内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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内部被ばくと健康被害

福島の魚、基準値超えゼロ 朝日新聞 2017年3月8日朝刊23面

 朝日新聞がまたまた、「福島食べて応援」の犯罪的記事を掲載しました。この新聞は脱原発でもなんでもないです。「獅子身中の虫」(しししんちゅうのむし)です。  2012年1月19日朝日新聞朝刊の『福島の食事、1日4ベクレル 被曝、国基準の40分の1』に並ぶ、犯罪的な記事です。「福島、食べて応援」の悪しき宣伝の典型と言えます。以下の資料に朝日新聞の同記事を掲載しました。 『東京第一原発事故前の放射性物質の降下物の最高値と、大人が1日食品から取った放射性物質の最高値』 投稿日:2014.05.28 | カテゴリー:内部被ばくと健康被害, 資料 『福島の魚、基準値超えゼロ』(朝日新聞 2017年3月8日朝刊23面)、全文を転載します。   (東日本大震災6年)食と観光 福島の魚、基準値超えゼロ 2017年3月8日05時00分 朝日新聞 試験操業でとれた魚介類の流通<グラフィック・野口哲平>   福島県沖でとれた海産物の放射性物質濃度検査では、国の出荷制限の基準値を超えた検体は年々減り、昨年は事故後初めて、一年を通して基準値超えがゼロになった。東京電力福島第一原発事故の影響で、福島県沖では小規模な操業と販売を行う試験操業が続く。東京で経営する店のメニューに試験操業でとれた魚を加え、復興を後押しする福島県出身の男性もいる。  ■アンコウ鍋、東京のお店に  2月16日、東京・秋葉原近くの岩本町の料理店「四代目庄次平(しょうじへい)」の店先にアンコウがつるされていた。店を経営する佐藤武信さん(54)が肝を外して皮をはぎ、手際よくさばく。前日に福島県のいわきで水揚げされた5・5キロのアンコウだ。  佐藤さんはいわき市出身。いわきで水揚げされた魚を買い付け、都内の飲食店に卸す仲買人をしていた。しかし、原発事故の影響で、仕事のめどが立たなくなった。  震災から1カ月後、妻と息子と上京。得意先の飲食店に注文された魚を築地で仕入れ、納める仕事を始めた。だが、震災前と違って「福島・小名浜の魚」という「強み」がなくなり悩むうち、「復興のために地元福島の魚や酒を出す店をつくりたい」という思いが日増しに強くなった。  2015年6月、岩本町の店舗を借りた。店の名は実家の屋号「庄次平」と、14年前に亡くなった4代目の父にちなんでつけた。魚を納める仕事を続けながら、店に立つこともある。ヒラメの刺し身やヤナギガレイの一夜干しなど、週に2、3回は福島でとれた魚を店に出す。酒も福島の蔵元の銘柄を数多くそろえている。  アンコウをさばいた翌日、常連客4人に声をかけ来店してもらった。身や肝、皮を入れたみそ仕立ての鍋に、客は「身がぷりぷり」「肝がとろっとしていて甘い」と舌鼓を打った。長久保あかねさん(44)は「福島のものを食べることで、復興を応援したい」。  カウンターとテーブルで30席の店の家賃や調理機器などのリース代として毎月約40万円を支払う。料理長らに払う人件費などもあり、経営は楽ではない。だが、地元福島の魚を食べて「おいしい」という客の声に手応えを感じているという。佐藤さんは「福島の魚で勝負したい。早く震災前の水揚げに戻ってほしい」。  ■放射性物質、魚種ごと検査  佐藤さんが店で出したアンコウは15日に試験操業で水揚げされた。  この日未明、いわき市漁業協同組合などから、底びきや固定式刺し網漁の漁船など80隻以上が出漁。午前7時、水揚げ港の一つであるいわき市久之浜漁港に漁船が戻ってきた。大きなたるの中にはアンコウやヒラメ、タコ……。水揚げは9トンほどだった。漁師の一人は「きょうは結構揚がった」と満足げだ。  水揚げされた魚は次々と市内にある小名浜魚市場に運ばれ、魚種ごとに仕分けられた。魚種ごとに1匹ずつ検体が市場内の検査室に持ち込まれる。ミンチにした魚を検査機器にかけ、放射性物質濃度を調べる。  検査の結果、基準値超えした検体はゼロだった。  翌16日午前6時。競り開始のベルが、いわき市中央卸売市場に鳴り響いた。ここから、県内外の市場に魚が送られる。「ヒラメは関東で、アナゴは仙台で人気が高いんですよ」と、元卸・いわき魚類の金成裕司さん(56)。メヒカリやヒラメは震災前より値段がよいときもあるという。金成さんは「まずは福島県産の魚を食べてもらい、リピーターを増やしていくしかない」。  ■試験操業対象、97種類に拡大  福島県は国のガイドラインに基づき、福島県沖でとれる海産物の放射性セシウム濃度の調査を続けている。国の基準値(1キロあたり100ベクレル)を超える放射性セシウムが検出される検体は年々減り、2015年4月以降は調べた検体全てが基準値を下回り、16年は通年でゼロになった。  原発事故後、福島県漁業協同組合連合会(県漁連)は福島県沖での沿岸漁業を自粛しているが、12年6月に試験操業を開始。小規模な操業と販売で出荷先での評価を調査するのが目的だ。県の調査で放射性セシウムが安定的に基準値を下回る魚種を選び、当初3種類だった魚種は97に拡大した。  県漁連は、万が一にも基準値超えの魚が出荷されないよう、国より厳しい1キロあたり50ベクレルという基準値を設けて自主検査している。  試験操業による水揚げ量は震災前の1割程度にとどまっている。県漁連の野崎哲会長は「全面操業再開には、出荷制限がなくなることが前提」と話す。現在、安全性が確認されていないスズキなど12種が出荷制限の対象となっている。12種の中には検体確保が難しいケースもあり、全面操業再開には乗り越えなければならない壁が残っている。(沼田千賀子、浅野真)  ■(記者後記)安心も売り込みを 文化くらし報道部・浅野真  いわき市での取材中、スーパーの魚売り場や生鮮みやげ物店に立ち寄った。並ぶのは保存のきく干物や冷凍品がほとんど。生鮮魚もあるが、ほとんど他県産だ。地元産の魚が入らないことが多いという。暖流と寒流がぶつかるいわき市沖のヒラメなどは、「常磐もの」として市場で高く評価されてきただけに寂しい光景だった。  本格操業再開への大きなポイントは、いかに消費者に安心して買ってもらえるかにかかっている。水揚げされた魚の放射性物質の測定も丁寧にやっており、安全性は確実に回復している。こうした「安心」情報をセットに売り込みをかければ、販路は広がると思う。私たち消費者もそれに応えたい。だって、魚はおいしいんだから。  ■増える訪日客、東北は伸び悩む  1月下旬、宮城県南三陸町。太平洋に臨むリゾート施設「ホテル観洋」に、米国などの外国人を含む約300人が集まった。東日本大震災の経験や教訓の「語り部」を、どう活用するか考えるフォーラムだ。  ■語り部を養成  観洋は最近、津波にさらされて骨組みだけが残った南三陸町の防災対策庁舎など、震災遺構を回る「語り部バス」に力を入れている。いまは外国語対応も急ぐ。英語圏からの来訪者には、担当課長の倉橋誠司さんが通訳する。中国出身の従業員にも、語り部になってもらうべく研修中だ。昨年5月にはインバウンド課をつくり、ホームページは中国語や韓国語にも対応、レストランには英語メニューを加えた。  取り組みの結果、昨年の外国人宿泊者数は340人となり、前年の3倍に伸びた。それでも全体の1%ほどで、伸びる余地はまだある。  東北の旅館やホテルは、訪日客の取り込みに懸命だ。だが、震災や原発事故の負のイメージが消えず、ある自治体の観光担当者は「せっかく東北に来てもらっても、仙台空港から宮城の松島に寄った後は、世界遺産がある岩手の平泉に直行してしまう」と嘆く。  足止め策のひとつとして注目され始めているのが、逆に震災を伝えて人を呼び寄せる語り部の活用だ。フォーラムを共催した観洋のおかみ阿部憲子さんは「カタリベを外国語でも普及させ、多くの人に東北に来てもらえれば」と語る。  観光庁によると、全国の外国人宿泊延べ人数は2016年が6407万人で、震災前の10年の2・5倍。一方、東北6県は11年に前年の半減以下の18万人に落ち込んだ後、15年まで震災前の水準に戻らず「東北の一人負け」(村井嘉浩・宮城県知事)だった。16年は64万人に増えたが、まだ震災前の1・3倍だ。  政府は、東北の外国人宿泊延べ人数を、東京五輪・パラリンピックがある20年に150万人にする目標を掲げる。17年度予算案では複数県をまたいだ集客策に取り組む自治体に33億円の交付金を用意。ほかにも海外への広告・宣伝費10億円を計上した。  ■国内客も苦戦  ただ、日本人の宿泊も、東北は全国より伸びが低い。震災直後は各地からボランティアなどが訪れたが、13年以降は低迷。帝国データバンクが調べた震災関連の倒産状況では、震災から6年で倒産した業種のトップはホテル・旅館業の120件だった。  太平洋沿岸の旅館やホテルは、水産業者の重要な取引先でもある。観光復興の成否は、沿岸の地域経済を左右するとも言える。(加藤裕則、編集委員・大月規義)        

『液体ミルク』を全国に 福島乳業・岩沢俊夫会長に聞く 福島民友 2016年12月21日

『液体ミルク』を全国に 福島乳業・岩沢俊夫会長に聞く 福島民友 2016年12月21日  乳児用液体ミルクの事業化に向けた検討を始めた福島乳業(福島市)の岩沢俊夫会長(67)=写真は20日、福島民友新聞社の取材に応じ、事業化の意義について語った。  ―なぜ液体ミルクの事業化を目指すのか。  「(粉ミルクと比較して)手間がかからず、働く女性からの要望が強い。災害時などにも使用できる利点がある。福島から旗上げし、これから専門家を集めて事業化に向けて知恵を凝らしていく。さらにこの動きを全国に広げたい」  ―福島で行う意義は。  「当社は学校給食用の牛乳などを製造しており、常に社会貢献を念頭に置いている。(政府で解禁の議論が進む)液体ミルクを広げるにはまずは誰かが動きだす必要がある。(震災や原発事故があった)福島だからこそ挑戦できる環境があると思っている。事業化が実現すれば地域の刺激となるだけでなく、発信力も高まると期待している」  ―粉ミルクが普及している現状については。  「国内は粉ミルクで子育てする仕組みができているが、海外では液体ミルクも普及している。基本的には(賞味期限の長い)ロングライフ牛乳と同じ。将来的には自分たちだけで事業化するのか、それとも連携して事業化するのか。それも含め、まずは自分たちで動きだしたい」 いわさわ・としお 神奈川県鎌倉市出身。2010(平成22)年から福島乳業社長、今年4月から会長。デンマークヨーグルト会長。

[社説]放射線審議会 民主党政権時の基準を見直せ 読売新聞 2017年2月9日 3面

[社説]放射線審議会 民主党政権時の基準を見直せ 2017年2月9日 読売新聞 3面  ゼロリスクを求める放射線の基準は、科学的データに基づき、改める必要がある。 放射線審議会の権限と機能を強化する放射線障害防止技術基準法の改正案が、今国会に提出されている。 原子力規制委員会が所管するこの審議会は、放射線防護などの専門家8人で構成される。従来は、各省庁からの諮問を受けないと、審議さえできなかった。 制約をなくす改正案が成立すれば、独自の判断で調査・審議することが可能になる。関係省庁に対して、基準値を定める法令改正などを促すこともできる。 東日本大震災後、放射線を巡る科学的根拠に乏しい情報が、インターネットなどで流布され、福島の復興の足かせとなっている。速やかに法案を成立させて、審議会を有効に機能させるべきだ。 重要テーマの一つが、震災後の2012年に適用された食品中の放射性物質量に関する基準の見直しだ。当時の民主党政権は、国民の不安解消を名目に、国際基準とかけ離れた基準値を設けた。 例えば、飲料水中のセシウム量の基準値は、米国が1キロ・グラム当たり1200ベクレル、欧州が1000ベクレルなのに対して、日本は10ベクレルだ。 日本は汚染地帯なので、食品の基準も厳しい、と国際的に誤解され、日本産の食品などを輸入規制する国が相次いだ。中国や韓国は今も厳しい措置を続けている。 規制委の田中俊一委員長は、現行の基準のままでは、日本の食品に対する不信感は解消できないと指摘し、「(基準を)国際レベルに持っていくことが大事だ」と強調する。見直しを急ぎたい。 除染に関しても、民主党政権下で、実質的に年間1ミリ・シーベルト以下とする目標が設けられた。 科学的には、100ミリ・シーベルト以下の被曝(ひばく)による健康への影響はないとされる。国際放射線防護委員会(ICRP)は、これに余裕を見込んで、20ミリ・シーベルト以下で避難措置を解除し、長期的に1ミリ・シーベルトを目指すとの考え方を示している。 今では政府も、こうした方針を掲げているが、法的な規定はない。被災地には、「1ミリ・シーベルトの呪縛」が根強く残る。住民が帰還をためらう一因になっている。 放射線審議会で、国際的な考え方を改めて検討し、政府は法令に基づく明確な基準を打ち出すべきだ。被災者の理解を得られるよう、丁寧な説明も欠かせない。 震災から間もなく6年となる。国中が不安で覆われた中で決定された施策を見直す時期である。

福島県住民の初期被ばくを追う(3) 原発事故前の東電の全面マスク+酸素ボンベ着用基準は400ベクレル/m3以上

 福島県住民の初期被ばくを追う(3) 原発事故前の東京電力の全面マスク+酸素ボンベ着用基準は400ベクレル/m3以上でした。原発事故後、この基準は全面マスクの着用基準200ベクレル/m3以上と大幅に緩和されています。  この全面マスク+酸素ボンベ着用とは、以下のようなものです。宇宙服のように酸素ボンベを背負うか、エアラインホースに接続されたマスクを着用し、その現場の空気を一切吸ってはならない、という規定が、原発事故前の東電、福島第一原子力発電所構内にはありました。その基準は、管理区域のD区域と呼ばれ、表面汚染が40万ベクレル/m2以上、空気中の放射性物質の濃度400ベクレル/m3以上でした。  以下が、東京電力株式会社 福島第一原子力発電所 放射線防護教育用テキスト 放射線作業と遵守事項 pp.9に規定されていた、管理区域の区域区分です。  また、管理区域 C区域 では全面マスクまたは反面マスクの着用が義務づけられていました。これは表面汚染が4万ベクレル/m2以上40万ベクレル/m2未満、空気中の放射性物質の濃度が40ベクレル/m3以上400ベクレル/m3未満でした。全面マスクといえども、99.9%以上の粒子捕集効率にすぎません。すなわち400ベクレルあれば、0.4ベクレル/m3の放射性物質は吸い込んでしまうことを意味しています。このC区域は0.4ベクレル/m3以上の吸入摂取がないレベル、と考えることができます。東京電力は、少なくとも40ベクレル/m3の放射性物質を含む空気を原発作業員に吸わせるべきではない、という基準を持っていた、ということです。  管理区域C区域でのマスクは以下のようです。  果たして、2011年3月11日から始る、東京電力 福島第一原子力発電所の1~4号機の全電源喪失、冷却機能の喪失、そして核燃料のメルトダウン、圧力容器からのメルトスルー。そして、格納容器の破損、圧力抑制室の破損による、放射性物質の放出はいつ、どのくらいの量だったのでしょうか。また、その放射性物質の種類は?  フランスIRSN(フランス放射線防護安全研究所、日本の原子力安全保安院に相当)が2012年2月28日に公表した報告書では、「放射性物質の大量放出は2011年3月12日から25日に行われた。約15回におよぶ事象(爆発、ベント、格納容器や圧力抑制プールの破損、などか?編者注)があった。しかし、主要な大量放出は2011年3月17日まで起きた。」と書かれています。以下がその報告書に掲載されていた、1秒間あたりの放射性物質の放出量と、それが何号機のものなのか、です。青が1号機からの放出、赤が2号機からの放出、緑が3号機からの放出です。 原典:Summary of the Fukushima accident‘s impact on the environment in Japan,one year after the accident フランス放射線防護安全研究所(IRSN) 2012年2月28日公表  これと、以下の日本原子力研究開発機構が計算したシュミレーションとを合わせて考えると、2011年3月12日、3月15日、3月18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日と30日に大量放出があったことがわかります。特に、もっとも最大の放射能が放出されたのは、2011年3月15日の午後から夜にかけてではないでしょうか。    この2011年3月12日から3月25日、および、3月30日~3月31日のダストサンプリングのデータが、福島県および周辺の住民の初期被ばくを推定するために決定的に重要です。以下に、川根が収集したダストサンプリングのデータを掲載します。pdfです。ダウンロードしてご覧下さい。あなたの街で、いつ、どれくらいの放射能が空気中に入っていたのかがわかります。だたし、決定的な期間のダストサンプリングのデータが欠損しています。 ダストサンプリングの測定結果 各ポイントにおけるヨウ素131、セシウム134、セシウム137それぞれの放射能濃度最大値及び最新値 文部科学省 平成23年4月30日10時00分現在 ダストサンプリングの測定結果 各ポイントにおけるヨウ素131、セシウム134、セシウム137それぞれの放射能濃度最大値及び最新値 文部科学省 平成23年5月10日13時00分現在 ダストサンプリングの測定結果(福島県) 文科省 2011 0318 0319 0325 2011年6月7日現在  緊急時モニタリングにおける大気浮遊じんのγ線核種分析結果について 20110312 0314 福島県放射線監視室 2016年5月26日  また、床次眞司教授らが2012年7月12日に公表した論文“Thyroid doses for evacuees from the Fukushima nuclear accident”の中で、2011年3月12日6時から4月6日0時まで、ずっと屋外で生活した場合の1才児の被ばく線量をシュミレーションしています。赤の実線内の区域が1000ミリシーベルト、赤の破線は500ミリシーベルト、オレンジ色が100ミリシーベルトに相当する区域です。  川俣町山木屋地区は2011年4月22日まで避難指示が出ていませんでした。約半数の住民は自主的に避難していましたが、半数の住民は残っていた、と古川道郎町長は言っています(通販生活 フクシマの首長 第9回 川俣町 古川道郎町長)。果たして、山木屋地区住民はどれくらいの放射性物質を吸い込んでしまったのでしょうか。上記、ダストサンプリングのデータでは、2011年3月25日、15:05~15:22の空気は 555.00ベクレル/m3のヨウ素131を含んでいました。東電が定めた、宇宙服並みの酸素ボンベ付き全面マスク着用基準に相当します。  The system for Prediction of Environmental Emergency Dose Information (SPEEDI) estimated thatthe thyroid dose for 1-year-old infants spending time outdoors in various areas of Tsushima District during [...]

福島県住民の初期被ばくを追う(2) 茨城県東海村でヨウ素131 2,800ベクレル/m3

[第1稿] 2017年1月29日 川根 眞也 [改定・追記] 2018年2月6日 川根 眞也  福島県住民の初期被ばくを追う(2) 茨城県東海村で、2011年3月14日23時から3月15日9時までの空気中のダスト、最高値はヨウ素131 2,800ベクレル/m3でした。日本原子力研究開発機構が測定していました。  そして、同じく日本原子力研究開発機構の、東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所が、2011年3月13日から5月23日まで、空気中の放射性核種の濃度測定をやっていました。そのテルル129m、テルル132、ヨウ素131、ヨウ素133、セシウム134、セシウム136、セシウム137の核種分析が公表されています。気体の捕集時間もまちまちですが、基本的に高濃度のときは捕集時間を長く、非常に微量な時間帯は捕集時間を短く設定されているように思えます。文科省や東電の公表データに比べ、良心的ではないか、と思います。この核燃料サイクル工学研究所のデータでも、最高値は2011年3月15日午前3時から午前6時の空気のダスト(粒子状と揮発性の合計)で、ヨウ素131が1,600ベクレル/m3、テルル132が1,300ベクレル/m3、ヨウ素133が210ベクレル/m3検出されています。  データが読みづらいと思いますので、是非、以下のpdfをダウンロードしてご覧下さい。このデータから、原発事故から2ヶ月間のセシウム134、セシウム137のデータから、ヨウ素131、ヨウ素132、ヨウ素133の空気中濃度が推定できるのではないでしょうか。 核燃料サイクル工学研究所安全管理棟前(周辺監視区域内)  空気中で検出された主要な放射性物質の濃度の測定結果 2011年3月13日 15:20~5月12日 9:00  原典はこちらです。pp.81~86。この原典資料の指数表示をすべて、川根が小数点表示に直したのが上記です。 福島第一原子力発電所事故に係る特別環境放射線モニタリング結果-中間報告-東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所放射線管理部 2011年8月  さらに、粒子状と揮発性の放射性物質ごとに見ると、2011年3月15日6:00~9:07の大気では 図9 核燃料工学研究所(茨城県東海村)で観測された、空気中の放射性物質濃度(粒子状)の経時変化 核種   大気中濃度[ベクレル/m3]  ※ 2011年3月15日 6:00~9:07am テルル129m   480 テルル132        1300(1位) ヨウ素131          840(2位) ヨウ素133          120 セシウム134       180 セシウム136         38 セシウム137       190 図10 核燃料工学研究所(茨城県東海村)で観測された、空気中の放射性物質濃度(揮発性)の経時変化   核種   大気中濃度[ベクレル/m3] ※ 2011年3月15日 6:00~9:07am テルル129m      ND テルル132             6(3位) ヨウ素131         760(1位) ヨウ素133           92(2位) セシウム134       ND セシウム136         0.5 セシウム137         0.71 図5 核燃料工学研究所(茨城県東海村)で観測された、空気中の放射性物質濃度(粒子状と揮発性の合計)の経時変化   核種   大気中濃度[ベクレル/m3] ※ 2011年3月15日 6:00~9:07am テルル129m      480(6位) テルル132         1300(2位) ヨウ素131         1600(1位) ヨウ素133           210(5位) セシウム134        180(4位) セシウム136          38(7位) セシウム137        190(3位)   粒子状の放射性物質で、もっとも2011年3月15日 6:00~9:07amの東海村の大気でもっとも多かったのは、テルル132でした。政府や福島県の福島県住民の被ばく線量評価では、ヨウ素131やセシウム134、セシウム137だけを対象にしており、テルル132を無視しています。他にも、少ない量の短寿命核種(バリウム140、ランタン140、テルル129m、セシウム136など)が放出され、呼吸を通して住民は摂取していました。政府や福島県の住民の内部被ばくの線量評価は数倍誤っている可能性があります。      

福島県住民の初期被ばくを追う(1) 放射線医学総合研究所 栗原理氏の初期被ばく

福島県住民の初期被ばくを追う(1)  福島県民の99%までが100ミリシーベルトまでの被ばくをしていない、と福島県立医大の山下俊一氏、鈴木眞一氏は言います。果たして、本当にそうでしょうか。  このシリーズは福島県民の初期被ばくを追いながら、東京、茨城、千葉、埼玉などの住民の初期被ばくを追います。資料はまとまり次第公開します。  これが、放射線医学総合研究所 栗原理氏の初期被ばく です。栗原氏は、2011年3月15日夜から3月18日まで、福島県福島市に滞在しました。そして、2011年3月18日以降は恐らく、千葉県千葉市にある放射線医学総合研究所に勤務していたと思われます。  3つのシュミレーションがありますが、1つ目は2011年3月15日(福島市夕方滞在)、1回だけの内部被ばくです。2つ目は2011年3月15日から3月18日までの複数回に渡る内部被ばく(福島市滞在)です。3つ目は2011年3月15日から3月21日(福島市~18日、市川市19日~21日)までの複数回に渡る内部被ばくです。  栗原理氏の上記資料を見ると栗原氏は、2011年3月23日の時点で、ヨウ素131 約530ベクレル蓄積していました。この数値は、その後、徐々にさがっていきます。1番目のシュミレーションでは、2011年3月15日一回だけの内部被ばくであったとするとこの日に3400ベクレルのヨウ素131を摂取したことになる、と書かれています。それは福島市での内部被ばくです。  これは、福島市にいたすべての住民の内部被ばくに相当するかもしれません。「しれません」と書く理由は、栗原理氏は放射線医学総合研究所の理事です。屋外に出る場合に、N95のマスクくらい付けていた、と思われます。何も知らずに吸わされていた、福島市住民はこの栗原氏の数倍の内部被ばくをしたのではないでしょうか。  2番目のシュミレーションでは、2011年3月15日から3月18日までの4日間に渡る内部被ばくで、合計2,800ベクレルを摂取、1日あたり710ベクレル摂取したことになる、と書かれています。それはすべて福島市での内部被ばくです。  3番目のシュミレーションでは、2011年3月15日から3月21日までの7日間に渡る内部被ばくで、合計2,400ベクレルを摂取、1日あたり240ベクレル摂取したことになる、と書かれています。それは福島市4日間、千葉市3日間での内部被ばくです。  以下、日本原子力研究開発機構が計算した、5つのモデルによる、ヨウ素131の地上大気中濃度(第1層濃度)の推移です(「事故初期のヨウ素等短半減期核種による内部被ばく線量評価調査」報告書 専門委員会検討委員会の会合記録 2013年)。A地点は福島第一原子力発電所で、B地点はその北西3~6kmの地点でのヨウ素131の地上大気中濃度の推移を示しています。2011年3月15日の2号機の爆発(6:14とされる)よりも、3月15日夜の方がヨウ素131が大量に放出されています。そのヨウ素131は8万ベクレル/m3を超えます。また、3月18日~25日にもそれぞれピークがあり、また、3月30日にも顕著なピークがあります。  ちなみに、福島県民にはついぞ安定ヨウ素剤の服用指示を出しませんでした。いくつかの自治体で安定ヨウ素剤が配られていたにもかかわらず。双葉町、三春町、大熊町は独自の判断で住民に安定ヨウ素剤を服用させています。双葉町がもっと早く、当時川俣町に避難していた845人以上(40歳以下)に3月13日と3月14日に服用させています。3月15日、大熊町は三春町に避難していた町民340人に、三春町は13時~18時に7250人に服用させています。  一方、福島県立医大の医師、看護師、そしてその家族は全員安定ヨウ素剤を服用しています。なぜならば、そうしなければ、福島県立医大附属大学病院から医師も看護師もいなくなるほどの放射能汚染だったからです。医師たちが逃げるのを見て、福島県から住民が避難してしまうことを恐れ、福島県立医大の医師や関係者には安定ヨウ素剤を服用させ、日本政府や福島県は、福島県民には「安定ヨウ素剤を服用するほどの放射能は出ていない」としたのです。  原発事故後、県立医大では放射能への恐怖が渦巻いた。若い女性職員の不安は大きかったし、子どもを連れて避難したいという声も出た。「医大内の混乱を鎮めるために配布は必要だった」と医大病院の副院長、細矢光亮(54)は話す。細井の話を受け、16日には職員の子どもにも配ることが決まった。対象は15歳以下とされた。各部で職員の子どもの数をまとめ、必要分を病院経営課で渡すことにした。17日には看護部に358人分が配された。19日から21日にはそのほかの部署の子ども用に814人分を配った。子どもの服用基準は「爆発時」または「毎時100マイクロシーベルト以上」とした。配布の事実は外に漏らさないように、と口止めがされた。ー朝日新聞(プロメテウスの罠)医師、前線へ:19 服用の指示が出ない 2013年11月6日  福島県民に安定ヨウ素剤の服用は必要ない、とした放射線医学総合研究所 明石真言理事は犯罪性はとても大きいと思います。2011年3月14日に放射性医学総合研究所がホームページ上に、「ヨウ素剤の服用によってはアレルギーなどの副作用をおこす場合もあります。また、安定ヨウ素剤は、放射性ヨウ素が体の中に入った場合のみに有効で、外部被ばくや他の放射性核種には効果がありません。従って、服用の必要があるかないかは、環境中への放射性ヨウ素の放出量から受ける被ばく量を推定し、医学的観点から決定すべきものです。」と見解を示し、「医師の立会いの下、指示がなければ安定ヨウ素剤を服用するな」と見解を示したのです。(東北地方太平洋沖地震に伴い発生した原子力発電所被害に関する放射能分野の基礎知識 放射線医学総合研究所 2011年3月14日 13時50分更新)  放射線医学総合研究所理事 明石真言氏は、朝日新聞の記者の取材に答えて、2013年6月「いま思えば、飲ませればよかった」と答えています。  更に、2011年3月18日に、長崎大から福島県立医大に派遣された山下俊一氏は、医大職員向け講演会を行っています。この中で山下俊一氏は「安定ヨウ素剤は信仰だ」とまで語り、「20キロ圏、30キロ圏以西の被曝(ひばく)量はおそらく1ミリシーベルト以下。チェルノブイリと比べて被曝量が微量なので、日本政府も安定ヨウ素剤服用の指示を出さない。」と、福島県民への安定ヨウ素剤不要論をぶちあげていました。ところが、朝日新聞の記者の取材に答えて、国のSPEEDI(2011年3月23日公表)の計算図では、100ミリを超える地域が原発30キロ圏外にも大きく広がっているのを見て、山下俊一氏は「ありゃー、と思いました」。放射能汚染は山下氏の予想を大きく上回っていた、と。政府は安定ヨウ素剤の服用の是非の問い合わせがあれば、「避難するほどの事態であれば服用する。そのためのマニュアルですから」と答えただろうと山下氏は答えています。  福島県のみならず、東北・関東一体に小児甲状腺がんの子どもたちが出ています。分かっているだけでも、福島県183名、宮城2人、茨城3人、神奈川3人、群馬、長野、埼玉、千葉、新潟1人。ヨウ素131のプルームが少なくとも、2011年3月12日から3月31日まで度重なり放出されたことを私たち市民は知りませんでした。少なくとも、3月31日までは、何度も安定ヨウ素剤を服用する必要があったのではないでしょうか。  福島県民に安定ヨウ素剤を服用させなかった、放射線医学総合研究所 明石真言氏、長崎大学 山下俊一氏の犯罪性は明らかです。偽証罪および傷害罪で起訴されるべきではないでしょうか。   是非、内部被ばくを考える市民研究会の会員にもなって下さい。会員には即日、内部被ばく通信をお送りします。年会費2000円です。お申し込みはこちらです。              

内部被ばく通信 カンパ1部100円 第1号(2016年8月6日)から第5号(12月6日)

 内部被ばく通信 カンパ1部100円 です。第1号(2016年8月6日)から第5号(12月6日)をご紹介します。  このごとに過去の内部被ばく通信は半年ごとに更新します。最近の内部被ばく通信を手に入れたい方は、事務局  内部被ばくを考える市民研究会事務局E-mail  entry.naibu@gmail.com   まで、メールにてご連絡下さい。以下はダウンロード先です。 内部被ばく通信 No1 2016年8月6日発行 内部被ばく通信 No2 20160906 2016年9月6日発行 内部被ばく通信 No3 20161006 2016年10月6日発行 内部被ばく通信 No4 20161106 2016年11月6日発行 内部被ばく通信 No5 20161206 2016年12月6日発行  会員の方は発行された日に、通信をダウンロードし、読むことができます。 会員の申し込みは  新規会員登録フォーム 上記フォームがご利用になれない方は、メールに①~⑥をご記入の上お申し込みください。 ①お名前(ふりがな) ②住所 ③電話番号 ④会員限定メーリングリストを希望される方はメールアドレス。⑤コメント(参加する動機など)をお書き下さい。⑥振込予定日  内部被ばくを考える市民研究会事務局E-mail  entry.naibu@gmail.com まで 会 費:年2000円(10月~3月入会2000円 4月~9月入会1000円) 振込先:内部被ばくを考える市民研究会 ゆうちょ銀行からの場合ゆうちょ銀行 記号 10370 番号73181351 ゆうちょ銀行以外の金融機関からの場合ゆうちょ銀行 店名 〇三八(読み方 ゼロサンハチ) 普)7318135 ※上記口座にてカンパ金も受け付けています。 カンパ金をお振込いただく際は、メールにてお名前・振込日・振込金額をお知らせください。  内部被ばくを考える市民研究会事務局  E-mail  entry.naibu@gmail.com まで                            

2011年3月 ヨウ素131の大量放出には2回のピークがあった!

 厚生労働省 第三回水道水における放射性物質対策検討会(2011年6月13日開催)で、古米弘明教授(東京大学大学院工学系研究科)が、2011年3月のヨウ素131の大量放出には2回のピークがあったことを報告しています。対象となった流域は、久慈川流域です。  この久慈川流域にあたる市町村は以下です。 福島県―棚倉町、浅川町、鮫川村、塙町、矢祭町、 栃木県―大田原市 茨城県―大子町、常陸大宮市、常陸太田市、日立市、東海村、那珂市   古米弘明教授は、国立環境研究所の大原利眞氏の研究に基づき、この久慈川流域にヨウ素131が、溶存態で699,950 GBq(ギガベクレル)、懸濁態で77,725 GBq(ギガベクレル)、総計 777,675 GBq(ギガベクレル)降り注いだことを2011年6月13日の会議で報告しています。  明らかに、2011年3年15日0時から同年3月16日11時頃まで、と3月21日12時から3月23日6時頃までの、2回の大きなピークがあります。この2つの時間帯に屋外で呼吸をしていた子どもたち、大人たちに甲状腺がんのリスクがあるのではないでしょうか。    一方、セシウム134+セシウム137については、この久慈川流域に、溶存態で1,980 GBq(ギガベクレル)、懸濁態で17,800 GBq(ギガベクレル)、総計 19,780 GBq(ギガベクレル)降り注いだことを報告しています。  そして、報告のスライドには「大きく2回の降下量ピークがあり、セシウムに比較してヨウ素の降下量が多いと計算されている」と書かれています。  2013年に首都圏大学東京が、2014年に日本分析センターが、大気汚染の測定をしていたテープの放射性物質濃度の分析を行っています。本来はPM2.5の粒子濃度を測定するためのものですが、原発事故の放射性セシウムが付着しているのではないか、と分析されたものです。残念ながら、原発事故から2年、3年も経ってから、測定されたので、ヨウ素131の濃度は分かりません。  東京都水元公園の2011年3月15日と3月21日のデータをグラフ化しました。また、埼玉県加須市環境科学国際センターのの2011年3月15日データをグラフ化しました。残念ながら、埼玉県加須市環境科学国際センターのの2011年3月20日および21日のデータは存在しないことになっているので、グラフ化できませんでした。  しかし、上記の国立環境研究所のヨウ素131の降下量は、セシウム134+セシウム137の約400倍です。この何倍のヨウ素131があったのでしょうか?  東京都立産業技術研究センターが測定した、2011年3月15日午前10時から11時までの空気では、ヨウ素131の濃度は、セシウム134、セシウム137の合計の約2倍でした。ヨウ素131が240ベクレル/m3、セシウム134が64ベクレル/m3、セシウム137が60ベクレル/m3。  少なくとも、セシウム134+セシウム137の2倍以上のヨウ素131が空気中にあった、と考えるべきです。  ただし、この東京都のデータで重要なのは、ヨウ素131だけが空気中にあったのではない、ということです。ヨウ素132(半減期2.3時間)のほうが多く、280ベクレル/m3もありました。また、ヨウ素133(半減期20.8時間)も30ベクレル/m3ありました。セシウムもセシウム136(半減期13.1日)が11ベクレル/m3ありました。こうした空気を吸った子どもや大人に甲状腺がんのリスクはないのでしょうか?ストロンチウム90も0.011ベクレル/m3、ストロンチウム89(半減期50.5日)も0.12ベクレル/m3ありました。  ちなみに、東京電力が福島第一原子力発電所で、作業員が全面マスクを着用しなければいけない基準としているのは、200ベクレル/m3です。東京都世田谷区でも、2011年3月15日午前10時から11時までは、全面マスクを着用しなければいけない環境だったのです。  久慈川流域の市町村では、少なくとも、2011年3年15日0時から同年3月16日11時頃まで、と3月21日12時から3月23日6時頃までの、2回の大きなピークがあったときに、屋外にいて空気を吸っていた子どもや大人に甲状腺がんのリスクがある、と考えるべきです。  同様に、東京都水元公園に2011年3月15日午前9時から10時屋外にいた子どもと大人、2011年3月21日午前8時から11時に屋外にいた子どもと大人、埼玉県加須市環境科学国際センター附近に、2011年3月15日午前10時から11時屋外にいた子どもと大人、東京都世田谷区に2011年3月15日午前10時から11時屋外にいた子どもと大人、には甲状腺がんのリスクがある、と考えるべきだと思います。  福島県ではすでに183名の小児甲状腺がんの子どもが出ています。宮城県丸森町では2人、茨城県北茨城市では3人です。「3.11甲状腺がん子ども基金」に、甲状腺がんに罹ったまたは手術したと、療養費を請求した35名の内訳は、福島県26人、神奈川県3人、宮城県1人、群馬県1人、千葉県1人、埼玉県1人、長野県1人、新潟県1人です。(2016年12月26日記者会見)  甲状腺超音波検査は東日本全体のすべての自治体で早急に行うべきです。ぐずぐずしていると死者がでる可能性もあります。ベラルーシでも、チェルノブイリ原発事故直後は、小児甲状腺がんを部分摘出したときがありました。リンパ節転移、肺転移によって、15人の子どもたちが命を失っています。それ以降、ベラルーシでは国家の法律によって、小児甲状腺がんの場合は、甲状腺の全摘出が術式として義務づけられています。「3.11甲状腺がん子ども基金」に療養費の支給を申し出た35名のうち、3名は肺に転移し、アイソトープ治療が必要だった、と発表されています。それはすべで福島県外の患者だった、とも。  繰り返します。甲状腺超音波検査は東日本全体のすべての自治体で早急に行うべきです。対象は子どもだけでなく、大人も無償で行うべきです。              

長野県はどこがどれくらい放射能汚染されているのか? 2016年度版

 長野県からも、小児甲状腺がんの子どもが1人出ていることが、「3.11甲状腺がん子ども基金」の記者会見で発表されました。2016年12月26日 資料『3.11甲状腺がん子ども基金 35人に初の療養費の給付。福島県26人、神奈川県3人、宮城県1人、群馬県1人、千葉県1人、埼玉県1人、長野県1人、新潟県1人。』をご覧下さい。  長野県はどこがどれくらい放射能汚染されているのでしょうか?食品、特にきのこや山菜、野生獣肉の放射能汚染の度合いによって、その地域の放射能汚染状況を判断することができます。 【2016年の状況】  長野県において野生きのこ、山菜の出荷が禁止されている地域です。2016年5月13日現在でも以下の出荷制限、出荷自粛が続いています。 【野生きのこ】  軽井沢町、御代田町ではすべての野生きのこの出荷が禁止されています。小諸市、佐久市、佐久穂町、小海町、南牧村では、まつたけに限り出荷制限が解除され、その他の野生きのこは出荷が禁止されています。 【こしあぶら】  野沢温泉村、木島平村、中野市、長野市、軽井沢町では、こしあぶらの出荷が禁止されています。 【たらのめ(野生)】  軽井沢町では、たらのめ(野生)の出荷を自粛しています。 【ぜんまい(野生)】  軽井沢町では、ぜんまい(野生)の出荷を自粛しています。 【くさそてつ(こごみ)(野生)】   軽井沢町では、くさそてつ(こごみ)(野生)の出荷を自粛しています。  2016年5月31日、長野県産山菜の放射性物質の検査が公表されました。この中では、山菜の軽井沢町、中野市での汚染が目立ちます。  軽井沢町で2016年5月12日採取した、たらのめ(野生)ではセシウム134 63.9ベクレル/kg、セシウム137 359ベクレル/kg 放射性セシウム合計 420ベクレル/kgでした。他にも、軽井沢町で採取されたたらのめ(野生)は、放射性セシウム合計 290ベクレル/kg(2016年5月12日採取)、220ベクレル/kg(2016年5月12日採取)、180ベクレル/kg(2016年5月13日採取)、80ベクレル/kg(2016年5月12日採取)、71ベクレル/kg(2016年5月12日採取)、30ベクレル/kg(2016年5月12日採取)でした。  軽井沢町で2016年5月12日採取した、こごみ(野生)ではセシウム134 30.5ベクレル/kg、セシウム137 152ベクレル/kg 放射性セシウム合計 180ベクレル/kgでした。  中野市で2016年5月20日採取した、こしあぶら(野生)ではセシウム134 23.5ベクレル/kg、セシウム137 139ベクレル/kg 放射性セシウム合計 160ベクレル/kg、木島平村で2016年5月26日採取した、こしあぶら(野生)ではセシウム134 12.4ベクレル/kg、セシウム137 65.5ベクレル/kg 放射性セシウム合計 78ベクレル/kg、軽井沢町で2016年5月12日採取した、こしあぶら(野生)ではセシウム134 8.13ベクレル/kg、セシウム137 62.8ベクレル/kg 放射性セシウム合計 71ベクレル/kg、長野市で2016年5月25日採取した、こしあぶら(野生)ではセシウム134 9.64ベクレル/kg、セシウム137 58.1ベクレル/kg 放射性セシウム合計 68ベクレル/kg、信濃町で2016年5月20日採取した、こしあぶら(野生)ではセシウム134 7ベクレル/kg、セシウム137 29.2ベクレル/kg 放射性セシウム合計 36ベクレル/kg、高山村で2016年5月26日採取した、こしあぶら(野生)ではセシウム134 不検出、セシウム137 27.7ベクレル/kg 放射性セシウム合計 27ベクレル/kg、須坂市で2016年5月31日採取した、こしあぶら(野生)ではセシウム134 不検出、セシウム137 19.3ベクレル/kg 放射性セシウム合計 19ベクレル/kgでした。  少なくとも、軽井沢町では、原発事故当時 0~18歳の子ども・青年の甲状腺超音波検査を早急に行うべきだと考えます。長野市、中野市、佐久市、須坂市、佐久穂町、御代田町、小海町、信濃町、野沢温泉村、南牧村、木島平村、高山村、なども同様です。  2013年9月に書いた記事も参考にして下さい。 『長野県はどこがどれくらい放射能汚染されているのか?』 2013年9月21日記            

福島県、東北・関東で多発する甲状腺がん。真実を報道する新聞はどこか?2016年12月28日、29日の新聞各紙から

 2016年12月27日に開催された、福島県 第25回県民健康調査検討委員会の発表では、福島の小児甲状腺がんは183名となりました。一番、真実を伝えていたのは北海道新聞ではないでしょうか。 ■福島県の子ども調査 甲状腺がん患者増加 14年度以降 疑いを含め68人 北海道新聞 2016年12月28日 25面■ 福島民報も、福島民友の報じています。現地の新聞ではもっと大きく報じられているはずです。電子版では ■がん確定44人に 2巡目の子ども甲状腺検査 福島民報 2016年12月28日■ ■甲状腺がん…計44人に、2巡目検査で新たに10人 県民健康調査 福島民友 2016年12月28日■  一方で、全国紙は非常に小さい扱いです。全国紙ではありませんが、東京新聞が2面で取り上げています。 ■福島甲状腺がん 「第三者検証を」 健康調査検討委 東京新聞 2016年12月28日2面■ 毎日新聞がやや大きい記事ですが、28面です。朝日新聞は非常に小さい記事で25面に掲載されていました。記事があることをわかっていないと見つけることも難しい記事です。 ■甲状腺がん 新たに10人 福島県民健康調査 毎日新聞 2016年12月28日28面■ ■福島の子、甲状腺がん145人 朝日新聞 2016年12月28日25面■  読売新聞。前回(第24回県民健康調査検討委員会 2016年9月14日)、前々回(第23回県民健康調査検討委員会 2016年6月6日)のときは、全国版には記事を載せず、福島県版のみ記事を載せました。福島の子どもたちの小児甲状腺がんは福島県内の問題だ、とでも言うように。そして、今回の読売新聞は、全国版にも福島県版にも記事を載せませんでした。「183名の福島の小児甲状腺がんの子どもたち」の存在を読売新聞は完全に無視しました。以下に検索結果を載せます。  事実はこうです。第25回県民健康調査検討委員会(2016年12月27日)で発表された福島県の小児甲状腺がんは本格検査で68名。第23回県民健康調査検討委員会(2016年6月6日)で発表された福島県の小児甲状腺がんは先行検査で115名。合計183名です。  福島県立医大は、通常、甲状腺がんがどうかを判断する穿刺細胞診で悪性とされた子どもを「甲状腺がん確定」としていません。手術を終えた子どものみを「甲状腺がん確定」としています。手術を終えていない子どもを「甲状腺がん疑い」として、「がん確定」と区別しています。上記の新聞記事がすべて、がんの人数とがん疑いの人数を別々に記述しているのは、この福島県立医大の奇妙な分類分けに基づいています。しかし、これまで、穿刺細胞診で悪性とされ、手術してみたら良性だった子どもはたった1人しかいません。手術を終えた144名中143名は、穿刺細胞診で悪性とされ、手術でも悪性でした。99.3%の精度である、と言えます。  福島県立医大のように「甲状腺がん確定」と「悪性疑い」とに区別する必要はありません。川根が記載している、183名とは、手術後良性結節であった、この1人を除く、穿刺細胞診で悪性と診断された子どもたちの人数を指します。  また、地方自治体が行っている検査でも、茨城県北茨城市で3名、宮城県丸森町で2名の小児甲状腺がんの子どもが出ています。   ■茨城県北茨城市 小児甲状腺がん 3名■  (2015年8月25日公表 福島原発事故当時0~18歳を検査 検査実施4777人) ■宮城県丸森町 小児甲状腺がん 2名■   (2016年6月2日公表 福島原発事故当時0~18歳を検査 検査実施1564人)  さらに、崎山比早子さんが代表理事を務める「3.11甲状腺がん子ども基金」が2016年12月1日から、一律10万円の「手のひらサポート」(療養費給付事業)を募集したところ、36名の小児甲状腺がんの患者が申請書を出し、35名に療養費10万円が支給されました。そのうち3名には肺転移がありRI治療(アイソトープ治療)が必要であるため、追加10万円(合計20万円)が支給されました。その35名とは、 ■福島県26人、神奈川県3人、宮城県1人、群馬県1人、千葉県1人、埼玉県1人、長野県1人、新潟県1人■ です。(2016年12月26日記者会見)  この12月26日の記者会見の中で、福島県の県民健康調査を受けながらも、甲状腺がんはわからず、自覚症状から自分で検査を受けに行ったところ、甲状腺がんであることが分かり手術を受けた方が3名いることがわかりました。 ■福島県 県民健康調査を受けつつ、他の検査機関で甲状腺がんと診断された方 3名■  この「3.11甲状腺がん子ども基金」が記者会見で発表した内容を非常に重大な内容であるにも係わらず、全国紙はまったく伝えていません。朝日新聞が非常によく伝えていますが、残念ながら全国版ではなく、福島県版のみでした。 ■小児甲状腺がん 民間基金が療養費 「県外でも重症例」 朝日新聞 福島県版 2016年12月28日19面■  全国紙ではありませんが、東京新聞 2016年12月29日朝刊が22面で報道しました。残念ながら、福島県26名以外で、書かれたのは神奈川県3名のみでした。宮城県1人、群馬県1人、千葉県1人、埼玉県1人、長野県1人、新潟県1人のことはここでも記事になりませんでした。 ■甲状腺がん35人に療養費 東京新聞 2016年12月29日朝刊22面■  読売新聞は、福島県の第25回県民健康調査検討委員会の183名の小児甲状腺がんも、「3.11甲状腺がん子ども基金」が療養費を支給した35名の小児甲状腺がんも、報道しませんでした。  事実が事実として報道されないまま、東京パラリンピック、オリンピックの準備が宣伝されていていいのでしょうか?福島県の県民健康調査は今のままでいいのでしょうか?東北、関東地方の子どもたちに甲状腺検査のスクリーニングをやらなくていいのでしょうか?  「福島県の県民健康調査の甲状腺検査も2年に1回、20歳を過ぎると5年に1回ですから、県民健康調査を受けている方でも、検査と検査の間に結節が非常に大きくなった方もいるかも」「県民健康調査を受けていたのに、自身の自覚症状から診断を受けに行って甲状腺がんが見つかった方は、検査の見落としというよりも、検査と検査との期間が長かったからという理由かも」。「福島県外の患者で手術した方で、リンパ節転移があった方は87%くらい」「福島県外の患者の症例では、① 腫瘍径が大きかったり、② 肺転移していたり、重症化しているケースが非常に目立つ」「自覚症状があってから受診したために、がんの発見が遅れたため」(2016年12月26日記者会見)-こうしたことが全国紙で報道されなくていいのでしょうか?  マスコミ関係者の各位には事実を事実として伝え、子どもを大切にする国の施策を実現されるための努力を求めたいと思います。    

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