内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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内部被ばくと健康被害

北朝鮮が地上で核実験。2017年9月3日12:29pm。ガイガーをオンに。

2017年9月3日19:58pm記  川根眞也 <追記>2017年9月5日4:16am  川根眞也     NHKは「北朝鮮が核実験」とだけ、報道。しかし、これは地上核実験です。風向きに注意。雨には当たらない。BBCも「米地質調査所USGSによると揺れの規模はM6.3で震源の深さは0キロ。『爆発の可能性がある』」と。震源0kmつまり地上核実験です。 BBC News Japan20179316:00pm http://www.bbc.com/japanese/41139629    ガイガー・カウンターをお持ちの方は、スイッチをオンに。異常な数値を観測したら屋内退避。屋内でも異常な数値なら、窓、ドアの隙間を濡れたシーツで覆う。安定ヨウ素剤の服用、N95マスク。     現在、北朝鮮上に高気圧があり、反時計回りに風が吹き出してます。高気圧下では、風が上空から下に吹き下がり、反時計回りに風が吹き出します。つまり、北朝鮮の豊渓里核実験場(ブンゲリか)ら四方八方に、放射性物質は吹き出します。       そして、北海道沖に低気圧があります。風は高気圧から低気圧に向かって吹きます。    問題なのは、ヨウ素131やセシウム134、136、137だけでなく、ストロンチウム89、90、テルル129、132なども大量に放出。当然のことながら、ウラン234、235、238やプルトニウム239、240、241も。もし、北朝鮮が言うように、水爆実験であるなら、大量のトリチウムも放出されたはずです。 earth:地球の風、天気、海の情況https://earth.nullschool.net/jp/    水爆とは「原子爆弾を起爆装置として用い、核分裂反応で発生する放射線と超高温、超高圧を利用して、水素の同位体の重水素や三重水素(トリチウム)の核融合反応を誘発し莫大なエネルギーを放出させる」 Wikipedia 水爆 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E7%B4%A0%E7%88%86%E5%BC%BE  <追記>  過去の北朝鮮の核実験の「震源」の深さを調べてみました。2009年5月25日の北朝鮮、第二回目の核実験の「震源」の深さは以下の通りです。 米国地質研究所(USGS)震源:北緯 41.306 度、東経 129.029 度、深さ 10 キロ 日本気象庁震源:北緯 41 度、東経 129 度、深さは非常に浅い(0 5 キロ) ロシア・ユジノサハリンスク地震観測所(インタファクス通信) 震源:北緯 41 3 度、東経 129 度、深さ約 10 キロ CTBTO 震源:北緯 41 2838 度、東経 129.0740 度、深さ 0 1 キロ 韓国気象庁震源:北緯 41 28 度、東経 129 13 【出典】5月25日の北朝鮮における事象に関する地震波のとりあえずの解析結果  日本国際問題研究所 軍縮・核不拡散促進センター  2009年5月 http://www.cpdnp.jp/pdf/002-04-001.pdf    すなわち、2017年9月3日12:29(日本時間)行われた、北朝鮮第六回目の核実験は、米国地質研究所(USGS)が、速報で「震源」の深さ10kmとしたのを、訂正し0kmとしたことは単なる数字上の問題ではなく、極めて地表に近いところで、行われた核実験であることを示すものです。   また、第六回目の核実験から約8分後に、M4.6の地震が同場所で観測されており、地下で行われた核実験であっても、その上の岩盤が崩落した可能性をBBCは指摘しています。核弾頭がウラン弾薬なのか、プルトニウムなのか、を知られたくない過去の北朝鮮の核実験では、その証拠となる放射性物質(キセノン133、キセノン131m)を地下の核実験場に封じこめる必要があったのに対し、今回の水爆実験では、世界に水爆実験が成功したことを知らしめるために、わざと放射性物質が放出させたのではないか、という推測をBBCは伝えています。  【解説】核実験場の「トンネル崩落」に手がかりか 北朝鮮核実験BBC News [...]

阿蘇のコシヒカリの農家さんのご紹介 2017

 阿蘇のコシヒカリ農家さんの農地土壌を採取し、阿蘇のコシヒカリの水田土壌を測定させていただきました。  ちくりん舎のゲルマニウム半導体検出器で64時間測定、セシウム134 不検出(検出限界0.081ベクレル/kg)、セシウム137のみ検出 0.96±0.2ベクレル/kg検出されました。  阿蘇 水田土壌(阿蘇市中原97 中原127) 1234.6g セシウム134 不検出(検出限界0.081ベクレル/kg) セシウム137 0.96±0.2Bq/kg 土壌採取日 2017年5月5日 測定日 2017年7月21日 Ge半導体検出器 64時間測定  これはほぼ大気圏内核実験によって降下したセシウム137のみと考えられるほど低い汚染度であると思います。2009年平均の日本全国の土壌0~5cmのセシウム137の汚染度は下記をご覧下さい。熊本県阿蘇市西原村の土壌はセシウム137が38ベクレル/kgでした。これと比較すると非常に低い汚染であると考えられます。 『かつて日本の土壌はどのくらい放射能汚染されていたか?』 http://www.radiationexposuresociety.com/archives/1520   2009年度白米および水田作土のストロンチウム90、セシウム137濃度です。文科省 第52回環境放射能調査研究 成果論文抄録集(平成21年度) p.15~16より。  かつての水田作土中のセシウム137汚染度は3.8ベクレル/kg(石川県金沢)~14.9(新潟県上越)、ストロンチウム90の汚染度は0.2(福岡県筑紫野)~1.6(新潟県上越)でした。  この資料から、この阿蘇の米農家さんの土壌 セシウム137 0.96ベクレル/kgの水田土壌で作られたお米からは セシウム137が0.01ベクレル/kgも含まれることはない、と考えることができます。 阿蘇のコシヒカリ栽培農家 熊本県阿蘇市農業者 田中幸博さん経営規模 水田   264アール     水稲   165アール     飼料稲    70アール飼料用とうもろこし 14アール   ねぎ     15アール(35アールは条件の良いところを借りて栽培)         合計50アール栽培繁殖牛  赤毛和種 2頭 黒毛和種 1頭を飼育  今回、これまで阿蘇のコシヒカリを作付してきた水田は、熊本地震により亀裂が入りました。今後、2年かけて水田の基盤整備をしなくてはいけない状況です。今年は亀裂の入っていない、別の田んぼで作付をしています。 2013年~2015年の水田の土壌データ 2013年 ちくりん舎のゲルマニウム半導体検出器で17時間測定、検出限界ーセシウム134 0.45ベクレル/kg、 セシウム137 0.477ベクレル/kgーで、セシウム137のみ 2.02±0.37ベクレル/kg検出されました。土壌採取日:2013年5月4日 測定日:2013年8年15日 Ge半導体検出器 17時間測定  2014年 ちくりん舎のゲルマニウム半導体検出器で4時間測定、セシウム134 不検出 検出限界0.91ベクレル/kg、セシウム137のみ検出 2.2±0.57ベクレル/kg検出されました。土壌採取日:2014年5月4日 測定日:2014年6年13日  Ge半導体検出器 4時間測定  2015年 ちくりん舎のゲルマニウム半導体検出器で15時間測定、セシウム134 不検出 検出限界0.20ベクレル/kg、セシウム137のみ検出 2.0±0.43ベクレル/kg検出されました。土壌採取日:2015年5月3日 測定日:2015年7年7日 Ge半導体検出器 15時間測定  2016年  2013年~2015年の水田は2016年4月14日および4月16日の熊本地震で亀裂が入り、水がたまらなくなってしまいました。2016年度から別の水田(阿蘇市中原97 中原127)でお米を作っています。 ちくりん舎のゲルマニウム半導体検出器で118時間測定、セシウム134 不検出(検出限界0.066ベクレル/kg)、セシウム137のみ検出 0.52±0.11ベクレル/kg検出されました。土壌採取日:2016年7月18日 測定日:2016年8年12日  Ge半導体検出器 118時間測定  2015年までお米を作っていた水田には、2016年4月14日、4月16日の熊本地震によって亀裂が入りました。  水路も寸断されて、修復が必要です。  こうした中、震災からの復興に向けて、阿蘇の米農家さんは頑張っています。阿蘇のコシヒカリの販売をします。検査費用カンパ1000円を含み、1俵(30kg袋×2、合計60kg)を2万4000円(送料込み)です。また、阿蘇の米農家さんへの義捐金も受け付けます。また、半俵(30kg袋×1g)を1万2000円(送料込み)です。  一昨年より好評につき、ねぎ3kgも販売します。送料込みで1箱3kg入りで3000円です。お金はお米と同時期に納入いただきますが、ねぎの発送は一番おいしくなった12月の中旬に送らせていただきます。  数量は40俵です。9月15日までに下記のアドレスまでお申し込み下さい。かならず、下記の内容をお書き下さい。また、後日1俵あたり24,000円、半俵あたり12,000円、ねぎ3kg 1箱3,000をお振り込み下さい。振り込み先は申し込みを確認した際に改めてご案内します。 申し込みアドレス entry.naibu@gmail.com 内部被ばくを考える市民研究会事務局 申し込み内容 1.氏名2.メールアドレス3.申し込み俵数・箱数阿蘇のコシヒカリ   俵 ねぎ       箱 (1俵あたり24,000円、半俵12,000円、ねぎ3kg 1箱3,000円)4.送付先住所5.電話番号6.振り込み金額      円 (1俵あたり24,000円、半俵12,000円、ねぎ3kg 1箱3,000円)7.振込者名※ 申し込み者と振込者名が違う場合は必ず7番をお書き下さい。同じ場合は「1に同じ」で結構です。 <申し込み締め切り 第2回目> 2017年10月15日 メールの申し込み後、振込先をご連絡します。 <阿蘇の米農家さんへの義捐金を受付けます>  2016年4月14日21:26pm M6.5 最大震度7、4月16日1:25am M7.3 最大震度7の地震が熊本県熊本地方を襲いました。  これまで、内部被ばくを考える市民研究会では熊本県阿蘇市の米農家さんと協力し、田んぼの土壌の放射物質の検査を行いながら、安心して食べられるお米をご紹介してきました。原価実費+1000円程度放射能検査費用だけをいただいて。 『阿蘇のコシヒカリの農家さんのご紹介 2016 』 http://www.radiationexposuresociety.com/archives/6896  さて、その米農家さんの田んぼが被災しています。段差が1m以上もある亀裂が田んぼに走っています。阿蘇市ではこのようなところがたくさんあるそうです。関東圏のテレビや新聞ではこのような農家の被災状況はまったくと言っていいほど、報道されていません。  中央構造線が大規模に動きつつある危険性を意図的に報道管制している印象を受けます。伊方原発はまさにこの中央構造線上にあります。  協力してきた農家さんのところでも、米を作っていたところの4割程度しか作付ができていないそうです。亀裂が入った田んぼには水がたまらない、耕運機を入れることができない、そうです。  川根が2016年7月17日、18日に現地を訪れました。米農家さんを陣中見舞いしてきました。田んぼの復旧のための義捐金も募ります。寄付をいただける方は以下、内部被ばくを考える市民研究会の口座にお願いします。備考に必ず、「熊本支援金」とお書き下さい。または、電子振り替えの場合は、御自分のお名前の後に「クマモトシエン」と追加して下さい。後ほど、お礼状をお送りしますので、振り込まれた方は事務局にご自身の住所をメールでお送りいただけるとありがたいです。  受付期間 2017年8月25日~10月末 振込先:内部被ばくを考える市民研究会 ゆうちょ銀行からの場合 ゆうちょ銀行 記号 10370 番号73181351 ゆうちょ銀行以外の金融機関からの場合 ゆうちょ銀行 店名 〇三八(読み方 ゼロサンハチ) 普)7318135 事務局アドレス entry.naibu@gmail.com 内部被ばくを考える市民研究会事務局        

原発事故5年後の福島の里山生態系における放射性セシウムの動き 小林達明 2017年2月21日

原発事故5年後の福島の里山生態系における放射性セシウムの動き小林達明 千葉大学大学院園芸学研究科 【原典】2016年度 野生動植物への放射線影響に関する調査研究報告会 要旨集 環境省 2017年2月21日 <編集者 注> 原典はkBq/m2の表記であったが、一般にわかりやすくするため、川根がBq/m2の表記に改めた。1kBq/m2=1000Bq/m2 1.ナラ―アカマツ二次林の放射性セシウム動態  私たちは福島県川俣町山木屋地区の民家の里山で、2011 年から継続的に福島第一原発事故由来の放射性セシウムの動きを監視している。試験地は、農家の畑に隣接する丘陵地南東向き斜面のコナラ–ミズナラ混交林および接する畑地である。標高580~600m、斜面の平均傾斜約30°であり、森林土壌は褐色森林土、斜面上部はアカマツが混交している。事故以前はタバコ栽培に用いる腐葉土の原料採取等に利用されており、林冠構成木の樹高は20m弱である。以下、現地の放射線量と放射性セシウムの動きについて説明するが、放射性セシウムでは、半減期の長い137Cs に限って述べる。現地における137Cs の初期沈着量は50万Bq/m2 と見積もられ、森林・農地の空間線量率は2011 年当初2.0〜3.6μSv/h あった。 農地除染後、2015 年11 月末時点の畑地の空間線量率は0.5μSv/h 以下に低下したが、森林では0.5〜1.5μSv/h だった。森林の空間線量は、ほぼ物理的半減期に従って低下しており、放射性物質の顕著な空間的移行はなかったと考えられる。 森林から農地への放射性物質の流出を調べるために、2013 年初夏に、凹凸の少ない一様な斜面を選び、丘陵地斜面の上端から下部までをほぼカバーするような幅9 m、斜面長35 m の形状の試験区を設けた。 試験区の下端には、透水マット付きの人工編柵と180 cm の雨樋を設置して、固体で森林外に移動しようとする物質と液体で流出しようとする物質を把握できるようにした。放射性セシウムの物理的減衰の影響をキャンセルし、移行の実態を見やすくするため、以下の数値は、すべて2011 年3 月15 日基準で半減期補正した。 落葉樹林である当試験地の137Cs は、当初より大部分は林床に集積していたが、2015 年時点では、その94%が林床に、6%が植生に存在した。林床の137Cs は、2016 年まで50%以上が有機物層に滞留しており、下層の鉱質土層への目立った移行は見られなかった。 2015 年の林地供給率(林冠から林地への供給量/森林内の現存量)は0.9%だった。林内雨と樹幹流中の137Cs は、2013 年1600Bq/m2、2014 年1200Bq/m2、2015 年800Bq/m2 と減少したが、リターフォール中の137Cs は、2013 年5400Bq/m2、2014 年3200Bq/m2 だったのが2015 年は3800Bq/m2 に増加した。  2015 年の林内雨および樹幹流中のカリウムと放射性セシウムの動きを比較すると、カリウム濃度は林内雨と樹幹流で大きく変らなかったが、放射性セシウムは顕著に増加した。 カリウムは、葉から溶脱したものがほぼすべてであるのに対して、放射性セシウムは葉由来の成分に加えて、樹皮付着物が洗脱したものが加わって濃度が上昇したと考えられる。 同じカリウム濃度なら、コナラの樹幹流では林内雨の1.9 倍の、アカマツの樹幹流では4.5 倍の放射性セシウム濃度だった。したがって、コナラ樹幹流の137Cs の約半分、アカマツ樹幹流の137Cs の約4/5 はフォールアウト樹皮付着由来と考えられる。そのほか、リターフォールのうち、枝についてはフォールアウト付着成分と考えられる。しかし、それらは、樹冠から林地へ供給される放射性セシウムの少ない割合なので、現在の林地供給量(林冠から林地への供給量)の大部分は、樹木が吸収して循環しているものと思われる。幹木部への放射性セシウムの不動化量は現在計算中であり、その結果を加えて、当日は説明する。 斜面林下部に設置した柵と樋で測定した2015 年の137Cs 林地外流出量は、試験地面積あたり340Bq/m2 で、流出率(林内から林外への流出量/森林内の現存量)にすると0.06%である。そのうち71%は柵のマットに付着した粒子状有機物および土で、21%がリターだった。液体での森林外流出は7%で、植物に容易に吸収される形態の溶存態のものは全体の3%と限られていた。 2016 年初冬には、風によって林外(試験地斜面に隣接する東南側の畑)に飛散する落葉量を調べた。 林縁から約40mまで、落葉の飛散が見られ、距離と落葉量の間には指数関数関係が見られた。落葉の放射能密度と飛散落葉量をかけて、畑地への移行量を推定したところ、林縁から垂直に伸ばした1m幅50m長の短冊あたり1万9300Bq となった。森林試験地面積あたりだと550Bq/m2 で、森林の現存量あたり流出率にすると0.11%となる。チェルノブイリで報告されたのと同じように、森林から外部への流出は小さく、放射性セシウムは森林に保持されていることがわかる。 ただし、林縁近くでは、2016 年の落葉期に、平米あたり約2000Bq(134Cs と137Cs 合計、半減期補正なし)の放射性セシウムが畑地に供給されたことになる。数年経つと1万Bq/m2 を超える放射性セシウムが林縁近くの畑に蓄積する可能性があるので、そのような箇所の落葉は注意が必要だろう。 2.林地のセシウムの存在形態の推定  今後の森林生態系内の放射性セシウム動態を予測するために、もっとも蓄積量の多い林地の有機物層と鉱質土層の放射性Cs の存在形態を分析した。その結果、有機物層のL 層には水溶性137Cs が9.9%、交換性137Cs [...]

8月例会のお知らせ 2017年8月22日(火) 18:30~19:30 下落合コミュニティーセンター 第2集会室

[ 2017年8月22日; 6:30 PM to 7:30 PM. ] 8月例会のお知らせです。 諸般の事情により、7月例会はお休みとさせていただきます。少し長めのお休みをいただきます。 テーマ 原発事故から6年半。放射能は消えていない。 奇形ねこじゃらし 2017年7月17日11:41am 撮影:川根 眞也 (埼玉県川口市仲町2-1 空間線量0.12μSv/時 ベータ線 4cpm 同時刻) (〒338-0002 さいたま市中央区大字下落合1712 スカイレジデンシャルタワーズ ノースウィング301・401 TEL.048-834-0570) 日 時 8月22日(火)  18:30〜19:30(この後、臨時総会 19:30~21:00)場 所 下落合コミュニティセンター 第2集会室参加費 会員の方300円    一般参加の方600円    高校生以下は無料 8月例会 (18:30~19:30) この後、臨時総会を開きます。 1.内部被ばくを巡る最新情報 プルトニウム被ばく、福島県産野菜の世界輸出へ 報告:川根眞也 2.憲法と9条~核兵器と私の生い立ち~ 報告:堀本秀生 3.宮古島の保養と私の移住計画 報告:会員 19:30~ 臨時総会 会員の方のみが参加できます。非会員の方はご遠慮下さい。 ※この後、懇親会もあります。聞きたくてもみんなの前には聞けなかったことも質問できます。参加費、実費です。 ※諸事情によりプログラムが変更になる場合があります。 ※ 当日はツイキャス中継もしますので、会場に来れない方は是非、視聴参加ください。 http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/ こちらでは、生中継の他、過去の動画を見ることも出来ます。 聞き逃した情報などもチェックしてみてください。 それでは、沢山のご参加をお待ちしています。   【お問い合わせ】 内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也 ホームページをご覧下さい。 内部被ばくを考える市民研究会

プルトニウム被ばく実験 ビーグル犬の場合 1975年アメリカ ジョン・W・ゴフマン『人間と放射線~医療用X線から原発まで~』明石書店2011年9月10日 

[解説] ビーグル犬に酸化プルトニウムを吸入させた実験 1974年 BairとThompson ジョン・W・ゴフマン著『人間と放射線~医療用X線から原発まで~』今中哲二他訳 明石書店 より 解説・編集・注 川根 眞也  ジョン・W・ゴフマン著『人間と放射線~医療用X線から原発まで~』今中哲二他訳 明石書店 2011年9月10日 に、ビーグル犬にプルトニウムを被ばくさせる実験が記載されています。ベアーとトンプソン,1974年に公表された、ビーグル犬に酸化プルトニウムを吸引させ、肺がんを起させた研究です(Bair , Thompson,1974)。  以下は、日本の大洗町で起きたプルトニウム内部被ばく事故(2017年6月6日)、他の資料を付加し、原著(日本語訳)から川根が引用、抜粋したものです。原著は、文章記述のみであり、ここに掲載した資料、図版は川根が原著外から引用したものであることをお断わりしておきます。  2017年6月6日に茨城県大洗町で5人がプルトニウムを吸入するという被ばく事故が起きました。このプルトニウムの吸入がどんな健康被害をもたらすのでしょうか。プルトニウム吸入事故が起きてから、2週間後、放射線医学総合研究所(量子研)はプルトニウムは消化器系から吸入することより、呼吸器で吸入することがもっとも危険である、と言われます。アメリカはビーグル犬に酸化プルトニウムを吸わせる実験を行い、その健康被害を確かめていました。将来の核戦争に備えて。 ジョン・W・ゴフマン著『人間と放射線~医療用X線から原発まで~』 今中哲二他訳 明石書店 2011年9月10日 第14章 人工アルファ線放出核種:プルトニウムと超ウラン元素  プルトニウムによる肺ガンの誘発 pp.411~423 より、編集者、引用抜粋    プルトニウムを吸入して人間に肺がんが生じないということは絶対にありえない。プルトニウム239およびその他のアルファ線放出核種は、ラドン娘核種のアルファ線が人間に肺がんを誘発する一方で、プルトニウムのアルファ線が肺がんを誘発しないとすれば、物理学上の奇跡が起こらねばならない。  とすれば、残された問題は、プルトニウムが肺がんを誘発するか否かではなく、単位量の吸入当り何件の肺がんが誘発されるかを正確に評価することである。これは、単位量のプルトニウムを吸入したときの被ばく線量を求める問題になる。そのためには吸入プルトニウムの呼吸器系の沈着場所と残留期間を知る必要がある。 <参考>ヒトにおける呼吸器の構造 生体内沈着と体内動態に関する知見の整理 環境省  プルトニウムがどこに沈着するかという問題に関連して、肺がんでもどんなタイプの肺がんが誘発されるかという問題が生まれる。肺がんでも最も多いのは「気管支原性肺がん」であり、「細気管支・肺胞がん」は1割程度である。  肺胞(空気と血液の間でガス交換が起こる場所)までの呼吸気道は気管から始まり、気管は主気管に分かれる。その後それぞれの気管支は次から次へと分岐を繰り返し、直径はますます小さくなっていく。最後には、終末細気管支とか細気管支・肺胞の移行部と言われる領域にいたる。  気管支原性肺がんは、気管や主気管支にはめったに発生しない。また、非常に小さな細気管支に発生することもめったにない。つまり、圧倒的多数を占める肺がんは区域気管支と呼ばれる気管支の中間領域に発生する。区域気管支内の重要な組織は上皮層細胞であり、この組織にプルトニウムがどの程度沈着するかを知らねばならない。  肺がんのうちそれほど主要ではない(全体の10%程度)細気管支・肺胞がんは、細気管支と肺胞(空気のう)のつなぎめに発生する。そのため、この領域へのプルトニウムの沈着、およびこの領域と区域気管支との間の相対的沈着量を決定する要因には特に注目する必要がある。 細気管支・肺胞がんの評価  ビーグル犬の細気管支・肺胞がんの実験データから、間接的ではあるが、人間についての評価を行うことができる。人間が他の生物と比べて、発がんの感受性が高いのか低いのか不明なため、一般的には他の生物のデータから人間に関する推定を行うべきではない。しかし、プルトニウムの吸入による危険性はきわめて重要であり、人間についての直接的データがない現状では、さしあたってビーグル犬のデータで人間の肺がんを推定することも無意味ではない。  ビーグル犬の場合、肺の奥深くまで吸い込まれた二酸化プルトニウム粒子の大部分は、細気管支・肺胞領域に沈着する。そして発生するがんもすべて細気管支・肺胞がんである。仮に、ビーグル犬への影響を人間にあてはめることができるとしても、それは細気管支・肺胞領域に沈着したプルトニウム単位量あたりの細気管支・肺胞がんについてだけである。  しかし、細気管支・肺胞がんだけでなく、プルトニウム沈着による気管支原性肺がん(※編集者注)も必ず発生するはずである。すなわち、プルトニウムによって誘発される細気管支・肺胞がんの評価値は、沈着したプルトニウムによる肺がん全体の発生数の最小値を表すにすぎない。こうした最小値を示しておくことには大変意味がある。そして、この最小値は、プルトニウム吸入による細気管支・肺胞がんに関して、人間とビーグル犬とが同じ感受性を持つとして仮定して導かれていることを忘れてはならない。 ※ 気管支原性肺がんー肺がんは、① 気管支や肺の末梢にできる原発性のがんと、②他の臓器や組織から転移してできたがんとに分けられます。「原発性の肺がん」のことを、「気管支原性がん(気管・気管支、細気管支あるいは末梢肺由来のがん)」といいます。肺がんの9割がこれにあたります。  ベアーとトンプソン(BairとThomson,1974)は、ビーグル犬に酸化プルトニウムを吸入させて、細気管支・肺胞がんを誘発させた。実験を始めた当時、プルトニウムの発がん性は過小評価されており、投与された最小のプルトニウム量でも、ビーグル犬の100%に細気管支・肺胞がんが誘発されてしまった。そのため、彼らの実験結果から評価できるのは、毒性がそれ以下ではありえないという最小値である。肺の1g(血液の重さは除く)当り0.049マイクログラムのプルトニウム239(※編集者注)が沈着した場合に、100%のビーグル犬に細気管支・肺胞がんが誘発された。 ※ <0.049マイクログラムのプルトニウム239とは>プルトニウム239の比放射能(1gあたりのベクレル数)は2.30×10の9乗。つまり1gのプルトニウム239は23億ベクレル。0.049マイクログラムのプルトニウム239のベクレル数は0.049×10の-6乗×2.30×10の9乗=0.049×2.30×1000=112.7ベクレルつまり、ビーグル犬にたった112.7ベクレルのプルトニウム239が沈着しただけで、すべてのビーグル犬に細気管支・肺胞がんが誘発することができた、ということになります。  人間の肺の重量は血液を除けばおよそ570gである。人間とビーグル犬が同じ感受性を持っているとして人間にあてはまると、570×0.049=28.0マイクログラムのプルトニウム239(※編集者注)を沈着させれば、確実に細気管支・肺胞がんが生じることになる。ビーグル犬の場合は、上に指摘した不注意から、最小値のプルトニウム239の場合でも100%の確率で細気管支・肺胞がんが生じたのであるから、人間でも実際に必要なプルトニウム239の量はこの28マイクログラムよりもおそらく小さいであろう。肺1g当り0.049マイクログラムというビーグル犬の値はたまたま選ばれたにすぎず、実際に100%の確率で細気管支・肺胞がんが生じさせるプルトニウム239の量はもっと少ない可能性が高い。ビーグル犬についてさらに少量のプルトニウム239を使って現在行われている実験結果を待たねばならない。(R.O.McClellanら、1979年の論文を参照) ※ <28.0マイクログラムのプルトニウム239とは>プルトニウム239の比放射能(1gあたりのベクレル数)は2.30×10の9乗。つまり1gのプルトニウム239は23億ベクレル。0.049マイクログラムのプルトニウム239のベクレル数は28.0×10の-6乗×2.30×10の9乗=28.0×2.30×1000=64,400ベクレルつまり、人間の肺に、6万4000ベクレルのプルトニウム239が沈着すると細気管支・肺胞がんを100%誘発することができる可能性がある、ということになります。2017年6月6日、日本原子力開発機構大洗研究開発センターで被ばくした5人の作業員の方のうち、50代の作業員Eの方の肺からは当初2万2000ベクレルのプルトニウムが検出されました。この数値は、人間に100%細気管支・肺胞がんを誘発できる量6万4000ベクレルの3分の1に当たります。 ※ 後に、放射線医学総合研究所により、事故当時の日本原子力研究開発機構による、作業員Eの肺の内部被ばくプルトニウム239 2万2000ベクレルの評価は、体表にプルトニウムが付着したまま測定したものを、肺に取り込んだと誤って評価したせいである、とされ、2万2000ベクレルは「不検出」である、と訂正されました(日本原子力研究開発機構JAEAから受け入れた被ばく作業員のその後の状況について 放射線医学総合研究所 量子化学技術研究開発機構 2017年6月12日)。ただし、この場合の肺モニタのプルトニウム239の検出下限は5000ベクレルです。 ※ 日本原子力研究開発機構によると、「プルトニウム239を吸入摂取した場合、肺に沈着する量は吸入量の約6.1%であり、約40%は呼気として排出され、約50%強が胃腸管等に移行する。」とあります(出典1)。  この推計に基づき、2017年10月13日、日本原子力研究開発機構は、以下のような報告書を原子力規制委員会に提出しました。 「燃料研究棟での内部被ばく評価では、原子力機構は、量研 放医研からバイオアッセイ結果に基づく預託実効線量の評価方法に関する情報を入手した。バイオアッセイによって分析された便中のPu等は、経口もしくは呼吸気道に沈着後胃腸管へ移行した成分が主でありキレート剤による治療の影響を無視できるためICRPモデルに基づいて便中の排泄量から摂取量を求めることができる。また、線量評価に適用した粒子のサイズ、化学形についても、原子力機構が実施した貯蔵容器内容物の化学形、室内汚染検査試料(スミヤ試料等)の粒子サイズの分析結果とも整合している。以上のことから、摂取量の評価は妥当と判断した。また、実効線量係数についても、ICRPモデルに基づく値であり妥当と判断した。」(出典2)  つまり、被ばくした作業員の便中のプルトニウム239の量のデータを、放射線医学総合研究所 量子科学研究開発機構から入手した、日本原子力研究開発機構は、便中のプルトニウム239の粒子のサイズ、化学形と、事故を起こした貯蔵容器内容物の化学形、室内汚染した資料の粒子サイズとも合致している、と述べています。さらに、便中のプルトニウム等は、口から摂取されるか、または、呼吸気道に沈着後に、胃腸管に移行する成分がほとんどであり、放医研が行ったキレート剤による治療の影響はほとんど無視できる。この便中に排泄されたプルトニウムから、もともとのプルトニウム摂取量をICRPのモデルに基づいて求めることができる、としています。その結果、作業員Eの肺にプルトニウム239が2万2000ベクレルの内部被ばくがあったこと、50年間12シーベルトとの実効線量評価は正しかった、と日本原子力研究開発機構は書いているのです。 【出典1】原子力機構大洗研究開発センター燃料研究棟における汚染について(続報) 添付3 鼻スミア・肺モニタ測定値 日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター 2017年6月9日 【出典2】燃料研究棟汚染による内部被ばく線量評価とキレート剤の効果の取扱いについて 日本原子力研究開発機構 原子力規制委員会提出資料 2017年10月13日 ※ 2017年6月6日、日本原子力開発機構大洗研究開発センターで被ばくした5人の作業員の被ばく線量をミリシーベルトで評価する、日本原子力研究開発機構や放射線医学総合研究所。しかし、プルトニウムを肺に取り込んだ場合の被ばく線量を、水や食べ物から摂取した場合の被ばく線量と並列に扱い、足し算で計算する、国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護モデルは破綻していると思います。唯一、妥当なのは、プルトニウムのような放射性物質の場合、どれくらい吸入摂取したら、肺がんを引きこすのか、というこの、J.W.ゴフマンの議論だけである、と考えます。  また、5人の作業員に、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)というキレート剤を、放射線医学総合研究所は投与していますが、これは血液中のプルトニウムなどの重金属を取り除く効果があるだけであり、肺の中に沈着したプルトニウムは取り除くことができません。唯一、肺胞からプルトニウムが血液中に溶け出した場合のみにこのDPTAの効果が期待できますが、それは極めて微小な原子レベルの粒子である場合であり、考えれないと思います。              

プルトニウム被ばく事故 アメリカ、ニューメキシコ州アラモゴード 1944年8月1日

 アイリーン・ウェルサムが書いた、『プルトニウム・ファイル(上)』(2000年8月1日、渡辺正訳、湧泳社)に、1944年8月1日にアメリカ、ニューメキシコ州アラモゴードで起きた、プルトニウム被ばく事故が書かれています。    日本に原爆が落とされ、ここ(マンハッタン計画)の秘密が明かるみに出るのは、1年も先のことだった。原子爆弾製造は理論屋の予想より先まで進んでいたが、本物の兵器になるかどうかはまだ誰も確信できていなかった。原爆理論を実際の爆弾に変える鍵は、4年前に地球上で始めて作られた、プルトニウム。    マンハッタン計画の心臓部メサのD棟119号で、ドン・マスティックという若者が、化学屋のアーサー・ワールとだべりながら流しに向かって歩いていた。年上のワールはカルフォルニア、バークレイ校でプルトニウムを発見した4人のうちの1人だった。    このとき、マスティックは青二才の23歳、ロバート・オッペンハイマーにロス・アルアモスに作る研究所で一緒に働いてみないか?と誘われたのだった。ロス・アラモスは原子爆弾製造を目指し、全米各地に作られた研究所と工場のうちでも、最高機密の場所だった。    その朝(1944年8月1日)、マスティックは10ミリグラムのプルトニウムが入ったバイアル(試料瓶)を手にしていた。虫ピンの先にのるかのらないかの量でも、1年前には想像できないほどのプルトニウムの量だった。せっかく手にいれた貴重なプルトニウムを失ってはいけないと、万が一の事故や実験終了際に、プルトニウム回収班が作られているほどだった。あらゆる元素からプルトニウムだけを抽出する流れ図も作られて準備されていた。ヘンペルマン医師が後にこう言っている。「プルトニウムの回収のためなら、床を掘り起こしたり、自転車を丸ごと溶解させたりもしたでしょう。」と。    マスティックがバイアル(試料瓶)を手にしたとき、動物のような暖かさがあった。紫色の高濃度のプルトニウムの容器の中で、夜のうちにマスティックが想像できない変化が起こり、気体の一部が気化していて、バイアルの壁を押していた。    マスティックは何も知らず、バイアルの細い首をひねった。「ポンッ」という小さな音がして、バイアルの中身がビュッと飛び出した。目の前の壁にあたり、ほんの一部がマスティックの唇に触れ、唇としたを濡らした。酸のためか、ピリッとした味がしたという。    マスティックはバイアルを木箱に戻してから、救急本部に歩いていった。2、3分後のことだった。全世界にあるプルトニウムのうち、貴重な一部を飲んでしまったわけだから、気も急いていた。    ウォーレン陸軍大佐のアドバイスに基づき、ヘンぺルマン医師は、マスティックにクエン酸ナトリウム水溶液、重曹を調合した。マスティックはこの2つで口をすすぎ、ビーカーに吐いた。最初に吐いた液には、プルトニウムが0.5マイクログラム入っていた。この頃のプルトニウムの人体許容値は1マイクログラムだったから、プルトニウムが0.5マイクログラムというのは、決して小さい値ではない。    マスティックは合計13回、15分おきにうがいを繰り返した。マスティックの息は放射能を帯び、2メートル先にある、放射線量計の針を振り切らした。その後、長らくマスティックの尿からプルトニウムが出た。1995年のインタビューで、まだ「原子が何個か」尿にでるけれども、体調は申し分ないと彼は語っている。    事故の明くる朝、ヘンペルマン医師はウォーレン大佐に短い礼状をしたためた。「お騒がせしました。ご助言に心より感謝します。危険な量を体に入れた恐れはたぶんないでしょう。」マスティックが口に入れたプルトニウムはほぼ10マイクログラム。うち、9マイクログラムはうがいで取り戻しました。残りはわずか1マイクログラム。当時、プルトニウムは消化菅で吸収されない、ということが分かりつつありました。その1マイクログラムも体を素通りすることがわかっていました、ー ヘンペルマン医師。    肺に入れば、ぐっと危ないが、幸いあの若者はプルトニウムを吸い込んでいない……。ー ヘンペルマン医師。    悲劇は避けられたが、この事故は「サイトY(ロスアラモスのこと)」の科学者・作業員が目に見えない危険の直面していることをまざまざと示した事件だった。ヘンぺルマンは29歳になったばかり、放射線にかけては初任者の彼には荷が重かったようだ。放射性物質をいじり始めて3年。プルトニウムをいじる経験は半年。へんぺルマンは後日こう語る。「経験不足のせいで、手のうちもない問題がいくらでもありました。」と。   <同書 pp.3~8 川根眞也による、抜粋、再翻訳>   参考資料    マスティックが口に入れたプルトニウム10マイクログラムとは、一体、何ベクレルなのだろうか? (1) 核兵器や原子炉のための純粋なプルトニウムの同位体の組成比 (2) プルトニウムの同位体の比放射能 1gあたりのベクレル数 (3) 1マイクログラムのプルトニウムのベクレル数 を計算してみた。 (1) 核兵器や原子炉のための純粋なプルトニウムの同位体の組成比 (2) プルトニウムの同位体の比放射能 1gあたりのベクレル数 (3) 1マイクログラムのプルトニウムのベクレル数  ということで、核兵器級のプルトニウムであるならば、マスティックが口に入れたプルトニウムは、30万ベクレル。沸騰水型原子炉級ならば、471万ベクレル。加圧水型原子炉級ならば、473万ベクレル。高速増殖炉級ならば、118万ベクレルです。マスティックの口から2m先の放射線量計の針が振り切れるのは当たり前です。    ただし、これが、わずか10マイクログラム、1gの1000分の1の更に100分の1の量のプルトニウムの放射能です。2017年6月6日に起きた、茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターでのプルトニウム被曝事故で、当初、作業員Eの方に2万2000ベクレルのプルトニウム239があり、当初は36万ベクレルのプルトニウム239が肺に入っていた可能性がある、とされました。    作業員Eの方が、マスティックと同じ量のプルトニウムの10数マイクログラムを吸い込んでいたのなら、36万ベクレルのプルトニウム239が肺に入りうる、ということです。          

プルトニウム被ばく事故 日本、茨城県大洗町、日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター  2017年6月6日

                                     初稿:2017年6月24日                                      追記・改訂:2017年6月28日  日本で、史上最悪のプルトニウム吸入被ばく事故が、日本原子力開発機構大洗研究開発センター(茨城県東茨城郡大洗町成田町4002)の燃料研究棟で起きました。この事故は、同燃料研究棟の廃止に伴い、貯蔵していたウラン、プルトニウム数gを含む核燃料物質の点検中に起きました。多くの新聞がまったく報道しませんが、この核燃料物質は、高速実験炉「常陽」の燃料の試作品に伴ってできたくず。21個あるうちの最初の貯蔵容器缶のふたを開けた時に起きた事故であることを、毎日新聞だけが報じています(2017年6月8日朝刊2面)。  その後2017年6月19日に、事故を起した日本原子力研究開発機構が、原子力規制委員会に事故報告書「燃料棟における汚染について」を提出しました。この事故報告書の中では、貯蔵容器は全部で80個あり、前日6月5日までに30個の点検作業を終え、31個目の貯蔵容器の点検作業中に事故が起きたことが書かれています。  プルトニウム239の人体への健康被害については、「通過コンパートメントに入ったプルトニウムのうち, 45%が肝臓にそして45%が骨に移行するものと仮定する(ICRP,1972)。残留半減期は肝臓においては20年,骨においては50年であるとする(ICRP,1986)。生殖腺に移行する割合は,男性については3.5X 10-4女性については1.1X 10-4である。生殖腺の組織に沈着したプルトニウムは,そこに永久に残留するものと仮定する。pp.274」と国際放射線防護委員会(ICRP)も重要視しています。 【出典】作業者による放射性核種の摂取に関する個人モニタリング:立案と解釈 ICRP Pub54     Individual Monitoring for Intakes of Radionuclides by Workers ICRP Pub 54  また、「一旦体内に侵入したPu は、極めて排泄しにくい特徴を持ち、PuO2 の肺の生物学的半減期は500 日、肝臓の生物学的半減期は20 年、骨の生物学的半減期は50 年と考えられている」(森下祐樹、2015年)と、酸化プルトニウム(PuO2)が肺に入った場合の生物学的半減期は500年、つまり肺に入ったら、一生出てこないということが指摘されています。 【出典】「エネルギー弁別・位置検出型α線器の開発に関する研究」名古屋大学院医系研究科医療技術学専攻 森下祐樹 2015年  2017年6月9日の毎日新聞朝刊では、「肺から2万2000ベクレルのプルトニウム239が検出された50代の男性職員について、同機構が男性の体内に取り込まれた放射性物質の総量を36万ベクレルと推定している」とかかれています。これは後日、放射線医学総合研究所 量子科学技術研究開発機構が、この肺から2万2000ベクレルのプルトニウム239は、皮膚についたプルトニウム239を誤検出したものと否定します(2017年6月12日)。果たして、肺からプルトニウム239 2万2000ベクレルは誤検出だったのでしょうか。また、2017年6月8日、毎日新聞朝刊が報じたように、作業員Eの方の被ばく体内総量は、プルトニウム239をはじめ、36万ベクレルだったのでしょうか。  また、新聞報道等では、プルトニウム239やアメリシウム241しか問題とされていません。しかし、この貯蔵容器に入っていたものが、高速実験炉「常陽」の試作燃料のくずであるならば、多量のウラン238などのウランが含まれていたはずです。いわば、劣化ウラン弾の劣化ウランを吸い込んだと同じ健康被害が出る危険性があります。アメリカとイギリスは1991年の湾岸戦争でイラクで800トンもの劣化ウラン弾を使用しました。  (米陸軍環境政策局によれば,7,000発をサウジアラビアで訓練発射,イラクでの実戦で4,000発を発射.さらに3,000発を火災や事故で消失しました。したがって総計で1万4,000発の戦車砲弾(劣化ウラン500トン相当)が使われています。英国チャレンジャー戦車も,少なくとも100発の劣化ウラン砲弾を発射しました。米空軍は,陸軍以上に劣化ウラン砲弾を使用しました。戦争中にA-10対地攻撃機「戦車キラー」が広範囲にわたって用いられ,94万発の30ミリ劣化ウラン砲弾が発射されました。30ミリ砲弾1発に含まれる劣化ウランは約300g。したがって総計約280トンになります。米陸軍500トン、米空軍280トン、イギリス陸軍3.6トン、総計783.6トン) 【出典】鈴木頌さんのブログ 未来破壊兵器=劣化ウラン弾  1991年の湾岸戦争に従軍した米兵が帰国後、「湾岸戦争症候群」と呼ばれる病気を発症しています。劣化ウラン弾が爆発した後のウランを吸い込むことにより、脳幹と脳下部のハウスキーピング機能が損傷し、疲労感・痛み・記憶障害・倦怠感や関節痛などの症状を発症したのです。(ハーレィ,2000)イラクでは、被ばくしたウランの遺伝毒性によって、ガンや先天性疾患が増加しています。(アル・アニ、ベイカー,2009) 【出典】欧州放射線リスク委員会(ECRR)編『放射線被ばくによる健康影響とリスク評価』明石書店 2011年11月30日 pp.237     放射能兵器劣化ウラン 核の戦場 ウラン汚染地帯 編・著 劣化ウラン研究会(山崎久隆ほか) 技術と人間 2003年3月 pp.32  大洗研究開発センター作業員の被ばく事故を隠蔽させてはなりません。そして、将来に渡る健康被害に対して、万全の補償を行うべきです。もっとも内部被ばくの大きかった作業員Eの一番近くにいた、作業員Dの方はまだ20代です。  さらに、2017年6月26日付けの東洋経済によれば、同誌が原子力規制庁に取材したところ、日本原子力研究開発機構が、ウランやプルトニウムなどの核物質を、法令に違反した保管していた容器が4571個にも及ぶことが発覚しました。今回のプルトニウム被ばく事故が起きた燃料研究棟は、北地区であり、違法に保管されていた、ウランやプルトニウムを初めとする核物質は、北地区だけで101あったことが判明しました。点検すべき容器は80個ではなく、101個だったのではないでしょうか。  さらに、高速実験炉 常陽、重水臨界実験装置 DCA、福島燃料材料試験部における燃料材料試験施設 ① 照射燃料集合体試験施設(FMF)② 照射材料試験施設(MMF)③ 第2 照射材料試験施設(MMF-2)④    照射燃料試験施設(AGF)、は南地区ですが、ここには違法に保管されていたウランやプルトニウムを初めとする核物質が2106個あったと報告されていたのです。2017年3月末現在。そもそも、「福島燃料材料試験部」とは、何の研究を目的とするところなのでしょうか?  今回の事故は起きるべくして起きた事故であり、今後も起きる可能性を示唆しています。全容の解明が急務です。そして、来年2018年7月に迫る、日米原子力協定(非核保有国の日本に使用済み核燃料からプルトニウムの抽出の権利を認めている)改訂をやめ、破棄すべきです。日本はすべてのプルトニウムをアメリカ、イギリスに売るべきです。核兵器開発につながる、プルトニウム抽出を中止すべきです。 原子力機構、核容器4500個不適切保管の実態 プルトニウム被曝事故の深刻な背景とは?東洋経済 2017年6月26日 【出典】独立行政法人日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター(北地区)の原子炉の設置変更  JMTR(材料試験炉)原子炉施設の変更 の概要について 第48回原子力委員会 資料第3-2号 2008年7月11日 【出典】燃材施設のユーティリティ運転管理に係る業務 ① 業務概要説明資料 ② 入札関係資料 ③ 事業基本情報(契約状況等) 日本原子力研究開発機構高速炉研究開発部門 大洗研究開発センター 福島燃料材料試験部 2016年3月4日   ★★★ 引用開始 ★★★ 原子力機構・内部被ばく 2.2万ベクレル 保管26年、ガス発生か 点検最初の袋破裂 毎日新聞2017年6月8日 東京朝刊  日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で発生した被ばく事故。核燃料物質を点検していた作業員5人のうち、1人の肺からは過去に例のない2万2000ベクレルのプルトニウム239が検出され、がんなど健康への影響が懸念される。原子力機構を巡っては安全管理体制の不備が指摘されており、当時の作業が適切に実施されていたのかなどの解明が今後の焦点になる。  原子力機構によると、今回の事故は、最も被ばく量の多い50代男性が点検のため、ボルト留めされた金属製容器のふたを開封したところ、中のビニール袋が破裂して、ウランとプルトニウムを含む粉末が飛散した。他に男性2人がそばで点検の補助をしていた。  この粉末は、敷地内にある高速実験炉「常陽」(1977年に初臨界)で実験する燃料の試料を作った際に出たくずで、約300グラムあった。粉末はまずポリエチレン製の容器に入れられ、二重のビニール袋で密閉したうえで、金属製容器に入れて91年から26年間保管していた。開封した記録は確認できないという。  今回の点検は、原子力機構の別の施設で原子力規制委員会から核燃料物質の不適切な管理を指摘されたのを受けて、実施していた。同機構は今回と同様にウランとプルトニウムを含む粉末を保管した金属製容器計21個を点検する計画で、事故が起きたのは最初の1個の点検中だった。  なぜビニール袋が破裂したのか。出光一哉・九州大教授(核燃料工学)は「ウランやプルトニウムなどは時間がたつと原子核が崩壊し、ヘリウムの原子核(アルファ線)が飛び出す。長期間保管してヘリウムガスがたまり、容器の内圧が高まって破裂した可能性はある」と指摘する。  原子力機構の関係者もこの可能性を認め「破損の可能性があるポリエチレン製容器を長期保管で使うのはよくなかったかもしれない」と明かした。  茨城県と大洗町などは7日、原子力安全協定に基づき、大洗研究開発センターの立ち入り調査に入った。17人が事故のあった分析室の内部をモニターで確認したほか、排気に含まれる放射性物質の濃度を調べたという。県原子力安全対策課の近藤雅明・原子力安全調整官は「被害の拡大は無いことは確認した」と話した。水戸労働基準監督署や県警も事故原因や作業が適切だったかを調査している。【岡田英、山下智恵、加藤栄】 体外排出まで影響  「被ばくした作業員の発がんリスクが今後上がるのは明白。影響を見る必要がある」。量子科学技術研究開発機構の明石真言(まこと)執行役は7日、作業員が搬送された放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)での記者会見で述べた。  今回の事故は、鼻や口などから放射性物質を体内に取り込んだ内部被ばくのケースで、外部被ばくによるJCO臨界事故(1999年)とは異なる。JCO事故では、作業員2人が6~20シーベルトの外部被ばくをして死亡したが、これは一瞬で大量に被ばくしたため急性症状が出た。内部被ばくは体内にとどまった放射性物質が放射線を出し続けるため、体外に排出されるか、放射線が弱くなるまで人体に影響を及ぼし続ける。  今回、放射性物質を最も多く取り込んだ50代男性の肺からは、2万2000ベクレルのプルトニウム239(半減期2万4100年)と、220ベクレルのアメリシウム241(同432年)が検出された。これらは、放射線の中でも人体への影響が大きいアルファ線を出すため、肺が受ける被ばく線量は大きい。暫定評価では、被ばく線量は今後50年間で12シーベルト、1年間で1・2シーベルトと推定された。放射線業務従事者の法定許容限度は年50ミリシーベルト(1シーベルトの20分の1)だ。 放医研は5人の治療のため、放射性物質の体外への排出を促す「キレート剤」を点滴し、効果を見極める。JCO臨界事故の際、作業員の治療に当たった前川和彦・東京大名誉教授(救急医学)は「1、2週間のうちに、プルトニウムがどれぐらい排出されるか見極める必要がある」と話している。【酒造唯、阿部周一】 被ばく体内に総量36万ベクレルか原子力機構事故                 毎日新聞 2017 年6 月8 日11 時06 分(最終更新6 月8 日17 時41 分)  日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で放射性物質が飛散して作業員5人が被ばくした事故で、肺から2万2000ベクレルのプルトニウム239が検出された50代の男性職員について、同機構が男性の体内に取り込まれた放射性物質の総量を36万ベクレルと推定していることが8日、分かった。同機構などはさらに詳細な被ばく状況を調べている。  原子力機構によると、男性職員の肺の被ばく値から、血液や骨、臓器など体全体に取り込まれた放射性物資の総量を算出し、36万ベクレルと推定した。この数値は1年間で1.2シーベルト、50年間で12シーベルトの内部被ばくを見込む根拠になったという。  5人は燃料研究棟の分析室で核物質の点検中、ステンレス製容器を開けた際に中に入っていたビニール袋が破裂し、粉末状の放射性物質が飛散。男性職員を含めて4人が放射性物質であるプルトニウム239やアメリシウム241を肺に吸い込み内部被ばくした。破裂した原因はわかっていない。  5人は搬送された放射線医学総合研究所(千葉市)で放射性物質の排出を促す薬剤投与などの治療を受けているが、現時点で体調不良などの訴えはないという。原子力機構などは詳しい内部被ばく状況や健康影響などを調べている。【鈴木理之】 ★★★ 引用終り ★★★ 【出典】燃料研究棟における汚染について 日本原子力研究開発機構 理事長 児玉敏雄 原子力規制委員会宛 2017年6月19日 pp.2 「80個の貯蔵容器のうち、事故発生までに30個の貯蔵容器についての点検作業を実施(前日までに28個の点検等を実施。発生当日の平成29年6月6日は点検等作業実施済みの2個の再確認を含む4個の点検等作業まで実施)し、31個目の貯蔵容器の点検等作業時に本事象が発生した」  そして、以下が2017年6月9日に日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターが公表した、鼻スミヤ・肺モニタの測定値です。  この作業員Eの方の、肺にプルトニウム239が2万2000ベクレル、アメリシウム241が220ベクレルという内部被ばくは年間1.2シーベルトに相当し、死に至る危険性のあるレベルです。  この5名の作業員の方々は、2017年6月7日放射線医学総合研究所 量子科学技術研究開発機構に移され、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)というキレート剤を投与されるなどの治療を受けます。2017年6月12日の量子研(放医研)の発表では、作業員を受け入れ以降、肺モニタを3~4回実施したが、全員がすべての回で「プルトニウムについての明確なエネルギーピークが確認できなかった。」「アメリシウムについては、計測データからエネルギーピークを確認した方がいるが、そのレベルは減少している。」と公表しています。  これと同時に、日本原子力研究開発機構は、2017年6月12日、日本原子力研究開発機構が測定した作業員Eの方の肺の中の プルトニウム239 2万2000ベクレルは「皮膚のしわなどにわずかに残ったプルトニウムを検出した可能性があり」、「(肺に吸い込んだプルトニウムを)過大に評価した可能性がある」と釈明しました(2017年6月13日読売新聞 37面、原子力機構大洗研究開発センター燃料研究棟における汚染について(続報2) 添付2 肺モニタによる測定状況について 日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター 2017年6月12日)。  果たして、日本原子力研究開発機構の測定した、作業員Eの方の肺モニタでの2万2000ベクレルは、誤検出であり、プルトニウム239が一切検出されなかったのでしょうか。  そもそも、この2017年6月13日読売新聞 37面「被曝事故 プルトニウム『不検出』…放医研発表 作業員の肺検査で」には、プルトニウム239の「検出限界値(5000~1万ベクレル)以下」と書いてあります。2017年6月14日に川根が電話取材をしたところ、放医研の肺モニタはゲルマニウム半導体検出器とのこと。ゲルマニウム半導体検出器では、プルトニウム239、アメリシウム241の出すガンマ線しか測定できません。プルトニウム239、アメリシウム241の出すガンマ線のエネルギーは非常に似通っており、これらを区別するのは非常に困難です。ですから、検出下限が5000ベクレルと高くなるのです。  そもそも、先の日本原子力研究開発機構が2017年6月6日に測定した「鼻スミア・肺モニタ測定値」で、鼻スミア測定値は、アルファ線のベクレル数であり、作業員Eが24ベクレル、作業員Cが13ベクレル、作業員Dが3ベクレルです。これは、プルトニウム239とアメリシウム241などが出すアルファ線核種の合計を示しています(α・β線測定 ES-7284 日本放射線エンジニアリング(株))。鼻の穴に、これぼどのアルファ線汚染があるときに、肺にプルトニウム239だけが入っていないということはありえません。  2017年6月19日になって、量子研(放医研)の尿からプルトニウムが微量検出されたと、いったん退院させた作業員を再度入院させています。その尿から検出されたプルトニウムの量については、量子研(放医研)は、「検出下限値の1日分の尿で約1ミリベクレル上回る程度」(2017年6月20日読売新聞朝刊32面)とだけ発表し、具体的な検査結果を公表していません。 【出典】大洗研究開発センターで被ばくされた方の二度目の入院について 量子研(放医研) 2017年6月19日  採取した尿を調べれば、明らかにプルトニウム239が検出される被ばくをした作業員であったことは量子研(放医研)はわかっていたはずです。作業員5人をわざわざいったん退院させた理由がわかりません。肺モニタで「不検出」(本当はプルトニウム239が5000ベクレルあったかもしれない)だからと、便や尿を採取しておきながら、その分析結果が出る前に退院させました。事態の沈静化、人々の記憶から、プルトニウム被ばく事故を消し去ることだけが目的だったのではないでしょうか。  プルトニウム内部被ばく事故が起きた、日本原子力研究開発機構 大洗研究開発センター 燃料研究棟108号室の床面のアルファ汚染、ベータ(ガンマ)汚染のcount/分(つまりcpm)は以下の通りです。「添付7 表面密度測定結果 日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター 2017年6月9日」および「燃料研究棟における汚染について 日本原子力研究開発機構 理事長 児玉敏雄 原子力規制委員会宛2017年6月19日」から、川根が作成しました。作業員Eの方は、この⑧の位置から更にフードに近い位置に立って貯蔵容器のふたを開けていました。床面のアルファ汚染は1万count/分を超えたのではないでしょうか。作業員Eの方が立っていた場所のアルファ汚染、ベータ(ガンマ)汚染は公表されていません。              

浪江町の森林火災は鎮火していないのではないか?(2) 2017年5月15日(月)

   浪江町の森林火災は鎮火していないのではないでしょうか。福島県が、毎日発表していた、「浪江町井手地区の林野火災現場周辺の環境放射線モニタリング状況等について」を、2017年5月13日(土)と14日(日)と発表しました。まさに、その2017年5月13日(土)は、前日、2017年5月12日(金)のダストモニタリングの結果が公表されるはずでした(毎日17時以降20時くらいまでにその前日のダストモニタリングが公表されていた。)。  その2017年5月12日(金)に、双葉町石熊公民館では、これまでのダストの最高値、25.47mBq/m3が観測されていたのです。本日、2017年5月15日(月)17時以降に初めて、福島県は、この事実を公表しました。双葉町石熊公民館でのダストは、 1.97(5/4)→7.63(5/8)→15.55(5/11) 5/11に鎮火と公表。ここで公表をお休み  →25.47(5/12)→0.48(5/13)→ND(5/14) と公表されています(第13報 2017年5月15日)。  一応、福島県、浪江町の発表では、2017年5月10日15時05分に鎮火したことになっています。鎮火後の5月11日の15.55への急上昇も不自然であり、また、更に25.47まで更に急上昇したことをあえて2日間も公表を延期したことも不自然です。  さらに、3ヶ所のダストモニタリングの数値を見ると、5月12日まではバラバラの動きをしているのに対して、公表をお休みした5月13日、14日の数値が3ヶ所ともまったく、一緒の動きというのは解せないです。データ改ざんの疑いがある、と言わざるを得ません。あえて推測すれば、鎮火が2017年5月10日ではなく、5月12日だったのならば、説明はつきます。福島県は生データを公表し、疑惑の払拭に努めるべきです。 双葉町石熊公民館 →25.47(5/12)→0.48(5/13)→ND(5/14) 浪江町やすらぎ館 →2.66(5/12)→0.42(5/13)→ND(5/14) 大熊町野上一区地区集会所 →0.48(5/12)→ND(5/13)→ND(5/14)  そもそも、火災発生から5日目の段階で、福島県は、ダストモニタリングの数値は、平成28年度の最高値、1.2mBq/m3未満だから、「通常の範囲」だと言い張ってきました(第1報~第3報)。それが、5月3日に浪江町やすらぎ荘で1.27mBq/m3と、平成28年度の最高値を超えたにもかかわらず、放射性物質の飛散はないと強弁してきました。  ところが、鎮火とされる5月10日の翌日に、これまでの最高値を超える、15.55mBq/m3を観測したことから、火災の影響を評価する、と立場を変えています。 「昨⽇(5⽉11⽇)における⼗万⼭近傍での⼤気浮遊じん(ダスト)のセシウム137の測定結果は、0.80〜15.55 mBq/m3の範囲でした(これまでの最⼤値は5⽉8⽇の7.63mBq/m3)。この原因については、現時点で判断することはできませんが、今後、これらのデータと林野庁主導で実施する動態調査の結果を踏まえ、有識者の意⾒を聞きながら、⽕災による周辺環境への影響の評価を⾏う予定です。」(福島県 空間線量モニタリング結果情報 2017年5月12日 21:32pm現在)  そもそも、北朝鮮の核実験で大気中にセシウム137が検出されたかどうかは、わかっていない。それは、東電 福島第一原発が日常的に放出しているセシウム137のほうが大きいから。北朝鮮の第3回核実験(2013年2月12日11:37am)の当日、群馬県の高崎CTBTでの観測結果は、セシウム137がやや高い、0.193mBq/m3。北朝鮮の第5回核実験(2016年9月9日 9:30am頃)の当日の、同セシウムは137は、ND(0.003mBq/m3未満)。第5回核実験前後で高崎CTBTで検出検出されたセシウム137の高いときは、0.057mBq/m3です。  浪江町の森林火災で、25.47mBq/m3が観測されたとは、日本国内で核実験をやったに等しいレベルではないか、と考えるべきです。これを放射性物質が拡散していない、と強弁することは、事実に反します。  この福島県双葉町で観測された、25.47mBq/m3が、原発事故当時に大気中に漂っていた、放射性物質の量と比較すると、なんと、高崎CTBTで原発事故直後の2011年3月17日や3月18日に観測された値に相当することがわかりました。ただし、高崎CTBTが題名でも断っているように、この観測結果は「粒子状放射性物質」だけであり、「揮発性放射性物質」を含めれば、その濃度はこれ以上になるでしょう。  東電 福島第一原発周辺に、セシウム137だけでも原発事故当時と同じレベル(ただし、群馬県高崎市)の放射性物質が飛散したのですから、「放射性物質は飛散していない」と言うのはやめるべきです。また、高濃度のセシウム137が付着しているところには、当然、ストロンチウム90やプルトニウムもある程度付着しています。福島県は、ダスト中のベータ線汚染とアルファ線汚染を公表すべきです。それが今後の健康被害につながる危険性があるからです。  読売新聞、福島民友はこの浪江町の森林火災で放射性物質は飛散していない、や「健康に影響はない」というデマ記事を謝罪し、事実を正しく報道すべきではないでしょうか。 浪江火災 12日で鎮火 放射線量変化見られず 読売 2017年5月11日朝刊 34面 大気中から0.015ベクレル検出 県「健康に影響ない」浪江の山林火災 福島民友 2017年5月12日            

緊急 浪江町の森林火災は鎮火していないかもしれない。日本全国、雨に注意。 2017年5月12日

 浪江町、井手地区十万山の森林火災は、2017年4月29日16:24出火から、5月10日15:05に鎮火と報道されていますが、鎮火していない危険性があります。  本日、福島県が発表した「浪江町井手地区の林野火災現場周辺の環境放射線モニタリング状況等について(第12報) 福島県危機管理部放射線監視室 福島県農林水産部森林保全課 2017年5月12日」では、双葉町石熊公民館のダストモニタリングが急上昇して、これまでの最高値 7.63の倍、15.55mBq/m3に上がっています。 他の2ヶ所のモニタリングポストでのダストも同様に、5月8日の最高値と同じレベルまで再度急上昇しています。  福島県の上記第2報(2017年5月2日)までは、以下のように書かれていました。「平成28年度に県が実施した発電所周辺環境モニタリング計画に基づく調査結果(ND~1.2 mBq/m3)の範囲内です。」2016年度は、最高でも1.2mBq/m3だったのです。それが森林火災で以下のようになりました。   5/1 5/2 5/3 5/4 5/5 5/6 5/7 5/8 5/9 5/10 5/11 5/12 単位:mBq/m3⑥ 双葉町石熊公民館  0.54→0.78→0.48→1.97→0.72→0.91→0.85→7.63→1.02→0.97→15.55→未公表⑤ 浪江町やすらぎ荘 非公表→0.81→1.27→1.84→0.83→0.38→1.11→3.59→1.32→1.09→3.13→未公表⑦ 大熊町野上一区地区集会所ND(不検出)→ND→ND→0.30→0.29→ND →0.35→1.35→0.31→0.57→0.80→未公表  これは、森林火災が鎮火していないということではないでしょうか。現時点で熊本で大雨警報が発令されています。全線を伴う、温帯低気圧が、これから明日にかけて九州→本州→東北へと日本列島を縦断しています。雨に当たらない。心配ならば、屋内でM95のマスクを着用もご検討下さい。  因みに、福島県は明日5月13日、あさって5月14日には「報告をしない」。5月15日(月)にまとめて報告する、とうそぶいています。許せません。事実は事実として公表すべきです。 浪江町井手地区の林野火災現場周辺の環境放射線モニタリング状況等について(第12報) 福島県危機管理部放射線監視室 福島県農林水産部森林保全課 2017年5月12日                           2017年5月12日 21:32pm                内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也

3月例会のお知らせ 2017年3月18日(土) 13:30~16:00(+1時間) 浦和コミュニティーセンター 南ラウンジDE(PARCO 9階)

[ 2017年3月18日; 1:30 PM to 4:30 PM. ] 3月例会のお知らせです。 日 時 3月18日(土) 13:30〜16:00(17:00まで延長の可能性あり)場 所 浦和コミュニティセンター 南ラウンジDE (浦和パルコ9階)参加費 会員の方300円    一般参加の方600円    高校生以下は無料 1.  東京第一原発の現状 2号機格納容器内調査、1号機格納容器内調査 報告:川根 眞也 2.  3.11甲状腺がん子ども基金66名に手のひらサポートを給付。 東北、関東に広がる甲状腺がん 報告:川根 眞也 3 福島からの区域内避難者、福島からの区域外避難者(年間5ミリシーベルト相当)、福島県内外からの自主避難者。3つの避難者の避難の権利の問題。 報告:川根 眞也 4 広島、長崎の被爆者援護法と原爆症認定の問題。 報告:堀本秀生 <休憩> 5. 食品の放射能汚染の現状 報告:川根 眞也 6.  会員の意見交流  ※この後、懇親会もあります。聞きたくてもみんなの前には聞けなかったことも質問できます。参加費、実費です。 ※諸事情によりプログラムが変更になる場合があります。 ※ 当日はツイキャス中継もしますので、会場に来れない方は是非、視聴参加ください。 http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/ こちらでは、生中継の他、過去の動画を見ることも出来ます。 聞き逃した情報などもチェックしてみてください。 それでは、沢山のご参加をお待ちしています。   ※ 「内部被ばくを考える市民研究会」の新年度会員受付中です。 会員の特典   1 内部被ばくに関する会員同士の情報交換……メーリングリストへの参加、投稿 2 月1回の例会……会員の方 資料代300円、一般の方600円。ツィキャスでの動画配信もあります。 3 月1回の例会資料pdfのダウンロードサービス。新聞記事、原発関連の情報などを整理したもの。全800ページ前後。  ジャンル①東京第一原発の現状②核をめぐる問題③原発再稼動④内部被ばく⑤被災地 福島 4 月1回 内部被ばく通信 毎月6日発行 【内部被ばくを考える市民研究会 会員登録フォーム】 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdXLtsOxEIMBt3whoCEO4UH8hGj2_yQbRsspI3dle9MZmJZEg/viewform 【お問い合わせ】entry.naibu@gmail.com 内部被ばくを考える市民研究会事務局 内部被ばくを考える市民研究会

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