内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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内部被ばくと健康被害

トリチウム関連グラフ集

2011年以前の東京、千葉での降水量中のトリチウム 東電 福島第一原発事故によって拡散された海水中のトリチウム濃度 福島県沖と千葉県銚子沖 換算日:2015年2月24日 千葉県

原子力関連施設周辺での環境トリチウムモニタリングの実際 柿内秀樹,赤田尚史 核融合学会誌 J. Plasma Fusion Res 2013年 Vol.89, No.10 645‐651より

(編集者:注)トリチウムについて、部分的なブログの引用、生半可な知識がインターネット上で流布しています。このような中途半端な知識では、原子力村と対峙することはできません。専門的で難解、理解できない部分もあるとは思いますが、トリチウムについて理解を深めるためには、通読して、理解できるところだけでも吸収する必要がある論文である、と思い紹介します。特に赤字に川根が変換したところだけでも、読んで見て下さい。全文を転載します。 解説 原子力関連施設周辺での環境トリチウムモニタリングの実際 Recent Studies on Environmental Monitoring of Tritium in the Adjacent Nuclear Facilities 柿内秀樹,赤田尚史1) KAKIUCHI Hideki and AKATA Naofumi 公益財団法人環境科学技術研究所環境影響研究部,1)核融合科学研究所ヘリカル研究部 (原稿受付日:2013年7月29日)  核融合学会誌 J. Plasma Fusion Res 2013年 Vol.89, No.10 645‐651より  トリチウムは水素の放射性同位体であり,環境中で様々な化学形で存在している.原子力関連施設周辺から環境へ放出された場合,トリチウムは大気や水の動きに従って移行するがその挙動は化学形で大きく異なる.そのためトリチウムの影響評価には化学形ごとに考える必要がある.そこでトリチウムの化学形ごとの分析法を実例とともに紹介する.   1.はじめに    地球上に生きる動植物の生命を維持する上でなくてはならないものの一つである水は,人間の体重の60~70%を占めている.水には水素の放射性同位体であるトリチウムが含まれており,このトリチウムは半減期12.3 年でβ壊変してヘリウム3になる放射性核種である.トリチウムは大気上層において,宇宙線(陽子や中性子)と大気を構成する窒素原子や酸素原子との核反応により,定常的に生成されており,その量は年間200 g 程度と見積もられている[1].大気中で生成した天然トリチウムのほとんどは速やかに酸化されて水になり,やがて対流圏に移動して雨として地表面に降下する.トリチウムは空気中の水蒸気,雨,海水や地表水などに広く存在して水と一緒に自然界を循環しているため,大昔から人は環境中のトリチウムを飲料水あるいは食物として摂取してきた.光合成を出発点とするトリチウムの有機物への変換は,トリチウムの環境サイクルの重要な部分を占め,食物連鎖を介して人へトリチウムが移行する.  天然トリチウムにより形成された定常的な状態,すなわち大気上層における生成量と地球上のトリチウムの壊変量が釣り合った状態が,1950-60年代に活発に実施された大気圏核実験により大きく乱された.図1に東京,千葉で採取された降水中トリチウム濃度の年平均の推移を示す[2,3]. 1952年以降は,大気中核実験によって成層圏や対流圏に放出された人工的なトリチウムのため,降水中トリチウム濃度は増加し,1963~1964年のピーク時には天然レベルの100倍を超える値が観測された.1963年の核実験禁止条約以降,日本を含め世界中の降水中のトリチウム濃度は年々減少していった.天然トリチウム存在量の200倍以上もの量が核実験で環境中に放出されたと考えられている.現在でも天然存在量の10倍程度は残っている計算になる[1].核実験由来トリチウムは,水循環に伴い最終的に海に移行するが,海には大量の水が存在するので,核実験トリチウムが海に移行しても濃度の増加はわずかである.その海の希釈効果のため現在の降水中トリチウム濃度は大気圏核実験前のほぼ定常状態のレベルにまで下がったと考えられている.一方,一時的に地下水に蓄えられたトリチウムは大気圏内核実験停止以降も,長い期間に渡って河川水や湖水のトリチウム濃度を増加させた.滞留時間がトリチウムの半減期よりきわめて長い地下水の場合,放射壊変によりトリチウムはなくなってしまうことが多い.しかし滞留時間が相対的に長くない場合、地下水には濃度レベルは低いが、今でも核実験由来トリチウムが検出できるものがある.この核実験由来トリチウムは地下水の涵養を知るためのトレーサとして利用されている.そのためには微量のトリチウム濃度を正確に測定する技術が必要となる.  トリチウムから放出されるβ線のエネルギーは弱いので被ばく線量への寄与は少ないとされている.しかし,水素は生体を構成する主要な元素であり,さらに様々な環境試料中に多様な化学形で含まれるため,トリチウムの被ばく線量を評価することは必要である.人への影響を考える場合,トリチウムは体内摂取,すなわち内部被ばくが問題となる.国際放射線防護委員会(ICRP)が提示しているトリチウムの化学形別の線量係数(Sv/Bq),すなわち単位放射能当たりの実効線量は,呼吸によりトリチウムガスを取り込む場合,トリチウム水蒸気の1/10,000となっている[4].また,有機結合型トリチウム(Organically BoundedTritium: OBT)を人が経口摂取した場合,水に比べて体内の臓器等に取り込まれやすく,一度取り込まれると体内から出にくい性質があることが知られている.その結果,体内での残留時間が長くなるため,OBTの線量係数はトリチウム水の約2.3 倍と見積もられている[4].このように,トリチウムによる被ばく線量を評価する場合は,その化学形を考慮した分析が必要となる.  環境中のトリチウムから受ける被ばく線量は,トリチウムの環境動態と密接に関わり合うため,原子力発電所や核燃料再処理施設等から環境放出されるトリチウムを含め,環境中でのトリチウムの挙動を明らかにしておくことが求められる.そのためには,様々な環境試料に含まれるトリチウムを精度よく分析する技術と挙動解析や線量評価を行なうための環境データの蓄積が必要である.環境トリチウムの測定は,核エネルギーの平和利用において放射線防護の観点からきわめて重要な問題となっている.  核融合炉システムにおいても,放射性同位元素(RI)の取り扱いは避けられない.これらのRIはシステム内に密封されている.しかし,燃料としてのトリチウムは,高温下で容易に金属壁を透過し,炉設計では通常運転時にも施設から定常的なトリチウム放出を想定している.さらに事故による環境放出も想定しなければならない.このため,核融合施設周辺環境への影響を評価するためには,放射性物質の環境モニタリングが肝要である.そこで,原子力関連施設周辺(核燃料再処理工場,核融合試験施設等)における環境モニタリング手法の実際を,環境試料の取り扱いや試料の採取法,測定時の注意点を含めて,核融合施設と関連のあるトリチウムの環境モニタリング技術を中心に解説する.   2.環境モニタリングとは    日本の原子力関連施設の安全確保は,その施設の通常操業および異常事象ないし事故による放射線障害から従事者と公衆を守ることにある.この安全操業の重要な基盤として環境放射線(能)モニタリングが重要である.環境放射線(能)モニタリングとは,放射性物質または放射線源を取り扱う施設の境界外の放射線等の測定を行うことである.環境放射線モニタリングの目的は,原子力関連施設周辺の公衆の健康と安全を守ることを基本的な目標として,環境における放射線量が公衆中の個人に対して,容認される線量限度を十分下回っていることを確認することにある.環境モニタリングを通じて環境における放射性物質の蓄積状況を把握することになり,それらの結果を通じて公衆への情報提供に役立てる.また原子力関連施設からの予期しない放出による周辺環境への影響(計画外放出を検出すること)の判断に資することにもなる.  一般的に原子力関連施設から放出されるトリチウムの放射能量は希ガスに次いで大きいため,環境中トリチウム濃度は環境モニタリング項目の一つとされている.このため,環境中のトリチウム濃度は,原子力関連施設近傍において環境モニタリングの一環として測定されている.大気中核実験の結果,大量のトリチウムが環境中に放出されたが,その線量寄与は最近では低くなっている.事故が起きると原子力関連施設から放射線や放射性物質が出るが,その内在する量の大きさから原子力関連施設の事故は特別であり,公衆の大きな被ばく源となることはチェルノブイリ事故や東京電力福島第一原子力発電所事故で示された.これらのそれぞれの線量寄与ならびに被ばくに関して情報を整えておくことは,公衆の放射線防護を考えるにあたりきわめて重要である.  平常時モニタリングは,対象地域の特定核種の放射能濃度の歴史的な変遷を把握・評価できる必要がある.トリチウムの場合,フォールアウトと天然由来であり,近年フォールアウトは低減し,かつ,漸減傾向にある[2,3]ものの,緯度効果や地下水の寄与の割合でその濃度に大きな差を示すことがある.したがってこのような変動が把握評価できるように,平常モニタリング計画とは別に経時変化や地域変化をかなりの長期・広範囲にわたって調査研究することも必要である.一般に原子力関連施設が平常運転されている限り,測定値の変動はある幅の中に収まる.この変動を「平常の変動幅」と呼ぶ.平常の変動幅は,測定値が正規分布とみなせる場合,標準偏差の3倍がとられる.測定値が平常の変動幅を外れている場合はその原因を調査する必要がある.ここでは通常のモニタリングに用いられる手法に加えて,更に低いレベルのトリチウム濃度の測定を必要とする環境挙動解析のための手法を紹介する. 3.トリチウムの測定法 3.1 液体シンチレーションカウンターによる測定  トリチウムはエネルギーの低いβ線を放出する核種であるため,単なる放射線モニタリングでは検出できない.そこで試料を検出器の内部に入れて測定しなければならない.その代表的な方法として液体シンチレーション(Liquid Scintillation counting: LSC)法がある.このLSC法とは,放射線が作用すると光を出す物質(蛍光物質)を溶かしてある液体(液体シンチレータ)にトリチウムを含む物質を混ぜ合わせ,出てくる光を測定する手法である.トリチウム測定試料は水としての形が多いため,液体シンチレータとして保水量の多い乳化シンチレータが広く用いられている.河川水,湖水,雨水,海水等の水試料の測定には,溶存している不純物を蒸留して事前に取り除いて乳化シンチレータと混合後,測定を行う.  環境試料のトリチウム測定に使用する液体シンチレーションカウンターには低自然計数率仕様であるHitachi-Aloka 社LSC-LB7,PerkinElmer 社Quantulus 1220 等が代表的なものである.検出下限値は水1 L あたり0.3~0.6 Bqであるため,原子力関連施設稼働に伴う環境影響を把握するには十分な感度を有している.しかし,自然環境におけるトリチウムの移行挙動を知るためには不十分である.さらに低いトリチウム濃度を測定する場合は,電気分解法によるトリチウム濃縮を行う必要がある.  水を電気分解すると,トリチウム水は分解されにくいので水中に濃縮される.この現象を利用したものが電解電気分解法(電解法)である.従来のトリチウム電解濃縮法であるアルカリ溶液による電解ではトリチウム濃縮とともに電解質溶液も高濃度となり,濃縮倍率を上げることが困難であった.また,電気分解で発生した酸素と水素が爆発しやすい比率で混合発生したまま装置内に存在することも問題であった.現在,これら課題を解決したものに固体高分子電解質(Solid Polymer Electrolyte, SPE)を利用したトリチウム濃縮装置がある[5].電極はSPE の両面を繊維状の金属電極で挟んだの構造であり,この電極を純水に浸して電流を流すだけで電解が進み,ガスが金属繊維のすき間から発生する.陽極で水から生成した水素イオンは固体高分子電解質中を移動して陰極に到達し,陰極で水素ガスが発生,陽極では酸素ガスが発生するので,このSPE 膜を隔てて,酸素ガスと水素ガスを分離発生させることが容易となり,それぞれのガスが混合して爆発する危険性が少ない.また水以外に電気分解のための試薬を使用しないので,濃縮倍率をいくらでも上げることができるという特長を有する.  水を電気分解したときの水素同位体比は次の関係式で表される.    (Vf/Vi)=(TfVf/TiVi)β         (1)          Vi:濃縮前の試料水の体積          Vf:濃縮後の試料水の体積            Ti:濃縮前の試料水の3H 濃度                        Tf:濃縮後の試料水の3H 濃度            β:3H の分離係数,          3H 濃縮率  Z=Ti/Tf,            (2)   β=(log(Vf/Vi))/(log(TfVf/TiVi)).  (3)  同一装置ならばβが一定値を取るので初期試料体積Vi,最終試料体積Vfを一定にすればTiの値に因らず,Zは一定値になる.したがってあらかじめ濃度既知の試料水を調製し,Z= Ti/Tf が一定になることを確認し,この濃縮倍率Zを装置定数として用いる.   3.2 [...]

ずさんな原発管理。原子炉容器上蓋の温度計を出し入れする穴は養生テープでふさいでいた。養生テープについたゴミが放射能漏れを引き起こす恐れ。それでも高浜4号機は2018年8月31日に再稼動工程を開始。

 再稼動工程(5号検査と言います。いわば、最終試験。)を目前に控えた、2018年8月20日、放射能漏れを起した高浜原発4号機は、たった11日後の2018年8月31日17時に再稼動工程を始めました。関西電力が公表した資料を読むと、驚くべきことが書かれています。今回、4号機の原子炉のふたの部分に取り付けてあった、温度計を出し入れする穴から放射能漏れが起きました。  以下、2018年8月24日に公表された、関西電力の資料を読むと、この温度計を出し入れする管、フランジとコラムと呼ばれる部分にゴミが入らないようにするために、「養生テープ」を巻きつけていた。その「養生テープ」に異物(直径約0.3mm)がついていて、コラムから養生テープを外すときに、フランジとコラムの間に入ってしまい、パッキンとの間に挟まり、いつしか、そのゴミが取れたために、隙間ができて、そこから放射能が漏れた、というのです。  関西電力の対策は、この「養生テープ」をよく拭いてゴミがつかないようにする、です。  果たして、本当にこれで大丈夫なのでしょうか? <関西電力の対策が論拠不明> 1.これらはすべて推論であって、直径0.3mmの異物は見つかっていない。痕跡があるだけ。 2.そもそも、大量の放射能が舞い散る中で、ゴミが付着しない状態で、温度計引出管接続部を点検、接続することが可能なのか?  このような原子炉圧力容器からの直接の放射能漏れはどんなに微量であっても、重大な事故につながりかねません。なにせ、内部の温度と圧力は、「一次系冷却材の温度が286℃、圧力が157気圧」なのですから。関西電力の拙速な対応と、再稼動工程の開始に反対します。  欠陥、原発はただちに運転を止めるべきです。  以下、関西電力が2018年8月24日公表した資料を全文転載します。 高浜発電所4号機の定期検査状況について(原子炉容器上蓋の温度計引出管接続部からの蒸気漏れに係る原因と対策について)関西電力 2018年8月24日  高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力87万キロワット、定格熱出力266万キロワット)は、第21回定期検査中の8月20日15時頃、最終ヒートアップ(昇温・昇圧)後の現場点検中に、原子炉容器上蓋の温度計引出管接続部※から、わずかな蒸気が漏えいしていることを当社社員が発見しました。今後、漏えいの原因について調査する予定です。なお、本事象による環境への放射能の影響はありません。 [2018年8月20日お知らせ済み] ※原子炉容器の上蓋上部に設置されている筒状のもので、炉内の温度を計測する温度計を挿入するためのもの。 1 原因調査  蒸気漏えいが確認された原子炉容器内温度計引出管接続部の構成部品を取り外し、各部位の点検を実施しました。 (1)点検結果 ①上部クランプ ・外観点検の結果、変形や傷等の異常は認められませんでした。また、締付寸法計測、締付トルクを確認した結果、異常は認められませんでした。 ②温度計引出管の支持筒(コラム) ・パッキンを取り付けている部分にほう酸の析出痕を確認しました。ほう酸を除去した後、パッキンとの接触面やポジショナのはめ込み部(溝部)などの外観点検を実施した結果、変形や傷等の異常は認められませんでした。 ③フランジ ・パッキンとの接触面やポジショナとの接触面の外観点検を実施した結果、変形や傷等の異常は認められませんでした。 ④ポジショナ(コラム位置決め治具) ・フランジとの接触面を点検した結果、変形や傷等の異常は認められませんでした。また、据え付け状態確認のため、コラム上端面とポジショナ上端面の周方向3箇所の高低差を計測した結果、有意な傾きがないことを確認しました。 ⑤パッキン ・コラムとフランジの間に挿入されていたパッキンの外観点検を実施した結果、コラムとの接触面にほう酸の析出痕を確認しました。また、ほう酸を除去した後、拡大観察を行った結果、接触面に微小なへこみ(直径約0.3mm)が認められました。 ・パッキン納入時の製品検査成績書を確認したところ、外観に問題がない製品が納入されていることを確認しました。 ・このため、コラムとの接触面に何らかの微小な異物が噛みこんだ可能性があるものと推定しました。 (2) 作業手順の確認(温度計引出管接続部の構成部品の組立作業)  パッキンとコラムの接触面に異物が混入した可能性について、調査を実施した結果は以下の通りです。 ・温度計引出管接続部は、定期検査毎に取り外し、各構成部品の点検を行い、その後、一次冷却材系統のヒートアップ(原子炉の昇温・昇圧)前に組立作業を実施しています。 ・組立作業は、コラム上部の温度計引出管に養生テープを巻き付けた後に清掃を実施し、パッキンを装着、フランジを据え付ける手順となっています。その後、異物混入防止のため、コラムとフランジの隙間には養生テープを取り付けていたことを確認しました。 ・その後、下部クランプを据え付け、コラムとフランジの隙間の養生テープを取り外し、ポジショナを装着する手順となっており、その際に異物が混入した可能性があるものと推定しました。 (3)運転履歴 ・原子炉容器内温度計引出管の接続部の構成部品を組み立てた後、原子炉起動前の社内検査として、8月16日に一次冷却材漏えい試験(一次冷却材の温度110℃、圧力164気圧)を実施した際の当該部の点検の結果、漏えいは認められなかったことを確認しました。 ・その後、一次冷却材系統の温度を約60℃、圧力を約3気圧まで降温・降圧し、原子炉起動準備を行った後、8月18日より、昇温・昇圧を実施しました。 ・漏えい確認時点のプラントの状態は、一次系冷却材の温度が286℃、圧力が157気圧であることを確認しました。 2 推定原因  当該箇所の組立作業時に、養生テープに表面に付着していた何らかの微小な異物がコラムとフランジの隙間に混入し、パッキンのコラムとの接触面に噛み込みました。その後、一次冷却材の温度上昇等に伴い、異物が押し出されたことにより、その部分が漏えい経路となり蒸気の漏えいに至ったものと推定しました。 3 対策  当該漏えい箇所のパッキンを新品に取り替えます。  また、ポジショナ取付け前に、養生テープ表面の清掃を行うことを作業手順書に追記して異物混入防止の徹底を図ることとします。 添付資料1:原子炉容器上蓋の温度計引出管接続部からの蒸気漏れ概略図とメカニズム[PDF 616.26KB]  添付資料2:原子炉容器上蓋の温度計引出管点検後の組立手順[PDF 167.75KB]  以 上

関西電力が欠陥原発、高浜4号機の再稼動工程を開始。2018年8月31日17時から。放射能漏れ事故からたった11日。

 本日、2018年9月1日の福井新聞を見て驚きました。8月20日に放射能漏れ事故を起こした、高浜原発4号機を関西電力が8月31日17時から再稼動工程を始めた、というのです。たった21日で放射能漏れの原因究明と対策は本当にできたのでしょうか。朝日、毎日、読売などの全国紙は東京ではまったく報道していません。読売新聞は関西版で「高浜4号機発送電、来月3日に再開へ =関西発」と書いていますが、東京などでは報道していません。朝日新聞、毎日新聞も同様です。 この高浜4号機の再稼動工程の開始については、現地の福井新聞のみが報道しています。地方紙、佐賀新聞、西日本新聞、東京新聞も報道していません。抜き打ちに近い、再稼動工程開始なのではないでしょうか。    九州では、九州電力が8月29日よりやはり欠陥原発である、川内原発4号機の再稼動工程を始めました。これは朝日新聞が報道しましたが、読売は報道せず。毎日は例によって、山口県以西の「西部本社版」でのみの報道でした。佐賀新聞、西日本新聞、東京新聞は報道していません。これで九州の稼動できる4つの原発すべてが稼動することになります。熊本地震からたった2年。本当に九州も大丈夫なのでしょうか。  新聞、テレビは、原発再稼動が当たり前かのような前提で報道する記事を選んでいます。私たちが知らないうちに原発が動いていた、という状況が作られています。  今年の災害とも言われる猛暑でありながらも、電力不足や節電は一度も呼びかけられませんでした。電力は足りています。原発は必要ありません。  そして、九州電力の玄海3号機はMOX燃料を使用しています。関西電力の高浜3号機、4号機もMOX燃料を使用しています。日本が使う見込みのないプルトニウムを46.1トン(核分裂性のプルトニウム239,241は31.1トン)を保有しています。北朝鮮の核兵器を放棄させる上で、日本の大量のプルトニウムは、日本の核武装の可能性を疑わせる要因となり、朝鮮戦争の終結と東アジアの非核地帯化を阻害する要因です。そのために、あえて無理を承知で、MOX燃料を使う原発をとりわけ再稼動させている可能性があります。  核と原発は人類と共存することはできません。欠陥原発はなおさらです。  九州電力、関西電力は、私たちが平和的に幸福に生存する権利そのものを脅かしています。  佐賀県知事(玄海原発)、鹿児島県知事(川内原発)、福井県知事(大飯原発、高浜原発)の異常な判断を許さない、広範な県民運動が必要です。また、ひとたび原発事故が起きれば、原発250km圏内は住めなくなる恐れがあります。九州地方、北陸・関西・中部地方の統一した運動が必要です。個々バラバラの運動を行っている事態ではありません。  世界各地で大規模な地震が相次いでいます。残された時間はあまりないかもしれません。第2のフクシマをこの日本で起こさないためにも、ふるさとと生業を奪われ、家族が分断された、福島県民の苦難の実態をきちんと学ぶべきです。  避難計画も安定ヨウ素剤も必要ありません。要求すべきなのは、被ばくさせない保障です。被ばくさせない保障ができないならば、原発は廃炉にするべきです。交通事故と同列に議論させるべきではありません。  内部被ばくを考える市民研究会は事態の緊急性にかんがみ、佐賀新聞、西日本新聞、福井新聞を購読することにしました。かなりの費用がかかっております。是非、会員となって、会を支えて下さい。 内部被ばくを考える市民研究会 新規会員を募集しています。    また、九州の原発の事故、トラブル、再稼動に関する情報をきちんと報道しているのは、もはや朝日新聞でも毎日新聞でも読売新聞でもありません。佐賀新聞です。是非、佐賀新聞を応援するためにも、佐賀新聞の購読をお勧めします。 佐賀新聞 電子版申し込み    福井県の原発の事故、トラブル、再稼動に関する情報をきちんと報道しているのは、同様に朝日新聞でも毎日新聞でも読売新聞でもありません。福井新聞です。是非、福井新聞を応援するためにも、福井新聞の購読をお勧めします。 福井新聞 電子版 D版申し込み    玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会が、原発のトラブルを追及し、県との交渉などを活発に行っています。是非、会員になって会を支えて下さい。 玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会    福井県の原発の問題については、大阪の「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」が、原発の問題点を追及し、政府交渉まで含めて取り組んでいます。是非、会員になって会を支えて下さい。 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会    原発を動かす、電力会社の電気を買うのはやめましょう。電力自由化を積極的に活用し、原発の息の根を止めましょう。 ■高浜4号機発送電、来月3日に再開へ =関西発 読売新聞 関西版 2018年8月28日  関西電力は27日、定期検査中に蒸気漏れトラブルがあった高浜原子力発電所4号機(福井県高浜町)について、9月3日に発送電を再開するため、原子力規制委員会に書類を提出した。  4号機は5月18日から検査で運転を停止。発送電の再開は今月24日に予定していたが、20日に原子炉容器の上蓋からごく微量の放射性物質を含む蒸気が漏れるトラブルが起き、その対処で遅れていた。9月28日に営業運転に入る予定。 ■高浜4号機がきょう再稼働 【大阪】 朝日新聞 2018年08月31日 大阪版 朝刊 2経済  関西電力は30日、定期検査中の高浜原発4号機(福井県高浜町、出力87万kW)の原子炉を31日に起動し、再稼働すると発表した。核分裂反応が原子炉内で連続して起きる「臨界」に9月1日に達し、3日から発電と送電を始める見込み。9月下旬に営業運転に戻る予定という。高浜4号機では、8月20日に微量の放射能を含んだ蒸気漏れが起こり、原子炉起動を延期していた。 ■高浜原発4号機 蒸気漏れで営業運転再開を延期 毎日新聞2018年8月27日  定期検査中の関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町、出力87万キロワット)について、関電は27日、原子力規制委員会に対し、営業運転への移行を9月28日とする再申請をした。今月20日に原子炉上部から放射性物質を含む蒸気が漏れるトラブルがあり、予定した9月19日の営業運転入りを延期した。発送電の開始は9月3日。  関電は原子炉容器の上蓋(うわぶた)に設置された「温度計引き出し管」に異物が入り、接続部分の金属製のパッキンにできた隙間(すきま)から蒸気が漏れたとみており、25日にパッキンを交換した。【高橋一隆】 ■高浜原発4号機、きょう再起動 あす未明「臨界」に /福井 毎日新聞2018年8月31日 福井県 地方版  関西電力は、定期検査中の高浜原発4号機(高浜町、出力87万キロワット)の原子炉を31日夕に再起動させると発表した。9月1日未明に核分裂反応が継続する「臨界」に達する見通し。  9月3日に発送電を始め、同28日に営業運転に入る予定。ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を計20体(継続使用4体、新燃料16体)使うプルサーマル発電となる。  4号機を巡っては今月20日、原子炉容器上蓋(うわぶた)に設置された温度計の接続部分から放射性物質を含む微量の蒸気が漏れるトラブルがあったが、今月30日までに対策が講じられた。【大森治幸】        

那須塩原市は「管理区域」。18歳未満立ち入り禁止。飲食禁止。校外学習などもってのほか。さいたま市は再考を!

 埼玉県さいたま市は、福島県南会津町に「舘岩少年自然の家」(福島県南会津郡南会津町宮里字向山2847-1)を保有しています。さいたま市の103小学校と57中学校は、児童または生徒を連れて、夏または冬に校外学習に行きます。子どもたちの内部被ばくは大丈夫なのでしょうか。  「舘岩少年自然の家」の空間線量率を測定すると、特にエントランスが非常に高く、0.23マイクロシーベルト/時を超えるときがあります。しかし、川根の実地調査では、どうやら、ここには「木賊温泉(とくさおんせん)」があり、そこから出てくる自然放射能ラドンなどの影響で、空間線量率が高いことがわかりました。  一般に、ラドン温泉では、空間線量率が0.23マイクロシーベルト/時を超えることがままあります。岐阜県中津川市にある「ろうそく温泉」は日本一のラドン含有量を誇りますが、ここは場合によると0.43マイクロシーベルト/時にもなります。しかし、人工放射能であるセシウム134はND(検出下限0.28ベクレル/kg)、セシウム137もND(0.31ベクレル/kg)です。しかし、空間線量率は0.43マイクロシーベルト/時にも上がり、また、ベータ線17cpmまで上がりました。これらの原因はつまり、自然放射能です。    南相馬市のベテランママの会、番場さちこ氏などは、空間線量率だけを比較して、「ここ福岡市は私の南相馬市の空間線量率と同じ。南相馬市は安全です。」と講演で話しています。 「(番場さち子氏は)持参した放射線量計で(福岡市の)会場を測定し、福島第1原発から23キロにある南相馬市の馬場さんの事務所の毎時0・12マイクロシーベルトを上回る毎時0・14マイクロシーベルトを観測したという。『福島のお嬢さんが結婚できないなどの風評被害をなくしたい。事実は皆さんの捉え方次第だが、現実を淡々と伝えていきたい』と話した。」 ーくらしQ はじめての福島学 「忘れずにいることが支援」 九州 毎日新聞 2016年8月17日   そもそも、空間線量率で、被ばく影響をおし測ることそのものがおかしいです(立命館大学名誉教授の安斎育郎氏も同様ですが)。天然ウランを多く含むペグマタイトなどの岩石が多いところでは、その自然放射能による空間線量の上昇率が大きいからです。福岡県には安宅鉱山(あたかこうざん,川崎町安宅小峠)や竜円鉱山(たつえんこうざん,川崎町真崎)などのウラン鉱山があります(現在は閉山)。だから、空間線量率も高くなることがあるのです。しかし、東電福島第一原発が放出した、セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90などは微量です。  一方、南相馬市はウラン鉱山などもなく、自然放射能が極めて低いにもかかわらず、東電福島第一原発が放出した、セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90などが多量にあります。プルトニウム239による汚染も疑われています。  福岡市の空間線量率はもともと高いもの。しかし、人工放射能による汚染は非常に少ないです。南相馬市はもともと空間線量率は低いのが、現在はもとの自然放射能の3倍以上になっています。南相馬市原町区などは10倍以上にもなっています。健康影響は、人工放射能の影響が決定的に重大です。自然放射能は人体がためようとせず、積極的に排泄するからです。一方、人工放射能(セシウム134,セシウム137,ストロンチウム90,プルトニウム239など)と、地球上の生命が付き合い始めたのは、アメリカの原爆開発からに過ぎません。1942年にアメリカは核兵器を開発するために、原発を作り、そして、プルトニウムを生産し始めました。つまり、人類がこれら人工放射能と付き合い始めたのはたかだか76年ほど。人体に入った人工放射能は積極的に排泄する機能がないため、人体の各臓器で濃縮し、沈着します。同じ、ベータ線、ガンマ線を出す放射性物質と言えども、特定の臓器にたまらず、また、平均的に薄く広く広がるカリウム40は、健康への影響は極めて少ないのです。一方、カリウムと似た化学的性質を持つ、放射性セシウムはそもそも微粒子となって呼吸器から取り込まれたり、食品のごく一部に付着する、または、植物の根によって吸収された場合は、稲の場合、①茎、②穂軸、③葉身・止葉、④小穂の順にたまりやすさが違います。これはカリウム40には見られないことです。人間の場合、大人では体内にカリウム40はおよそ4000ベクレルありますが、どんなにバナナを食べ過ぎても、この4000という値を超えて、どんどん増えていくことはありません。しかし、放射性セシウムの場合は放射能汚染されたものを食べ続ければ、当初は4000でも1万、2万と増えていきます。ここが、自然放射能カリウム40との決定的な違いです。ちなみに2012年夏、川俣町で自家製野菜を食べていた(しいたけが14万ベクレル/kgであった)男性の体に2万ベクレルほどの放射性セシウムが蓄積していました。彼は翌年の夏、突然死をしています。万の単位で放射性セシウムが蓄積すると死の危険があります。ベラルーシの経験では成長期の子どもたちのからだに数百ベクレル蓄積すると、子どもたちはみな病気になります。繰り返しますが、自然放射能カリウム40ではこのような突然死や病気は起きません。  番場さち子氏は詐欺師と呼ばれても仕方がないでしょう。安斎育郎氏も。また、早野龍五氏も、福島、フランス、ベラルーシの高校生にDシャトルという線量計を身につけさせて、生活の中での外部被ばくを測り、「福島での生活も海外での被ばくと同じ」という結論を出させています。「科学」を装った、詐欺です。 東京大学基金 早野龍五教授からの活動報告4 Dシャトル・プロジェクトについて    さて、さいたま市の小中学生は福島県南会津村の「舘岩少年自然の家」に行く際には、4時間近くバスの乗るために、途中の那須塩原でトイレ休憩をしなくてはなりません。川根はその那須塩原市の道の駅 湯の香しおばらの空間線量率が異常に高いことを計測し、校外学習でトイレ休憩をここで取る際には、生徒も職員も全員マスクを着用することを提案し、毎回、了承されてきました。  今回、道の駅の看板下の土壌を採取、分析にかけたところ、セシウム134が200ベクレル/kg,セシウム137が1900ベクレル/kg検出されました。放射性セシウム合計 2100ベクレル/kgです。これは「放射線管理区域」をはるかに超える数値です。以下、放射線障害防止法令にあたってみると、以下のようになります。ちなみに、土壌汚染(ベクレル/kg)を土地汚染(ベクレル/m2)に換算するには65倍します(2011年5月7日原子力安全委員会の回答)。那須塩原市の道の駅の看板下の土壌は、2100×65=13万6500ベクレル/m2に相当します。 <放射線障害防止法令による管理区域の規定・作業室での使用基準> 「管理区域」の規定―ガンマ線・ベータ線核種 4Bq/cm2  → 4万Bq/m2を超える(那須塩原市道の駅13万6500ベクレル/m2)             アルファ線核種   0.4 Bq/cm2 → 4000Bq/m2を超える      (放射線障害防止法施行規則第1条 用語の定義)      「管理区域」では  ①「管理区域の境界には、柵その他人がみだりに立ち入らないようにするための施設を設け、かつ、それに標識を付すること」 (放射線障害防止法施行規則第14条の7-8 使用施設の基準) ※    道の駅湯の香しおばらの看板付近には、柵もなく、生徒が自由に触れる状態になっていました。誰もそこが危険だと思っていませんでした。      ②「密封されていない放射性同位元素の使用は作業室で行うこと」 (放射線障害防止法施行規則第15条の1-2 使用の基準) ※    道の駅湯の香しおばらの看板の下の土壌の放射性物質はむき出しで風に舞い散る状態。「密封されていない放射性同位元素」に相当します。したがって、この道の駅湯の香しおばらの場所は「作業室」に相当します。   ③「作業室での飲食及び喫煙は禁止すること」 (放射線障害防止法施行規則第15条の5 使用の基準) ※    道の駅湯の香しおばらの看板付近でたばこを吸っている職員もいました。風で舞い散る中、トイレで水を飲む生徒も。     ④「作業室又は汚染作業室内の人が触れる物の表面の放射性同位元素の密度は、その表面の放射性同位元素の汚染を除去し、又はその触れる物を廃棄することにより、表面密度限度を超えないようにすること」 (放射線障害防止法施行規則第15条の6 使用の基準)   「表面密度限度」の規定―ガンマ線・ベータ線核種  40Bq/cm2 →  40万Bq/m2               アルファ線核種       4 Bq/cm2 →  4万Bq/m2      (放射線障害防止法施行規則第1条の13 用語の定義)    ※道の駅湯の香しおばらにおいて、放射性物質は何も管理されていませんでした。走って転んでも、手を払うだけ。除染などしませんでした。   ⑤「作業室においては、作業衣、保護具等を着用して作業し、これを着用してみだりに作業室から退出しないこと。」 (放射線障害防止法施行規則第15条の7 使用の基準)    ※道の駅湯の香しおばらでのトイレ休憩では、教員も生徒も、ジャージ、スキーウェアで歩き回り、そのままバスに乗りました。     ⑥「作業室から退出するときは、人体及び作業衣、履物、保護具等人体に着用している物の表面の放射性同位元素による汚染を検査し、かつ、その汚染を除去すること。」 (放射線障害防止法施行規則第15条の8 使用の基準)    ※原発では右のような測定器で、手、服、履物の汚染をチェックします。道の駅湯の香しおばらでは、トイレからバスに戻るときに何もしませんでした。   ⑦「放射性汚染物で、その表面の放射性同位元素の密度が原子力規制委員会が定める密度を超えているものはみだりに管理区域から持ち出さない。」 (放射線障害防止法施行規則第15条の10 使用の基準)    ※「原子力規制委員会の定める密度」―ガンマ線・ベータ線核種 4Bq/cm2→4万Bq/m2                     アルファ線核種    0.4 Bq/cm2→4000Bq/m2    ※道の駅湯の香しおばらでは、トイレからバスに戻るときに靴底に、「原子力規制委員会の定める密度」を超える土がついていた可能性が十分にあります。 道の駅湯の香しおばら内看板アグリパス塩原の下の土壌採取  空間線量 0.24マイクロシーベルト/時 ベータ線 8cpm  土壌採取時 2018年2月19日14:35pm  採取者:川根眞也  土壌分析結果 セシウム134  200Bq/kg  (別紙)   セシウム137 1900Bq/kg     放射性セシウムだけで2100Bq/kg     土壌1kgの放射能汚染(Bq/kg)から土地の放射能汚染(Bq/m2)は65倍する。               2100(Bq/kg) × 65 = 13万6500 (Bq/m2) ※ 「管理区域」4万ベクレル/m2の3倍を超えます。この土は持ち出し禁止です。川根は放射線障害防止法施行規則第15条第10項違反をしたことになります。さいたま市立A中学校の職員および生徒も、靴底に放射能汚染された土をバスも持ち込んでいるので、職員および生徒も同様に法令違反をしたことになります。  さいたま市教育委員会は、福島県南会津村の「舘岩少年自然の家」の利用もそうですが、那須塩原市の道の駅湯の香しおばら、など、「管理区域」「作業室」に相当する場所に児童・生徒を連れていくのを中止するべきではないでしょうか。また、栃木県日光市、群馬県赤城も同様です。放射能で汚染されて地域に住む子どもたちだからこそ、放射能汚染のない(または少ない)場所に保養を兼ねた校外学習を行うべきだと思います。                            

増殖炉、2018年8月30日から燃料取り出し もんじゅ、福井県に報告 佐賀新聞2018年8月28日

九州の川内原発、玄海原発やもんじゅのトラブルの情報や動向を知るには、佐賀新聞が一番。佐賀新聞の購読は 佐賀新聞電子版『佐賀新聞LIVE』   増殖炉、2018年8月30日から燃料取り出しもんじゅ、福井県に報告佐賀新聞 2018年8月28日  日本原子力研究開発機構は28日、廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料の取り出し作業を30日から始める方針を明らかにした。機構の児玉敏雄理事長が28日、福井県庁を訪れ、西川一誠知事に報告した。  児玉理事長は、7月以降に相次いだ設備の不具合で、作業開始が遅れたことを陳謝。「取り出しは長期にわたる廃止措置の第一歩。安全、確実に実施するという強い覚悟で取り組む」と述べた。  西川知事は「作業に関わる全ての人が最大限の緊張感を持って業務に当たらないといけない」と強調。不具合などが発生した場合は、迅速に情報公開するよう求めた。  機構は当初、燃料取り出しを7月下旬に始める予定だったが、トラブル多発を受けて8月に延期した。今月19日から、制御棒を使った取り出しの模擬訓練を実施している。 もんじゅ燃料出入機で警報取り出し訓練めど立たず佐賀新聞 2018年8月3日  日本原子力研究開発機構は3日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、使用済み核燃料の取り出しに向けた準備作業中に、燃料出入機の異常を知らせる警報が鳴るトラブルが1日にあったと発表した。  機構は今後、要員を増やしてトラブルへの対応を検討し、取り出しを8月中に始めるとしているが、取り出しに向けた模擬訓練実施のめどは立っておらず、予定通りに進まない可能性もある。  機構によると、7月25日、原子炉近くの「炉外燃料貯蔵設備」から制御棒を取り出してステンレス製の缶に収納する作業中、近くに設置していた監視カメラのレンズが水蒸気で曇るトラブルが発生。カメラが改善したかを確認するため、1日午後5時15分ごろ、改めて貯蔵設備から制御棒を取り出して移動させた際に警報が鳴った。警報はすぐに収まったという。  もんじゅでは7月以降、出入機などのトラブルが相次ぎ、7月中に始める予定だった燃料取り出しが8月に延期された。カメラが曇る不具合への対策も検討中という。  3日、福井県庁を訪れた機構の伊藤肇理事はトラブルの多発を陳謝。清水英男安全環境部長は「県民の厳しい目を十分に認識し、作業を着実に続けてほしい」と求めた。 もんじゅ、燃料取り出し断念トラブルが影響佐賀新聞 2018年7月26日   廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料の取り出しについて、日本原子力研究開発機構が、7月中としていた作業開始を断念したことが26日、関係者への取材で分かった。  16日に発生した燃料出入機のトラブルを受け、「燃料貯蔵設備」に入っている制御棒を燃料に見立てて取り出す訓練の開始がずれ込んでいた。文部科学省は、27日に開く廃炉計画に関する連絡協議会で、福井県と敦賀市に延期を伝える。  トラブルは出入機などに異常がないか調べる試験中に発生。機構は出入機の部品を交換して、24日に試験を再開した。近く残りの試験を終え、制御棒を取り出す訓練を始めるとしている。  訓練終了後、8月以降に貯蔵設備の使用済み燃料の取り出しを始めるという。 もんじゅの燃料処理に数千億円か廃炉総額が1兆超の可能性佐賀新聞 2018年7月5日   廃炉が決まっている日本原子力研究開発機構(原子力機構)の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)を巡り、使用済み燃料の処理に数千億円以上かかる可能性があることが5日、関係者への取材で分かった。政府はもんじゅの廃炉費用を3750億円と試算しているが、燃料処理費は含んでおらず、廃炉の総額は1兆円を超える可能性が出てきた。  もんじゅの燃料は毒性の強い放射性物質プルトニウムを多量に含み、国内外に処理できる施設はない。海外の業者に高額で委託するしかなく、施設の新設も含め莫大な費用がかかるという。  もんじゅは使った以上の燃料を生む「夢の原子炉」として期待され、1兆円を超える国費が投入されたが、相次ぐトラブルでほとんど実績を上げないまま長期停止。政府は2016年、再稼働する場合の安全対策に約6千億円が必要と試算し、費用対効果の問題などから廃炉を決めた。  原子力機構によると、使用済み燃料の処理費用は、含有するプルトニウムの量で大きく左右される。通常の原発で使われた燃料には1%のプルトニウムが含まれる。これを再処理したウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料は4~9%で、輸送費などを含め処理費用は1体約10億円。  機構関係者によると、もんじゅの燃料は小型だがプルトニウムは16~21%で、通常の数倍以上の処理費がかかるという。もんじゅには未使用のものも含めると処理対象になる燃料は約540体あり、費用は数千億円以上になる見通しだ。  原発の使用済み核燃料からプルトニウムなどを回収し、再び燃料として使用する再処理を委託されているフランスの業者にも、もんじゅの使用済み燃料を処理できる施設はなく、対応には新設が必要という。  同機構は22年度までに処理方法を決定し、燃料を取り出す計画。機構関係者は「具体的な処理方法は決まっていない。現実的にはフランスの業者と交渉することになるだろう」としている。   もんじゅ廃炉、保守管理に一因総コスト増の恐れ、会計検査院 佐賀新聞2018年5月11日    会計検査院は11日、廃炉が決まっている日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)に関する検査結果を公表した。「保守管理の不備が廃炉につながった」と総括。少なくとも1兆1313億円が投じられ、研究の達成度は16%だったとした。廃炉費用は国の試算の3750億円を超える可能性があるとした。研究開発経費を合わせた総コストも増える恐れがある。  半世紀にわたって巨額の税金を投じながら研究開発に失敗した経緯を裏付ける検査結果。一方、これまで検査院がもんじゅの研究開発経費について意見表明したのは2011年の1回にとどまり、検査や政策評価の在り方も議論になりそうだ。  検査院は、09年1月以降の保守管理の実態を調べ、期限までに検査が済んでいないなどの機器や項目が多数に上り、原子炉が冷温停止中でも機能維持が必要な重要機器も含まれていたという。  もんじゅは1994年4月に初運転以降、冷却材のナトリウム漏れ事故が起きた95年12月までで205日、運転再開した10年5~8月で45日の計250日しか稼働していない。検査院は稼働期間中の研究状況も調査。最初の稼働期間では予定された142の試験項目のうち50しか完了せず、次の期間は117の項目の全てが終わらなかった。  最終的な試験項目数から割り出した達成度は廃炉が決まった16年12月の時点で16%。長期的な稼働データの取得など、継続的な運転・保守管理が試験に必要だった項目は達成できなかった。  16年度までに投じられた1兆1313億円の内訳は、建設関連費が計約5907億9千万円、保守管理費が計約4382億6千万円、人件費が計約590億4千万円、固定資産税が計約432億6千万円。書類の不存在を理由に予備設計を開始した68年度から70年度までの費用は含まれない。  廃炉費用については人件費や固定資産税が含まれず、ナトリウムの処理費用が変動する可能性があるなど試算よりも増える可能性があるとした。 もんじゅ6月に取り出し模擬訓練使用済み核燃料佐賀新聞  2018年3月28日  福井県敦賀市の片山富士夫副市長(手前)と面会する、日本原子力研究開発機構の伊藤肇理事=28日午後、敦賀市役所  原子力規制委員会による高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉計画認可を受け、日本原子力研究開発機構の田口康副理事長は28日、福井県庁で藤田穣副知事と面会、原子炉などからの使用済み核燃料取り出し作業の模擬訓練を6月に行うと説明した。  田口副理事長によると、原子炉近くの燃料貯蔵槽に保管されている制御棒を燃料に見立てて取り出し、付着した冷却材の液体ナトリウムを除去した上で、水で満たされた「燃料池」に移すという。藤田副知事は「高速炉特有の国内初の作業があるので安全に進めてほしい」と話した。  敦賀市では同日、機構の伊藤肇理事が片山富士夫副市長と面会。片山副市長は、設備点検の計画書の誤りが原因で今月上旬に発生した警報装置の故障に触れ、「ヒューマンエラーが続くようでは、廃炉を任せて大丈夫なのかという疑念を払拭できない」と述べた。  機構は、原子炉などにある計530体の使用済み燃料の取り出し作業を7月に始める計画。廃炉完了は2047度までの30年間を見込んでいる。                

川内原発2号機、2018年8月29日運転再開 九電、稼働原発4基体制に 佐賀新聞 2018年8月29日

 でたらめ対応のまま、九州電力は川内原発2号機の再稼動行程を本日、2018年8月29日夕方より開始する。2002年3月にアメリカのデービス=ベッセ原発で大事故を起こしそうになった蒸気発生器インコネル600を、今まで放置していたのをやっと、インコネル690に交換した。トラブルが起こった原因がわからぬまま、ただ、ポンプのシーリング部分など、トラブルの発生の原因のわからぬまま、だた部品を交換しただけで再稼動を始めようとしている。  異常な、猛暑でも電力は足りている。原発はいらない。  ちなみに川内原発2号機が本日より再稼動行程を始めることを、新聞に掲載したのは読売、毎日、朝日の全国紙では、朝日新聞が全国版で報道しました。読売は東京版でも西部本社版でも報道しませんでした。東京新聞は3面で報道しました。毎日新聞は、東京本社版では報道せず、西部本社版のみで報道。こうした新聞社の姿勢が、地方での原発再稼動が地方だけの問題に矮小化され、全国的な反原発運動につながらない効果を生んでいます。読売新聞はもとより、毎日新聞のこうした、原発再稼動を地方の問題として扱う姿勢を変えなくてはいけません。  川内原発、玄海原発のトラブルも、再稼動の状況のていねいに報道しているのは佐賀新聞だけ。佐賀新聞の記事を紹介します。 川内原発2号機、29日運転再開 九電、稼働原発4基体制に  佐賀新聞 2018年8月29日    九州電力は28日、定期検査のため停止中の川内原発2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転を29日夜に再開させると発表した。31日には発電を再開する予定で、作業や国の検査が順調に進めば9月28日に営業運転に復帰する。玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)が3月以降に再稼働したほか、川内1号機も定期検査を既に終えた。九電管内の稼働原発が4基体制となり、電力供給力が一段と高まる。  九電は川内2号機を30日に「臨界」に達する状態にし、31日に発電を再開。9月上旬にはフル稼働する。原子炉起動後に原子力規制委員会が実施する検査で設備の安全性が確認されれば、営業運転に復帰する。 川内原子力発電所2号機の原子炉起動、発電再開予定をお知らせします― 8月29 日に原子炉起動、8月31 日に発電再開予定 ― 九州電力 2018年8月28日 別紙 川内原子力発電所2号機第22回定期検査の概要 九州電力 2018年8月28日 川内原発2号機 29日夜 原子炉起動MBC南日本放送  2018年8月29日(水) 16:35配信      九州電力は、定期検査のため停止していた川内原発2号機の原子炉を29日夜、起動させます。川内原発の前では市民グループによる抗議活動が行われました。    九州電力によりますと、川内原発2号機は今年4月から原子炉を停止させ定期検査を行ってきましたが、29日夜9時半ごろ、原子炉を起動させる予定です。これに対し脱原発を訴える市民グループは29日朝、川内原発のゲート前におよそ40人が集まって抗議活動を行い「再稼働は許さない」と訴えました。    川内原発2号機は、30日午前10時ごろに核分裂が続く「臨界」に達し、あさって31日の午後11時ごろに発電と送電を再開する予定で、来月下旬には国の検査を受け通常運転に戻る見通しです。 美浜・大飯・高浜原発に反対する会   アメリカのデービス=ベッセ原発 圧力容器上蓋に大穴 一次冷却水喪失事故の一歩手前だった 関電の原発にも上蓋ひび割れの危険 2002年3月    この原発の蒸気発生器にも、インコネル600合金が使われていました。今回の事態になって初めて、川内原発2号機はインコネル600の蒸気発生器を、インコネル690に交換しました。なぜ、2002年にアメリカで大事故が起きる寸前まで行った蒸気発生器を、2018年8月の今まで使用しつづけたのでしょうか?なぜ、こんな状態で原子力規制委員会は、川内2号機の再稼動に許可を与えているのでしょうか?再稼動行程がここまで遅れたにもかかわらず、ポンプのシーリングの問題などそれぞれのトラブルの原因は解明されていません。ただ、トラブルがあった部品を交換しただけで、原子力規制委員会は再稼動OKを出しています。でたらめ委員会です。 毎日新聞の報道姿勢です。2018年8月29日東京本社版朝刊 7面 川内原発2号機の再稼動の記事なし   2018年8月29日西部本社版朝刊 24面 川内原発2号機の再稼動の記事あり   九電・川内原発2号機が定検入り5カ月間、蒸気発生器を交換佐賀新聞 2018年4月23日   九州電力は23日未明、川内原発2号機(鹿児島県薩摩川内市)の発電設備と送電系統を切り離し、原子炉等規制法に基づく定期検査に入った。原子炉格納容器内の蒸気発生器を1985年の営業運転開始以来、初めて取り換えるため、通常の定期検査と比べ長い約5カ月間を予定している。  3月に再稼働した玄海原発3号機(佐賀県玄海町)の配管に穴が開き蒸気が漏れたトラブルを受け、同タイプの配管16本の状態も確認する。  定期検査は九電や協力会社などの計約4100人態勢で実施。原子炉容器や核燃料貯蔵施設といった設備を105項目にわたって確認する。使用済み燃料は、燃料集合体157のうち約3分の1で交換する。  九電によると、22日夕から核分裂を抑える制御棒を入れて徐々に出力を低下させ、23日早朝に核分裂反応がなくなり原子炉は完全に停止した。8月下旬に原子炉を再び起動して8月31日に発電を再開する予定。営業運転の再開は9月28日を見込んでいる。  1月に定期検査入りした川内1号機は、6月5日に発電再開の見通し。

長崎平和宣言(全文)長崎市長 田上富久 2018年8月10日

 昨日2018年8月9日発表された長崎平和宣言は、恐らく初めて、平和宣言の中に被爆者の実名を入れた、素晴らしい宣言でした。被ばく後生涯をかけて核兵器廃絶の為に尽力し、「核のない世界」を見ることなく亡くなった、土山秀夫さん、谷口稜曄さん。2人の言葉を引用しました。「あなた方が核兵器を所有し、またこれから保有しようとすることは、何の自慢にもならない。それどころか恥ずべき人道に対する犯罪の加担者となりかねないことを知るべきである」(土山さん)「核兵器と人類は共存できないのです。こんな苦しみは、もう私たちだけでたくさんです。人間が人間として生きていくためには、地球上に一発たりとも核兵器を残してはなりません」(谷口さん)  原子爆弾によって数多くの肉親、知人を失い、自らも放射線被ばくの影響苦しんだ被爆者の核兵器廃絶に向けた行動が、核兵器禁止条約を生みました。この被爆者の行動なくして、この条約は生まれませんでした。被爆者の思いと願いを共有する事から、核兵器禁止が実現出来る、そういう思い伝わる2018年長崎平和宣言です。  現時点(2018年8月9日時点)で、世界60ヶ国が条約に署名し、14ヶ国が批准しています。ニュージーランドも、オーストラリアも署名批准しています。 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のウェブサイト に詳しい紹介があります。  翻って日本政府はこの核兵器禁止条約に反対しています。「核兵器保有国と非核兵器保有国との橋渡しをする」と言いながら、北朝鮮核実験やミサイル実験には反対しながら、アメリカの核兵器近代化計画に一切反対していません。それどころか、北朝鮮が核兵器を放棄すると言っているのに、弾道ミサイル迎撃システム、イージス・アショア2基5000億円以上かけて、秋田県、山口県に配備しようとしています。アメリカの核兵器を応援し、核ミサイル迎撃の高額兵器をアメリカから買う。これで「橋渡し」などできません。日本政府は、また、核兵器転用可能なプルトニウムの保有にも固執しています。核燃料サイクル破綻しているのですから、さっさとプルトニウムはイギリスなどに売却すべきです。  安倍晋三氏は、国連事務総長が長崎を訪問するので、長崎原爆犠牲者慰霊式典にも参列しましたが、そのスピーチは無残な内容でした。改めて、安倍晋三政権の下では、原発も核兵器も無くせないことが明らかにした、言えるでしょう。長崎平和宣言では、「放射線の影響は福島のみなさんをも苦しめ続けています。」と原発事故にもきちんと触れています。広島平和宣言では触れていませんでした。  この長崎平和宣言は、長崎市長が単独で作るのではなく、被爆者も参加する起草委員会が原案を作成し、その上で長崎市長が手を入れます。広島平和宣言とは違います。ちなみに、朝日新聞は2018年8月9日夕刊および8月10日朝刊で「長崎市長平和宣言」と書いていますが、「長崎平和宣言」の誤りなので、訂正するべきです。     長崎市長平和宣言(全文)2018年8月10日  73年前の今日、8月9日午前11時2分。真夏の空に炸裂(さくれつ)した一発の原子爆弾により、長崎の街は無残な姿に変わり果てました。人も動物も草も木も、生きとし生けるものすべてが焼き尽くされ、廃虚と化した街にはおびただしい数の死体が散乱し、川には水を求めて力尽きたたくさんの死体が浮き沈みしながら河口にまで達しました。15万人が死傷し、なんとか生き延びた人々も心と体に深い傷を負い、今も放射線の後障害に苦しみ続けています。  原爆は、人間が人間らしく生きる尊厳を容赦なく奪い去る残酷な兵器なのです。  1946年、創設されたばかりの国際連合は、核兵器など大量破壊兵器の廃絶を国連総会決議第1号としました。同じ年に公布された日本国憲法は、平和主義を揺るぎない柱の一つに据えました。広島・長崎が体験した原爆の惨禍とそれをもたらした戦争を、二度と繰り返さないという強い決意を示し、その実現を未来に託したのです。  昨年、この決意を実現しようと訴え続けた国々と被爆者をはじめとする多くの人々の努力が実り、国連で核兵器禁止条約が採択されました。そして、条約の採択に大きな貢献をした核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞しました。この二つの出来事は、地球上の多くの人々が、核兵器のない世界の実現を求め続けている証(あかし)です。  しかし、第2次世界大戦終結から73年がたった今も、世界には1万4450発の核弾頭が存在しています。しかも、核兵器は必要だと平然と主張し、核兵器を使って軍事力を強化しようとする動きが再び強まっていることに、被爆地は強い懸念を持っています。  核兵器を持つ国々と核の傘に依存している国々のリーダーに訴えます。国連総会決議第1号で核兵器の廃絶を目標とした決意を忘れないでください。そして50年前に核不拡散条約(NPT)で交わした「核軍縮に誠実に取り組む」という世界との約束を果たしてください。人類がもう一度被爆者を生む過ちを犯してしまう前に、核兵器に頼らない安全保障政策に転換することを強く求めます。  そして世界の皆さん、核兵器禁止条約が一日も早く発効するよう、自分の国の政府と国会に条約の署名と批准を求めてください。  日本政府は、核兵器禁止条約に署名しない立場をとっています。それに対して今、300を超える地方議会が条約の署名と批准を求める声を上げています。日本政府には、唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約に賛同し、世界を非核化に導く道義的責任を果たすことを求めます。  今、朝鮮半島では非核化と平和に向けた新しい動きが生まれつつあります。南北首脳による「板門店宣言」や初めての米朝首脳会談を起点として、粘り強い外交によって、後戻りすることのない非核化が実現することを、被爆地は大きな期待を持って見守っています。日本政府には、この絶好の機会を生かし、日本と朝鮮半島全体を非核化する「北東アジア非核兵器地帯」の実現に向けた努力を求めます。  長崎の核兵器廃絶運動を長年牽引(けんいん)してきた二人の被爆者が、昨年、相次いで亡くなりました。その一人の土山秀夫さんは、核兵器に頼ろうとする国々のリーダーに対し、こう述べています。「あなた方が核兵器を所有し、またこれから保有しようとすることは、何の自慢にもならない。それどころか恥ずべき人道に対する犯罪の加担者となりかねないことを知るべきである」。もう一人の被爆者、谷口稜曄さんはこう述べました。「核兵器と人類は共存できないのです。こんな苦しみは、もう私たちだけでたくさんです。人間が人間として生きていくためには、地球上に一発たりとも核兵器を残してはなりません」  二人は、戦争や被爆の体験がない人たちが道を間違えてしまうことを強く心配していました。二人がいなくなった今、改めて「戦争をしない」という日本国憲法に込められた思いを次世代に引き継がなければならないと思います。  平和な世界の実現に向けて、私たち一人ひとりに出来ることはたくさんあります。  被爆地を訪れ、核兵器の怖さと歴史を知ることはその一つです。自分のまちの戦争体験を聴くことも大切なことです。体験は共有できなくても、平和への思いは共有できます。  長崎で生まれた核兵器廃絶一万人署名活動は、高校生たちの発案で始まりました。若い世代の発想と行動力は新しい活動を生み出す力を持っています。  折り鶴を折って被爆地に送り続けている人もいます。文化や風習の異なる国の人たちと交流することで、相互理解を深めることも平和につながります。自分の好きな音楽やスポーツを通して平和への思いを表現することもできます。市民社会こそ平和を生む基盤です。「戦争の文化」ではなく「平和の文化」を、市民社会の力で世界中に広げていきましょう。  東日本大震災の原発事故から7年が経過した今も、放射線の影響は福島の皆さんを苦しめ続けています。長崎は、復興に向け努力されている福島の皆さんを引き続き応援していきます。  被爆者の平均年齢は82歳を超えました。日本政府には、今なお原爆の後障害に苦しむ被爆者のさらなる援護の充実とともに、今も被爆者と認定されていない「被爆体験者」の一日も早い救済を求めます。  原子爆弾で亡くなられた方々に心から追悼の意を捧げ、私たち長崎市民は、核兵器のない世界と恒久平和の実現のため、世界の皆さんとともに力を尽くし続けることをここに宣言します。  2018年(平成30年)8月9日 長崎市長 田上富久

プルトニウムの再処理とMOX原発での利用を前提とした、原子力委の新方針を新聞各紙はどう伝えたか? 2018年8月1日

 2018年7月31日、原子力委員会が発表した指針は、① これからもプルトニウムを保有する、② そのために使用済み核燃料からの再処理でプルトニウムを 抽出する。③ MOX燃料を利用する原発を活用する、という内容です。  その新指針を新聞各紙はどう報道したのでしょうか。特に毎日新聞と読売新聞は本当に死んでいます。見出しに「原子力委 プルトニウム削減明記 新指針 六ケ所再処理量運転制限」毎日新聞、「プルトニウム削減明記…原子力委 基本方針15年ぶり改定」読売新聞、です。しかし、そもそも、各新聞に記事の情報を提供している、共同通信もだめです。共同通信の記事の見出しは「核燃料再処理制限し増加を抑制 プルトニウム削減の新指針」です。共同通信の配信をそのまま引用している、地方も同じ記事の見出しです。共同通信が「プルトニウム削減」と書けば、無批判にプルトニウムを削減するのだろう、という新聞社の無能ぶりが現れています。  今回の原子力委員会の指針は、プルトニウム削減の方針ではないです。今後も日本としてプルトニウムを保有し、そのプルトニウムを抽出、保有するために、MOX燃料を利用する原発を稼動し続ける、という内容です。   プルトニウム削減で新指針具体的方法・数値示さず 東京新聞 2018年8月1日1面  国の原子力政策を決定する原子力委員会(委員長=岡芳明・元早大理工学部特任教授)は7月31日、原発の使用済み核燃料から発生するプルトニウムの利用指針を15年ぶりに改定し、公表した。現在の保有量約47トンを上限と設定し、これより削減させるとした。ただし具体的な削減の方法や数値目標には言及せず、電力会社に委ねた形で、実際に削減が進むかは見通せない。  岡委員長は具体策に踏み込まなかった理由について「民間の経営、創意工夫をできるだけ生かすため」と説明した。  プルトニウムを大量消費する高速炉開発が滞る中、保有量削減には既存の原発で少しずつ消費するプルサーマル方式の実行しか手段がないのが現状。新指針では毎年の抽出量を政府の認可事項とし、プルサーマルで消費できる量に限定するとした。プルトニウムを抽出する再処理工場(青森県六ヶ所村)については現計画通り2021年上記に完成しても、フル稼働するとプルトニウムが増えるおそれがあるため、「稼動を抑えることもある」(原子力委事務局)としている。  また、「電力会社間の連携を促す」とも明記。プルサーマル原発の再稼動のめどが立っていない東京電力などのプルトニウムを、プルサーマル原発が再稼動している関西電力などで消費させることも想定した。  日本は原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し再利用する核燃料サイクルを進めようとしているが、プルトニウムを使う高速増殖原型疎炉もんじゅは2016年に廃炉が決定。原爆6000発に相当するプルトニウムを抱えていることに米中など海外からの警戒感が示されている。 再処理容認 矛盾の政策   原子力委員会の新指針はプルトニウム削減を主張する一方、増加につながる再処理工場稼動を認める矛盾に満ちた内容となった。  再処理工場を運営する日本原燃によるとフル稼働する2025年には年間8トンのプルトニウムを生産する。一方、プルサーマル原発は1基0.5トンしか消費しないため、4基の消費分は計2トン。この結果、毎年6トンずつ増える計算。このため、同委は再処理工場の稼動を落とすことが必要と指摘する。  だが、再処理工場の建設・運営費は電気代に託送料などで上乗せ徴収される仕組みとなっており、稼動が落ちて赤字が膨らめば、さらに電気代で国民負担が増えかねない。高速炉の後継機も共同開発する予定の仏が計画を縮小、実現のメドは立たない。市民団体・原子力資料情報室の松久保肇氏は「もはや核燃料サイクルが経済的に成り立たないのは明白。撤退が筋だ」と指摘している。(伊藤弘喜)   プルトニウム上限47トン 現有分、削減には課題 原子力委 朝日新聞 2018年8月1日朝刊 1面 プルトニウムの「収支バランス」  内閣府の原子力委員会は31日、日本が国内外に保有するプルトニウムについて、現在の約47トンを上限とし、削減につなげる新たな方針を決定した。使用済み核燃料の再処理は、原発の燃料として再利用する分に限って認める。建設中の六ケ所再処理工場(青森県)は、稼働が制限される可能性があり、政府が掲げてきた核燃料サイクル政策は形骸化が強まりそうだ。▼3面=進まぬ再利用  方針の改定は15年ぶり。原子力委員会は、2003年の方針で「利用目的のないプルトニウムを持たない」として核兵器の原料になるプルトニウム保有に理解を求めてきた。これに対し、新方針は初めて保有量の削減に踏み込んだうえで、「現在の水準を超えることはない」とした。  日本はプルトニウムを国内に約10・5トン、再処理を委託した英仏に約36・7トン持つ。原爆約6千発分に相当する量で、今年7月に日米原子力協定が30年の満期を迎えるにあたり、米国などから具体的な削減策を示すよう求められていた。  新方針は、五つの対策を示した。ふつうの原発で再利用するプルサーマル発電に必要な分だけ再処理を認める▽再処理工場が「適切」に稼働できる水準まで減らす▽電力会社の連携で海外保有分を減らす▽利用方針が明確でない研究用プルトニウムの処分を検討▽使用済み燃料の貯蔵容量を増やす、などを盛り込んだ。  また、電力会社などに対し、余剰分の具体的な利用計画を毎年公表することも求めている。  日本は、プルトニウムを使う高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)の廃炉が決まり、プルサーマルも計画通り進んでいない。一方、3年後に完成する予定の再処理工場がフル稼働すれば、年間約7トンのプルトニウムが取り出される。  電気事業連合会は原発16~18基でプルサーマルを導入すれば、再処理工場がフル稼働しても保有量を減らせると試算する。だが、現在導入できたのは4基で、原子力委によると、現状のままなら、再処理工場の処理能力の4分の1程度しか稼働できなくなるという。  (小川裕介、川田俊男) 再処理工場、稼働に制限も 進まないプルトニウムの再利用 朝日新聞 2018年8月1日朝刊 3面  日本が保有するプルトニウム  内閣府の原子力委員会は、たまり続けるプルトニウムの保有量に上限を設け、現状の約47トンから削減する方針にかじを切った。核拡散への懸念を払拭(ふっしょく)する狙いだが、実際に減らしていけるかは、関係省庁や電力会社の取り組みに委ねられる。▼1面参照  ■プルサーマル、再稼働は4基  「かなり大きな一歩」。原子力委員会の岡芳明委員長は31日の記者会見で、新方針の意義をこう強調した。  新たな方針は、日本原燃の六ケ所再処理工場(青森県)の稼働をコントロールすることが柱になる。  日本原燃の計画では、工場は約3年後に完成し、使用済み燃料からプルトニウムを取り出す再処理が本格的に始まる。新方針のもとでは稼働が大幅に制限される可能性がある。経済産業省による認可で、必要な分だけ再処理を認める仕組みにするが、プルトニウムの再利用そのものが停滞しているからだ。  プルトニウムとウランを混ぜた「MOX燃料」をふつうの原発で使うプルサーマル発電は、電気事業連合会の計画通りに16~18基で導入できれば、年に8~10トンを消費できる。一方、工場がフル稼働すると、新たに分離されるプルトニウムは年に約7トンで、収支のバランスが取れる。  ただ、東京電力福島第一原発事故後、プルサーマルで再稼働した原発は4基のみ。通常の再稼働とは別の許可を受ける必要があり、今後も大きく増える見通しはない。  保有量の8割近くを占める海外分は、六ケ所の工場が着工する前から、英仏の施設に再処理を委託した分だ。新方針は、電力各社で融通し合うことで海外分も減らすよう促す。再稼働が進む関西電力などの原発で、東京電力など他社分を燃やすことを想定する。  電気事業連合会の勝野哲会長(中部電力社長)は7月20日、「電力間の融通を検討していない。各社でプルサーマルを含めた再稼働をやっていくのが大前提」と消極的な姿勢を示した。再稼働が進む電力会社にとっては「地元との信頼関係を崩しかねない」(電力業界関係者)からだ。  新方針は、日本原子力研究開発機構の施設などに約4・6トンある研究開発用について、捨てる選択肢も検討すると踏み込んだ。使い道がほとんどなく、核テロ防止などの観点から削減を求められていた。ただ、具体的な処分法は決まっておらず、処分地を見つけるのも難航が予想される。  (川田俊男、桜井林太郎)  ■英、有償で引き取りを提案  プルトニウムの削減には、プルサーマル以外の選択肢もある。  日本が英国で保有するプルトニウムについて、英国政府は日本側が「十分にお金を払う」ことを条件に引き取ることを提案する。だが、電力会社は否定的だ。政府関係者も「あくまでプルサーマルで燃やす」と言う。プルトニウムを「資源」として再利用する核燃料サイクルの前提が崩れてしまうからだ。  英国にある約21トンは、現状では日本に持ち帰るのが難しい事情もある。英国のMOX燃料工場は2011年に閉鎖され、燃料に加工できない。加工前のプルトニウムを日本に輸送すれば、核拡散への懸念から国際問題に発展しかねない。このまま「塩漬け」になれば多額の保管料を払い続けることになる。  一方、欧州では、英国に余剰分を引き取ってもらう動きが広がる。ドイツやスウェーデン、オランダで実績がある。英国にとっては、自国分と一緒に処分でき、必要な資金も確保できる。  再処理をやめた米国も、解体した核兵器から出たプルトニウムの処分に悩む。MOX燃料にして原発で使おうとしたが、予算超過などで断念。代わりにプルトニウムを少量ずつ分け、化学物質を混ぜて薄め、地層処分する「希釈処分」を検討する。  (小川裕介、香取啓介=ワシントン)  ■<視点>核燃料サイクル、幕引きを  原子力委員会がプルトニウム保有量の上限を「現在の水準」(約47トン)と明示したことは、日本の核燃料サイクル政策がいよいよ立ち行かなくなった現実を示すものだ。  新方針によって、2・9兆円を投じて建設中の六ケ所再処理工場(青森県)は本格稼働を待たず、運転計画が暗礁に乗り上げる可能性が出てきた。  それでも政府は、原発のすべての使用済み核燃料に再処理を義務づける「全量再処理」路線を堅持する。大量の使用済み核燃料が、いつ再処理できるのかわからず、国内で長期保管を強いられるのは必至だ。  核燃料サイクルはそもそも、核兵器材料のプルトニウムを民間市場に流通させることで成り立つ。核拡散のリスクを本質的にはらんでおり、削減に手間取れば当然、国際社会からの批判にさらされる。  しかし、今回の新方針も肝心の具体的な削減目標や手段、時期などには踏み込まなかった。政府は削減に向けた詳細な道筋を、早急に世界に示す必要がある。  一方、新方針は研究開発用のプルトニウムについては、「処分」も含めて検討するとした。政府が真剣に削減を目指すのなら、「資源」と位置づけてきた電力会社の保有分にもこの方針を広げ、「ごみ」として廃棄処分する研究にも、すみやかに着手すべきだ。  核燃料サイクルが目指したプルトニウム利用はすでに経済性を失い、欧米では実際、廃棄処分への取り組みが進む。損失が拡大する前に、いかにプルトニウム利用から手を引くかが、世界の潮流だ。日本も、核燃料サイクルの幕引きにとりかかるときである。  (編集委員・上田俊英)   原子力委 プルトニウム削減明記 新指針 六ケ所再処理量運転制限 毎日新聞 2018年8月1日 1面  内閣府原子力委員会は31日、プルトニウムの利用指針を15年ぶりに改定し、日本の保有量を減少させると初めて明記した。新指針では、建設中の再処理工場(青森県六ケ所村)でのプルトニウム製造を原発で使う分までしか認めず、運転を制限する。電力会社には連携して利用可能な原発で消費し、着実な削減につなげるよう求めた。核不拡散の観点から米国を含む国際社会が日本の保有状況を懸念しており、払拭(ふっしょく)に努める。  原子力委員会は日本の原子力政策の長期的な方向性を示す役割を持っており、国際原子力機関(IAEA)を通じて新指針を各国に周知する。7月に閣議決定したエネルギー基本計画でも削減を明記している。  プルトニウムは原発の使用済み核燃料の再処理で生じ、日本は非核国では最多の核兵器約6000発分、47・3トンを保有。電力会社などが国内外で保管する。  原子力委員会は2003年の旧指針で「利用目的のないプルトニウムを持たない」と定めた。新指針は初めて削減に踏み込んだが、時期や削減量は定めず、保有量の上限は「現在の水準は超えない」とした。  その達成に向け、21年完成予定の再処理工場の運転計画を国が認可する際、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料として原発で使う「プルサーマル発電」に必要な分までに稼働を制限。さらに電力会社に、これまで再処理を委託し英仏で保管する36・7トンについて連携、協力して削減するよう要請した。政府は、プルサーマル発電が可能な原発で会社の枠を超えて使ってもらい、全体の削減につなげたい考え。電力会社には毎年、プルトニウム利用計画の公表を求めた。  日本はプルトニウムの利用目的に発電用資源として再利用する核燃料サイクルを掲げ、当面はプルサーマル発電で用いるとしている。しかし福島第1原発事故の後、同発電の原発の再稼働は計4基にとどまり、消費は進まない。再処理工場がフル稼働すれば毎年、保有量は最大約8トン増える。その全ての消費には原発16~18基が必要とされ、現状では再処理工場の稼働の大幅制限が避けられない情勢だ。【岡田英】   プルトニウム削減明記…原子力委 基本方針15年ぶり改定 読売新聞 2018年8月1日朝刊 2面 プルトニウム利用の基本方針を改定した原子力委員会(31日、東京都千代田区で)  内閣府原子力委員会(岡芳明委員長)は31日、プルトニウムの利用に関する基本方針を15年ぶりに改定した。日本のプルトニウム保有量について「減少させる」と明記した。核不拡散を目指す国際社会からの懸念を背景に、平和利用の透明性を高めるという。 国、各電力間融通を提案  2017年末時点の日本のプルトニウム保有量も公表した。英仏が保管している約36・7トンと国内保管分約10・5トンの計約47・3トンで、16年末より0・4トン増えた。長崎型原爆約6000発分に相当する。  03年の前回方針も「利用目的のないプルトニウムを持たない」との原則を盛り込んでいたが、保有量の削減は示していなかった。  今回の方針では、英仏が保管する分のプルトニウムの優先的な削減を打ち出した。具体的には、原発の再稼働が遅れている電力会社が持つプルトニウムを、既に再稼働した他電力の原発で消費するなど、電力会社間の連携を促した。  一方、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す日本原燃の再処理工場(青森県六ヶ所村)は、21年度に完成する予定。フル稼働すれば年間最大7トンのプルトニウムが増える。このため今回は、政府として、必要最小限の再処理しか認めない方針も新たに示した。  日本のプルトニウム保有量は、03年に40トンを超えた。09~11年や16年ごろには、プルトニウムとウランの混合酸化物燃料(MOX燃料)を使うプルサーマル発電で保有量が少し減ったものの、ここ10年ほどの間は45トン前後で推移している。 原発稼働遅れ 消費が進まず  消費が進まない最大の理由は、11年の東京電力福島第一原子力発電所の事故後の原発再稼働の遅れだ。MOX燃料を使える原発は現在、関西電力高浜3、4号機(福井県)と四国電力伊方3号機(愛媛県)、九州電力玄海3号機(佐賀県)の4基だけ。  このうち伊方3号機は、運転差し止めの仮処分決定で停止している。3基のプルトニウム消費量は、年間計1トン程度にとどまる。年間0・5トンの消費が期待されていた高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)は、16年に廃炉が決まった。  プルトニウムが減らない状況に、国際社会からは懸念の声も出ている。中国は15年の国連総会で、「大量の核兵器を作るのに十分な量。核不拡散体制に大きなリスクだ」と批判した。  岡委員長は31日、「日本だけがどんどんプルトニウムをためているという懸念を抱かれると、非常にまずい」と語り、菅官房長官も同日、「国際社会に引き続き丁寧に説明したい」と述べた。   六ヶ所の再処理制限 原子力委 プル削減へ新指針 福井新聞 2018年8月1日朝刊 5面  青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場    国の原子力委員会(岡芳明委員長)は31日の定例会合で、日本が保有するプルトニウムの削減に向け、2021年度完成予定の青森県六ケ所村の再処理工場で製造するプルトニウムを通常の原発で使用する量に限定することを柱とした新たな指針を決定した。保有量が現行水準を超えないよう管理し、再稼働が遅れている電力会社のプルトニウムを他社に融通することを念頭に各社に連携を促して保有量を減らす。  03年策定の「わが国のプルトニウム利用の基本的な考え方」を改定した。ただ、指針は具体的な保有量の上限や削減目標は示していない。削減の具体策にも踏み込まず、電力会社や経済産業省に委ねた形だ。東京電力福島第1原発事故後、通常の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルも停滞し、削減できるかは不透明だ。  会合では、日本のプルトニウム保有量が17年末時点で前年から約0・4トン増え約47・3トンとなり、うち海外保有分が約36・7トンと報告された。  指針は、プルサーマルの実施状況に応じ、必要な量だけプルトニウムを製造するよう国が認可すると強調。海外に多くのプルトニウムを抱える電力会社が他社に譲渡して稼働原発で消費するなど各電力の連携を促し削減に取り組むほか、研究開発用は、当面の使用方針が明確でない場合は処分を検討するとした。  日本に再処理を認めた日米原子力協定が30年の期限を満了し7月17日に自動延長され、米国側の通告で一方的に終了できるようになった。米国側は核兵器6千発分に相当する日本のプルトニウムに懸念を示し、対外的な説明を求めていた。  日本は原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、再び原発で使う核燃料サイクルを進めようとしているが、中核だった高速増殖原型炉もんじゅは16年12月に廃炉が決定。六ケ所村の再処理工場が稼働すれば、保有プルトニウムが増加する恐れがある。   再処理制限し増加抑制 プルトニウム削減へ新指針 佐賀新聞 2018年8月1日 2面  青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場   国の原子力委員会(岡芳明委員長)は31日の定例会合で、日本が保有するプルトニウムの削減に向け、2021年度完成予定の青森県六ケ所村の再処理工場で製造するプルトニウムを通常の原発で使用する量に限定することを柱とした新たな指針を決定した。保有量が現行水準を超えないよう管理し、再稼働が遅れている電力会社のプルトニウムを他社に融通することを念頭に各社に連携を促して保有量を減らす。  03年策定の「わが国のプルトニウム利用の基本的な考え方」を改定した。ただ、指針は具体的な保有量の上限や削減目標は示していない。削減の具体策にも踏み込まず、電力会社や経済産業省に委ねた形だ。東京電力福島第1原発事故後、通常の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルも停滞し、削減できるかは不透明だ。  会合では、日本のプルトニウム保有量が17年末時点で前年から約0・4トン増え約47・3トンとなり、うち海外保有分が約36・7トンと報告された。  指針は、プルサーマルの実施状況に応じ、必要な量だけプルトニウムを製造するよう国が認可すると強調。海外に多くのプルトニウムを抱える電力会社が他社に譲渡して稼働原発で消費するなど各電力の連携を促し削減に取り組むほか、研究開発用は、当面の使用方針が明確でない場合は処分を検討するとした。  日本に再処理を認めた日米原子力協定が30年の期限を満了し7月17日に自動延長され、米国側の通告で一方的に終了できるようになった。米国側は核兵器6千発分に相当する日本のプルトニウムに懸念を示し、対外的な説明を求めていた。  日本は原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、再び原発で使う核燃料サイクルを進めようとしているが、中核だった高速増殖原型炉もんじゅは16年12月に廃炉が決定。六ケ所村の再処理工場が稼働すれば、保有プルトニウムが増加する恐れがある。   核燃料再処理制限し増加を抑制 プルトニウム削減の新指針 共同通信 2018/7/31 15:49 青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場  国の原子力委員会(岡芳明委員長)は31日の定例会合で、日本が保有するプルトニウムの削減に向け、2021年度完成予定の青森県六ケ所村の再処理工場で製造するプルトニウムを通常の原発で使用する量に限定することを柱とした新たな指針を決定した。保有量が現行水準を超えないよう管理し、再稼働が遅れている電力会社のプルトニウムを他社に融通することを念頭に各社に連携を促して保有量を減らす。  03年策定の「わが国のプルトニウム利用の基本的な考え方」を改定した。ただ、指針は具体的な保有量の上限や削減目標は示していない。電力会社や経済産業省に委ねた形だ。      

福島県民健康調査検討委員会の発表以外にも11名の小児甲状腺がん。事故当時4歳、5歳も。朝日新聞は事実を正しく報道せず。

 2018年7月8日に福島県の第10回甲状腺評価部会が開かれました。そこで、かねてから「県民健康調査検討委員会からもれている、小児甲状腺がんの患者がいるのではないか」とされていた問題について、2011年10月9日~2017年6月30日の期間、福島県立医大についてだけで、11名の小児甲状腺がんの患者がいることが発表されました。理由は、2年に1度の県民健康調査検討委員会の甲状腺検査から、「経過観察」になった子どもたちがその後、福島県立医大で小児甲状腺がんと診断され手術した方々が7名、県民健康調査検討委員会の甲状腺検査でB判定になってから、福島県立医大で小児甲状腺がんと診断され手術した方々が1名、県民健康調査検討委員会の甲状腺検査を受けずに福島県立医大を受診、小児甲状腺がんと診断され手術をされた方が3名いました。  そして、初めて文章として、原発事故当時4歳、5歳の子どもが小児甲状腺がんにかかり、福島県立医大で手術を受けていたことが明らかになりました。福島県や政府はこれまで、「福島県の小児甲状腺がんは原発事故の放射線の影響とは考えにくい。それはチェルノブイリ原発事故の際の小児甲状腺がんは60%以上が原発事故当時0~6歳だったが、福島県では原発事故当時6歳未満の子どもが小児甲状腺がんにかかった例がないから。」と言ってきました。その論拠が崩れ去ったのです。 第10回甲状腺評価部会 資料3 甲状腺検査集計外症例の調査結果の速報 2018年7月8日  この事実についてきちんと報道をしたのは、福島民友2018年7月8日付け2面の記事でした。 ■甲状腺がん 集計漏れ11人 県の検査 事故当時4歳以下も  福島民友 2018年7月8日付け2面  東京電力福島第一原発事故後、県が県内全ての子ども約38万人を対象に実施している甲状腺検査で、集計外の甲状腺がん患者が11人いることが7日、関係者への取材で分かった。事故当時4歳以下も1人いた。  福島市で8日開かれる県の「県民健康調査」検討委員会の部会で報告される。  県の検査は2011(平成23)年度に開始、今年5月から4巡目が始まった。これまでがんと確定したのは162人、疑いは36人に上る。昨年3月、子どもの甲状腺がん患者を支援する民間非営利団体が集計漏れを指摘し、検査実施主体の福島医大が11年10月から昨年6月までに同大病院で手術を受けた患者を調べていた。  関係者によると、集計されなかった11人の事故当時の年齢は4歳以下が1人、5~9歳が1人、10~14歳が4人、15~19歳が5人。事故との因果関係について、検討委員会の部会は「放射線の影響とは考えにくい」とする中間報告を15年に取りまとめた。この時、被ばくの影響を受けやすい事故当時5歳以下の子どもにがんが見つかっていないことを根拠の一つとしていた。  県の検査は、超音波を用いた1次検査で甲状腺に一定のしこりなどが見つかった場合、血液や尿を詳細に調べる2次検査に移り、がんかどうか診断される。11人のうち7人は2次検査の後に経過観察となったが、その後経過がフォローされなかったため集計から漏れた。2次検査を受けなかった1人も集計から漏れた。残り3人は県の検査を受けずに福島医大を受診した。  また、毎日新聞も、2018年7月10日朝刊29面の記事も原発事故当時4歳の子どもが小児甲状腺がんにかかっていたことを正しく報道しました。 ■甲状腺がん 福島、11人新たに診断 県「子ども検査」集計外で 毎日新聞 2018年7月10日朝刊29面  東京電力福島第一原発事故後、福島県が当時18歳以下の子どもを対象にした検査で、これまで甲状腺がんと診断された162人以外に11人が同県立医大病院で甲状腺がんと診断されていたことが8日、明らかとなった。事故後の県民健康調査の一環で実施された検査で経過観察になった後、がんが見つかったり検査を受けていなかったりしたため集計の対象外となっていた。  昨年3月、甲状腺がん患者を支援する民間団体が「集計外の患者がいる」と指摘したのを受け、県立医大が昨年6月までの甲状腺がん患者について調べていた。  県の検査は、超音波による1次検査で甲状腺に一定の大きさのしこりが見つかった場合、血液や細胞などを調べる2次検査でがんか診断する。2011年度に始まり、2巡目からは事故後1年間に生まれた子どもも加えた約38万人を対象とし、今年3月末までに162人のがんが確定し、36人に疑いがあることが確認された。  集計外だった11人中7人は2次検査で経過観察となった後、がんが見つかった。1人は2次検査を受けず、3人は県の検査を受けていなかった。11人の事故当時の年齢は、4歳以下1人、5~9歳1人、10~14歳4人、15~19歳5人。  因果関係について、県民健康調査の評価部会は1巡目の検査結果について「放射線の影響とは考えにくい」とする中間とりまとめを15年に発表。2巡目以降の解析方法は議論中だが、同大病院以外にも集計漏れの患者がいる可能性がある。評価部会長の鈴木元・国際医療福祉大クリニック院長は「できる限り把握するために(国や県が運用している)がん登録制度をどう組み合わせるか議論を続けたい」と話した。【尾崎修二、岸慶太】  これに対して、犯罪的な記事を書いたのは朝日新聞の2018年7月9日夕刊2面です。朝日新聞は、かねてから「福島の小児甲状腺がんは原発事故の放射線の影響ではない」とする特集を組んできました。その論拠の一つが「福島県ではチェルノブイリ原発事故と違い、原発事故当時6歳未満の子どもが小児甲状腺がんにかかった例がないから。」でした。 資料 朝日新聞「放射線の影響 見極める」の犯罪 福島の小児甲状腺がん「地域差見られず」2016年3月9日18面  上記の特集記事の中で朝日新聞は以下のように書いています。 (一部 抜粋) 甲状腺がん 地域差見られず 朝日新聞 2016年3月9日 18面 福島県、38万人を検査  県の検討委員会は「現時点では被曝の影響は考えにくい」とする。チェルノブイリでは、本来、甲状腺がんはほとんどできないはずの5歳以下の乳幼児に多発した。一方、福島県ではこれまでにがんと診断された計116人(1巡目検査の100人と2巡目検査の16人)に事故当時5歳以下の乳幼児はいない。人数は年齢が上がるにつれ多くなる。一般的に甲状腺がんの発生率は年齢とともに増えるとされ、状況と合致する。  その論拠が崩れたためでしょう。以下の朝日新聞の記事ではわざと原発事故当時4歳の子どもが小児甲状腺がんにかかっていた、という部分をカットした記事を書いています。文章も冗長で同じ内容が繰り返され、鈴木元氏のコメントも意味不明です。記者が原稿を書いた後に改ざんされたとも思えるものです。 ■甲状腺がん検査 11人が集計漏れ 福島県 18歳以下対象  朝日新聞 2018年7月9日 2面  東京電力福島第一原発事故当時18歳以下だった約38万人を対象にした福島県の甲状腺検査をめぐり、検査でがんと把握されていないがん患者が少なくとも11人いることが、8日、福島市であった県の検討委員会の部会で報告された。  県の検査を受託する福島県立医大によると、同大病院で2011年10月~17年6月に甲状腺がんの手術を受けた人を調べたところ、県の検査で「がんまたはがんの疑い」としては集計されていない人が11人いた。経過観察と判断された人が7人のほか、検査を受けていなかった人などもいた。  県の甲状腺検査では11年10月~今年3月に162人ががんと診断されている。しかし、検査で経過観察と判断され、その後がんが判明した患者が集計から漏れているとの指摘が昨春、市民団体からあり、検討委が調べるとしていた。検討部会長の鈴木元・国際医療福祉大クリニック院長は「いろいろな方法で全数を把握していくのが重要だ」と話した。  東京新聞、読売新聞は、この福島県民健康調査検討委員会の甲状腺検査から11人も集計から漏れていたことは記事にしませんでした。犯罪的なことに、2018年7月10日読売新聞は福島版の紙面で、11人の集計漏れに一切触れず、「甲状腺検査説明 改善へ 事前送付書類『わかりにくい』」という主要な論点を外した記事を掲載しています。福島民報も「11人の集計漏れ」という言葉すら使わず、「甲状腺がん 国データと突合せ 県民健康調査評価部会 全数把握へ尽力」という、検討委員会を持ち上げる記事に終始しています。 ■甲状腺検査説明 改善へ 事前送付書類「わかりにくい」読売新聞 2018年7月10日13面 福島県版 ■甲状腺がん 国データと突合せ 県民健康調査評価部会 全数把握へ尽力 福島民報 2018年7月10日2面    こうして、福島の小児甲状腺がんの問題が全国の話題とはならず、福島県民だけが心配する状況が全国紙によって意図的計画的に作り出されています。この問題に関しては、朝日新聞、東京新聞、読売新聞を読んでいても何もわからない状況が生まれています。その中で、インターネット局のour planet tv(白石草さん)が福島県現地での甲状腺評価部会の議事の映像も含めて、丹念に報道しています。映像を見て読むなら、our planet tvが一番です。 集計漏れ11人〜福島県の甲状腺がん209人へ our planet tv 投稿日時: 月, 07/09/2018 – 10:00 甲状腺評価部会の議事の録画もあり   福島県の小児甲状腺がんの患者はすでに200人を超えています。今回、公表されただけでも11人が、福島県の集計から漏れていました。さらに、2018年6月18日に開かれた第31回県民健康調査検討委員会では、福島県が実施する甲状腺検査サポート事業について報告されています。それによれば、甲状腺がんまたはがん疑いと診断された場合の治療費の自己負担分について、福島県が支払う支援事業で、2015年7月の制度開始から2017年度末までに、延べ313件、実人数233人に支援金を交付した、と報告がありました。つまり、福島県の小児甲状腺がんは198人+11人=209人どころか、少なくとも233人はいるということになります。さらに、この延べ313件、実人数233人から考えると最大313ー233=80件は再発・再手術があったのではないでしょうか。  原発事故がもたらす、放射性物質由来の小児甲状腺がんは、決して、放置していても悪さをしないがんではなく、悪性で転移が早く、肺に転移した場合には死に至る場合があることは、ベラルーシの故ユーリ・デミチック博士が警告してきたことです。福島県や福島県立医大の山下俊一氏や鈴木眞一氏の招きで、故ユーリ・デミチック博士は何度も福島県を訪れ、そのような警告を含む講演をしてきました。残念ながら、福島県と福島県立医大はデミチック博士の言葉をないがしろにしています。  福島県の3巡目の検査からは、「節目検査」の名のもとに、2年に1回の甲状腺検査を、20歳以降は5年に一度、20歳、25歳、30歳にするとしています。小児甲状腺がんの患者の「統計上の数」だけを少なく見せるためのトリックに過ぎません。それどころか、小児甲状腺がんは原発事故当時0~6歳の子どもの発症した(チェルノブイリ原発事故時)、ということだけが強調されたため、20歳以降の受診率ががくっと減っています。2巡目検査で12.5%、3巡目検査で15.9%。2017年からは20歳以上が、小児甲状腺がん発症がもっとも高くなるにもかかわらず。先行検査(2011、2012、2013年度)での小児甲状腺がんの発症の平均年齢は原発事故当時14.9歳です。今年は原発事故から7年目。原発事故当時15歳になった子どもたちは21歳になっています。今年2018年は、21歳の層がもっとも発症のリスクがあるのです。その層をあえて、検査対象から外す福島県。やることがあべこべです。  少なくとも甲状腺検査は5年に1度ではなく、2年に1度も戻すべきです。また、20歳以上の検査を強化するべきです。2018年7月8日に行われた甲状腺評価部会では、こうした議論をした形跡がありません。まったく学者が揃って何をやっているのでしょうか。「福島の甲状腺がんは原発事故による放射線の影響ではない」という不毛な議論をやめて、目の前の子どもたちの現状に立ち向かうべきです。  手遅れにならない前に。      

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