収束もままならない。事故収束には「止める」「冷やす」「閉じ込める」の3条件が満たされる必要があるが、循環注水冷却システムの「冷やす」機能は不安定である。また広範囲に飛散した放射能を回収し「閉じ込める」ことは全く不可能である。このように原子力発電は特別のリスクを抱える異次元の技術である。そのようなものの再稼働を、軽々に判断してはならない。 3.原発ゼロ社会を実現するために  川内原発1号機の再稼働はきわめて残念なことである。しかし原子力発電は、電力会社がその魅力に惹かれて進めている事業ではなく、大き過ぎる経営リスクとそれに由来する種々の難点を抱えていることを承知の上で、国策によって進めてきた事業である。したがって国家政策を転換することができれば途端に立ち行かなくなる虚弱な体質をもつ。しかもその生産物である電気は他の手段でも作ることができるので、原子力発電は経済社会の必需品ではなく、無くてもよい技術である。それゆえ主権者たる国民が政策転換のきっかけを創り出すことさえできれば、原子力発電は遠からず廃止されるであろう。このような確信をもって、私たちは原発ゼロ社会を実現するための調査・研究・対話を地道に進めていく他はない。 そうした取り組みの現在における最大の焦点が再稼働問題である。ここにおいても、市民のねばり強い活動を背景とした国民世論の力が今まで原発再稼働を押しとどめてきた。仮に、政府や電力会社などが原発再稼働を強引に進めることになっても、そのスピードをできるだけ遅らせ、再稼働にこぎつける原子炉の基数を少数にとどめることが重要になる。なぜなら原発事故の危険性をそれだけ減らせるとともに、原発ゼロ社会へ向けての政策的な舵取りが円滑に行えるからである。原発再稼働をできる限り抑え込むためにさまざまな活動が考えられるが、ここでは裁判を活用することと、立地地域自治体に働きかけることの2点について述べたい。 第1の裁判の活用については、2014年 5月21日に福井地裁が大飯原発3・4号機の運転差止判決を下したのが記憶に新しい。さらに同地裁は2015年 4月14日、高浜原子力発電所3・4号機について、運転差止決定を下した。それは原告住民側の仮処分命令申立に関するものであり、仮処分が有効であり続ける限り関西電力は高浜3・4号機を再稼働できなくなった。このように福島事故以来、司法の原発への姿勢にも変化の兆しが現れている。 また東京第五検察審査会の議決(2015年 7月17日)も注目に値する。福島原発告訴団(2012年 3月結成)は、福島原発事故による住民被害を刑事事件として福島地検に東京電力関係者、政府関係者、放射線専門家らを告訴した(2012年 6月11日)。それは東京地検で審査されたが2013年 9月 9日に不起訴処分が決定された。そこで福島原発告訴団は翌月、対象者を東京電力幹部6名に絞って刑事事件の申立を行った。2014年 7月31日、東京第五検察審査会は勝俣恒久会長、武黒一郎フェロー、武藤栄副社長の3名(いずれも肩書は事故当時のもの)に対し不起訴不当の議決を行った。それに対し東京地検は2015年 1月22日、再度不起訴の判断を示し抵抗した。だが検察審査会はただちに審査を再開し、7月17日に再び3名に対し不起訴不当の議決を行った。これにより3名の元東京電力最高幹部は強制起訴されることが決定した。つまり原発過酷事故を起こせば刑事事件の被告となるリスクを負うことが明確となったのである。それは電力関係者にとって恐怖であるに違いない。それは電力会社の原子力発電に関する今後の姿勢に影響を及ぼす可能性がある。 第2の立地地域自治体への働きかけについては、少なからぬ自治体が原発再稼働に慎重姿勢をとるようになっている現在において、一定の効果を見込めるものである。とくに重要なのは原発立地道県や周辺都府県への働きかけである。都道府県レベルの自治体は原子力災害の防止や被害軽減のための行政組織を構築することが可能であり、それによって電力会社や政府と、住民の安全確保に責任をもつ立場から交渉を行うことが可能である。今まで原発など核施設の建設・運転に関して地方自治体は許可・認可の権限をもたなかった。それでも電力会社と安全協定を締結することなどを通して、自治体は実質的な拒否権(事前了解権)を有していた。とはいえそれは立地当該市町村とその属する道県に限られていた。この両者の首長の同意さえ得られれば電力会社は原発の建設・運転を自由に進めることができた。だが福島事故により原発過酷事故の被災地域がきわめて広大に及ぶことが改めて明らかになった。それにより周辺道府県や周辺市町村も電力会社と新たに安全協定を締結すること、あるいは従来の安全協定よりも自治体の権限を強めることを要求するようになった。 今のところ立地当該市町村および立地当該道県以外に、拒否権を盛り込んだ安全協定の締結を実現した自治体はない。それでも立地道県は、住民全体の意思を尊重する立場に立って住民意見を丁寧に聴取し、それを尊重する手続きを踏むことが可能である。そこにおいて直接民主主義的手法の活用も真剣に検討すべきである。鹿児島県の伊藤祐一郎知事は、拒否権をもつのは県と立地当該市町村(薩摩川内市)のみでよいとして、県民意見を丁寧に聴取しないまま早々と昨年11月 7日に川内原発再稼働に同意したが、あまりにも拙速だったと言わざるを得ない。今からでも遅くはないので、川内2号機再稼働の前に同意を撤回することを勧めたい。なおできるだけ早期に、地方自治体が原発等の核施設の建設・運転について電力会社等と協議するための法的ルールの検討を進めることが必要である。 以上、原発再稼働を最大限抑制するための2つの手段について述べたが、原子力市民委員会は今後も重点的に、これらに関する調査・研究・対話を進めていきたい。

再稼働される鹿児島の川内原発の危険ー山本太郎

【発言全文掲載】「いつまでアメリカやグローバル企業のATMを続けるのか」~安保法案めぐり、山本太郎参議院議員がNHK「日曜討論」で吠える! IWJ Independent Web Journal http://iwj.co.jp/wj/open/archives/256073   参議院に審議の場を移した、集団的自衛権行使容認にもとづく安全保障関連法案。憲法学者の約9割が「違憲だ」との見解を示し、国会前では学生有志による「SEALDs」の抗議行動が週ごとに熱を帯びるなど、国民からは「反対」の声が上がっている。  そんななか、7月29日(水)、30日(木)の2回にわたり、参議院特別委員会で質問の場に立ったのが、「生活の党と山本太郎となかまたち」共同代表の山本太郎参議院議員だ。山本議員は、原発の被弾リスクやイラク戦争の総括について、安倍総理をはじめとする政府側に質問。しかし、政府から明確な回答は得られなかった。  そんな山本議員が、今度はNHKに舞台を移し、野党の一議員として、与党側との討論の場に加わった。毎週日曜日、午前9時から放送されているNHK「日曜討論」で、持ち時間わずかながらも、安全保障関連法案の瑕疵について、発言を行ったのである。  以下、山本議員の発言全文を掲載する。 ◆出演者 自民党:佐藤正久氏、公明党:荒木清寛氏、民主党:福山哲郎氏、維新の党:小野次郎氏、日本共産党:井上哲士氏、次世代の党:和田政宗氏、社民党:福島みずほ氏、生活の党と山本太郎となかまたち:山本太郎氏、日本を元気にする会:山田太郎氏、新党改革:荒井広幸 「この国の危機管理能力のなさがよく表れている」~福島第一原発3号機の燃料交換機引き上げ作業のリスク 山本太郎参議院議員「国民の皆さんから、憲法を守れだとか、そして立憲主義を守れということを大きな声で出されている時点で、詰んでいると思うんですね。国民の生命、財産、幸福追求権を守るということが安倍政権のよく言われる決まり文句ですよね。その中身をよく見てみると、空っぽなんですよ。普段の政治というものをウォッチしていれば、どういうことなのか、ということの答えがよく分かる。  たとえば、国が先頭に立ってやりますといった福島東電原発の収束作業。この3号機の話をしたいと思うんですけれど、発災後に使用済み燃料、ここに落下した燃料交換機というものがあるんですよ。20トンあります。これ、たった今、引き上げ作業を行っているんですよ。すごくリスクの高いもの。これ、国民の皆さんどれくらいご存知ですかって話なんですよね。このプールには、566本の燃料が入っています。引き上げに失敗したら直撃するんです。これ、リスクがすごく高い。  そこで万が一を考えて、引き上げに関わる人以外は、全員退避なんですよ。敷地外に退避なんです。こんなことは事故以来初めてのことなんですね。収束作業で敷地外避難をさせられるのは、かなりリスクが高い証拠だと。一方で、敷地から1キロ圏内にある国道6号線は一切規制がかかっていないんですよ。これ、不発弾を考えれば分かります。電車が止まる、交通規制がある。一体どういうことなのか。この国の危機管理能力のなさがよく表れていると思います」 原発に弾道ミサイルが直撃するリスクを政府は想定していない 山本議員「もちろん、アジア内、中国であったり韓国、北朝鮮というところとの関係がいびつだ、という部分はあると思います。それは、外交の手法というものであったりとか、挑発的な部分が我が国にはあったと、安倍政権にはあったと思います。とにかく安倍政権が言っているのは、ミサイルが飛んでくる飛んでくると。10分で到達するんだということを具体的な国名をあげて言っている。  そんなにアピールするんなら、ということで、先日、特別委員会で質問したんです。もうまもなく再稼働される鹿児島の川内原発、ここに弾道ミサイルなどの直撃を受けた場合、最大でどの程度の放射性物質の拡散があるのか、と。これは、予測していないとまずいですよね。ミサイルが飛んでくるってしきりに言っているんだから。でも結局、攻撃された場合の放射性物質がどれくらい拡散されるのか、被害の想定、人々の命を守る避難計画とか、基本的なことさえもほとんど想定されていないんですよ。  これ、考えていただきたいんです。全国の海岸線沿いに集中しているわけですね、脆弱な核施設。安全保障というならば、ここに着目しないわけにはいかない。武力行使もできるような法案を通すんだったら、 国防上、原発は即時廃炉以外にないんですよ。ターゲットにされますから。国民の生命と財産、幸福追求権が守れないということは明白です」 ※【質疑全文掲載】山本太郎議員が戦争犯罪常習犯・米国の手口を告発!「総理、米国に民間人の殺戮、やめろって言ったんですか? この先、やめろと言えますか?」――安倍総理はまたイラクに責任転嫁 安倍総理はイラク戦争の総括を~「自衛隊を共同正犯にしてはいけない」 山本議員「後方支援、これは武力行使そのものなんですよね。国際法では、武力行使か武力行使でないか、その2つしかない。武力行使と一体ではない後方支援なんて、ありえないって話なんです。これがあり得るというのは、詭弁でしかない。武力行使をしている軍隊に、補給だったり輸送だったり給油を行う、これは武力行使そのものじゃないですか。  名古屋高裁で、違憲判決がくだったと思うんですよ。イラクでの航空自衛隊による輸送のことですよね。表向きは国連関係者を送っていたというけれども、フタを開けてみれば、6割以上が米軍関係だった、と。人道支援という名のもとで、戦闘員を送り込んでいた可能性が高い、という話ですよね。  イラク戦争では、2007年からの1年間で、1447回空爆があった。これは、一般市民に対する殺戮ですよ。それも含めて、2万4千人もの民間人を大量に殺戮した。これは、アメリカの戦争犯罪です。この時、安倍総理というのは、第一次安倍政権でも総理だったんですよ。この時の総括をしていない。おかしな話なんです。これから活動を広げる自衛隊と言っているくせに、その昔の派遣に関して、何も総括ができていない。ありえないと思います。自衛隊を共同正犯にしてはいけない」 集団的自衛権の本質は米国の「肩代わり」 山本議員「この安全保障問題というのは、すべてのスピンだと言っていいと思います。TPPについても、原発の再稼働に関しても。  参議院は自由な議論が許されていると僕は信じています。だから本当のことを言っていく。今回の法案が成立して喜ぶのは、経団連とか武器製造に関わっている企業だけじゃないんですよね。たとえばこの『スターズアンドストライプス』5月13日付けでは、2016年のアメリカの最新の防衛予算は、日本政府が後押しする新法案、すなわち 可決する方向で仮定している、と。  要はこれ、リバランスなんだ、と。アメリカの支出を日本に肩代わりさせる話。その原資は誰ですか。皆さんの税金です。いつまでアメリカやグローバル企業のATMを続けるのかって話です。騙されちゃいけない」 IWJのこうした取材活動は、みなさまのご支援により直接支えられています。ぜひIWJ会員にご登録いただき、今後の安定的な取材をお支えください。  

3号機の使用済み核燃料プールの燃料集合体はぼろぼろなのではないか?

 本日2015年8月2日(日)、3号機使用済み核燃料プールから、燃料交換機(FHM)本体(9m×3mの大きさ、20t)の引き揚げが始められます。原発事故始まって以来、その他の作業をすべて中断して行われます。高エネルギー加速器研究機構(KEK)のリアルタイム空間放射線線量のデータも「計画停電」のため中断するという。(以下のつくばKEKの放射線線量は2015年7月31日17時過ぎ以降閲覧できなくなっています。7月31日16時12分時点に掲載されていたもの。)    この使用済み核燃料プールには566体の使用済核燃料および新燃料がある、と東京電力は発表しています。その核燃料を取りだすために、この燃料交換機(FHM)本体など、大物がれきを撤去する、と言いますが、果たして核燃料は水から出してよい状態なのでしょうか?本来、ウランの核燃料のペレットはジルコニウム被覆管に覆われていて、核分裂が起きていても、死の灰はその被覆管の中に閉じこめられているはずです。  しかし、以下に「3号機の事故および対応の経過」見るように3号機の使用済み核燃料プールは2011年3月17日以降、非常に不安定になり、陸上自衛隊ヘリ、警察の放水車、自衛隊消防車、東電が使った米軍の高圧放水車などにより、3号機の使用済み核燃料プールへ大量の放水が行われました。  その放水量は4号機使用済み核燃料プールに匹敵する6000tの放水量でした。  果たして、核燃料は健全なのでしょうか?ジルコニウム被覆管がぼろぼろの状態ではないのか?もし、被覆管がぼろぼろであるならば、水から取り出したとたんに大量の放射性物質を大気中に放出することになります。また、重さ20tもある、燃料交換機(FHM)本体が引き揚げ中に落下しても、ぼろぼろになった燃料集合体を更に傷つけ、大量の放射性物質を大気中に放出することになりかねません。    特に、この場合、トリチウムが大量に放出されるでしょう。また、ヨウ素131、132、133、135も大量に放出されるでしょう。事実、4号機使用済み核燃料プール内の水よりも、3号機使用済み核燃料プール内の水の放射能汚染はケタ違いの汚染です。これは核燃料が飛び散っていると同時に、使用済み核燃料プール内で核燃料がメルトダウンした可能性を示唆させるものではないでしょうか?  日本政府は、この事態について、まったく広報していません。大手新聞も3号機使用済み核燃料プールからの、燃料交換機(FHM)本体が引き揚げについて、その事態の重要性に触れているものは皆無といません。万が一の事態に備えるどころか、KEKのリアルタイム空間射線線量を停止させる始末です。  福島県が2015年3月末に設置した77基のモニタリングポストのち44台が2015年4月2日から4月8日かけて、異常なピークを記録しました。それを「データを送信する際の不具合」として、福島県は是正を求め、「改善されないから」として、福島県はこのモニタリングポストを契約を解除し、全部撤去しました。  もはや、上記2つのモニタリングポストも撤去され、原子力規制委員会のデータからも閲覧することはできない。2015年4月8日の時点で、川根が原子力規制委員会のHPからデータをコピーしてExcelでグラフ化したもの。  果たして、真実は何なのでしょうか?原子力規制委員会の管理するモニタリングポストの方が異常な数値を記録できないように操作されていて、福島県の設置したモニタリングポストの方が正しい数値を示していた疑いがあります。  政府、福島県が真実を隠している以上、市民が自己防衛する以外にない、状況です。個人の持つ放射線量計を常にONにし、異常なプルームが観測された場合は、twitterやfacebookなど情報を共有していきたいと思います。  安定ヨウ素剤については、「被ばく24時間前」か「被ばく後2時間以内」がもっとも効果的である。放射線医学総合研究所の蜂谷みさを氏の論文に川根が解説を加えたので読んでみて下さい。 『原発事故 安定ヨウ素剤服用のもっとも効果的なのは被ばく24時間前と被ばく後2時間後』  以下、3号機の事故および対応の経過を原子災害対策本部「平成23 年(2011 年)東京電力(株)福島第一・第二原子力発電所事故(東日本大震災)について 2011年7月19日(20:00)現在」から川根が抜粋しました。太字(赤字)が3号機使用済み核燃料プール関連の事実経過です。 3号機 事故および対応の経過 2011年7月19日まで  3号機事故および対応2011年7月19日まで 原子力災害対策本部 解説・編集 川根眞也 20150802 【出典】平成23 年(2011 年)東京電力(株)福島第一・第二原子力発電所事故(東日本大震災)について 原子力災害対策本部      2011年7月19日(20:00)現在 pp42~88   1 東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故及び対応状況 (2)事故の発生・進展の主な経緯 ※3号機関連のみを川根が抜粋 《3月11日》 14:46 三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の地震発生。運転中の1号機、2号機、3号機が地震により自動停止 15:42 【1号機・2号機・3号機】原子力災害対策特別措置法(以下「原災法」)第10条通報(全交流電源喪失) 《3月13日》 05:10 【3号機】原災法第15条事象発生(原子炉冷却機能喪失) 05:38 【3号機】原災法第15条通報 08:41 【3号機】ベント開始 08:56 原災法第15条事象発生(敷地境界放射線量上昇) 09:25 【3号機】原子炉内に消火系ラインからホウ酸を含んだ真水注入開始 13:12 【3号機】原子炉への消火系ラインからの海水及びホウ酸の注入開始 14:15 原災法第15条事象発生(敷地境界放射線量上昇) 《3月14日》 01:10 【1号機・3号機】汲み上げ箇所の海水が少なくなったことから、海水注入を停止 03:20 【3号機】海水注入を再開 05:20 【3号機】ベント開始 06:10 【3号機】格納容器圧力が460kPa程度まで上昇(設計上の最高使用圧力:427kPa) 07:44 【3号機】原災法第15条事象発生(格納容器圧力異常上昇) 07:55 【3号機】原災法第15条通報 11:01 【3号機】原子炉建屋付近で水素爆発発生 11:15 東京電力「3号機の爆発は1号機で発生したものと同じ事象。格納容器と圧力容器は健全」 《3月15日》 06:14 【3号機】煙発生 10:22 【3号機】周辺で400mSv/hの線量を測定 10:59 オフサイトセンターに対し、退避命令発出。福島県庁へ退避 《3月16日》 08:34 【3号機】白煙が大きく噴出 10:00 【3号機】白煙発生 10:45 【3号機】格納容器破損のおそれがあるため、中央制御室(共用)から作業員退避 11:14 【3号機】白煙についてはプールからの蒸発量が多いものと推定 11:33 【3号機】格納容器の重大な損傷の可能性は低いとみて、作業員が中央制御室に復帰し、注水作業再開 《3月17日》 09:48 【3号機】陸自ヘリにより使用済燃料プールへの散水(約30t)を実施(~10:01) 19:05 【3号機】警察の放水車により使用済燃料プールへの放水(約44t)を実施(~19:13) 19:35 【3号機】自衛隊の消防車により使用済燃料プールへの放水(約30t)を実施(~20:09)。放水前後の放射線量(3,630μSv/h⇒3,586μSv/h) 《3月18日》 14:00頃 【3号機】自衛隊消防車による使用済燃料プールへの放水(約40t)を実施(~14:38) 14:42 【3号機】米軍高圧放水車を使用した東京電力による使用済燃料プールへの放水(約2t)を実施(~14:45) 17:48 東電福島第一・第二原子力発電所事故について、原子力安全・保安院がINES(国際原子力・放射線事象評価尺度)の暫定評価結果を発表 ・1号機、2号機及び3号機:評価レベル5(広範囲な影響を伴う事故) ・4号機:評価レベル3(重大な異常事象) 《3月19日》 00:30 【3号機】緊急消防援助隊(東京消防庁・ハイパーレスキュー隊)の消防車による使用済燃料プールへの連続放水を実施(~01:10) 14:05 【3号機】緊急消防援助隊(東京消防庁)の消防車による使用済燃料プールへの連続放水(約2,430t)を実施(~3/20 03:40)。放水前後の放射線量(3,417μSv/h⇒2,758μSv/h) 《3月20日》 08:00 【3号機】原子炉内温度が3百数十度(原子炉の通常運転中は280℃~290℃)になっており、炉圧上昇 21:36頃 【3号機】緊急消防援助隊(東京消防庁)の消防車による使用済燃料プールへの連続放水(約1,137t)を実施(~3/21 03:58) 《3月21日》 14:30 1号機~4号機の放水口付近(南側)において、海水をサンプリングして核種分析を行った結果、放射線核種が検出。検出核種、濃度及び「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」に定められた基準値は以下のとおり Co(コバルト)-58 濃度:5.955×10-2Bq/cm3、基準値:1x100Bq/cm3 I(ヨウ素)-131 濃度:5.066x100Bq/cm3、基準値:4×10-2Bq/cm3 I(ヨウ素)-132 濃度:2.136x100Bq/cm3、基準値:3x100Bq/cm3 Cs(セシウム)-134 濃度:1.486x100Bq/cm3、基準値:6×10-2Bq/cm3 Cs(セシウム)-136 濃度:2.132×10-1Bq/cm3、基準値:3×10-1Bq/cm3 Cs(セシウム)-137 濃度:1.484x100Bq/cm3、基準値:9×10-2Bq/cm3 15:55 【3号機】やや灰色がかった煙噴出 18:02 【3号機】鎮静化確認 《3月22日》 15:10 【3号機】緊急消防援助隊(東京消防庁及び大阪市消防局)の消防車による使用済燃料プールへの連続放水(約150t)を実施(~15:59) 22:46 【3号機】中央制御室の照明が点灯 《3月23日》 11:03 【3号機】東京電力(冷却材浄化系)による使用済燃料プールへの注水(約35t)を実施(~13:20) 16:20 [...]

原発事故 安定ヨウ素剤服用のもっとも効果的なのは被ばく24時間前と被ばく後2時間後

 原発事故 安定ヨウ素剤服用のもっとも効果的なのは被ばく24時間前と被ばく後2時間後です。  この衝撃的な事実を解説している、論文を紹介します。書いたのは、放射線医学総合研究所の蜂谷みさを氏と明石真言氏。川根はかねてから、放射線医学総合研究所は、あの原発事故の際、福島県民にも、東北・関東の人びとにも、安定ヨウ素剤を服用させる指示を出さなかった、犯罪的な組織である、と言ってきました。その放射線防護にまったく、役に立たなかった放射線医学総合研究所は実は安定ヨウ素剤が放射線防護に役立つことを研究によって知っていて、それも原発事故による放射能プルームを浴びるであろう、24時間前に服用すればもっとも効果が高く、被ばく後2時間以内であれば80%の防護効果があることを書いていました。これは最新医学別冊 新しい診断と治療のABC『甲状腺疾患』改訂第2版(編集森昌朗 最新医学社 2012年10月25日刊)に掲載されていた論文に、川根がいくつか解説を加えたものです。原発事故から1年と7ヶ月たった、2012年10月に刊行されていました。  放射線医学総合研究所は、広島、長崎の被爆者の健康調査はするが治療をしなかった、ABCC(アメリカ原爆障害調査委員会)と同様、次の核戦争、原発事故に備えて、調査研究するだけの機関です。彼らが言うことは科学ではなく、科学的色彩を帯びた、プロパガンダ「このくらいの放射能は安全です」です。時々、核兵器開発、原発推進に都合の悪い発言や研究があると、あっという間にその痕跡もないように消し去るのが、彼らの仕事だと考えるべきでしょう。  その放射線医学総合研究所が語った、真実がこれです。 放射線障害と甲状腺疾患:原子力事故と甲状腺ブロック 蜂谷みさを(放射線医学総合研究所緊急被ばく医療センター 被ばく医療部 主任研究員) 明石真言(放射線医学総合研究所理事)【出典】最新医学別冊 新しい診断と治療のABC『甲状腺疾患』改訂第2版 編集森昌朗 最新医学社pp.252~261 2012年10月25日刊 <要旨> ウランを核分裂されている原子炉では、核分裂生成物として放射性ヨウ素が作られ、事故が起きれば放出される。ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成に不可欠であり、体内に摂取されると安定型か放射性かにかかわらず、速やかに甲状腺に集積される。この放射性ヨウ素の甲状腺への集積を阻害するのが、安定ヨウ素剤である。適切な量と時期を考慮して服用することで、最大の効果と安全が確保できる。放射線被ばく、特に内部被ばくに関しては、誤った知識が多く、正しい理解が重要である。 はじめに 原子力や放射線施設にかかわる事故が起きると、安定ヨウ素剤が取り上げられることが多い。これは科学的に正しいこともあるが、実はそうでないことが多い。安定ヨウ素剤は、放射性ヨウ素が体内に摂取される場合とその可能性がある場合に、甲状腺に放射性ヨウ素が取りこまれるのを防ぐ(ブロック)目的のために服用するが、ほかの放射性核種に対しても“防護剤”であるという誤った考え方は、ヨウ素含嗽(がんそう=うがいのこと)や消毒薬を飲むなどの誤使用もある。緊急時には昆布やわかめをどれくらい食べれば良いか、などの質問もされる。 ルネサンス初期のスイスの医師であり、錬金術師でもあったParacelsusは、「この世に毒でないものはない。あるものが毒になるか薬になるかはその用いる量によるのである。」と述べているが、どの薬剤でもそうであるように、副作用がある。2011年3月11日に起きた東日本大震災では、対応にあたった方の中に、ヨウ素剤の連日服用で、一過性ではあるが甲状腺機能低下症を起こした例もある1)。本稿は、医師を始めとする医療関係者が、原子力事故・災害時の安定ヨウ素剤の服用に関して、正しく理解することを目的とする。 核分裂と原子炉 ウラン、プルトニウム、トリウムなど核燃料と言われる放射性物質は、重い原子核が同じ程度の質量を持つ2つ以上の原子核に分裂する現象、つまり核分裂を起こしやすい性質を持つ。ウランには、核分裂を簡単に起こすウラン235(235U)と起こさないウラン234(234U)、ウラン238(238U)がある。235Uに中性子を1つ吸収させると、ウラン原子は不安定になり、2つの原子核に分裂し、高速中性子が飛びだす(図1)。核分裂を起こす際には、多量のエネルギーが放出される。核分裂の際に2~3個の中性子やγ線、β線を放出することが多く、核燃料物質から放出された中性子は、別の核燃料物質に衝突する。これらの放射性核種は核分裂性物質とも言われ、衝突した中性子を吸収してさらに核分裂を起こす。このように、次々と外から中性子を補給することになしに核分裂が継続することを、核分裂連鎖反応と言い、この連鎖反応と発熱反応の性質を利用して一度に大量の熱を産生する。これが原子力発電の原理である。原子力発電所は、核燃料(原子燃料)の核分裂の連鎖反応によって原子核エネルギーを熱として取り出し、水蒸気を発生させてタービンを回し、これを発電機に送って発電する。   原子力発電所と放射性物質 原子炉では、核燃料物質を燃料として使用し、核分裂反応を起こさせているので、それに由来する放射性物質が作られる。核分裂によってできた放射性核種、またはそのような核種(核分裂片)からの放射性崩壊によってできた核種を核分裂生成物(FP)と言う。現在日本で使用している発電用原子炉は“軽水炉”と言い、中性子の速度を下げる“減速材”と発生した熱を取り出すための“冷却材”に軽水(普通の水)を使用している(図2)。この軽水炉には、原子炉で直接蒸気を発生させる沸騰水型原子炉(BWR)と原子炉で作った高温高圧の水を蒸気発生器と呼ばれる熱交換器に導いて、ここで蒸気を発声させる加圧水型原子炉(PWR)の2種類があり、2011年3月11日に事故が起きた東京電力福島第一原子力発電所は、BWR型の炉であった。 原子力発電所は主にウランを連続的に核分裂させ、エネルギーを得ている。235Uの核分裂による核分裂生成物には、セシウム134(134Cs)およびセシウム137(137Cs)、ストロンチウム90(90Sr)、ヨウ素131(131I)およびヨウ素129(129I)などがあり、福島第一原子力発電所事故では、核分裂生成物のうち特に揮発性の高いヨウ素と134Csおよび137Csが環境中に多く放出された。このように放射性ヨウ素は、原子力発電所の燃料である235Uの核分裂反応の際にできる放射性物質として代表的なものの1つである。放射性ヨウ素の半減期は、129Iが約1,570万年、131Iが約8日、133Iが約21時間である。核分裂の際に発生した放射性ヨウ素は、通常は原子力発電所では閉じこめられているが、原子力発電所の事故では、その科学的な性質もあり、放射性ヨウ素の放出の可能性は高い。東京電力福島第一原子力発電所事故にかかわる1号機、2号機、3号機から放出された放射性ヨウ素量を表1に示すが、134Cs(半減期:2.1年)と137Cs(半減期:30.0年)の放出量はそれぞれ1.8×1016Bq(ベクレル)と1.5×1016Bq(ベクレル)であり、これらより多い2)。 ヨウ素 ヨウ素(Iodone,I)が発見されたのは1800年代前半であり3)、今日では甲状腺ホルモンの産生には欠くことができないことが知られている。少し古井が、米国のデータによれば毎日必要なヨウ素の量は150μg(マイクログラム,編集者注)であり、1日最大摂取しても副作用がないのは1,100μg(マイクログラム,編集者注)とされる4)。ヨウ素は上部消化管から速やかに吸収される。つまり30~60分内に吸収され、食餌から十分なヨウ素を摂取していれば36~48時間で甲状腺に集積する。しかしながら、ヨウ素が欠乏しているとより速く12~24時間で甲状腺に集積する。一方、甲状腺におけるヨウ素の生物学的半減期は、60100日くらいと考えられている。ヨウ素には24の同位体があり、117Iから140Iまであるが、このうち127Iは安定ヨウ素である。摂取された放射性ヨウ素の体内での動態は安定ヨウ素と同じであり、消化管からの吸収が良く、甲状腺への集積が速い。放射性ヨウ素摂取による障害は、チェルノブイリ事故で観察されたように甲状腺がんであり、大量の摂取では甲状腺機能低下症が見られる。甲状腺機能亢進症の131I療法時では、機能低下症を起こすには甲状腺の線量で少なくとも30Gy(グレイ,編集者注)は必要であり、時には甲状腺の線量が120 Gy(グレイ,編集者注)にもなるような131Iが必要となることを考えると、後者(機能低下症)の障害が起こるとすればかなりの大事故である。(編集者注) 1Gy(グレイ)=1Sv(シーベルト)に同じ。30Gy=30シーベルト。120Gy=120シーベルト。 安定ヨウ素剤の投与とその時期 50~100mgの安定ヨウ素剤を適切な時期に投与した場合、摂取された放射性ヨウ素の甲状腺の取り込みがほぼ完全にブロックされることを示した論文は多く、微量であるが放射性ヨウ素をヒトに投与し、安定ヨウ素剤の効果を観た論文もある5)。 またヨウ素の量に関しても1回の服用量30mgで100mgと効果に差がないことも示されている。しかしながら、この機序には不明な点が多く、つまりこれまでの知見では、①放射性ヨウ素の安定型ヨウ素による希釈、②ヨウ素輸送系の飽和、③甲状腺への放射性ヨウ素取込みの阻害、④甲状腺ホルモンの遊離阻害、のように考えられている。 安定ヨウ素剤の結果を、ヨウ素代謝モデルを使い試算した例がある6)。図3にこのモデルの概要を占示す7)8)。このモデルでは食餌で十分なヨウ素を摂取している場合(250μg/日)と不十分な摂取しかない場合(50μg/日)を仮定している。循環血液中の甲状腺ホルモン画分はタンパク質結合ヨウ素(PBI)として計算しており、尿中排泄のclearance exchange rateは0.08/時間、甲状腺ホルモン画分からは、0.0071/時間、甲状腺からの場合0.0005/時間としている。このモデルを使用し、100mgのヨウ化カリウム(KI)を飲む時期により131Iの甲状腺における活性を見たものである。131I摂取の何時間前にヨウ化カリウム(KI)を服用すると効果的であるかに関しては、24時間前に服用すると甲状腺における摂取が93%も阻害されるが、72時間前になると32%、96時間前では5%しか阻害できない(図4A)。 (編集者注)すなわち、原発事故のプルームがその人を襲う直前1日(24時間)以内がもっと効果があり、3日前に飲んだ場合では効果は3分の1になる。4日前に飲んだものはまったく役に立たない。つまり、安定ヨウ素剤の効き目は1~2日と考えるべき。連日、プルームの襲われている場合は1日置きに飲む必要がある。 131I摂取後にヨウ化カリウム(KI)を投与した場合、2時間では80%阻害できるが、8時間後になると40%、24時間では7%しか阻害できず(図4B)、放射性ヨウ素摂取24時間前もしくは直後にヨウ化カリウム(KI)を投与するのが良いことが示されている。このこと自体は過去の論文の結果と同じであるが、この論文ではこのモデルを用いて日常のヨウ素の摂取量より、放射性ヨウ素の摂取時におけるヨウ化カリウム(KI)の効果が異なることを示している(図5)。131I摂取後の甲状腺における蓄積は、安定ヨウ素を日常十分にとっている場合は30%であり、欠乏している場合60%に比べても半分である。また8時間後にヨウ化カリウム(KI)を投与した場合の防護効果も、十分な摂取では40%であるのに対して、欠乏している場合は17%と、安定ヨウ素剤の効果も低いとする結果が出ている。チェルノブイリで、甲状腺がんの罹患が高いのは、日常のヨウ素の摂取量不足が関係しているとの指摘もある。日本人は、外国に比べてヨウ素の摂取量が多いと言われているがそうだろうか。毎日海藻、特に昆布を食べるかだし汁を飲む、ヨウ素を多く含むと言われているイワシ、サバ、カツオを多く食べる日本人がどのくらいいるのかも含めて、今後さらなる研究が必要となろう。    安定ヨウ素剤の過剰摂取  安定ヨウ素剤の副作用と言うと、過敏症が思い浮かぶ。しかしながら意外と知られていないのが、甲状腺機能低下症であり、ヨウ素を過剰摂取すると、甲状腺腫が生じることが以前から知られている。母親が過剰にヨウ素摂取した場合の新生児の甲状腺腫9)、また古くは北海道の一部地域で昆布からの過剰なヨウ素を摂取したことにより生じた甲状腺腫では、1日に200mgものヨウ素を摂取したとの報告もある10)。 さらに健康な日本人10人に1週間ヨウ素制限食餌を与えた後、毎日27mgのヨウ素を4週間服用させたところ、FT4(遊離サイロキシン、甲状腺がつくるホルモン,編集者注)は投与開始1日後から減少し始め、投与14日後には統計的に有意に減少している11)。このうち2人は正常範囲以下にまで低下している。甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、投与5日目から増加し、21日目後に投与に比し、2倍以上にもなり有意な増加が認められている。甲状腺の大きさは、超音波で測定しており、投与開始後28日後には有意な肥大が観察されている。このように、過剰なヨウ素摂取は甲状腺機能低下につながる。1日27mgで甲状腺腫や機能低下が現れるとすれば、76mg服用ではさらにその可能性が高くなる。新生児では、甲状腺は未熟であり、がんばかりでなく、安定ヨウ素剤の投与に関しても注意深い観察が必要である。おわりに 放射性物質による体内汚染に対する防護や治療で、安定ヨウ素剤ほど効果があるものはない。これは体内のヨウ素の80%が甲状腺に集まる、吸収が早い、などが理由である。放射性ヨウ素が体内に摂取されることが予想されるか摂取された場合、安定ヨウ素剤の正しい服用で、甲状腺被ばくを低減できる。昆布やわかめなどの海藻にもヨウ素は含まれているが、一定量のヨウ素を服用するためにどれくらい海藻が必要かは、すぐには分からない。また、同じ昆布でも種類によって含有量が異なり、また調理方法によって摂取量が変わってしまう。嗽(うがい)や消毒液には、内服に不適切な成分が含まれている。つまり必要な量のヨウ素を服用するためには、ヨウ化カリウム(KI)などの安定ヨウ素剤以外は使用しないことである。           謝辞 本稿を終えるにあたり、図表の作成などにご協力いただいた山本亜紀さんに感謝いたします。                               明石真言・蜂谷みさを  <編集>内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也 2015年7月8日                           [初稿]2015年8月1日 内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也    

「100ミリシーベルトまでは健康影響はありません」はうそ。1ミリシーベルトで白血病のリスク増えるー国際がん研

[初稿]2015年7月3日 [追記]2015年7月21日  政府は2017年3月末までに、福島県原発20km圏内および高放射能汚染地帯の年間50ミリシーベルト以下の地域に、住民帰還をさせようとしています。そのため、2018年3月末で精神的賠償(1人月10万円)を打ち切る方針です。また、福島県も自主避難者への住宅支援事業を同じく2017年3月に打ち切る方針です。果たして、年間50ミリシーベルトまで健康に影響がないのでしょうか?  年間50ミリシーベルトとは、原発労働者の1年間の被ばく線量の最高限度です。本来は5年間で最高限度100ミリシーベルト(1年あたり20ミリシーベルト)です。1年の中では50ミリシーベルトが最高限度となっています。この原発労働者と同じ線量(それも外部被ばくだけ)を一般住民に強制する日本政府と福島県、各自治体の決定は住民を緩慢に殺す政策だと思います。国際がん研究機関は、1ミリシーベルトを浴びるごとに、白血病が1000人→1003人に増えるというリスクがある、という報告を出しました。それも、政府やICRPが広島、長崎の被爆者の寿命調査の対象者12万人(対照者も含む)を超える30万人の欧米の原発労働者の疫学調査です。放医研の明石真言氏も「注目すべき貴重なデータ」「日本の原発作業員について被ばく限度の引き下げを検討する必要」と述べています。同様に、政府の50ミリシーベルトまで住民帰還の方針を撤回する必要があるのではないでしょうか。                         記:川根眞也 白血病 低線量でもリスク増 国際がん研 作業員30万人調査 毎日新聞2015年7月2日夕刊8面 <記事全文> 【ワシントン共同】  低線量の放射線を長期間にわたって浴びることで、白血病のリスクがごくわずかだが上昇するとの疫学調査結果を、国際がん研究機関(本部フランス)などのチームが英医学誌ランセット・ヘマトロジーに発表した。 欧米の原子力施設で働く30万人以上の被ばく線量と健康状態のデータを分析した。低線量被ばくの健康影響を統計的に示した研究は少なく、東京電力福島第1原発などで働く作業員や、放射線機器を扱う医療従事者の健康管理に役立つ可能性がある。 リスク上昇が非常に小さいため、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づいて政府などが定める被ばく線量限度の再検討は必要なさそう。ただ一定の線量を超えないと健康影響は出ないとする考え方は見直しを迫られそうだ。 チームは過去約60年間、フランスと英国、米国の原発や核燃料施設などで1年以上働いた約30万8300人の健康状態と被ばく線量の関係を統計的に分析した。 結果は、被ばくがなくても白血病を発症する可能性を1とする「相対リスク」を考えた場合、1ミリシーベルトの被ばくごとに相対リスクが1000分の3程度上昇するという内容。100ミリシーベルト以下の低線量でもリスクはなくならないとした。 作業員の年間被ばく線量は平均1.1ミリシーベルト、積算線量は平均15.9ミリシーベルトで、531人が白血病で死亡。リンパ腫なども調べたが、明確なリスク上昇は確認できなかった。 ICRPは100ミリシーベルトを超すと発がんリスクが高まると指摘。それより低い線量では、健康影響を懸念する専門家と、心配ないとする専門家で意見が分かれている。 今回の研究費は、米エネルギー省や日本の厚生労働省などが拠出した。 調査妥当か検証を 放射線医学総合研究所の明石真言理事の話 今回の調査結果は母集団が30万人以上という点で低線量被ばくの疫学調査としては最大の規模であり、注目すべき貴重なデータと言える。しかし調査方法の妥当性について検証する必要がある。妥当と判断されれば、日本の原発作業員について被ばく限度の引き下げを検討する必要が出てくるかもしれない。                                                     低線量でもリスク増 白血病 国際がん研 作業員30万人 20150702 毎日夕刊001 コピー  「100ミリシーベルトまで健康影響はない」と言ってきた人たち 広島・長崎原爆被爆者の健康影響が放射線影響研究所を中心に調査されており、放射線の長期的な影響も明らかにされています。原爆被爆者12万人(被爆していない人を含める)を対象とした調査から、200ミリシーベルト以上の大量の放射線を浴びると、被爆線量が高いほどがんになりやすいこと、そして被爆から2~10年後に白血病患者が増え、それ以後には白血病以外のがん患者が徐々に増えることがわかっています。しかし、およそ100ミリシーベルト未満の低線量被曝した場合には発がんリスクの上昇は明確には確認されていません ―放射線人体への影響 事故発生時から現在、そして今後の放射線の影響を正しく知る 原発事故による放射線の影響 不必要に怖がらず、必要な対策を 米原英典 独立行政法人 放射線医学総合研究所 放射線防護研究センター規制科学研究プログラムリーダー がんサポート 2011年9月 http://gansupport.jp/article/series/series02/3601.html Q 人が放射線を浴びて被ばくした場合、100ミリシーベルトを健康に影響が出る目安にしているが、根拠は何か。 A 1950年代から続けている広島・長崎の被爆者の追跡調査から明らかだ。被ばくした人と、被ばくしていない人の集団を比較し、がんの発症者(白血病は死亡者)がどれぐらい増えたかを、受けた放射線量別に推定している。白血病以外では、100ミリシーベルト未満では1・8%だが、100~200ミリシーベルト未満で7・6%となり、線量が増えるほどリスクが増える。白血病でも同じことがいえる。 Q 調査結果を見ると、5~100ミリシーベルト未満でもわずかにリスクはあるのでは。 A 100ミリシーベルト未満の被ばくが要因で増えたとみられる白血病の死亡は3万387人中わずか4人。その他のがんは、被ばく後20年という長い潜伏期間があることを考えた方がいい。 ―<発がんリスク>被爆者調査100ミリシーベルトが境 広島がんセミナー 理事長 田原 栄一氏 東京新聞WEB 放射線 識者はこう見る http://www.tokyo-np.co.jp/feature/tohokujisin/archive/hoshasen/hoshasen9.html  国際的にも100ミリシーベルト以下の被ばく量では、がんの増加は確認されていませんが、増加しないことを証明するのは困難です。ただし、この「困難」というのは福島にパンダがいないことを証明するのが困難(たぶんいないと思いますが、パンダをこっそり飼っている人の存在を完全に否定できない)であることと同じです。 ー 政府広報 放射線について正しい知識を 中川恵一氏 東京大学医学部附属病院 放射線科准教授 2014年8月17日 http://dwl.gov-online.go.jp/video/cao/dl/public_html/gov/pdf/paper/kijishita/ph624b.pdf %3 [原論文] Ionising radiation and risk of death from leukaemia and lymphoma in radiation-monitored workers (INWORKS):an international cohort study  Klervi Leuraud, David B Richardson, Elisabeth Cardis, Robert D Daniels, Michael Gillies, Jacqueline A O’Hagan, Ghassan B Hamra, Richard Haylock,Dominique Laurier, Monika Moissonnier, Mary K Schubauer-Berigan, Isabelle Thierry-Chef, Ausrele Kesminiene Lancet Haematol Vol 2 July 2015 [附属資料] Ionising radiation and [...]

エートス運動のジャック・ロシャール氏も「1マイクロシーベルト/時以上は危険」

 エートス運動のジャック・ロシャール氏も「1マイクロシーベルト/時以上は危険」と日本政府に講演していました。これは、2011年11月28日、内閣府に対して行われた「原子力災害後の生活環境の回復 チェルノブイリから学ぶこと」と題する、エートス運動のジャック・ロシャール氏の講演資料にはっきりと紹介されています。  題名は「ある村で採用された外部被ばくのための放射線メモリ」です。原子力規制委員会の被災者支援チームはこの資料に「母親たちが決めた放射線量の目安」と題名をつけました。しかし、この資料はロシア語のままで日本語訳されていませんでした。吉田由布子さんが日本語訳され、2015年6月21日「やっぱり支援法でしょ!原発事故子ども・被災者支援法3週年シンポジウム」で紹介されたものを、一部川根が編集したものです。  チェルノブイリでは年間1ミリシーベルト以上には移住権利があります。土地汚染でセシウム137で18万5000ベクレル/m2、土壌なら2846ベクレル/kg以上の場所です。空間線量ならば0.66マイクロシーベルト/時以上です。 資料『チェルノブイリ事故の際の放射能汚染の区分(土地) 改訂版 pdf付き』  日本政府では年間50ミリシーベルト未満に福島県住民を帰還させようとしています。2017年3月末までに。緩慢な殺人であると思います。 資料『セシウム137が母親ー胎児系に与える影響 ユーリ・I・バンダジェフスキー 』  日本政府、福島県、各自治体の高放射能汚染地帯への住民帰還政策を撤回させましょう。          

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