内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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内部被ばくと健康被害

阿蘇のコシヒカリの農家さんのご紹介 2016

阿蘇のコシヒカリ農家さんの農地土壌を採取し、阿蘇のコシヒカリの水田土壌を測定させていただきました。  ちくりん舎のゲルマニウム半導体検出器で118時間測定、セシウム134 不検出 検出限界0.066ベクレル/kg、セシウム137のみ検出 0.52±0.11ベクレル/kg検出されました。  阿蘇 水田土壌 1870.3g セシウム134 不検出 セシウム137 0.52±0.11Bq/kg 土壌採取日 2016年7月18日 測定日 2016年8月12日 Ge半導体検出器 118時間測定  これはほぼ大気圏内核実験によって降下したセシウム137のみと考えられるほど低い汚染度であると思います。2009年平均の日本全国の土壌0~5cmのセシウム137の汚染度は下記をご覧下さい。熊本県阿蘇市西原村の土壌はセシウム137が38ベクレル/kgでした。これと比較すると非常に低い汚染であると考えられます。 『かつて日本の土壌はどのくらい放射能汚染されていたか?』 http://www.radiationexposuresociety.com/archives/1520   2009年度白米および水田作土のストロンチウム90、セシウム137濃度です。文科省 第52回環境放射能調査研究 成果論文抄録集(平成21年度) p.15~16より。  かつての水田作土セシウム137は3.8ベクレル/kg(石川県金沢)~14.9(新潟県上越)ストロンチウム90は0.2(福岡県筑紫野)~1.6(新潟県上越)。  この資料から、この阿蘇の米農家さんの土壌 セシウム137 0.055ベクレル/kgの水田土壌で作られたお米からは セシウム137が0.01ベクレル/kgも含まれることはない、と考えることができます。 阿蘇のコシヒカリ栽培農家 熊本県阿蘇市農業者 田中幸博さん経営規模 水田   264アール     水稲   165アール     飼料稲    70アール飼料用とうもろこし 14アール   ねぎ     15アール(35アールは条件の良いところを借りて栽培)         合計50アール栽培繁殖牛  赤毛和種 2頭 黒毛和種 1頭を飼育  今回、これまで阿蘇のコシヒカリを作付してきた水田は、熊本地震により亀裂が入りました。今後、2年かけて水田の基盤整備をしなくてはいけない状況です。今年は亀裂の入っていない、別の田んぼで作付をしています。 2013年~2015年の水田の土壌データ 2013年 ちくりん舎のゲルマニウム半導体検出器で17時間測定、検出限界ーセシウム134 0.45ベクレル/kg、 セシウム137 0.477ベクレル/kgーで、セシウム137のみ 2.02±0.37ベクレル/kg検出されました。土壌採取日:2013年5月4日 測定日:2013年8年15日 Ge半導体検出器 17時間測定  2014年 ちくりん舎のゲルマニウム半導体検出器で4時間測定、セシウム134 不検出 検出限界0.91ベクレル/kg、セシウム137のみ検出 2.2±0.57ベクレル/kg検出されました。土壌採取日:2014年5月4日 測定日:2014年6年13日  Ge半導体検出器 4時間測定  2015年 ちくりん舎のゲルマニウム半導体検出器で15時間測定、セシウム134 不検出 検出限界0.20ベクレル/kg、セシウム137のみ検出 2.0±0.43ベクレル/kg検出されました。土壌採取日:2015年5月3日 測定日:2015年7年7日  Ge半導体検出器 15時間測定   この水田には、熊本地震によって亀裂が入りました。  水路も寸断されて、修復が必要です。  こうした中、震災からの復興に向けて、阿蘇の米農家さんは頑張っています。阿蘇のコシヒカリの販売をします。検査費用カンパ1000円を含み、1俵(30kg袋×2、合計60kg)を2万4000円(送料込み)です。また、阿蘇の米農家さんへの義捐金も受け付けます。また、半俵(30kg袋×1g)を1万2000円(送料込み)です。  昨年より好評につき、ねぎ3kgも販売します。送料込みで1箱3kg入りで3000円です。お金はお米と同時期に納入いただきますが、ねぎの発送は一番おいしくなった12月の中旬に送らせていただきます。  数量は40俵です。10月15日までに下記のアドレスまでお申し込み下さい。かならず、下記の内容をお書き下さい。また、後日1俵あたり24,000円、半俵あたり12,000円、ねぎ3kg 1箱3,000をお振り込み下さい。振り込み先は申し込みを確認した際に改めてご案内します。 申し込みアドレス entry.naibu@gmail.com 内部被ばくを考える市民研究会事務局 申し込み内容 1.氏名2.メールアドレス3.申し込み俵数・箱数阿蘇のコシヒカリ   俵 ねぎ       箱 (1俵あたり24,000円、半俵12,000円、ねぎ3kg 1箱3,000円)4.送付先住所5.電話番号6.振り込み金額      円 (1俵あたり24,000円、半俵12,000円、ねぎ3kg 1箱3,000円)7.振込者名※ 申し込み者と振込者名が違う場合は必ず7番をお書き下さい。同じ場合は「1に同じ」で結構です。 <申し込み第2次締め切り> 2016年10月15日 メールの申し込み後、振込先をご連絡します。 <阿蘇の米農家さんへの義捐金を受付けます>  今年4月14日21:26pm M6.5 最大震度7、4月16日1:25am M7.3 最大震度7の地震が熊本県熊本地方を襲いました。  これまで、内部被ばくを考える市民研究会では熊本県阿蘇市の米農家さんと協力し、田んぼの土壌の放射物質の検査を行いながら、安心して食べられるお米をご紹介してきました。原価実費+1000円程度放射能検査費用だけをいただいて。 『阿蘇のコシヒカリの農家さんのご紹介 2015 』 http://www.radiationexposuresociety.com/archives/6195  さて、その米農家さんの田んぼが被災しています。段差が1m以上もある亀裂が田んぼに走っています。阿蘇市ではこのようなところがたくさんあるそうです。関東圏のテレビや新聞ではこのような農家の被災状況はまったくと言っていいほど、報道されていません。  中央構造線が大規模に動きつつある危険性を意図的に報道管制している印象を受けます。伊方原発はまさにこの中央構造線上にあります。  協力してきた農家さんのところでも、米を作っていたところの4割程度しか作付ができていないそうです。亀裂が入った田んぼには水がたまらない、耕運機を入れることができない、そうです。  急遽、日程を調整し、川根が2016年7月17日、18日に現地を訪れることにしました。米農家さんを陣中見舞いしてこようと思っています。田んぼの復旧のための義捐金も多少持参したいと思っています。寄付をいただける方は以下、内部被ばくを考える市民研究会の口座にお願いします。備考に必ず、「熊本支援金」とお書き下さい。または、電子振り替えの場合は、御自分のお名前の後に「クマモトシエン」と追加して下さい。後ほど、お礼状をお送りしますので、振り込まれた方は事務局にご自身の住所をメールでお送りいただけるとありがたいです。  受付期間 2016年7月12日~10月末 振込先:内部被ばくを考える市民研究会 ゆうちょ銀行からの場合 ゆうちょ銀行 記号 10370 番号73181351 ゆうちょ銀行以外の金融機関からの場合 ゆうちょ銀行 店名 〇三八(読み方 ゼロサンハチ) 普)7318135 事務局アドレス entry.naibu@gmail.com 内部被ばくを考える市民研究会事務局                  

放射能について勉強したいとき、読んでみたい本

放射能について勉強したいとき、読んでみたい本 入門編 NPO法人食品と暮らしの安全基金『放射能被害の真実』NPO法人食品と暮らしの安全基金2013年12月20日700円  小若順一『放射能被害の希望』NPO法人食品と暮らしの安全基金2014年4月26日700円  NPO法人食品と暮らしの安全基金『人への影響と対策』食品と暮らしの安全基金2015年4月1日1000円  市民と科学者の内部被曝問題研究会医療部会『健康ノート』2014年2月14日840円  野呂美加『子どもたちを内部被ばくから守るために親ができる30のことーチェルノブイリの体験から』筑摩書房2011年10月10日952円  肥田舜太郎/鎌仲ひとみ『内部被曝の脅威―原爆から劣化ウラン弾まで』ちくま新書2005年6月10日720円  佐藤真紀『ヒバクシャになったイラク帰還兵―劣化ウラン弾の被害を告発する』大月書店2006年8月4日140円  田代ヤネス和温『チェルノブイリの雲の下で』技術と人間1987年5月15日絶版 (1986年)5月3日の夜、首都ボンで21年ぶりにライン川の花火大会が催され、30万人の大観衆を集めた。ボン市当局は数万発の花火を用意したほか、屋台を開き、歌や踊りをふんだんに盛り込んだプログラムを用意して、張り切っていた。ライン川の水上には2万人の観客を乗せた41隻の観光船が浮かんでいた。 夜の11時ごろから花火の打ち上げが始まった。ちょうど同じころから天気は雨模様になった。観客の何人かが「この雨は放射能を含んでいるのでは?」と主催者に質問したが、市側の責任者ははっきりとした回答をすることができなかった。その夜、現場には救急活動に備えて赤十字から60人の医療隊員が待機していたが、その責任者もまた市に電話したところ、明確な見解が得られなかった。 そのため、医療隊員の責任者は、ノルトライン・ヴェストファーレン州政府に電話した。それで得られた指示は「雨に濡れないよう注意すること。家に帰ったらすぐに衣服をとり換え、シャワーを浴び、着ていた服はよく洗濯をすること」というものだった。 ところが赤十字救急隊員にあたえられていたこの指示が、川岸を埋めた30万人の観客には知らされていなかった。 ライン川の火祭りで降った雨は、ボンではチェルノブイリの事故以来初めての雨だった。ボン大学の物理学者バール教授は、ボンにおける空気中の放射能の値はその雨が最高だったと発表した。雨の後に、1mあたり5万ベクレルの値が測定されていたのである。またユーリッヒにある各研究センターでは同日の雨から1Lあたりヨウ素131を4000ベクレル検出した。 このライン川花火大会から2カ月後、37人の親たちが「ライン川火祭り被害者の会」を作り、「意図的かつ不注意による身体傷害事件」としてボン市当局を告訴した。市当局はなぜ花火大会を事前に中止しなかったのか、あるいは花火大会の終了後すみやかに放射能除染を勧告しなかったというのが告訴の理由だ。37人の原告になった親たちは異口同音に言うのだ。「せめてあの晩赤十字隊員に指示されていたことだけでも、一般市民に伝えられたていたら……」と。 事実、消防隊員は州政府の指示通りテントの中に入って雨に打たれるのを避け、帰宅後はすぐに服に着かえて、シャワーを浴びていた。 田代ヤネス和温『チェルノブイリの雲の下で』技術と人間pp.35~36  クリス・バズビー『封印された「放射能」の恐怖』講談社2012年7月25日1700円 日本にはその上にいる権力者を信じるような「名誉の垂直構造」に真実を見出すのは、放射線そのものと同じくらい危険です。自分のことは自分で注意して、守らなくてはなりません。自分を支配している医療関係者や科学者のことを信じたら、死ぬことになるかもしれません。 クリス・バズビー『封印された「放射能」の恐怖』pp.198  矢ヶ﨑克馬『隠された被曝』新日本出版社2010年7月25日1200円  肥田舜太郎『内部被曝』扶桑社新書2012年3月19日760円  NHK「東海村臨界事故」取材班『朽ちていった命―被曝治療83日間の記録―』新潮文庫2006年10月1日438円  藤田祐幸『知られざる原発被曝労働―ある青年の死を追って―』岩波ブックレットNO.390 1996年1月22日500円 馬場朝子・山内太郎『低線量汚染地帯からの報告-チェルノブイリ26年後の健康被害-』NHK出版2012年9月25日1400円  ピエルパオロ・ミッティカ『原発事故20年チェルノブイリの現在』柏書房2011年11月10日3150円 原子力発電では、表面的なコストやメリットばかり語られる。しかし、本当のコストは1000年単位で測らなくてはならない。放射性物質の有害性はそれだけの期間持続するからだ。放射能は、何世代にもわたって子どもたちに害を生じさせる。電気によって明かりは灯っても、人びとは自らの真の不幸を知ることはないのだ。 ピエルパオロ・ミッティカ『原発事故20年』pp.184  安全基準値は2000ベクレル/m2以下 ピエルパオロ・ミッティカ『原発事故20年』pp.60 IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ドイツ支部著松崎道幸翻訳『チェルノブイリ原発事故がもたら23したこれだけの人体被害: 科学的データは何を示している』合同出版2012年3月30日1728円 大石又七『ビキニ事件の真実』みすず書房2003年7月24日2600円 (ビキニ事件被災で東大病院、国立東京第一病院に入院)退院後から、放医研は国の予算で俺たち(第五福竜丸乗組員)の被ばく記録を取りつづけた。だが発病しても治療しない。入院直後は(放医研は)みんな俺たちの味方で、親身になって治療に取り組み、加害国アメリカに対しても厳しく対応してくれていたのに。放医研がこれまでに出した論文や年報の中には俺たち第五福竜丸乗組員の検査結果が報告されている。しかし、個人個人には何も教えてくれなかった。この記録を見ると、放医研は早い時期から俺たち(第五福竜丸乗組員)の肝機能障害を把握していた。また年報には書かれていないが、血液検査で染色体に異常があったことも分かっていた。染色体に異常があれば奇形児が生まれる。だが、放医研の(年報等を見ると)それらのことも基本的に被ばくと関係ないと決めつけているように見える。 亡くなった(第五福竜丸乗組員の)仲間たち 久保山愛吉 40歳 肝機能障害(急性放射能症) 1954年9月23日死亡 水爆実験遭遇から約7ヵ月後 川島正義  40歳  肝硬変 肝機能障害     1975年死亡          同    21年後 増田三次郎 54歳 肝臓がん(原発性) 肺血栓等1979年死亡          同    25年後 鈴木鎮三  50歳 肝硬変 交通事故      1982年死亡           同    28年後 増田祐一  50歳  肝硬変(脳出血)      1985年死亡            同    31年後 山本忠司  59歳 肝臓がん(多発性)肺がん・結腸がん 1987年死亡       同    33年後 鈴木隆   59歳 肝臓がん(原発性)     1989年死亡            同    35年後 高木兼重  66歳 肝臓がん(原発性)     1989年死亡            同    35年後 久保山志郎 65歳 肝臓がん(原発性)     1996年死亡            同    43年後 服部竹冶  66歳 肝臓がん(心不全)     1997年死亡            同    53年後 安藤三郎  71歳 肝臓がん(原発性)     1997年死亡            同    53年後                 大石又七『ビキニ事件の真実』pp.103~104 一部抜粋 ※      この後、2人の乗組員の方が亡くなられています。 平井勇   71歳 肝臓がん(原発性)   2003年死亡            同   59年後    見崎吉男  90歳 肺炎          2016年死亡           同   62年後  大石又七さんは、放医研の定期健康診断を受けていたがその全部を信用せず、他の病院に行ったときに、肝臓ガンが発見され、手術・治療の結果、現在でも存命中です。(川根注)  雁屋哲『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』遊幻舎2015年2月10日1512円 津波だけならまだしも、原発事故が重なって、土壌が汚染され、福島の郷土料理を食べられるのは非常に限られた場所だけになってしまい、日本全県味巡り」の「福島編」を書くことは事実上不可能になりました。 この無念さは例えようがありません。 ………雁屋哲『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』pp.86~87   「風評被害」などという人こそ、真の意味での「風評被害」を作りだしている人です。事実を表沙汰にする人を攻撃し、現在人びとが苦しんでいるのを何でもないかのようにいい、すべてを押し隠すために作った言葉が「風評被害」という言葉です。 この「風評被害」という言葉によって、どれだけの人が真実をいう口を塞がれたでしょ繰り返しますが、私が伝えたのは真実です。 「風評」ではありません。 その真実を「風評」と言う。そしてその真実が、被害を与えるから「風評被害」という。誰が「真実」によって被害を受けるのですか。真実によって被害を受けるのは福島の住民ではなく、東電と国です。そんな状況はおかしいと思いませんか。 私は「『風評被害』という言葉の害」を真剣に考えなればならない、と思います。本当の「風評被害の害」です。 ………雁屋哲『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』pp71~72  井戸川克隆『なぜわたしは町民を埼玉に避難させたのか』駒草出版2015年4月21日1998円 私は12日の爆発時に、直接、空から降ってくる高レベルの放射性物質に晒されました。そのときに持っていた線量計は振り切れて測れませんでした。だからその日の夜に、私たちは職員と3人で福島県立医大に行って、計測してもらったんです。きっといい加減にされると思ったから。 夜、門を叩いて測ってもらった。その数字は正確には測れない。セシウム137が万単位のベクレル。ヨウ素が10万単位のベクレルとだけ言っておきます。本当かどうかわからないくらい大きい。初期のヨウ素をものすごい量、被っているんです。これ以外の多方面の検証もしないといけないと思います。 私は、事故後、鼻血が出て、喉は悪い状態となりました。3年経った今でも同じです。鼻血は出ますし、喉も調子悪いまま。3,4日前(2014年2月当時)は、喉が塞がってすぐに電話に出ることもできませんでした。疲れやすいし、目は白内障にかかっている、筋肉の痛みもあったんですが、最近はとれました。毛も抜けました。頭髪ではないんです、体毛がぬけるんです。心臓がどきどきすることがあったんですが、最近はなくなりました。当然甲状腺の異常はあります。のう胞は2年前に確認されています。小さいものはたくさんあるんですね。 ………井戸川克隆『なぜわたしは町民を埼玉に避難させたのか』pp.226~227  福島県内の多くは、放射線管理区域でいうこのC領域(4万~40万ベクレル/m2。ここでは全身を覆って皮膚の露出がないという状態で、決められた手袋や帽子、靴下、ゴム手袋のほかに、半面マスクという内部被ばくを避けるための特別なマスクを装備しなければ、そこにいてはいけない領域)に相当するんです。 こんなところに子どもを住まわせることができますか。24時間そんな装備をしていられるわけがない。本来18歳未満の子どもがいてはいけない場所なんです。 ………井戸川克隆『なぜわたしは町民を埼玉に避難させたのか』pp.226~227  チェルノブイリ編 広島、長崎、ビキニ。スリーマイル、チェルノブイリ、東海村、福島。放射線被ばくの被害者の健康被害と遺伝的影響はすべて書きかえられ、隠蔽されてきました。チェルノブイリについて学ぶことは、未来の日本について学ぶことです。  メアリー・マイシオ『チェルノブイリの森―事故後20年後の自然誌』NHK出版 著 メアリー・マイシオ 訳 中尾ゆかり 2007年2月25日刊 2376円  アレクセイ・V・ヤブロコフ、ヴァシーリー・B・ネステレンコ、アレクセイ・V・ネステレンコ、ナタリア・E・プレオブラジェンスカヤ『調査報告チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店2013年4月26日5250円 「チェルノブイリの放射性降下物は地球全体の放射線量にわずか2%程度を追加するのにすぎない」と推計した科学者もいる。この「わずか2%」は取るに足らないかのように見えるが、だまされてはいけない。北半球の多くの住民にとって、チェルノブイリ由来の放射線量は自然の放射線量と比較しても何倍に高い場合があり、一方、ほかの人びとにとっては(そのほとんどは南半球で)ゼロに近い場合もある。チェルノブイリの放射線量を地球全体で平均化することは、病院の入院患者の体温を平均するようなものだ。 ヤブロコフ、他『調査報告チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店pp.33 世界には、チェルノブイリに由来する放射性降下物の平均値よりも自然放射線が何倍も高い場所がたくさんあり、そのような場所でも人間は問題なく生活してい るのだから、チェルノブイリの放射性降下物による影響などはさほど大きくないという。ヒトには、ノネズミとイヌと似た程度の、放射線に対する感受性の個体 差がある。ヒト全体の10%から12%は他の個人より低い固有の放射線感受性を持つ一方、約10%から14%はそれが他の人よりも高い (Yablokov,1998,2002)。  ノネズミに対して実施した、ほ乳類の放射線感受性に関する実験は、放射線感受性がより低い集団が確立するためには、およそ20世代の激しい自然淘汰が必 要なことを示した(Il’enkoand Krapivko,1998)。実験用ノネズミの集団について当てはまることがチェルノブイリの放射能汚染地域のヒトにも当てはまるとすれば、400年 (ヒトの20世代)後には、汚染地域の地元の人びとも放射線に対して今日より低い感受性を備えているかもしれない。しかし、放射線への抵抗力の低い個人 は、自分たちの子孫が真っ先に集団から消されることに納得するだろうか。 ヤブロコフ、他『調査報告チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店pp.33 実効被ばく線量を年1mSvから年0.1mSvに低減するまで防護対策を続ける、とするベラルーシの法律の見解は、25~28ベクレル/kgのセシウム137蓄積量(年0.1mSvの被ばく線量に相当)において、防護措置を行うことを意味する。 ヤブロコフ、他『調査報告チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店pp.294  広河隆一『暴走する原発チェルノブイリから福島へこれから起きる本当のこと』小学館2011年5月25日1300円 ドロズド教授たちが1993年3月28日から4月8日まで、ホイニキ地区の3歳から15歳までの352人を調べた結果、次のような結果が出た。   結節性甲状腺腫         27人   自己免疫性甲状腺炎      7人   甲状腺発展異常          4人   甲状腺肥大           156人   甲状腺縮小                7人   他の内分泌病理変化    123人  約10%の子どもは、すぐに病院に収容すべきだと診断された。ホイニキ病院のコルツォフ副院長によると、放射線の直接的影響と考えられるのは、まず結節性甲状腺腫、甲状腺炎様の変化、甲状腺縮小だという。  1990年まで甲状腺肥大の子どもの数は増えた。1985年では検査した人数の2.8%だけだったのに、1991年には35%だ。  ところが、1991年から甲状腺縮小のケースが増加した。以前はそういうケースは全くなかった。1992年はホイニキ地区の子どもほぼ全員を調べた結果は、5056人中3人(0.06%)が見つかったが、1993年は今のところ、352人中7人(2%)でおよそ33倍になっている。  「放射性ヨウ素の被曝の結果です」とコルツォフ副院長は言う。甲状腺の細胞が、放射性ヨウ素の影響で壊れて再生できず、縮小するのだという。  また自己免疫性甲状腺炎と診断された子どもも7人いた。甲状腺の組織が放射能の影響で変化し、免疫システムが異常となり、自らの甲状腺を攻撃する恐ろしい病気だ。この病気は発見者の名前をとって橋本病と名付けられているが、甲状腺機能低下症である。  このような子は、1992年は5056人中9人(0.2%)、1993年は352人のうち7人(2%)と、10倍になっている。  ウクライナのキエフにある第3病院の甲状腺専門医のデュミデュク医師によると、この橋本病は、ウクライナでも1994年に12%弱まで上がった。彼は、第3病院で甲状腺を手術したうちの11.7%が橋本病だったという。これは今まではほとんど子どもには見られなかった病気である。  同病院のステパネンコ医師によると、「この橋本病は甲状腺の病気の中では、とても恐ろしい病気の1つです。この病気にかかっている子どもたちの中には重症な患者がいます」と言う。  しかし、橋本病の増加とともに恐ろしいのは、1993年の検査で352人中27人が結節性甲状腺腫と診断されたことである。  ドロズド教授によると、ベラルーシ、ホイニキ地区の1992年の発症率は10万人あたり59人だった。  その後、1993年いっぱいかかって、ホイニキ地区の5164人の子どもの調査が行われた。そして、甲状腺がんの子どもが8人見つかった。 「これは1993年に見つかった新しいがんの患者です。私たちはホイニキ地区の子どもたち5164人全員を一年間かけて調べて、298人に甲状腺の結節などの異常を見つけ、その子たちの腫瘍が悪性か良性かを調べるために病院に送って、検査したのです。そして検査の結果、悪性の腫瘍、つまりがんだと分かったのが8人だったのです。」と、コルツォフ副院長は言う。  1994年の調査では、子どもの13.44%に甲状腺肥大、5%に甲状腺縮小、39.7%にそのほかの甲状腺異常が認められた。そして33%が緊急入院を必要とされた。 広河隆一『暴走する原発』小学館 p.160~161  ジェレス・メドヴェジェフ『チェルノブイリの遺産』みすず書房1992年10月8日5800円  上級編 うそつき「放射線の専門家」と論争するために勉強するための本 欧州放射線リスク委員会(ECRR)編『放射線被ばくによる健康影響とリスク評価』明石書店2011年11月30日2800円 (紹介)国際放射線防護委員会(ICRP)が放射線の人体への影響は、外部被ばくと内部被ばくで1:1、同じ影響であるとしていることの誤り、内部被ばくの場合各臓器に平均的に放射性物質が蓄積することの誤りを指摘。ICRPの放射線防護モデルは300倍、場合による1000倍過小評価されていると指摘。 中川保雄『<増補>放射線被曝の歴史―アメリカ原爆開発から福島原発事故まで』明石書店2011年11月20日2300円 (紹介)国際放射線防護委員会(ICRP)の設立までの経過を紹介 小児甲状腺がん・子どものがん編 菅谷昭『新版チェルノブイリ診療記―福島原発事故への黙示』新潮文庫2011年7月1日400円 武市宣雄、星正治、安井弥『放射線被曝と甲状腺がんー広島、チェルノブイリ、セミパラチンスクー』渓水社2011年8月20日1500円 綿貫礼子+「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク『誕生前の死―小児ガンを追う女たちの目』藤原書店1992年7月30日2516円 ジェセフ・J・マンガーノ『原発閉鎖が子どもを救う乳歯の放射能汚染とガン』緑風出版2012年2月15日2600円  ジェイ・マーティン・グールド『低線量内部被曝の脅威―原子炉周辺の健康被害と疫学的立証の記録』緑風出版2011年4月15日5200円  長山淳成『胎児と乳児の内部被ばく』緑風出版2013年7月10日2400円  内部被ばくを考える市民研究会『ベラルーシ・プロジェクト報告』内部被ばくを考える市民研究会2013年7月13日改訂版700円          

さよなら原発!全国集会 ―川内原発は2度と動かさない― 2016年11月13日(日)鹿児島中央駅東口広場

[ 2016年11月13日; 1:00 PM to 4:00 PM. ] 皆さま   脱原発知事として、全国の注目を集める三反園知事が誕生してやがてひと月になります。 知事は、近日中に、九州電力に対して、川内原発の停止要請をする見込みです。   仮に九電が止めなくても、10/6-12/11の間に川内1号機は定期検査に入り停止します。   ストップ川内原発! 3.11鹿児島実行委員会では、この再稼働を阻止し、そのまま塩漬けにしたいと考えます。   ついては、11月に大規模な全国集会を、鹿児島市において開催することを決定しました。 チラシ等は、別途、でき次第メール送信します。   概略のみ、取り急ぎご連絡いたします。 宜しくお願いします。   ———————————————– さよなら原発!全国集会 ―川内原発は2度と動かさない―   日時 2016年11月13日(日)    1:00-2:00 集会    2:00-4:00 パレード   場所 鹿児島中央駅東口広場 ———————————————- ストップ川内原発! 3.11鹿児島実行委員会 事務局 向原祥隆

伊方原発3号機 原子炉上ぶた取替えを予定していながら、やらずに再稼動か?2016年8月12日四国電力

伊方原発を止める会 伊方原発の再稼動中止をもとめる緊急申し入れ書より 2016年8月9日 伊方原発の再稼動中止をもとめる緊急申し入れ書 伊方原発を止める会 2016年8月9日  3号機原子炉容器上ぶた取り替えを四電は2013年に行うとしていたが、交換しないまま再稼働させようとしている。米国では、3号機と同じインコネル600製の上蓋の損傷が激しく制御棒が入らなくなることも危惧された。強烈な地震動が繰り返し襲った際に重大事故の可能性も排除できない。また、一次冷却水ポンプのトラブルは、冷却材喪失という重大事故につながる。基準地震動の「過小評価」があるもとで、原子炉が高温・高圧となった際に強烈な地震動が襲った際の危険性は甚大であって再稼働は許されない。 (編集者 注)関西電力 美浜3号機はすでに、原子炉上ぶた取り替え工事を行っています。インコネル600をインコネル690に交換し、「耐食性が向上」したと説明しています。四国電力は、この原子炉の上ぶたの改良型を製作・完成していながら、交換もしていないのです。 図 美浜3号機 原子炉容器上蓋用管台の応力腐食割れに対する予防保全措置 インコネル600→インコネル690 関西電力 20070122 資料 伊方発電所3号機 原子炉容器上ぶた取替について 四国電力 2009年3月  この原子炉容器上ぶたの改良したものはすでにできているのです。2013年度中にも交換する、と原子力規制委員会に言いながら、換えずに再稼動とは何事でしょうか?原子力規制委員会はこのふざけた再稼動と認可をどう説明するのでしょうか?

伊方原発:これでは再稼働できません(雑誌記事紹介) たんぽぽ舎メルマガ 2015年11月13日号より転載

伊方原発:これでは再稼働できません(雑誌記事紹介) 【年明けにも再稼働の伊方原発、中央構造線走り、地震で暴走のリスク】藤原節男へのインタビュー記事、週刊朝日2015年11月13日号 └──── 藤原節男(原子力ドンキホーテ、原子力公益通報者) たんぽぽ舎【TMM:No2636】 2015年11月12日(木)地震と原発事故 より 【編集】川根 眞也 2016年8月10日編集 週刊朝日2015年11月13日号27ページ目、ワイド特集 秋風のいじわる 記者:桐島瞬  みなさん、週刊朝日2015年11月13日号最新版の購読をお願いします。拡散が、大事な意思表明です。デモ参加、賛同署名と同じです。 (記事引用はじめ)  四国電力伊方原発3号機の再稼働に中村時広愛媛県知事がついに同意し、川内原発に続く再稼働は年明け以降になる見込みだ。新規制基準に合格した原発は「安 全のお墨付きをもらった」というのが政府の立場。しかし、本誌6月19日号でも指摘したように、伊方原発のわずか4kmほど北には日本最大の断層である中央構造線が走り、地震学者は「動かしてはいけない原発のひとつ」に挙げる。 (編集者 注)熊本地震が2つの活断層の地震ではなく、中央構造線の一部が動いたと考えるべきです。伊方原発の目の前4kmのところに、この中央構造線は走っています。  しかも、ひとたび大地震が起きれば、原発が暴走する恐れがあるとの指摘が専門家から出ている。原子炉を緊急停止するためには、制御棒を炉心に差し込んで原子炉の核反応を止めることが必要。伊方原発など三菱重工製の加圧水型原子炉では、上から制御棒が自重で落ちる自由落下方式を採用しているが、この方式では、大きな揺れが来ると、きちんと炉心内に入らない危険性が生じるとい う。 三菱重工で原発の設計技術者として働き、その後、泊原発の検査データ改ざんを告発した「原子力ドンキホーテ」の著者、藤原節男氏(66)が 言う。「大地震の際、墓の石柱が土台から突き上げられた勢いで飛ばされるのをイメージしてもらえればいい。つまり、直下型大地震が来ると、制御棒側と燃料 集合体のある原子炉容器側に振動位相差が生じてしまうため、制御棒が収まらなくなるのです。たとえ直下型でなくても、大きな揺れで制御棒の案内管などに変形が生じる可能性だってある。いろんなリスクがあるのに、伊方3号機はこうしたことを考慮していません」 (編集者 注)熊本地震ではまさに、「墓の石柱が土台から突き上げられた勢いで飛ばされ」ました。2016年7月18日、熊本県阿蘇濱神社の被災の様子を撮った写真をご覧下さい。     藤原氏によれば2008年の岩手・宮城 内陸地震の最大加速度は4022ガル。それなのに四国電力は基準地震動(伊方原発は650ガル)を大幅に上回るような実証試験をきちんと実施していないと いう。これこそが大きな問題で、制御棒の挿入が失敗すると原子炉の冷却ができなくなりメルトダウンするのは福島原発の事故で経験済みだ。だが、四国電力は 取材に対し、国の基準に沿っているから危険性はないと主張する。「新規制基準では650ガルで制御棒が挿入できればよい決まりで、すでにこれは確認済みです。過去の加振試験で1560ガルまで正常に挿入できることも確かめています」(広報部) 中央構造線がずれたら、数千ガル規模のとてつもない大地震が来ると言われ、伊方原発が大きなダメージを受けるにまちがいない。しかし、国や電力会社にその想定はない。万一の事故が起きた時には、福島原発事故で言い訳に使われた「想定外」が、また繰り返されるのだろうか。 (記事引用おわり) ◆藤原節男の追加コメント: 原子力発電所の原子炉設計は、核反応を良くするための設計、中性子経済を良くするための設計を第一に考えている。耐震設計は二の次、三の次の設計条件である。このため、原子炉は、設計基準地震動ギリギリで耐えられる設計となっている。  伊方3号機の場合は、原子炉内に全長4m、全重量約700kgの燃料集合体が157体、約700kg×157kg=109900kg、合計約110tトンもの燃料 が装荷されている。この耐震設計としては、上部炉心板と下部炉心板で燃料集合体を挟むだけであり、全長4mの中間にあるのは、燃料棒を束ねる支持格子(グ リッド)だけ。大地震の時には、この合計約110トンの燃料が上下左右に揺れる。 四国電力は、限界試験として1560ガル(約1.5G)まで 正常に制御棒が挿入できることを確かめたと言っている。しかし、言い換えれば1560ガル(約1.5G)以上の大地震では燃料集合体、制御棒案内管などが変形して、正常に制御棒が挿入できないと言っているにすぎない。また、確かめたと言っている1560ガル(約1.5G)は水平震動であり、上下震動が加わ ると、1560ガル(約1.5G)以下でも、正常に制御棒が挿入できる保証はない。 伊方裁判で提出した藤原意見書3通(地震時の制御棒挿入時間 遅れなど:甲108号証、甲228号証、甲265号証)と関連資料(被告の反論、四国電力側準備書面7および準備書面9)を、伊方弁護団の事務局、弁護士 中川創太さんがドロップボックス(https://goo.gl/iUX35x)にまとめてくれました。ぜひ、ごらんください。

プルトニウムはどのように人体の中に取り込まれていくのか?

 プルトニウムはどのように人体の中に取り込まれていくのでしょうか? すでに1969年11月13日、政府の原子力委員会は、高速増殖炉(ウラン燃料ではなく、プルトニウム燃料を使用)を動かすにあたり、プルトニウムが人体に与える影響(線量評価)を策定していました。その文章の中で、いかにプルトニウムが人体に取り込まれ、内部被ばくさせるのか、が書かれています。以下、全文を掲載します。 プルトニウムに関するめやす線量について 原子力委員会決定 昭和44年11月13日 プルトニウムに関するめやす線量について 昭和44年11月13日 原子力委員会決定    本委員会は、昭和44年11月11日付けで、動力炉安全基準専門部会から、標記についての別添の報告書の提出を受けた。同報告書の内容は、妥当なものと認められるので、プルトニウムを燃料とする原子炉の立地評価に際してのプルトニウムに関するめやす線量としては、同報告書に示されためやす線量を用いるものとする。   プルトニウムに関するめやす線量について 昭和44年11月11日 動力炉安全基準専門部会 原子力委員会委員長 木内 四郎 殿 動力炉安全基準専門部会 部会長 伏見 康治    プルトニウムに関するめやす線量について当専門部会における審議事項のうち「プルトニウムを燃料とする原子炉の立地評価上必要なプルトニウムに関するめやす線量」について、このたび下記のとおり結論を得たので報告する。   プルトニウムを燃料とする原子炉の立地評価上必要なプルトニウムに関するめやす線量について    Ⅰ 緒論 1       プルトニウムに関するめやす線量作成の必要性原子炉安全専門審査会が原子炉の設置許可に際しての安全審査を行なうに当たり、その原子炉の立地の適否は原子力委員会が策定した原子炉立地審査指針(昭和39年5月27日)により評価を行なうこととなるが、この指針に示されているめやす線量はウランを燃料として用い、プルトニウムに基づく障害を考える必要のない原子炉に適用されるべきものであった。しかし、高速増殖炉等のようにプルトニウムを燃料として用いる原子炉を考える場合においては、このうえに、プルトニウムに関するめやす線量を定めなければならない。本専門部会は、このような観点から、同めやす線量策定の検討を行なうよう付託されたものである。 2 めやす線量の意味  原子炉立地審査指針によれば、熱出力10,000キロワット以上の陸上原子炉の立地審査に当たっては、万一の仮想される事故によって周辺の公衆に放射線障害を与えないようにするため、原子炉を公衆からある適当な距離、離隔しなければならないこととなっている。ここでいうめやす線量とは、プルトニウムを燃料として用いる原子炉について、その「ある適当な距離」を判断するためのめやすとなるためのものである。  したがって、このめやす線量は、公衆がその線量を被ばくしても身体障害を生じないものであることが必要である。  このような線量を定めるためには、放射線の身体的影響に関する十分な知識が必要である。現在一般的にはそのような知識は逐次増加してはいるが、プルトニウムの影響に関する知識は、未だ十分なものであるとはいいがたい。本専門部会では、放射線の生物学的効果に関する文献を調査し、特に、α-放射体の人間に関するデータに重点をおいて調査検討を加えた。その結果、現在の文献的調査に基づいて、身体的障害を発現する危険性がほとんどないようなプルトニウムによる線量を推定することとした。ここに身体的障害が生じないとは、プルトニウムの放射線による被ばくによって、(a)急性放射線症の症状を呈しないこと、(b)腫瘍などの晩発生効果が現われないこと、(c)問題となるような慢性放射線線維症をおこさないこと等を意味する。  しかし、このような線量を推定することには種々の困難がある。特に、プルトニウムの人間に関するデータは皆無に近いこと、人間以外の動物に関するデータをそのまま人間に適用することは慎重を要すること、また、得られるデータは統計的にみて必ずしも精度の高いものでないこと等のために、この推定には、多くの不正確さが含まれているといわなければならない。これらの点を考慮して、上に述べたところの線量の推定値をさらに下まわる線量をもって、めやす線量とした。    Ⅱ めやす線量を定める場合に問題とすべき臓器 1 事故時に放散されるプルトニウムの形態  プルトニウム燃料は、原子炉燃料として合金の形で用いられることもあるが、通常は酸化プルトニウムをセミラックの形態として用いている。そしていずれの形態の場合にも、燃料物質が原子炉建屋の外に放散されるような事故を考えるならば、そのときの放散されるプルトニウムの形態は、酸化物のかなり細かい粒子であると考えてよいと思われる。 このような形態のプルトニウムが原子炉周辺の公衆と接触するのは、事故時に生じたエアロゾルが格納施設から漏れでて外界に放散されるときと考えられるが、この場合のエアロゾルの粒子は、ある一定の粒度の範囲のものに限られると考えられる。  仮想される原子炉事故の場合に、最も多くの人が遭遇し、かつ、これらの人々が放射線障害を受ける危険性が最も大きいと考えられるのは、これらのエアロゾルを吸入することによってプルトニウムを体内に摂取する場合である。したがって、めやす線量としては、プルトニウムの吸入摂取についてのみ考える。 2 吸入されたプルトニウムの代謝  プルトニウムがエアロゾルとして大気中に放散された場合、吸入されたプルトニウムの一部は呼気とともに排出されるが、残りは呼吸器系の各部に沈着する。この場合におけるプルトニウム粒子の沈着の状況およびその後の運命は、物理的,化学的性状、複雑な代謝機能などに支配される。ICRP専門委員会2のTask group on Lung Dynamics の報告書を参照すれば、次のように考えられる。 (イ) プルトニウム粒子の呼吸器系への沈着  プルトニウム粒子の呼吸器系の各部への沈着の割合は、その粒子の径によって大きく左右され、さらに粒子の気道中での速度を支配する呼吸量によっても影響をうける。一般に、粒子径が大きいものは鼻咽腔に、中位のものは気管、気管支に、更に微細なものは終末気管支および肺胞の部分にまで侵入して、そこに沈着する。一般に、大気中に放出されるプルトニウムエアロゾルは、単一の粒子径のものではなく、種々の大きさのものが混在する。実際には、粒子径の分布を対数正規分布と近似できる場合が多いので、そのときの計数中央径(CMD)およびその分散等を知ることにより、質量中央径(MMD)、質量空気力学的中央径(MMAD)あるいは放射能空気力学中央径(AMAD)を求めることができる。各部への沈着率は、これらの関数として示すことができる。 (別図参照) (ロ) プルトニウム粒子の沈着後の行動  呼吸気道の各部へ沈着したプルトニウム粒子は、それがPuO2のような不溶性のときは、一部は鼻汁とともに外部へ、残りは嚥下されて消化管へ移る。気管や気管支に沈着した粒子は、これらの部分の呼吸気道に存在する繊毛により粘液とともに上方へ送られ、咽頭部を経て消化管へ移行するが、このときの速度は非常に速く、数分及至数十分と推定されている。  消化管に送られたプルトニウムは、その化合物の形態のいかんにかかわらず、消化管からはほとんど吸収されず、その大部分は消化管を素通りして、糞とともに体外に排泄される。  終末気管支および肺胞に沈着した粒子は、その部位では繊毛による粒子の移動がないため、長い期間そこに留まる。肺胞の壁を構成する細胞の中には、粒子を貪食する作用をもつものがあるので、一部の粒子は貪食され、さらに、その一部は細胞とともに肺淋巴節*へ移行しそこに長く留まるものと考えられている。  プルトニウムは、肺臓の各部でわずかではあるが血液中に吸収され、また、貪食されたプルトニウム粒子の一部は、淋巴を介して血液中へ入る。血液中に入ったプルトニウムは、一部は肝臓へ、他は骨、骨髄に移行する。肺臓に沈着したものは緩慢に減少し、一方、肝臓、骨、骨髄、肺淋巴節では、極めてゆっくり増加する。   *(脚注) ここで肺淋巴節とは、肺門淋巴節、縦隔洞淋巴節等肺と機能的に関連のある淋巴節をいう。以下同じ。   3 問題とすべき臓器  内部被ばくの場合、どのような臓器への影響を問題視すべきかについては、その臓器への放射性核種の蓄積に基づく積算線量、その臓器の放射線感受性、さらにその臓器、組織の機能が生体で占める重要さの程度などの点から検討されなければならない。プルトニウムの吸入の場合には積算線量の点では肺淋巴節が最も大きく、次いで肺臓であるが、長期間で考えた場合、線量当量(レム)は肝臓、骨等が肺臓とほぼ同じレベルになるものと考えられる。  肺淋巴節は、積算線量については最も大きいが、腫瘍の発生を指標とした場合の放射線感受性という点で肺臓、肝臓、骨に比べて低く、肺淋巴節に原発する腫瘍は実験的にも認められておらず、また、その機能の重要度を比べるならば、上記の臓器、組織より低いと考えられる。  肺臓は、その機能の重要度からしても、また放射線感受性という点からも重要視すべきであり、とくに吸入後初期には、線量率も肝臓、骨等に比べて著しく高く、また、PuO2の場合、肺胞のプルトニウムによる積算線量は肺淋巴節に次いで大きく、動物実験においても多数の肺癌が認められているので、肺臓は、めやす線量を考える場合に問題とすべき臓器の一つである。  肝臓および骨は、吸入後初期にはプルトニウムの量は少ないが、肺臓から徐々に淋巴液、血中に移行したプルトニウムの大部分は、これらの臓器に移り、そこに長くとどまる。したがって50年ないしそれ以上の長期間にわたる障害の発現を問題とする場合には、肝臓および骨の線量当量(レム)は肺臓のそれにほぼ匹敵するものとなるので、その機能の重要度からみて、問題とすべき臓器および組織であると考えられる。  なお、ICRPの専門委員会2の推算によれば、PuO2のエアロゾル吸入の場合、1μciの1回摂取による吸入後50年間の線量当量(レム)および積算線量(ラド)は、次のとおりとされている。 肺臓(肺胞部分) 360レム(36ラド) 肝臓440レム(44ラド) 骨390レム(7.8ラド) (ただし、エアロゾルの放射能空気力学的中央径(AMAD)=1μとし、α粒子のQFを10,骨に関するn係数を5とする。)以上のような考察から、本専門部会は、プルトニウムのめやす線量を考える場合に問題とすべき臓器および組織としては、(1)肺臓,(2)肝臓および(3)骨と考える。    Ⅲ 放射線の影響 1 放射線の影響と線量との関係  Ⅱに述べたように、めやす線量を考える場合に問題とすべき臓器および組織としては、(1)肺臓(2)肝臓および(3)骨が考えられるので、これに対する放射線の影響と線量との関係について文献的調査を行ない検討した。  239Pu化合物の吸入被ばくによる人体の障害例については、未だ公表されたものはない。したがって、プルトニウムの人体に対する影響は、動物実験の結果や、プルトニウム以外の放射体による内部被ばくあるいは外部放射線による人体の障害例のデータなどから類推せざるを得ない。このため、上記の臓器、組織に対する放射線の影響と線量との関係についても、プルトニウムの場合とは必ずしも同一には論じられないので、最終的にめやす線量をきめる場合には、これらの点を十分考慮しなければならない。障害の発現の因子として、積算線量年(Cumulative rad year)をとるべきか積算線量(Cumulative rad)をとるべきかについて検討を行なったが、本報告では、得られる資料や実際上の問題の観点から、障害の発現または発見までの積算線量(以下「総線量」という)をとるのが適当であると考える。 2       肺臓 (1) Bairらにより行なわれたビーグル犬を用いた239PuO2吸入に関する実験的研究によれば、次のような結果が得られている。  プルトニウムの沈着量の大きい場合の急性および亜急性障害に基づく死因は、呼吸器系の障害に起因するものである。亜急性の場合には、肺臓の線椎増殖は次第に発展するが、吸入後のある時期においては、外部放射線により誘発されるいわゆる放射線肺炎症と同様の反応を示す。プルトニウムの沈着量が小さく、被ばく後数年以上生存したものの死因は肺癌によるものであったが、その症例の多くに肺線維症がみられた。  発癌による死亡例としてあげられているもののうちで肺臓(pulmonary region)の総線量が最小であったものは、プルトニウム吸入後5年目に死亡した例で、総線量は、3,000rad(死亡時の肺負荷量は0.3μci)と推定されている。  犬の平均寿命を15年とし、プルトニウム吸入後から肺癌の発生により死亡するまでの期間と死亡時の肺内プルトニウム沈着量との関係曲線から外挿すると、終局における肺沈着量が0.1nci/g(肺組織)以下であれば、肺癌による寿命の短縮の確率は小さいと考えられる。  本実験では、生後1ケ年目にPuを吸入させているので、吸入後14年で肺沈着量が0.1nci/g(肺組織)となるものとすれば、肺臓における総線量は約1,000radと算定される。 (2) Altshulerらは人間の肺臓に対する最小発癌線量の暫定的な値として、β線による動物実験の結果を参考としている。彼らによれば、β線の2,000radは、ラットの気管支および皮膚に癌を誘発するに十分であり、気管支上皮を含め多くの組織における放射線による腫瘍の誘発はこの桁の線量に関連しているのであろうと述べている。例えば、Laskinらがラットの気管支内に挿入した106Ru-106Rhペレットによるβ線被ばくの実験により求めた「線量-反応曲線」から推定すると、癌の生起率は2,000radの場合で約5%である。また、平均740radの被ばくにおける生起率は0%であった。  このほか、肺臓に沈着した放射性物質による腫瘍の発生と線量との関係に関する多くの動物実験のデータ(国連科学委員会報告1962年)から腫瘍を発生した線量は、小なくとも2,000radと推定される。  なおJacobiらによれば、β線に対するα線のRBEは3より大きいことはないとしている。 (3) α放射体の吸入に起因する人間の肺腫瘍の発生としてはウラン鉱山従事者に関する疫学的調査の結果も重要な参考となる。ウラン鉱夫は、一般の人よりも高濃度のラドンおよびその娘核種を吸入するので、肺痛の発生が多いといわれ、これら鉱夫の作業環境の空気中における放射性濃度の許容レベルに関して多数の報告がある。  米国 Public Health Service が報告した Colorado Plateau のウラン鉱山で働く鉱夫の肺癌による死亡率と総線量(WLM単位で示されている)との関係に関するデータについて、StewartおよびSimpsonらの解析した結果がある。  これによれば、600wLM以下では肺癌による死亡率については線量に対する依存性が明らかにはみとめられなかった。したがって、同氏らは、「線量依存性があるというはっきりした証拠を伴わない最大の線量という意味において、受け入れてもよいと思われる総線量の上限の合理的な推定値は、約600WLMと考える。」と述べている。  ウラン鉱夫の場合には、主として気管支癌が発生するので気管支上皮の基底細胞に対する線量割算に基づくWLMからradへの換算値が問題となる。その値は著者によりかなりの差異があり、0.5~10rad/WLMの範囲に及んでいる。  したがって、平均総線量として600WLMは300rad(600×0.5)より小さくはならない。   (脚注) WLMとはWL(Working level)と従業期間(Month)との積であり、IWLMはラドンの娘核種の空気中濃度300pci/l(ラドン100pci/lと平衡にある娘核種の放射能)に相当する。   (4) Abrahamsonらは、肺癌を発生したトロトラスト患者の1例を報告しているが、その患者は死亡時の16年前に、トロトラスト※の75ccの注射を受けている。この場合の肺臓に対する総線量を推定すると、5,500rad前後である。   ※〔注〕 トロトラスト(Thorotrast)とは、肝、脾臓造影法、血管造影法などのⅩ線診断に用いられるコロイド状に懸濁した二酸化トリウム造影剤の製品名である。   (5) 肺臓に比較的多量の外部放射線を照射すると、放射線肺炎をおこし、これが後に肺線維症に移行することについては、動物による実験的研究だけではなく、多くの臨床的報告がある。このことについては、放射性物質による肺臓の内部被ばくの場合においても、ウラン鉱夫やトロトラスト患者等において知られているし、Bairらの犬の239PuO2の吸入実験においても吸入後1ケ月目に、そのときの肺臓における総線量700~1,900radに匹敵する線量のⅩ線で誘発される放射線肺炎と同様の変化を認めている。  肺線維症自体が肺腫瘍の発生の直接の原因ではないとしても、放射性粒子の沈着という発癌性の要因が存在するときには、寄与因子となりうる可能性を否定できないので、この点にも本専門部会は考慮を払った。外部放射線被ばくの場合には、線量との関係が比較的よく研究されている。人間の場合には、放射線治療に伴う障害の例であるが、例えば市川、荒井らによれば、胸部Ⅹ線照射による肺障害の場合、胸部線像からみて肺障害をおこす肺障害許容限界(lung tolerance dose)を3,800R(照射期間30~40日)としている。  また、わが国におけるその他の報告による最低線量も、大体3,000R程度である。障害の経過および程度は多くの因子により影響され、実際にはより複雑である。しかし一般には例えばRubinおよびCasarettらによれば、急性反応の頻度と線量率との間には相関があり、線量率の大きいときは急性放射線肺炎が問題となり、また、慢性肺線維症の生起とその重厚性は総線量にほぼ比例するといわれる。JenningsおよびArdenは、Ⅹ線量500R~6,000Rの照射をうけた患者173例について観察した結果、急性期における硝子様膜の形成、肺胞壁の線維化等の変化は、500R程度の照射例にもみられると述べている。  動物実験では、例えばHansenらがビーグル犬の頭部および胸部を1,000kVPX線で800~2,000R 1回照射した結果で、いずれの線量の場合にも線維化がしばしばみられている。 (6) 以上の研究報告は、放射線の種類、線量評価障害の分類とその判定の基準、統計的精度等について幾多のあいまいな点があり、また、医学的、生物学的に不確実な点も多く含まれている。したがって、これらの結果を比較検討して、プルトニウムの吸入により人間の肺臓に対する障害を誘発しうると考える最小の総線量を推定することは困難であるといわざるを得ないが、本専門部会は、このような不確定要因があることを十分認識の上で、現時点では、プルトニウムの吸入によって肺障害の発現の危険性がほとんどないと推定される総線量レベルとして、300radを下回ることはないと考える。 3 肝臓 (1) プルトニウムの沈着による肝障害に関する動物実験の報告はあるが、線量との関連で報告されたデータが乏しいので、ここでは、トリウムの沈着による人体障害の例として知られているトロトラスト患者の慢性障害の場合を重要な参考とした。 (2) トロトラスト患者に関する報告は比較的多く公表されており例えば、森の報告によれば、肝臓の検索例のすべてにおいて、トリウムの沈着による肝組織の破壊および線維化がみられたが、線維化の高度のものはトロトラスト注入より死亡までの期間(19~24年)における総線量は、平均1,550~2,500rad(局部では19,500~33,000rad)、軽度のものではほぼ同一期間(19年間)に平均655rad(局部では8,450rad)であった。トリウム注入の場合、肝臓などではトリウムの沈着した部位は次第に巨大化し集塊に隣接する箇所の線量はある場合にはきわめて大きくなる。 (3) Looneyの報告によれば細網肉腫を発生した10人のトロトラスト患者のうち8人の平均潜伏期は15±7年であるが、15年間における推定平均総線量は、Rundoの算出法に基づけば1,000rad Harshらの算定法によれば1,500radとなる。  なおトロトラストの投与された患者で、その総線量が上記例に比較して一桁少ないにもかかわらず、肝腫瘍が発現したという1例が報告されている。この患者のうけた総線量は、Hortaによれば、100radであるが、潜伏期間の短いこと、トロトラストの注入量がわずかであることなどから、著者自身、この肝腫瘍の誘発が放射線によるものかどうかについて強い疑問があるとしている。 (4) 肝臓は、形態学的見地からは、一般に放射線感受性の低い臓器とみなされ、比較的大量の照射によってはじめて著しい変化をきたすことが多くの動物実験ならびに人体についての剖検の結果報告されており、例えば、外部放射線(主としてⅩ線)の場合、重要な肝障害をおこすには10,000R以上を要するといわれている。しかしマウスでこれより低い線量で肝腫瘍を発生したという報告があるが、この場合線量依存性が明白ではなく、かつ、用いた動物の系統による特異性その他の点から、なお、検討の余地があるので、人間の場合の推定資料とするには問題がある。 (5) プルトニウムの放射線によって、人間の肝臓に腫瘍を誘発する最低線量を以上の研究報告から推定することは、Ⅲ-2-(6)で述べたと同じような困難がある。しかし、本専門部会は、このような困難があることのほかに、例外的に低い線量で肝腫瘍を誘発したトロトラスト患者およびマウスについての報告があることを認識した上で、現時点では、プルトニウムの放射線によって人間の肝臓に腫瘍を誘発する最小の線量は1,000rad以下でおそらく500rad程度のものと考える。 4 骨 (1) プルトニウムが人間の骨に対しておよぼす障害の知識は、肺臓または肝臓に関する知識よりも豊富である。その理由は、一方では226Raの人間の骨に関する障害の調査が古くから行なわれているし、他方ではプルトニウムとラジウムとの比較研究がなされているからである。 (2) 226Raは239Puと同じくα-放出体であって骨に沈着し、その障害例が比較的多く知られているので、障害発現までに骨に与えられる総線量をもとに、両核種の影響を比較することができる。  これは、ICRPが親骨放射性核種の最大許容身体負荷量(Maximum Permissible Body Burden:MPBB)を決定する際に採用している方法で、226RaのMPBBを人間についてのデータに基づいて0.1μciと定めその他の核種については、226Raが0.1μci体内に存在するとき骨に与えられる年線量当量(骨全体についての平均が30rem)と等しい年線量当量を骨に与えるときの、全身中に存在するμci数をもってM.P.B.Bと定めている。 (3) 226RaのMPBBを0.1μciとした根拠については多くの文献がある。はじめてこの値が採用された時点(米国NCRP1941年)においては、身体負荷量が測定されたときの体内残存量が約1μci以下の者には何の障害も見出されなかったことから、少なくとも1桁の安全率がかかっているものと考えて、長期間引き続き体内に存在する量の限度として定義されたMPBBを0.1μciと定めた。  しかし、その後の調査、研究の結果、残存負荷量が1μciよりも低い場合において腫瘍その他の障害の発生例が見出された。例えばMarinelliは障害の起らない上限値を0.4μci(被曝期間約25年)Evansは0.5μci被曝期間35~40年)と報告している。また、Finkelら(1964年)は0.167μciを持つものに顎骨の腫瘍を発見し、「さらに調査を要する疑わしい1例を除いて0.1μci226Raを持つ者にはⅩ線写真で、中等度の骨変化は見られなかったが、残存量が0.32μciを越すと中等度およびさらに進んだ骨変化の症例が急に増加する」と述べている。しかし、同じ著者らはほとんどこれと同一の資料の解析を行なった他の報告で、測定時の226Raが0.6μci以下の者には悪性腫瘍は見出されていないと述べている。 (4) Norrisらの226Raの滞留に関する「べき関係モデル」に従い骨のうける総線量を算出すると、例えば0.167μciに対してはそれぞれ310~420radおよび1,000~1,500radとなり(ただし、被曝期間を30~40年とする)上記の他の例についてはいずれもこの線量の範囲に入る。 (5) 骨腫瘍の発生を指標として239Puと226Raとの毒性を比較した動物実験によれば、骨に対して等しい平均吸収線量を与えるだけの量がそれぞれ骨に存在する場合には、239Puの方が効果は大きく、ICRPでは5倍と考えている。  この値がそのまま人間にも適用できると仮定すれば、前項で示したrad数の約1/5が239Puによって骨腫瘍を誘発した総線量の下限値と考えてよいであろう。すなわち最低約60rad最高約300radとなる。 (6) 以上の文献的考察の結果、本専門部会は現時点ではプルトニウムの放射線による骨腫瘍の発現の危険性がほとんどないと推定される総線量レベルとして60radを下回ることはないと考える。    Ⅳ めやす線量 (1) いままでのべてきたところから明らかなように、プルトニウムを燃料として用いる原子炉の立地評価上必要なプルトニウムのめやす線量を決める際に問題とすべき臓器、組織は肺臓、肝臓および骨であると考えられ、これらの臓器、組織に対してプルトニウムの放射線によって障害を発現する危険性がほとんどないと推定される総線量のレベルは、それぞれ300rad、500radおよび60radであると考える。 (2) これらの数値は、その推定の過程で明らかにしたように、多くの不明確な点を含んでいるし、また、これら三つの数値の間では、相対的にその信頼度は同じでない。すなわち、肺臓と肝臓に対する値は骨に対する値より信頼度は低いと考えざるを得ない。さらに、プルトニウムの吸入によって、三つまたはそれ以上の臓器、組織が同時に線量を受けることがあるので、プルトニウムに関するめやす線量を決める場合にはこれらの事情を十分考慮して、安全側になるようにしなければならない。 (3) 本専門部会は(1)、(2)に述べたことから、プルトニウムに関するめやす線量として、肺臓に対して15rad、肝臓に対して25rad、骨に対して6radをとるのが適当であると考える。 (4) プルトニウムに関するめやす線量の数値は、プルトニウムを燃料として用いる原子炉の立地評価に用いらるべき値であって、安全評価上、甲状腺および全身の被ばくをも同時に考慮すべき場合には従来の立地審査指針(昭和39年5月)で定めためやす線量を併用し、おのおの独立に評価すべきものと考える。 (5) プルトニウムに関するこのめやす線量は、原子炉の立地評価においてプルトニウムの興害評価をするためのものであって、原子炉事故が実際に発生した場合の退避、飲食物制限等の災害対策を発動するための基準は全く異った考え方から策定すべきものである。したがって、これらを混同して使用してはならない。 (6) 原子炉技術の開発は発展途上にあり、また、他方ではプルトニウムに関する生物学的、医学的知見が急速に増加しつつあるのにかんがみ、適当な時期に本めやす線量を再検討する必要があると考える。    Ⅴ 審議経過  本専門部会は、昭和43年12月9日、第1回部会において、次の委員および調査員からなる 第3小委員会を設置した。同小委員会においては、慎重な調査審議を経て、同小委員会報告 書を策定し、昭和44年11月11日、本専門部会に報告した。本専門部会においては同報告に 基づき審議し、同日、本報告書を決定した。   (委員) 田島 英三(委員長) 立教大学 伊沢 正実放射線医学総合研究所 江藤 秀雄   同上 大山 彰動力炉・核燃料開発事業団 熊取 敏之放射線医学総合研究所 坂岸 昇吉日本原子力研究所 三島 良績東京大学 吉沢 康雄 同上 渡辺 博信放射線医学総合研究所 (調査員) 西川 喜之動力炉・核燃料開発事業団 能沢 正雄日本原子力研究所 松岡 理放射線医学総合研究所      

東日本における甲状腺がんのリスク ヨウ素131拡散シュミレーション動画

 福島県の子どもたちの小児甲状腺がんは172名になりました(2016年3月31日現在)。 第23回福島県県民健康調査検討委員会「甲状腺検査(先行検査)」結果概要【平成27年度追補版】 20160606 第23回福島県県民健康調査検討委員会「甲状腺検査(本格検査)」実施状況 20160606  北茨城市でも2013年度の検査で、3名の小児甲状腺がんの子どもたちが見つかっています(2015年8月25日公表)。 北茨城市甲状腺超音波検査事業の実施結果について まちづくり協働課 健康づくり支援課 2015年8月25日  原発事故から5年。原発事故当時、0~5歳だった子どもたちが、小児甲状腺がんを発症するのはこれからかもしれません。東日本全域での甲状腺検査が必要とされています。 関東子ども健康調査支援基金 関東汚染スポットのこどもたちの健康調査のための資金を集め、健康診断をしていきます。  以下は日本原子力研究開発機構が作った、ヨウ素131の拡散および沈着シュミレーションです。これの色塗られた地域で、そのプルームが通過したときに、屋外にいた子どもも大人も甲状腺がんのリスクがある、と思います。更に、その後の高い放射能汚染地域で生活したことによる、追加の被ばくが甲状腺がん発症のリスクを高めます。  子ども、妊婦をはじめ住民を避難移住を進めるべきである、と思います。 東京電力福島第一原子力発電所事故により環境中に放出された放射性物質の拡散シミュレーションの動画 日本原子力研究開発機構 2015年4月1日 4.原子力委員会等説明(2011年9月6日他):WSPEEDIによる中部・関東・東北地方でのI-131及びCs-137の大気降下の試算結果           以下をクリックすると動画が見られます。                 ↓ 広域大気拡散解析:東日本におけるI-131の広域拡散と大気降下量(2D-動画) 動画の見方:動画は、I-131の大気降下量分布の空間的広がりをカラーの面塗りで、大気中のI-131の動きを地上濃度(Bq/m3)の等値線(青線)で示している。 日時は国際標準時(日本時間は9時間加算)で上部に表示されている。    

南相馬市小高区 2011年3月12日13:20~13:35大気中ダスト ヨウ素131 63ベクレル/m3 ヨウ素132 111ベクレル/m3 テルル132 119ベクレル/m3 イットリウム91 510ベクレル/m3 2016年5月26日福島県公表

 2016年6月12日、本日、政府の原子力災害現地対策本部は、福島県葛尾村の避難指示解除準備、居住制限の両区域を解除しました。さらに、来る2016年7月12日、福島県南相馬市の小高区も含めて、避難指示を解除しようとしています。  ところが、2016年5月26日の今頃になって、福島県は、2011年3月12日の大気中ダストのデータを公表しました。恐ろしいことに、2011年3月12日の13:20~13:35の空気1m3中に、ヨウ素131が63ベクレル/m3、ヨウ素132が111ベクレル/m3、テルル132が119ベクレル/m3、イットリウム91が510ベクレル/m3も存在していました。南相馬市小高区の避難指示が出たのは、3月12日の18:25pmです。この異常な放射能プルームを無防備のまま、吸わされた南相馬市の住民はいたのではなかったでしょうか? 緊急時モニタリングにおける大気浮遊じんのγ線核種分析結果について 福島県 2016年5月26日 原発震災直後の政府の避難指示 2011年 3月11日   19時03分 福島第一   原子力緊急事態宣言発令               20時50分 福島第一   県が半径2km圏内に避難指示               21時23分 福島第一   国が半径3km圏内に避難指示                        国が半径10km圏内に屋内退避指示 3月12日     5時44分   福島第一   国が半径10km圏内に避難指示                 7時45分   福島第二   原子力緊急事態宣言発令                        国が半径3km圏内に避難指示                        国が半径10km圏内に屋内退避指示               17時39分 福島第二   国が半径10km圏内に避難指示               18時25分 福島第一   国が半径20km圏内に避難指示 3月15日   11時00分 福島第一   国が20~30km圏内に屋内退避指示  南相馬市小高区上浦木曽迫 2011年3月12日13:20~13:35 大気中ダスト  ヨウ素131 63ベクレル/m3 ヨウ素132 111ベクレル/m3 テルル132 119ベクレル/m3 イットリウム91 510ベクレル/m3 2016年5月26日福島県公表  東電が、決めた全面マスクをつける着用基準は200ベクレル/m3です。南相馬市小高区住民は少なくとも2011年3月12日の正午過ぎは、全面マスクをつける必要がありました。  果たして、福島県は南相馬市と住民に被ばく防護の指示を出したのでしょうか。出さなかったとすれば、だたモニタリングしただけで、住民をむざむざ被ばくをさせたのではないでしょうか。

宇都宮市、学校給食で270ベクレル/kgのタケノコが使われる。給食まるごと検査(早野龍五東大教授監修)の犯罪性。

 2016年5月10日、栃木県宇都宮市の小学校の学校給食で、放射能汚染タケノコが使用されました。栃木県の検査では、このタケノコの放射性物質 の濃度は、270Bq/kg、173Bq/kg、128Bq/kg(大田原市産)でした。一方、本来使われるはずだった、宇都宮市産は10Bq/kgでし た。 栃木県 たけのこの食品中放射性物質の基準値超過について  下野新聞がこの事件を詳しく報道しています。   かつての埼玉県さいたま市の学校給食まるごと放射能検査でも、5日分の保育園の給食から、2.13ベクレル/kgのセシウム134、セシウム137が検出 されていました(大砂土保育園)。これは、今回の宇都宮市の学校給食のように、270ベクレル/kgの放射能汚染たけのこを35g分使った場合にも、 2.36ベクレル/kgになります。さいたま市の学校給食でも、この放射能汚染タケノコのレベルの食材が使われていた可能性があります。早野龍五氏が提唱 する、この学校給食まるごと放射能検査(陰膳法)は、汚染食材の特定をせず、「これくらい少ない放射能汚染だから安全」と、子どもたちに放射能を食べさせ る、検査方法です。誤った放射線防護法であると思います。 [解説]   <さいたま市の学校給食の場合>上記資料より、大砂土保育園 2012年2月2日~2月8日 5日分の給食 4.131kgで、セシウム134とセシウム137の合計が2.13ベクレル/kg。 つまり、2.13×4.131=8.80ベクレルの放射性物質が混入していたことになります。  <宇都宮市の学校給食の場合>もし、これが1品目のタケノコで放射能汚染が270ベクレル/kgのもの、1人あたり35gを食材として使用しようしていた、とすると、以下のようになります。  270×35÷1000=9.45 ベクレル。 これが給食5日分の4.131kgに混入していたとすると、どれくらいの汚染度(ベクレル/kg)になるのでしょうか?  9.45÷4.131=2.29 ベクレル/kg つ まり、大砂土保育園の学校給食のレベルとまったく同じです。さいたま市はこれは非常に小さな内部被ばくだから安全と解説しています。270ベクレル/kg を超えるタケノコのような食材が食べさせられたかもしれないのに。早野龍五氏が提唱する、この学校給食まるごと放射能検査(陰膳法)は、汚染食材の特定を せず、「これくらい少ない放射能汚染だから安全」と、子どもたちに放射能を食べさせる、検査方法です。誤った放射線防護法であると思います。        

大新聞は172人の福島の子どもたちの小児甲状腺がんをなかったことにしようとしているのか?

 2016年6月6日に福島市で開かれた、第23回県民健康調査検討委員会において、福島の子どもの小児甲状腺がんは、「先行検査」では115人(がん疑いを含む)、「本格検査」で57人(がん疑いを含む)。合計172人であることが発表されました。  今朝の新聞各紙です。一番記事が3面と目につきやすく、比較的ていねいな解説があるのが、東京新聞でした。しかし、6月7日午前11時の時点で東京新聞電子版に記事は掲載されていません。また朝日、毎日は非常に小さい記事でした。紙面をよく探さないと見落としてしまうようなそれぞれ25面、25面に掲載されたベタ記事でした。  読売新聞にいたっては、全国版には一切記事がありません。地方版 福島県にしか掲載されていません。読売新聞は、「この小児甲状腺がんの問題は福島県内だけの問題だ」という見解なのでしょうか?  こうして、日本の人々からも、福島の子どもたちの小児甲状腺がんが忘れさられていこうとしています。宮城県丸森町で2人もの小児甲状腺がんの子どもが見つかっているのに。これは10万人あたりの発症率で言えば、128人/10万人です。福島県立医大 鈴木眞一氏はこれまで日本の子どもたちの小児甲状腺がんの発症率は10万人あたり、0.2人か0.3人と言ってきました。宮城県丸森町の発症率はまさにチェルノブイリ原発事故の影響を受けた、ベラルーシ共和国のゴメリ州における小児甲状腺がんの発症率すらはるかに超えます。北茨城市でも3人の子どもたちが小児甲状腺がんと診断されました。これは10万人あたりの発症率で言えば、63人/10万人です。  福島県だけでなく、福島と同様な放射能プルームが通過した、宮城県丸森町や茨城県北茨城市でも小児甲状腺がんの子どもたちは見つかっているのに、この国や自治体は何をしているのでしょうか。大新聞はこの問題をどのように考え、報道しているのでしょうか。事態はますます深刻になってきています。高放射能汚染地帯から、子どもたち、妊婦をはじめ、住民を避難させるべきです。初期被ばくに加えて、土壌に結びついた放射性物質を呼気で吸い、放射能を含んだ食べ物を食べ続けることは、発がんリスクをいっそう高めることになります。政府と各自治体への取り組みを始めましょう。  少なくとも、放射線管理区域(4万ベクレル/m2超え)は、18歳未満立ち入り禁止です。つまり、学校、公園、スポーツ施設などの教育施設は閉校、閉鎖するべきです。これは自然放射線が0.04マイクロシーベルト/時であったところは、地上1mで0.13マイクロシーベルト/時に相当します。(セシウム137が4万ベクレル/m2あると、その1m上の空間線量率は0.09マイクロシーベルト/時分上がる。)学校閉鎖の基準を電離放射線防護規則にのっとり、作るべきです。 <新聞記事 全文>  福島 全子ども対象 甲状腺検査2巡目 がん確定は30人に 2016年6月7日 東京新聞 朝刊 3面 東京電力福島第一原発事故の健康への影響を調べている福島県の「県民健康調査」検討委員会が6日、福島市で開かれた。県内すべての子どもが対象の甲状腺検査を巡り、2014年4月に始まった2巡目の検査でがんと確定したのは、前回会議(今年2月)での報告から14人増えて30人となった。がんの疑いは27人。 確定と疑いの計57人は、事故から約3年までの1巡目の検査でほとんどが「問題ない」と診断されていた。委員会後の記者会見で、星北斗座長(福島県医師会副会長)は「原発事故の影響とは考えにくい」と従来の見解を繰り返しながらも「人数が増えて県民の不安が増していることも間違いない。さらに詳細な調査をしたい」とした。  検査を実施する福島県立医大などによると、57人は事故当時5~18歳の男女で。腫瘍の大きさは5.3~35.6ミリ。このうち4ヶ月間の外部被ばく線量が推できたのは31人で、最大値が2.1ミリシーベルト、11人が1ミリシーベルト未満だった。  約30万人が受診した1巡目の検査も合わせ、これまでにがんと確定したのは計131人、疑いは41人。  福島、甲状腺がん131人に 2016年6月7日05時00分 朝日新聞 朝刊 25面記事   福島県は6日、東京電力福島第一原発事故当時18歳以下の約38万人を対象にした甲状腺検査で、1月から3月の間に新たに15人ががんと診断され、計 131人になったと発表した。うち1人は事故当時5歳だった。県の検討委員会は「これまでのところ被曝(ひばく)の影響は考えにくい」としている。 福島第1原発事故 当時5歳の1人、甲状腺がん疑い 毎日新聞 2016年6月7日 朝刊 25面  東京電力福島第1原発事故の影響を調べる福島県の「県民健康調査」検討委員会は6日、当時5歳の1人が甲状腺がんかその疑いがあると明らかにした。甲状腺がん発生で放射線の影響は考えにくいとする理由の一つだった「5歳以下の診断例がない」状況が変わる可能性があるが、同委は「(影響が考えにくいとする)論拠を変える必要はない。これからどれくらい出るか検証する」としている。  福島県によると、放射線への感受性は大人より子どもの方が高く、チェルノブイリ事故では、当時5歳以下でも甲状腺がんが多発していたという。  健康調査は県が2011年6月から実施。甲状腺検査は事故時18歳以下だった約37万人を対象に15年4月まで1巡目を実施し、14年4月からは2巡目に入っている。これまで5歳以下の診断例がないことなどから、検討委が1巡目の結果に基づき作成した今年3月の中間まとめで、甲状腺がんの発生について、放射線の影響は「考えにくい」としていた。  検討委は、今年3月までに2巡目で30人ががんと確定したことも報告。昨年末と比べ14人増で、「疑い」は同8人減の27人だった。「疑い」が減った理由について、県は「8人ががんと確定されたため」と説明している。【曽根田和久】 事故当時5歳男児「甲状腺がんの疑い」 2016年06月07日 読売新聞 朝刊 地方版 福島 ◆調査委「放射線の影響考えにくい」…県2巡目検査 県立医大は6日、県が県民に実施している2巡目の甲状腺検査(2014年4月開始)の結果、事故当時5歳だった男児が「甲状腺がんあるいは疑いあり」と診断されたと発表した。5歳以下の子供が、がんもしくは疑いがあると診断されるのは、1巡目を含めて初めて。県民健康調査検討委員会の星北斗座長は「事故の放射線の影響とは考えにくい」との見解を示した。  検査は東京電力福島第一原発事故当時、18歳以下だった県民などが対象。  同委員会は3月、甲状腺がんに対する放射線の影響は考えにくいとした理由の一つに、「事故当時5歳以下では、がん発見がない」ことを挙げていた。  福島市でこの日開かれた委員会後の記者会見で、星座長は「1人出たからといって評価を変えることはない」と話す一方、「今後出てくるのかきちんと検証する必要がある」とも述べた。  2巡目の検査は3月末で26万7769人が受けた。30人が甲状腺がんと診断され、疑い例を含めると計57人になる。  

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